横浜の行政書士が教える!旅行業登録の種類と区分の選び方【第1話】

横浜の行政書士が教える!旅行業登録の種類と区分の選び方【第1話】

はじめまして。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

私は旅行業界で37年間、旅行商品の企画・販売をはじめ、旅行業の現場に携わってきました。
現在は行政書士として、
「旅行会社を立ち上げたい」
「宿泊施設で、宿泊と周辺アクティビティを組み合わせて販売したい」
「貸切バス事業者として、旅行業にも参入したい」
といったご相談に対応しています。
こうした事業を始めるとき、最初に確認しなければならないのが、
そもそも旅行業の登録が必要なのか。
そして、必要ならどの区分を選ぶのか。
という点です。
旅行業には、第1種、第2種、第3種、地域限定旅行業など複数の区分があり、できる業務の範囲も異なります。
今回のポイントは、
👉 「大きな区分を取れば安心」ではなく、自分が行いたい旅行ビジネスに合った登録区分を選ぶこと
です。
旅行業開業の最初の一歩として、旅行業登録の基本から整理していきます。

「旅行業」に該当するのはどんなビジネス?

旅行業法では、報酬を得て、法律で定められた旅行に関する一定の行為を事業として行う場合、原則として旅行業の登録が必要になります。
代表的なのは、
・旅行者のためにホテルや旅館を手配する
・航空券や鉄道、貸切バスなどを手配する
・宿泊と交通などを組み合わせた旅行商品を企画・販売する
・旅行者から依頼を受け、旅行日程を作成する
といった業務です。
たとえば、
「ホテルを紹介しただけ」
なのか、
「宿泊と体験プログラムを組み合わせ、代金を受け取って販売した」
のかでは、旅行業法上の扱いが変わる可能性があります。
そのため、新しい観光サービスを始める場合には、
何を販売するのか
誰から代金を受け取るのか
誰のために手配するのか
どこまで自社が関与するのか
を整理することが重要です。
「旅行会社」という名称を使っていなくても、実際に行う業務の内容によって旅行業登録が必要になる場合があります。

旅行業にはどんな登録区分がある?

旅行業は、取り扱う業務の範囲によって主に次のように分かれています。

第1種旅行業

海外・国内を問わず、幅広い旅行業務を取り扱うことができます。
海外の募集型企画旅行まで自社で企画・実施できる、最も業務範囲の広い区分です。
大規模な総合旅行会社などが想定される区分で、財産的な要件も高く設定されています。

第2種旅行業

国内では募集型企画旅行を実施できます。
海外については募集型企画旅行を自社で実施することはできませんが、受注型企画旅行や手配旅行などを取り扱うことができます。
国内旅行を中心に幅広く展開したい事業者にとって、有力な選択肢となります。

第3種旅行業

国内・海外の手配旅行や受注型企画旅行などを取り扱うことができます。
国内の募集型企画旅行についても、一定の区域内であれば実施することができます。
地域を中心に旅行商品を造成したい事業者にとって、検討しやすい区分の一つです。

地域限定旅行業

営業所のある地域とその周辺を中心として、限定された区域内で旅行商品を取り扱う制度です。
地域の宿泊施設、観光施設、体験事業者などと連携した、
・まち歩きツアー
・体験型観光
・着地型旅行商品
・地域周遊商品
などとの相性がよい区分です。
業務範囲が限定される一方、必要となる基準資産額などの負担は第2種・第3種より低く設定されています。

旅行業者代理業

自社で旅行商品を企画するのではなく、所属する旅行業者の商品を代理して販売するための登録です。
「自社で旅行商品を造成するのか」
それとも、
「他の旅行会社の商品を販売するのか」
によっても選ぶ制度は変わります。

旅行業登録の区分を簡単に比較すると

登録区分 主な特徴
第1種 海外・国内を含め最も広い範囲の旅行業務が可能
第2種 国内の募集型企画旅行を含め幅広く取り扱える
第3種 地域を中心とした募集型企画旅行などが可能
地域限定 限定された地域での着地型観光などに適している
旅行業者代理業 所属旅行業者の商品を代理販売する
ここで重要なのは、
「どの区分が一番上か」ではなく、「自分の事業にどこまでの業務範囲が必要か」
ということです。

