横浜の行政書士のアトリエから 3rd page

10.日本版DBS制度の認定を受けないという選択肢はあるのか

~日本版DBSと事業者の安全対策を考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「スポーツクラブは認定を受けるべきか」についてお話ししました。スポーツクラブでは、外部コーチ、アルバイトスタッフ、短期スタッフ、遠征や合宿など、学習塾とは異なるリスク管理が必要になる場面があります。 そしてその前の記事では、認定事業者になるメリットとデメリットについても考えました。ここまで読まれた方の中には、こう感じた方もいるかもしれません。「認定を受けるのは大変そうだ」「うちの教室規模では現実的ではないかもしれない」「では、認定を受けないという選択肢はあるのだろうか」 今回は、認定を受けないという選択肢はあるのかについて考えてみたいと思います。結論から言えば、事業規模や運営形態によっては、認定を受けないという判断もあり得ると思います。しかし、ここで大切なことがあります。子どもの安全対策は全事業者に求められる。ということです。 認定を受けないという経営判断はあり得る 日本版DBSの認定制度は、すべての民間事業者に義務付けられているものではありません。・学習塾、・スポーツクラブ、・書道教室、・そろばん教室、・英会話教室、各種習い事教室などでは、認定を受けるかどうかは、事業者自身が判断することになります。例えば、・個人経営の教室・少人数で運営している学習塾・地域密着型の習い事教室こうした事業者にとって、認定取得に伴う事務負担や運用コストは、決して小さくないかもしれません。 そのため、認定を受けないという判断自体は、一つの経営判断としてあり得ると思います。 ただし「何もしない」とは違う ここで注意したいのは、認定を受けないことと、何もしないことは違うという点です。認定を受けなければ、制度上の認定事業者としての義務は発生しないかもしれません。しかし、子どもと関わる事業者として、安全対策を考えなくてよいわけではありません。 採用時の確認。・職員や講師への説明。・外部講師の管理・アルバイトスタッフの管理・保護者への説明・個人情報の管・相談窓口や報告ルールこれらは、認定の有無にかかわらず、子どもと関わる事業者にとって重要なテーマです。……

旅館業許可取得後に本当に始まる宿経営|第1話

~開業はゴールではなく、本当のスタート~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 旅館業許可を取得し、いよいよ宿がオープン。長い準備期間を乗り越え、この日を迎えられたことに、まずは心からお祝いを申し上げます。しかし私は、旅行業界で37年間、そして現在は行政書士として多くの宿づくりに関わる中で、一つ強く感じていることがあります。本当の宿経営は、許可を取得してから始まる。ということです。 前シリーズでは、旅館業許可の取得方法、事業計画、建築基準法、消防法、資金計画、運営準備など、「開業まで」に必要なことをお話ししてきました。しかし実際には、開業後に初めて直面する悩みや課題の方が、はるかに多いのです。そこで今回から新シリーズ「旅館業 開業後の落とし穴」をスタートします。このシリーズでは、・人手不足・口コミ管理・OTAへの依存・外国人雇用・消防・保健所対応・近隣トラブル・法令改正・事業承継など、開業後に本当に起こる問題を、旅行業37年の現場経験と、行政書士としての法務視点の両面から、実務ベースで考えていきます。 私は旅行会社で長く、「旅を売る仕事」に携わってきました。 そして現在は、行政書士として「宿を創る仕事」に関わっています。 その二つの経験から言えることがあります。宿は、開業しただけでは続きません。地域から愛され、旅行者に選ばれ、時代の変化に対応しながら、少しずつ育てていくことで、初めて地域に根付く観光事業になります。 私は、旅館業とは単なる許可ビジネスではなく、「地域に人を呼び、地域を活性化する観光事業」だと位置づけています。 だからこそ、開業後の課題にも、真正面から向き合うことが大切です。 このシリーズでは、単なる制度解説ではありません。実際に現場で起こること。その背景にある法律や制度。そして、行政書士としてどのように伴走できるのか。そんな視点を大切にしながら、全13話(予定)でお届けしていきます。 旅館業をこれから始める方にも、すでに宿を運営している方にも、きっと役立つ内容になると思います。ぜひ最後まで、お付き合いいただければ幸いです。 行政書士田中穂積の視点 旅行業界で37年間、多くの宿を見てきました。繁盛する宿もあれば、残念ながら姿を消してしまった宿……

