横浜での民泊届出と簡易宿所申請!必要書類とリアルな手順|第5話

横浜での民泊届出と簡易宿所申請!必要書類とリアルな手順|第5話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

これまで、民泊と簡易宿所(旅館)の違い、物件選び、用途地域、消防・建築について整理してきました。
今回は、いよいよ実際の手続です。
最初に押さえたいのは、
民泊は「届出」、簡易宿所(旅館)は「営業許可申請」
という違いです。
似ているようですが、開業までの手順はかなり違います。
今回は、横浜で実際に進めるときに、どこで詰まりやすいのか、
なぜ早めに相談した方が結果的に早く進みやすいのかを整理します。

民泊は「届出」、簡易宿所(旅館)は「許可」

住宅宿泊事業法による民泊は届出制です。
年間の営業日数は180日以内で、使用する建物には住宅としての要件があります。
一方、簡易宿所(旅館)は旅館業法に基づく許可制です。
保健所の審査を受け、構造設備基準などを満たしたうえで許可を受けなければ営業できません。
簡単に整理すると、
民泊
・届出制
・年間180日以内
・住宅としての要件が必要
簡易宿所(旅館)
・許可制
・年間180日の営業制限なし
・旅館業法上の構造設備基準への適合が必要
となります。
どちらが簡単かだけでなく、どのような宿泊事業をしたいのかから選ぶことが大切です。

民泊は「届出だから簡単」とは限りません

民泊は許可ではなく届出ですが、届出書だけを出せば始められるわけではありません。
まず、その建物が住宅宿泊事業法上の「住宅」に当たるかを確認します。
台所、浴室、便所、洗面設備などの設備要件に加え、居住実態などの要件もあります。
さらに横浜では、
・用途地域や条例
・マンション管理規約や賃貸人の承諾
・消防
・周辺住民への事前周知
・住宅宿泊管理業者への委託の要否
なども確認します。
つまり、届出書を書くのはかなり後の工程です。

民泊で詰まりやすい3つのポイント

1.そもそも「住宅」として使えるか

住宅宿泊事業は、どの建物でも利用できる制度ではありません。
設備だけでなく、法律上の住宅要件を満たしているかを最初に確認します。

2.管理規約や所有者の承諾

分譲マンションでは管理規約、賃貸物件では賃貸借契約や所有者の承諾が重要です。
「事業利用可」と言われただけで民泊まで認められているとは限りません。

3.消防と周辺住民への周知

民泊でも消防確認は必要です。
さらに横浜市では、届出前に周辺住民への事前周知が必要になります。
最後になって慌てないよう、早めに準備しておきたいところです。

【あわせて読みたい】
▶ 開業の最大の壁|消防・建築基準法をどう突破するか【横浜版】|第4話

民泊届出はこの順番で考える

大きな流れは、
①その物件で民泊ができるか確認
↓
②用途地域・条例・管理規約などを確認
↓
③消防へ事前相談
↓
④周辺住民へ事前周知
↓
⑤必要書類を準備
↓
⑥届出
↓
⑦補正対応
↓
⑧届出番号の通知後、営業開始
となります。
👉難しいのは、届出そのものよりも、その前の確認です。

簡易宿所(旅館)は「営業許可申請前」がさらに重要です

簡易宿所(旅館)は旅館業法上の許可です。
そのため、いきなり申請書を作るのではなく、
事前相談
↓
事前審査
↓
許可申請
↓
書類審査・現地調査
↓
許可
という流れで進めます。
特に重要なのが、図面や計画が固まる前の事前相談です。
👉保健所だけでなく、消防や建築についても確認しながら進めます。

簡易宿所(旅館)で難しいのは「全部がつながっている」こと

簡易宿所(旅館)では、
保健所は問題ないが消防で設備追加が必要になる。
建築上の条件で客室配置を変更する。
図面を直したため保健所へ再確認する。
といったことがあります。
つまり、保健所、消防、建築を別々に処理するのではなく、全体を見ながら進める必要があります。
ここが簡易宿所(旅館)の手続で最も厄介なところです。

図面が手続の中心になる

簡易宿所(旅館)では、客室、浴室、便所、洗面、玄関、避難経路、設備などを図面で確認します。
途中で図面が変わると、保健所・消防・建築への相談内容も変わります。
だからこそ、
工事を始めてから確認する
のではなく、
図面の段階で行政へ確認する
ことが重要です。

民泊と簡易宿所(旅館)、結局どちらを選ぶ?