最初から第1種を目指す必要はありません

「せっかく旅行会社を始めるなら、最も業務範囲の広い第1種がいいのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、旅行業登録には財産的な基準があります。
たとえば基準資産額は、
・第1種 3,000万円以上
・第2種 700万円以上
・第3種 300万円以上
・地域限定 100万円以上
が一つの基準となります。
さらに営業保証金や、旅行業協会へ加入する場合には弁済業務保証金分担金なども関係してきます。
そのため、最初から必要以上に広い区分を選ぶのではなく、
現在予定している事業内容に合った区分からスタートする
という考え方も重要です。
事業が成長し、取り扱いたい旅行商品の範囲が広がった段階で、登録区分の変更を検討する方法もあります。

なぜ旅行業には厳しい登録制度があるのか?

旅行業には、旅行者から旅行代金を事前に預かるという特徴があります。
もし旅行会社が出発前に倒産するなどすれば、旅行者が大きな損害を受ける可能性があります。
そこで旅行業法では、旅行者を保護するためにさまざまな仕組みを設けています。
代表的なものが、
・一定の財産的基礎
・営業保証金または弁済業務保証金分担金
・旅行業務取扱管理者の選任
などです。
旅行業登録は、単に「営業を始めるための書類手続」ではありません。
旅行者の安全や財産を守り、継続して旅行業を営むための制度でもあります。

旅行業登録には有効期間があります

旅行業の登録には有効期間があります。
登録の日から5年間
です。
その後も旅行業を続ける場合には、更新登録が必要になります。
神奈川県で登録している第2種・第3種・地域限定旅行業などの場合、引き続き営業するのであれば、原則として有効期間満了の2か月前までに更新登録申請を行う必要があります。
登録を取れば終わりではなく、
・更新
・登録事項の変更
・旅行業務取扱管理者
・営業保証金等
について継続して管理していくことが必要です。
※旅行業者代理業については、旅行業とは制度が異なる点があります。

では、どの登録区分を選べばいい?

最初に考えるべきなのは、
「どんな旅行を、誰に、どこで販売したいのか」
です。
たとえば、
全国を対象とした国内ツアーを自社で企画したいのか。
横浜や神奈川県内を中心とした地域旅行を企画したいのか。
宿泊施設が周辺の観光体験と組み合わせた商品を販売したいのか。
他社の旅行商品を販売したいのか。
これによって、検討する登録区分は変わります。
先に登録区分を決めるのではなく、
事業内容 → 必要な業務範囲 → 登録区分
の順番で考えることが大切です。

今日の実務ワンポイント

旅行業登録の相談で最初に整理したいのは、
「第何種を取得したいか」ではありません。
まず、
「誰を旅行者として想定しているのか」
「どこへ連れていくのか」
「交通や宿泊を誰が手配するのか」
「自社で旅行商品を企画するのか」
「どこからどこまでを自社で販売するのか」
を具体的にしていきます。
この部分が曖昧なまま登録区分だけを決めてしまうと、後になって、
「やりたかった旅行商品がこの登録ではできない」
あるいは逆に、
「そこまで広い登録区分は必要なかった」
ということにもなりかねません。
👉 登録区分から考えるのではなく、まず旅行ビジネスの中身から考える。
これが旅行業開業の最初の実務ポイントです。

まとめ

旅行業には、
・第1種旅行業
・第2種旅行業
・第3種旅行業
・地域限定旅行業
・旅行業者代理業
といった区分があります。
それぞれ取り扱える業務の範囲が違います。
ここで重要なのは、
「一番広い登録区分を取ること」ではありません。
自分が予定している事業について、
どのような旅行商品を、誰に、どこで販売するのか。
そこから必要な登録区分を考えることです。
旅行業登録は、旅行会社をつくるためだけの制度ではありません。
宿泊施設、貸切バス事業者、地域の観光事業者などが、新たな旅行商品をつくろうとするときにも関係してくる可能性があります。
まずは予定しているビジネスを整理すること。
そこが旅行業開業の第一歩です。

今日のチェックポイント

旅行業への参入を検討している方は、まず次の点を確認してみてください。
☑ 国内旅行だけを扱いますか?
☑ 海外旅行も扱う予定がありますか?
☑ 自社で旅行商品を企画しますか?
☑ 他社の商品を代理販売する形ですか?
☑ 旅行者から依頼を受けて交通や宿泊を手配しますか?
☑ 特定の地域を中心とした旅行商品ですか?
☑ 将来、取り扱うエリアや商品を広げる予定がありますか?
この答えによって、検討すべき登録区分が見えてきます。

