開業の最大の壁|消防・建築基準法をどう突破するか【横浜版】|第4話

開業の最大の壁|消防・建築基準法をどう突破するか【横浜版】|第4話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

第1話では、民泊と簡易宿所の違い
第2話では、物件選び
第3話では、用途地域や横浜市のルール
について整理してきました。
そして今回は、
「消防・建築」
です。
最近、民泊や簡易宿所のご相談が増える中で、改めて感じることがあります。
最初の壁は、物件選び。
そして候補物件が見つかったあとに、大きな壁となるのが消防です。
さらに建物によっては、建築基準法上の確認や改修も必要になります。
大切なのは、
物件を契約する。
↓
あとから調べる×
ではありません。

候補物件を見つける。
↓
用途地域・消防・建築・保健所を確認する。
↓
必要な設備や改修費を把握する。
↓
契約するか判断する〇
この順番です。

民泊でも消防確認は必要です

「普通に人が住んでいた住宅だから、民泊にも使えるだろう」
そう思われることがあります。
しかし、住宅を宿泊に利用すると、消防法上の扱いが変わる場合があります。
横浜市でも、住宅宿泊事業を行う場合には、届出前に消防署への事前相談を案内しています。
建物や運営方法によっては、
・自動火災報知設備
・消火器
・誘導灯
・避難経路図
などの確認や設備が必要になります。
つまり、
「民泊なら一般住宅と同じ消防設備で大丈夫」
とは限りません。

消防は物件契約前に確認したい

実務上、ここが非常に重要です。
消防設備は、
「付ければ終わり」
ではありません。
問題は、
いくらかかるのか。
です。
立地がよい
家賃も予算
内装も魅力的。
ところが消防設備や改修費まで加えると、事業計画が合わなくなる。
そのようなこともあります。
だからこそ、できれば契約前に、
「この建物を、この方法で宿として使う場合、何が必要なのか」
を管轄消防署へ確認しておきたいところです。
【あわせて読みたい】
▶ 横浜で宿を始めるなら?民泊と簡易宿所の物件選び|第2話

消防だけでなく建築も確認する

消防が問題なければ、そのまま開業できるとは限りません。
次に確認したいのが建築です。
ここで覚えておきたいのは、
「住宅として住める建物」と
「宿として営業できる建物」は同じではない
ということです。
例えば、既存住宅を旅館・簡易宿所として使用すると、建築基準法上の用途が変わります。
用途変更する部分が200㎡を超える場合などには、確認申請が必要になることがあります。
一方、200㎡以下なら確認申請が不要となる場合があります。
ただし、
「確認申請が不要」
と
「建築基準法を確認しなくてよい」
は別です。
200㎡以下であっても、建築基準法への適合は必要です。
特に古い建物では、
・階段
・避難経路
・非常用照明
・排煙
・過去の増築
などを確認する必要が出てくることがあります。
専門的な判断が必要な場合には、建築士へ確認します。
【あわせて読みたい】
▶ 「この物件NGです」になる前に|横浜民泊の用途地域と条例の落とし穴|第3話

古民家・空き家は「許可」だけでなく改修費を見る

古民家や空き家を宿として活用したいというご相談もあります。
古い梁
昔ながらの建具
庭
地域の雰囲気
新しい建物にはない魅力があります。
しかし、宿として使う場合には、
消防
建築
水回り
設備
増改築の履歴
などを確認する必要があります。
大切なのは、
「許可が取れるか」
だけではありません。
「許可を取れる状態にするために、いくらかかるのか」
まで確認することです。
物件価格が安くても、改修費を含めると事業として成立しないことがあります。

消防・建築・保健所は一緒に考える

民泊・簡易宿所では、
消防
建築
保健所
を完全に別々の話として考えない方がよいと思います。
消防設備を追加する。
建築上の条件で客室配置を変える。
保健所へ提出する図面も変わる。
というように、それぞれがつながることがあるからです。
特に旅館業許可の場合では、横浜市も計画の早い段階で区福祉保健センター生活衛生課へ相談するよう案内しています。
「まず工事をして、最後に申請する」
ではなく、
図面や計画の段階から関係部署へ確認する。
これが結果として遠回りを防ぎます。

一番避けたいのは「契約してから調べる」

民泊・簡易宿所の物件選びで避けたいのは、
気に入った
↓
契約した
↓
行政へ相談した
↓
消防・建築上の問題が分かった
という順番です。
不動産会社から、
「民泊相談可」
「事業利用可」
と言われた場合でも、
👉それだけで旅館業法、住宅宿泊事業法、消防法、建築基準法などへの適合が確認されたわけではありません。
物件を気に入ったときほど、
一度立ち止まって行政確認を入れる。
ここが重要です。