なぜ今、横浜では古民家宿が選ばれるのか|第2話

~旅行者が求める価値の変化と地域資源としての可能性~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回の記事では、「空き家を壊す前に考えたい、地域資源としての古民家」についてお話ししました。 空き家は、放置すれば負の遺産として地域の問題・課題になることがあります。しかし一方で、地域資源として活かせる可能性も秘めています。今回は、「なぜ今、古民家宿が選ばれるのか」について考えてみたいと思います。 私は旅行業界で37年間、数多くの旅館やホテルと関わってきました。その中で強く感じているのは、旅行者が宿に求める価値が、昔と今では少しずつ変わってきているということです。日曜日の今日は少し肩の力を抜いて、古民家や空き家の活用について考えてみましょう。☕ 「泊まる」から「体験する」へ かつて宿選びでは、駅や繁華街から近く賑やか。設備が新しい。部屋が広い。そんなことが大きな評価基準でした。もちろん、今でも大切な要素です。しかし最近では、「その土地でしか味わえない時間」を求める旅行者が増えているように感じます。図にするとこんなイメージです。【これまで】立地↓設備↓料金↓宿泊 【これから】地域らしさ↓体験↓思い出↓再訪(リピート) 宿泊そのものではなく、その土地で何を感じられるか。それが旅の価値になりつつあるのです。 古民家宿だからこそ生まれる体験 古民家宿には、最新ホテルにはない魅力があります。木の香り。梁の存在感。縁側から眺める庭。地域で受け継がれてきた建物だからこそ、その場所でしか味わえない空気があります。旅行者が求めているのは、豪華さだけではありません。「ここでしか過ごせない時間」なのだと思います。 地域を知ることが旅の魅力になる 旅行業時代、私は全国各地の旅館やホテルを訪れてきました。人気のある宿には共通点があります。👉地域を大切にしていることです。・近くの商店を紹介する・地元の食材を提供する・地域のお祭りを案内する宿だけではなく、宿を拠点に地域全体を楽しんでもらおうという姿勢があります。 宿は、地域への入口でもあるのです。古民家は地域の資源になる前回の記事でもお話ししましたが、私は空き家を単なる問題として見るのではなく、地域の資源とし……

9.スポーツクラブは日本版DBS制度の認定を受けるべきか?

~日本版DBSを経営判断として考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「8.認定事業者になるメリットとデメリット」についてお話ししました。認定を受けることは、単なる制度対応ではなく、経営判断でもあるというお話でした。 今回は、「スポーツクラブは認定を受けるべきか」について考えてみたいと思います。7話でお話しした学習塾と今回お話しするスポーツクラブ。どちらも子どもと関わる事業ですが、実は日本版DBSとの関係で見ると、👉スポーツクラブの方がより大きな影響を受ける可能性があります。なぜなら、スポーツ指導の現場には、更衣室、遠征、合宿、外部コーチなど、学習塾にはない環境が存在するからです。 スポーツクラブは学習塾と何が違うのか 例えば学習塾の場合、多くは教室内で授業を行い、一定時間が経過すると帰宅します。【学習塾】授業↓帰宅 一方、スポーツクラブでは、【スポーツクラブ】練習↓更衣室↓個別指導↓遠征↓合宿↓大会という流れになることも珍しくありません。つまり、子どもと大人が接する場面が多く、関係性もより密接になりやすいのです。 だからこそ、安全管理やリスクマネジメントの重要性が高くなります。 外部コーチやアルバイトの存在 スポーツクラブには、正社員だけでなく・外部コーチ・アルバイトスタッフ・大学生スタッフ・短期指導員 などさまざまな立場の人が関わります。こども家庭庁の資料でも、派遣労働者、スポットワーカー、ボランティアなども対象として想定されています。 つまり、「うちは正社員だけ管理しているから大丈夫」という話ではありません。誰が、どのような形で、どれだけ子どもと接するのか。これを整理することが、日本版DBS対応の第一歩になります。 認定取得のメリット スポーツクラブが認定を取得するメリットは、👉保護者への安心感を示しやすいことです。また近年、スポーツ指導の現場でも、安全管理への関心は高まっています。技術指導だけではなく、運営体制そのものが評価対象になりつつあります。認定制度が広く認知されれば、「安全対策に取り組んでいるクラブ」というメッセージを伝えやすくなるで……