行政書士田中穂積の視点

私は旅行業界で37年間、旅行を「売る側」の現場に携わってきました。
旅行業の登録を考えるとき、制度だけを見ると、
「第1種、第2種、第3種のどれを取ればよいのか」
という話から入りがちです。
しかし実際には、その前に考えることがあります。
どんなお客様に、どんな旅行を提供したいのか。
ここが出発点です。
小さく地域から始めたい会社と、全国規模で国内旅行を販売したい会社では、必要となる登録は当然違います。
宿泊施設が地域の体験を組み合わせて新しい商品をつくりたい場合も、従来型の旅行会社とはビジネスの形が違います。
旅行業登録は、登録証を取得すること自体が目的ではありません。
その登録を使って、どのような旅行ビジネスを続けていくのか。
そこまで考えながら登録区分を選ぶことが、開業後の事業につながると考えています。

Q&A|旅行業登録の区分選びでよくある疑問

Q1.小さな旅行会社でも第1種を取得した方がよいですか?
必ずしもそうではありません。
予定している旅行商品の内容や営業エリアによっては、第2種、第3種、地域限定旅行業で十分な場合があります。
業務範囲が広くなるほど財産的要件なども大きくなるため、予定している事業内容に合った区分を選ぶことが重要です。
Q2.宿泊施設が周辺の観光体験を紹介するだけでも旅行業登録が必要ですか?
単に観光情報を紹介する場合と、宿泊や交通、体験などを組み合わせて販売・手配する場合とでは扱いが異なります。
旅行業に該当するかどうかは、
「何を販売するのか」
「誰から代金を受け取るのか」
「誰のために手配するのか」
など、実際の事業内容を確認して判断する必要があります。
Q3.将来事業を広げたい場合、最初から広い区分を取るべきですか?
必ずしも最初から広い区分にする必要はありません。
まず現在予定している事業に必要な登録区分でスタートし、事業の拡大に合わせて種別変更を検討する方法もあります。
大切なのは、
現在の事業と将来の事業計画の両方を見ながら登録区分を考えること
です。

旅行業を始めたい皆さまへ

旅行業の開業では、申請書を作成する前に整理しておきたいことがたくさんあります。
特に、
「自分の事業は旅行業に該当するのか」
「第2種・第3種・地域限定のどれが合っているのか」
「宿泊施設や貸切バス事業との組み合わせはどう考えるのか」
といった部分は、事業内容によって答えが変わります。
旅行業登録は、
書類を作るところから始まるのではなく、事業の形を整理するところから始まります。
まずは、
何をしたいのか。
そこを具体的にすることから始めてみてください。

次回予告

登録区分が見えてきたら、次に確認するのが、
「その登録を取得するための条件を満たしているか」
です。
次回は、
旅行業登録の財産・人・資格の条件【第2話】
として、
・財産的基礎
・旅行業務取扱管理者
・欠格事由
など、旅行業登録を申請するために必要となる条件を整理していきます。
👉 次回は、「どの区分を取るか」の次に確認する、旅行業登録の具体的な要件について解説します。

\ 旅行業の登録・開業を検討している方へ /

旅行業登録では、
「どの登録区分を選ぶのか」
「予定している事業が旅行業に該当するのか」
「登録要件を満たしているのか」
を一つずつ整理していくことが大切です。
行政書士田中穂積事務所では、旅行業界で37年間実務に携わってきた経験を踏まえ、
・旅行業登録の事前相談
・登録区分の整理
・第2種・第3種・地域限定旅行業の登録申請
・旅行業開業に向けた手続の整理
などをサポートしています。
👉「旅行業を始めたいけれど、まず何から確認すればよいのかわからない」
という段階からでも構いません。
予定している旅行ビジネスを伺いながら、必要な手続きを一緒に整理していきます。
▶ 詳しくはHPより「創業支援・登録・営業許可(旅行・宿泊・観光)」をご覧ください。
― 横浜の行政書士のアトリエ ―

クイズ:旅行業登録の知識をチェック!

第1問

読み込み中…

·  「次の記事はこちら(第2話)

「全話まとめ記事はこちら(最終話)」

· 

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。