横浜の行政書士が教える!旅行業登録の財産・人・資格の条件【第2話】

横浜の行政書士が教える!旅行業登録の財産・人・資格の条件【第2話】

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
旅行業登録の種類と区分の選び方
として、
第1種。
第2種。
第3種。
地域限定旅行業。
旅行業者代理業。
それぞれで取り扱える業務の違いについて整理しました。
では、
「やりたい旅行業の区分が決まれば、すぐに登録申請できるのか」
というと、そうではありません。
旅行業登録には、
財産。
人。
資格。
など、事前に満たしておかなければならない条件があります。
特に、
「会社を作ったので旅行業登録をしたい」
「旅行業務取扱管理者を採用したので申請したい」
という段階で初めて財務状況を確認すると、予定どおり開業できないこともあります。
今回のポイントは、
👉 旅行業登録は、申請書を作り始める前に「財産」と「人」の条件を確認することが大切
ということです。

旅行業登録で確認したい3つの条件

旅行業登録では、大きく整理すると、
1.財産的基礎があること
2.旅行業務取扱管理者を選任できること
3.登録の拒否事由に該当しないこと
などを確認します。
横浜で第2種・第3種・地域限定旅行業の登録を申請する場合は、神奈川県が登録行政庁となります。
神奈川県では、本申請の前に貸借対照表などを提出し、基準資産額の確認を受ける流れが設けられています。
つまり、
👉 書類をそろえる前に「そもそも登録要件を満たしているか」を確認する
ことが重要です。

財産的基礎|基準資産額は資本金だけでは決まらない

旅行業登録でまず確認したいのが、
基準資産額
です。
横浜で申請することの多い区分では、次の基準があります。
•第2種旅行業 700万円以上
•第3種旅行業 300万円以上
•地域限定旅行業 100万円以上
神奈川県では、基準資産額をおおむね次の考え方で算出します。
資産
- 創業費その他の繰延資産
- 営業権
- 負債
- 不良債権
- 営業保証金または弁済業務保証金分担金
です。
ここで注意したいのは、
資本金=基準資産額ではない
ということです。
既存法人が新たに旅行業へ参入する場合は、原則として最近の事業年度の貸借対照表などから判断します。
そのため、
「資本金が500万円あるから第3種なら大丈夫」
とは単純には言えません。
負債や不良債権、保証金などを差し引いた結果、基準を下回ることもあります。
基準資産額が足りない場合
基準を満たしていない場合には、
増資。
個人の場合の資産追加。
など、財務面の対応を検討することになります。
神奈川県の案内でも、基準資産額を満たさない場合には、増資等によって不足分の資産を追加する方法が示されています。
だからこそ、
👉 会社設立や旅行業登録申請の前に、一度数字を確認しておく
ことが重要です。

人の要件|旅行業務取扱管理者が必要

旅行業者は、原則として営業所ごとに1人以上の
旅行業務取扱管理者
を選任しなければなりません。
観光庁では、営業所で取り扱う旅行の範囲によって、必要となる資格を次のように整理しています。
海外旅行を取り扱う営業所
→ 総合旅行業務取扱管理者
国内旅行のみを取り扱う営業所
→ 総合または国内旅行業務取扱管理者
一定の地域内に限定された旅行のみを取り扱う営業所
→ 総合・国内・地域限定旅行業務取扱管理者
のいずれかという考え方です。
さらに、旅行業務取扱管理者には5年ごとの定期研修制度があります。
従業員10人以上なら複数選任
神奈川県の新規登録案内では、
従業員数10人以上の営業所では、複数の旅行業務取扱管理者を選任すること
とされています。
初期の記事では、
「2名以上が望ましい、または義務」
としていましたが、ここは現在の案内に合わせ、
複数選任が必要
と整理します。
また、
「資格者の名前だけ借りる」
という運用はできません。
実際にその営業所で旅行業務を管理・監督できる体制を整える必要があります。

登録の拒否事由にも注意する

旅行業登録では、申請者や法人の役員などが一定の事由に該当すると、登録を受けられません。
例えば、
•旅行業等の登録取消しから一定期間を経過していない
•拘禁刑以上の刑や旅行業法違反による罰金刑を受け、一定期間を経過していない
•暴力団員等に該当する
•申請前5年以内に旅行業務等に関して不正な行為をした
•破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない
•法人役員の中に一定の拒否事由該当者がいる
•必要な旅行業務取扱管理者を確実に選任できない
•財産的基礎を満たしていない
などです。
神奈川県の手引きでは、旅行業法第6条に基づく登録拒否要件が整理されています。
ここは、
「悪いことをしていなければ大丈夫」
というだけではなく、
法人の役員構成、財務状況、管理者の選任まで含めて確認する
必要があります。

もう一つ必要な資金|営業保証金

基準資産額を満たせば、それですべての資金要件が終わるわけではありません。
旅行業登録後、営業を開始する前には、
営業保証金
の供託が必要になります。
神奈川県の案内では、年間取引見込額が最低区分の場合、
•第2種 1,100万円
•第3種 300万円
•地域限定 15万円
が営業保証金の最低額です。
ただし、これは最低額です。
営業保証金の額は旅行者との年間取引額によって変わり、新規登録では年間取引見込額をもとに判断されます。