横浜の旅館業を“地域の資産”に変える!|最終話

~旅行業37年の行政書士が語る成功ロードマップ~ こんにちは。旅行会社で37年間、「旅を売る現場」に携わり、現在は「宿を創るお手伝い」をしている横浜市泉区・中田駅の行政書士のブログです。このシリーズでは、・旅館業とは何か・事業計画・用途地域と建築基準法・消防法対応・資金計画・許可申請・運営体制・リピーターづくり・地域との共存など、旅館業開業に必要なポイントを順番にお話ししてきました。そして今回はいよいよ最終話です。旅館業許可を取得し、宿を開業し、お客様を迎える。もちろんそれは大切な目標です。しかし私自身は、本当のスタートはそこからだと考えています。 今回は、旅行業37年の経験を通じて感じてきた、「長く続く宿とは何か」について考えてみたいと思います。 許可取得はゴールではなくスタート 旅館業の相談を受ける中で、「許可さえ取れれば何とかなる」と考えている方も少なくありません。しかし実際には、当たり前のことですが許可取得はスタートラインです。図にするとこうなります。【旅館業開業の流れ】物件選定↓許可取得↓開業↓運営改善↓地域との共存↓リピーター獲得↓地域の資産へ 旅館業は、許可を取って終わる事業ではありません。開業後にどう育てていくか。そこが本当の勝負になります。 長く続く宿に共通すること 旅行業時代、私は全国の数え切れないほどの宿を見てきました。その中で感じるのは、長く続く宿には共通点があるということです。設備が豪華だからではありません。建物が新しいからでもありません。共通しているのは、地域との関係を大切にしていることです。地域の飲食店を紹介する。地元の魅力を伝える。近隣住民との関係を大切にする。そうした積み重ねが、結果として宿の価値になっていきます。 宿は地域の広告塔でもある 宿泊者は、宿だけを利用するわけではありません。・食事をする・観光する・買い物をする・地域を歩くつまり宿は、その地域の入口です。私は旅行業界で長く働く中で、宿とは単なる宿泊の場所ではなく、地域との出会いを作る場所だと感じてきました。だからこそ、旅館業は単なる不動産活用手段ではありません。👉地域に人を呼び、地域を活性化する観光事業なのです。 行政書士として感じること 行政書士として旅館業に関わると、改めて感じることが……

8.日本版DBS認定事業者になるメリットとデメリット

~日本版DBSは経営判断になる時代へ~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「学習塾は日本版DBSにどう向き合うべきか」についてお話ししました。日本版DBSが始まることで、学習塾や書道教室、そろばん教室などの民間教育事業者も、子どもの安全と保護者からの信頼について考える時代がやってきます。今回は、認定事業者になるメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。日本版DBSをめぐる議論の中で、「認定を受けた方がいいのか」「受けないという選択肢はあるのか」という声をよく耳にします。しかし私は、これは単なる制度対応の話ではなく、👉経営判断の絡んでくる話だと思っています。 日本版DBSの認定制度とは 前回も触れましたが、認定事業者制度は、義務対象事業者ではない民間事業者が、一定の基準を満たした場合に認定を受けられる仕組みです。学習塾、スポーツクラブ、習い事教室などは主な対象として想定されています。つまり、法律で義務付けられているわけではありません。認定を受けるかどうかは、👉事業者自身が判断することになります。 認定を受けるメリット 最大のメリットは、👉保護者からの信頼向上でしょう。これまで保護者は、立地や料金、カリキュラムなどを比較して教室を選んでいました。しかし今後は、安全対策という視点が加わる可能性があります。【これまで】料金↓立地↓カリキュラム↓入会 【これから】安全性↓料金・立地↓信頼性↓カリキュラム↓入会もちろん、すべての保護者が認定制度を理解しているわけではありません。しかし制度が浸透していけば、「どのような安全対策を行っているのか」という点が選ばれる理由の一つになる可能性があります。 認定を受けるデメリット 一方で、認定には一定の負担も伴います。・職員管理・個人情報管理・運用ルールの整備・継続的な管理体制これらは一度作れば終わりではありません。👉運用し続ける必要があります。特に小規模事業者にとっては、人的負担や事務負担をどう考えるかが大きな課題になるでしょう。 本当に重要なのは認定取得そのものではない ここで誤解してほし……