民泊は届出制で比較的始めやすい反面、年間180日という営業制限があります。
簡易宿所(旅館)は許可までのハードルが高い一方、年間180日の営業制限はありません。
そのため、
「手続が楽な方」
だけで選ぶのではなく、
・どのくらい営業したいのか
・どんな物件なのか
・家主が住むのか
・どの程度の改修費をかけられるのか
・将来どのような宿にしたいのか
まで考えて選ぶ必要があります。

自分で進めることもできます。ただし…

もちろん、ご自身で手続を進めることもできます。
横浜市も手引や案内を公開しています。
ただ、実際には、
この物件でできるのか。
民泊と簡易宿所のどちらが適しているのか。
消防へ先に相談するのか。
建築確認が必要なのか。
保健所へ何を持っていくのか。
という判断が途中で何度も出てきます。
そして順番を間違えると、
追加資料を求められる。
別の部署へ確認する。
図面を直す。
もう一度相談する。
という往復が発生します。
実務で時間がかかるのは、書類を書くこと以上に、
「何を、どこへ、どの順番で確認するか」
を整理する部分です。

相談するなら、できるだけ早い段階で

行政書士へ相談するのは、申請書を書きときからである必要はありません。
むしろ、
物件候補が見つかった段階
民泊か簡易宿所か迷っている段階
で相談した方が整理しやすい場合があります。
早い段階なら、
どの制度を使うか
どこへ確認するか
何を準備するか
建築士や消防設備業者など別の専門家が必要か
を最初に整理できます。
その結果、行政との不要な往復や図面の作り直し、想定外の工事を減らしやすくなります。
「全部専門家へ任せる」ということではありません。
自分でできることと、専門家へ任せた方がよいことを早い段階で切り分ける。
その方が、結果として早く、確実に進めやすいと思います。

今日の実務ワンポイント

手続を始める前に、まず次の4つを整理してください。
①民泊と簡易宿所のどちらで進めるのか
②その物件で営業できるのか
③消防・建築上の問題はないか
④どの順番で行政へ相談するのか
いきなり申請書を作り始めない。
これが一番のポイントです。

まとめ|難しいのは書類より「順番」です

民泊は届出、簡易宿所は許可です。
制度は違いますが、共通しているのは、
書類を作る前に確認することが多い
ということです。
民泊では住宅要件、管理規約、消防、周辺住民への周知。
簡易宿所(旅館)では保健所、消防、建築、図面、事前審査。
実務で難しいのは、
「どこから確認すればよいのか」
という部分です。
だからこそ、物件を契約してから、工事を始めてからではなく、
できるだけ早い段階で全体の流れを整理する。
これが開業までの遠回りを減らすポイントです。

今日のチェックポイント

□ 民泊は届出、簡易宿所は許可だと理解した
□ 民泊には年間180日の営業制限がある
□ 住宅要件を確認した
□ 管理規約・賃貸借契約を確認した
□ 消防への事前相談を考えている
□ 簡易宿所では保健所・消防・建築を並行して確認する
□ 工事前に図面で行政確認する
□ 手続の順番を整理している

行政書士田中穂積の視点

最近、民泊・簡易宿所のご相談が増える中で感じるのは、
申請書そのものより、申請前の整理が重要
ということです。
この物件でできるのか。
民泊と簡易宿所のどちらが合うのか。
消防、建築、保健所をどの順番で確認するのか。
ここが整理できれば、手続はかなり進めやすくなります。
行政書士の役割も、申請書を作るだけではありません。
必要な行政確認を整理し、必要に応じて建築士や消防設備業者などとも連携しながら、開業までの道筋をつくる。
宿泊業支援では、この入口の整理に大きな意味があると考えています。

Q&A|民泊届出と簡易宿所許可

Q1.民泊は届出なので簡単ですか?

簡易宿所より手続が軽い面はありますが、住宅要件、管理規約、消防、周辺住民への周知など、
届出前の確認事項があります。
「届出だから書類だけ」と考えない方がよいでしょう。

Q2.簡易宿所はまず申請書を作ればよいですか?

いいえ。
事前相談や図面確認を行い、保健所・消防・建築との調整を進めてから許可申請へ進むのが基本です。

Q3.行政書士へ相談するならいつですか?

できれば物件候補が出た段階です。
まだ民泊か簡易宿所か決まっていなくても、制度と物件、行政確認の順番を整理することができます。

【あわせて読みたい】
▶ 開業の最大の壁|消防・建築基準法をどう突破するか【横浜版】|第4話

次回予告

次回は、
「横浜の民泊融資と補助金!採択率を上げる事業計画書の書き方|第6話」
です。
許可・届出の見通しが立ったら、次は資金です。
物件取得、改修、消防設備、家具・備品、開業後の運転資金。
宿泊事業を始める前に、どのように資金計画を考えるのかを整理します。

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行政書士田中穂積事務所
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・簡易宿所許可を申請したい
といったご相談に対応しています。
宿泊業の手続では、書類作成より前に、
「何を、どこへ、どの順番で確認するか」
を整理することが重要です。
できるだけ早い段階から計画を確認し、必要に応じて他の専門家とも連携しながら、開業までの流れを整理します。

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クイズ!民泊届出と簡易宿所許可はどう進める?

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▶ 前回:開業の最大の壁|消防・建築基準法をどう突破するか【横浜版】|第4話
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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。