今日の実務ワンポイント

候補物件が見つかったら、まず次の4つを確認してみてください。
①用途地域・条例
②消防
③建築
④保健所
さらに、
「必要な改修はいくらかかるのか」
まで確認します。
営業できるかどうかだけではなく、
その物件で事業として成立するか。
ここまで考えて物件を選ぶことが大切です。

まとめ|物件選びの次の壁は消防です

民泊・簡易宿所を始めるとき、
最初の壁は物件選びです。
そして候補物件が見つかったあと、大きな壁になるのが消防と建築です。
住宅として使えていた。
不動産会社から大丈夫と言われた。
民泊なら簡単だと思った。
それだけでは判断できません。
消防設備は何が必要か。
建築上問題はないか。
改修はいくら必要か。
その費用で事業が成立するか。
ここまで確認して、
「この物件で進める」
と判断する。
民泊・簡易宿所では、
物件を契約してから許可を考えるのではなく、
営業できる見通しを立ててから契約する。
この順番を大切にしてください。

今日のチェックポイント

□ 用途地域・条例を確認した
□ 契約前に消防署へ相談する
□ 必要な消防設備と費用を確認する
□ 建築上の問題がないか確認する
□ 200㎡以下でも建築基準法への適合が必要だと理解した
□ 保健所への事前相談を考えている
□ 改修費を含めて事業計画を考えている
すべてにチェックが付いていなくても構いません。
まずは、
「契約してから問題を知る」
ことを避けるところから始めましょう。

行政書士田中穂積の視点

最近、民泊や簡易宿所についてのご相談が増えています。
その中で感じるのは、
物件が決まる前こそ、できる支援が多い
ということです。
物件
用途地域
消防
建築
保健所
これらはすべてつながっています。
魅力のある物件であることと、
宿泊事業ができる物件であることは別です。
だからこそ、
契約前に確認する。
必要な設備・改修費を知る。
そのうえで事業として成立するか考える。
この順番が重要です。
行政書士として許可申請をするだけでなく、
「この物件で本当に進めてよいのか」
という入口の段階から、一緒に整理することが宿泊事業支援では大切だと考えています。

Q&A|民泊・簡易宿所の消防・建築

Q1.民泊なら一般住宅と同じ消防設備で大丈夫ですか?

一律にはいえません。
建物の形態や運営方法によっては、消防法上、旅館・ホテルとして扱われ、追加の消防設備が必要になる場合があります。
候補物件の段階で管轄消防署へ確認することをおすすめします。

Q2.200㎡以下なら建築の確認は不要ですか?

用途変更の確認申請が不要となる場合はあります。
ただし、建築基準法への適合まで不要になるわけではありません。
必要に応じて建築士へ確認します。

Q3.行政書士にはいつ相談するのがよいですか?

できれば物件契約前です。
候補物件と予定している営業方法が分かれば、保健所・消防・建築など、どこへ何を確認する必要があるのか整理しやすくなります。
【あわせて読みたい】
▶ 横浜での民泊届出と簡易宿所申請!必要書類とリアルな手順|第5話

次回予告

次回は、
「横浜での民泊届出と簡易宿所申請!必要書類とリアルな手順|第5話」
です。
物件
用途地域
消防
建築
ここまで確認できれば、次はいよいよ届出・許可申請です。
横浜で実際にどのような順番で手続きを進めるのかを整理します。

\ 民泊・簡易宿所を物件選びから相談したい方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・この物件で民泊・簡易宿所ができるか確認したい
・契約前に消防や建築を確認したい
・民泊と簡易宿所のどちらが合うか検討したい
・保健所や消防署への事前相談を進めたい
・許可申請までまとめて相談したい
といったご相談に対応しています。
物件や営業方法によって、必要な確認・設備・手続は異なります。
「許可が取れるか」
だけではなく、
「その物件で無理なく宿泊事業を続けられるか」
まで考えながら開業準備を整理します。

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▶ 民泊・簡易宿所開業のご相談
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クイズ!民泊・簡易宿所の物件で消防・建築はいつ確認する?

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▶ 前回:「この物件NGです」になる前に|横浜民泊の用途地域と条例の落とし穴|第3話
▶ 次回:横浜での民泊届出と簡易宿所申請!必要書類とリアルな手順|第5話

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。