旅行業協会へ加入する方法もある

旅行業協会の保証社員になる場合には、営業保証金を法務局へ供託する代わりに、
弁済業務保証金分担金
を旅行業協会へ納付する方法があります。
その額は、営業保証金相当額の5分の1です。
最低額で見ると、
•第2種 220万円
•第3種 60万円
•地域限定 3万円
となります。
ただし、
旅行業協会に加入すれば、必要なお金が単純に5分の1になる
という意味ではありません。
協会への入会金や年会費などが別途必要です。
例えば全国旅行業協会(ANTA)は、現在の新規入会金として、
第2種 80万円
第3種 80万円
地域限定 60万円
を案内しており、年会費については開業予定地の各都道府県支部への確認が必要としています。
そのため、
営業保証金を供託する場合
と、
旅行業協会へ加入する場合
のどちらが自社に合っているかを、資金だけでなく事業方針も含めて考えます。

今日の実務ワンポイント

旅行業を始めたいと思ったら、申請書を作る前に次の3点を確認してみてください。
1.財産
希望する旅行業区分の基準資産額を満たしているか。
2.人
営業所ごとに必要な旅行業務取扱管理者を選任できるか。
3.資金
営業保証金を供託するのか。
旅行業協会への加入を検討するのか。
この3つを先に整理すると、
「申請準備を始めたのに要件を満たしていなかった」
という事態を防ぎやすくなります。
👉 旅行業登録は、書類作成より先に「数字」と「人」を確認するところから始まります。

まとめ

旅行業登録には、
財産的基礎。
旅行業務取扱管理者。
登録拒否事由への非該当。
営業保証金または弁済業務保証金分担金。
など、申請前に確認したい条件があります。
中でも見落としやすいのが、
基準資産額は資本金だけでは判断できない
という点です。
そして、資格者についても、
「有資格者が一人いる」
だけではなく、
どの営業所で。
どの旅行業務を扱い。
誰を管理者として選任するのか。
まで考える必要があります。
👉 旅行業登録では、申請書を書く前の事前確認が開業準備の大切な第一歩です。

今日のチェックポイント

□ 希望する旅行業の区分を決めている
□ 基準資産額を確認している
□ 貸借対照表などの財務資料を確認している
□ 旅行業務取扱管理者を確保している
□ 管理者の資格が取扱業務に合っている
□ 法人役員などの登録拒否事由を確認している
□ 営業保証金の必要額を確認している
□ 旅行業協会への加入も比較している
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
「財産は足りるか」
「管理者を確保できるか」
「開業時に必要な資金はいくらか」
の3つから確認してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、旅行会社の現場に携わってきました。
その経験から感じるのは、
旅行業を始めるときに大切なのは、
登録を取ることだけではない
ということです。
どんな旅行商品を扱うのか。
どの区分で登録するのか。
必要な人材を確保できるのか。
開業後に必要な資金を準備できるのか。
まで考えておく必要があります。
行政書士として旅行業登録を支援するときも、
いきなり申請書を作るのではなく、
まず、
希望する事業内容。
登録区分。
財務状況。
旅行業務取扱管理者。
営業保証金や旅行業協会への加入。
を整理します。
👉 「申請できるか」だけではなく、「その形で旅行業を始めて続けられるか」まで考える。
これが旅行業登録支援で大切な視点だと考えています。

Q&A|旅行業登録の財産・人・資格

Q1.資本金300万円あれば第3種旅行業に登録できますか。
資本金だけでは判断できません。
第3種旅行業では基準資産額300万円以上が必要ですが、基準資産額は資産から負債、繰延資産、営業権、不良債権、営業保証金等を差し引いて計算します。
そのため、決算内容によっては資本金が300万円以上あっても基準を満たさない場合があります。

Q2.旅行業務取扱管理者の資格を持つ人が一人いれば大丈夫ですか。
営業所ごとに原則1人以上の選任が必要です。
また、海外旅行を扱うのか、国内旅行のみなのかなどによって必要となる資格も異なります。
従業員数10人以上の営業所では複数の管理者を選任する必要があります。

Q3.旅行業協会には必ず加入しなければなりませんか。
旅行業協会への加入が旅行業登録そのものの必須条件ではありません。
協会の保証社員とならない場合は営業保証金を供託し、保証社員となる場合は弁済業務保証金分担金を納付することになります。
入会金や年会費なども含め、自社に合う方法を検討します。

次回予告

財産。
人。
資格。
旅行業登録の基本的な要件を確認できたら、次はいよいよ実際の申請準備です。
次回は、
旅行業登録の申請スケジュールと必要書類
について、
いつから準備を始めるのか。
どんな書類が必要なのか。
登録から営業開始までどのように進むのか。
を整理します。
👉 開業予定日から逆算して、旅行業登録をどう進めるか
を一緒に確認していきましょう。

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旅行業登録を検討している事業者の皆さまからのご相談を承っています。
例えば、
・どの旅行業区分が合っているか
・基準資産額を満たしているか
・旅行業務取扱管理者の配置
・営業保証金と旅行業協会加入の整理
・神奈川県等への事前相談
・旅行業登録申請書類の作成
など、事業内容を確認しながら必要な手続を整理します。
「まだ登録区分も決まっていない」
という段階でも構いません。
👉 まずは、やりたい旅行事業と登録要件が合っているか確認するところから始めてみませんか。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。