横浜の行政書士が教える!旅行業登録の財産・人・資格の条件【第2話】

はじめまして!横浜の行政書士、田中です。37年にわたり旅行業の最前線で「旅を売る」現場を駆け抜けてきた経験を活かし、現在は「旅のインフラを作る」側から業界を支えています。
旅行業は地域を支える大きな力を持っていますが、新規参入には特有の障壁が存在します。
「横浜花博(GREEN×EXPO 2027)」を一年後に控えインバウンドを含め旅行需要が加速する今、まさに「今が参入の好機」だと確信しています。確実な一歩を踏み出すために、まずは旅行業登録の全体像を一緒に紐解いていきましょう。
旅行業登録の要件とは?財産・人・資格の3大条件を解説|第2話
旅行業を開業しようと決めた際、多くの方が最初に突き当たる壁が「登録要件」です。
いくら素晴らしい旅行プランがあっても、この要件を満たさなければ、行政庁(観光庁・都道府県)は登録を受け付けてくれません。
今回は、申請の要となる「財産的基礎」「人的要件」「欠格事由」の3つの基準について、実務上のポイントを交えて解説します。
財産的基礎:一番の難所「基準資産額」とは?
旅行業登録で最も高いハードルと言われるのが、この「基準資産額」の維持です。
これは単なる「資本金」の額ではなく、会社の財務状況から算出される「実質的な資産」を指します。
区分ごとの必要額
• 第1種: 3,000万円以上
• 第2種: 700万円以上
• 第3種: 300万円以上
• 地域限定: 100万円以上
行政書士のチェックポイント:
計算式は「実質純資産(資産総額 - 繰延資産 - 営業権)- 負債総額 - 営業保証金額」となります。
既存の会社で新規事業として始める場合、直近の決算書でこの基準を満たしている必要があります。もし足りない場合は、増資などの対策が必要です。
人的要件:国家資格者の設置
各営業所には、必ず1名以上の「旅行業務取扱管理者」(国家資格保持者)を置かなければなりません。
• 総合旅行業務取扱管理者: 海外・国内の両方を取り扱う場合に必要
• 国内旅行業務取扱管理者: 国内旅行のみを取り扱う場合に必要
実務上の注意点
• 専従性: その営業所に常勤している必要があります。他社との兼務や、名前だけ借りることは認められません。
• 人数: 従業員数が10名以上の営業所では、2名以上の管理者を置くことが望ましい(または義務)とされています。
管理者が退職してしまうと、後任が見つかるまで営業ができなくなるリスクがあるため、余裕を持った人員配置が重要です。
欠格事由への非該当:クリーンな運営体制
代表者や役員が、法律を守って誠実に運営できる人物であるかどうかがチェックされます。以下の「欠格事由」に該当する場合は、登録が拒否されます。
• 過去5年以内に旅行業の登録を取り消されたことがある
• 禁錮以上の刑、または旅行業法違反による罰金刑を受けてから5年以内
• 暴力団員、または暴力団員でなくなってから5年以内
• 心身の故障により業務を適正に行えない、または破産手続き中で復権していない
申請時には、役員全員の「誓約書」や「身分証明書」を提出し、これらに該当しないことを証明します。
もう一つの資金:営業保証金の供託
要件を満たして登録が完了した後、最後に待っているのが「営業保証金」の納付です。
• 第2種の場合: 1,100万円を法務局へ供託(預ける)する必要があります。
• 第3種の場合: 300万円を法務局へ供託する必要があります。
• 地域限定旅行業の場合: 15万円を法務局へ供託する必要があります。
*初年度は「見込み取引額」で供託額を決定し翌年度からは前事業年度の取引額により変わってきます。また旅行業者代理業は所属旅行業者がその責任を負うため営業保証金は不要です。
「いきなり300万円を預けるのは資金的に厳しい」という方には、日本旅行業協会(JATA)や全国旅行業協会(ANTA)などの旅行業協会への入会という選択肢があります。入会して「弁済業務保証金分担金」を納めれば、供託額を5分の1(60万円)に抑えることが可能です。
*参考 ANTA(全国旅行業協会)
入会金: 第1種250万円、第2種80万円、第3種80万円、地域限定60万円 年会費(支部により異なる): 第2種6万1千円〜7万1千円、第3種6万1千円、地域限定2万5千円程度 その他:別途、営業保証金の5分の1の「弁済業務保証金」の納付が必須
まとめ:要件確認は「事前のシミュレーション」が命
旅行業の登録申請は、書類を作成する前の「財務チェック」と「資格者の確保」で勝負が決まると言っても過言ではありません。
「うちの決算書で基準を満たせるか不安…」「どの区分で申請するのがベストか迷っている」という方は、ぜひ一度当事務所へご相談ください。
【行政書士のワンポイントアドバイス】
- 基準資産額を瞬時に判定!「自動計算ツール」の活用
旅行業の「基準資産額」は、単純な自己資本(純資産)とは計算式が異なります。
「今の財務状況で登録できるのか?」を正確に把握するために、以下のリソースを参考に活用してみましょう。
• 自治体提供の計算書を活用する
東京都産業労働局などが公開している「基準資産額計算書(Excel)」などが参考になります。
新設法人の場合は「資本金」がそのまま基準資産額のベースになりますが、営業保証金の額(分担金)を差し引くのを忘れないよう注意が必要です。 - 「旅行業務取扱管理者」が見つからない!そんな時の相談窓口
「資格者が社内にいない、求人を出しても集まらない」というのは、新規参入時の共通の悩みです。困った時は、以下のルートを検討してみてください。
• 旅行業協会(JATA・ANTA)への相談
入会を検討している場合、各協会の事務局へ相談することで、有資格者の確保に関するアドバイスや、業界内での人材情報のヒントを得られることがあります。
• 業界特化型の人材紹介エージェント
一般の求人サイトよりも、「リョービ」や「ツーリストエキスパーツ」といった旅行業界に特化した紹介会社を利用する方が、即戦力の有資格者に出会える確率が格段に高まります。
• 行政書士によるマッチング支援
当所のような旅行業を専門とする行政書士は、横の繋がりで人材紹介会社や、資格の活用を希望する個人と連携している場合があります。
最後に:ハードルを一人で抱え込まないために
「お金(財産)」と「人(資格)」の要件は、登録の前提条件であり、ここがクリアできないと申請自体が受理されません。
「計算方法が不安」「資格者の雇用形態はどうすれば適法?」など、少しでも迷われたら、ぜひ専門家である行政書士へお気軽にご相談ください。開業への最短ルートを一緒に設計しましょう。
次回の予告
要件をクリアしたら、次はいよいよ具体的な「申請手続きのスケジュールと必要書類」についてお伝えします。開業までの流れをイメージしてみましょう!お楽しみに。
旅行業の登録申請にお悩みの方へ
旅行業の登録には複雑な要件がありますが、当事務所の「旅行業登録申請サポート」では、事前相談から書類作成まで一貫して引き受けております。複雑な基準資産額の計算から、自治体との事前協議、申請書類の作成までトータルでサポートしております。「自分のビジネスがどの区分に該当するか知りたい」という段階でも、お気軽にご相談ください。
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