横浜で愛される宿になる!近隣対策とクレーム予防の実務|第10話

こんにちは。旅行会社で37年間、「旅を売る現場」に携わり、現在は「宿を創るお手伝い」をしている横浜市泉区・中田駅の行政書士のブログです。 前回は、「旅のプロが語る!横浜でリピーターが集まる宿と消える宿の違い|第9話」についてお話ししました。 リピーターが集まる宿には共通点があります。それは、お客様との関係づくりを大切にしていることです。しかし、長く続く宿にはもう一つ大切な条件があります。それが、地域との良好な関係です。どれだけ宿泊者から高い評価を受けていても、近隣住民とのトラブルが続けば、宿の経営は苦しくなります。 今回は、地域に愛される宿づくりと、近隣対策の実務について考えてみたいと思います。 地域に愛される宿は長く続く 旅行業界で37年間、数多くの旅館やホテルを見てきました。その中で感じるのは、長く続く宿ほど、👉地域との関係を大切にしているということです。 宿泊業は、宿泊者だけを相手にする仕事ではありません。地域の中で営業し、地域の環境を活用し、地域と共に発展していく事業です。だからこそ、地域との信頼関係は経営資源の一つだと言えるでしょう。 宿泊者・宿・地域の関係を考える 分かりやすく図にするとこうなります。【長く続く宿】宿泊者↓宿↓地域(三者が良好な関係だと)↓リピーター増加↓地域評価向上↓安定経営 一方で、【苦戦する宿】宿泊者↓宿↓地域(苦情・不満が多いと)↓行政相談↓営業への影響 宿泊者だけが満足していても、地域との関係が悪化すると長続きしません。これが宿泊業の特徴です。 「期待値+α」が宿の魅力になる 旅行会社時代、お客様から高評価を受ける宿には共通点がありました。それは、期待を少し超えてくることです。例えば、・地元ロースターのコーヒー、地酒の酒蔵。・地域のハーブを使ったアメニティ。・地元の人しか知らない飲食店情報(穴場)。・おすすめ朝の散歩コース。こうした小さな工夫が、「顧客満足」につながります。私は旅行業時代、企画づくりを仕事にしていました。宿泊施設とも連携し様々な仕掛けをしてきました。宿泊施設だけではなく、👉地域の魅力を伝えることも大切なおもてなしなのだと思います。 クレーム予防は開業前から始まっている 近隣トラブルの多くは、実は開……

7.学習塾などは日本版DBSにどう向き合うべきか

こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回の記事では、「放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと」についてお話ししました。 これまで認定こども園や放課後等デイサービスなど、日本版DBSの義務対象事業者を中心に見てきました。しかし、日本版DBSの影響を受けるのはそれだけではありません。・学習塾。・書道教室。・そろばん教室。・英会話教室。・プログラミング教室。・スポーツクラブ。こうした民間の教育・習い事事業者にも、大きな関係がある制度です。今回は、学習塾を中心に、日本版DBSとどのように向き合うべきかについて考えてみたいと思います。 日本版DBSはなぜ学習塾も対象になるのか 学習塾は学校ではありません。児童福祉施設でもありません。それでも日本版DBSの対象として認定事業者とされているのは、👉子どもと継続的に接する環境だからです。例えば、個別指導塾では講師と生徒が一対一になる場面があります。自習室管理や面談など、保護者の目が届かない時間もあります。これは書道教室やそろばん教室でも同じです。日本版DBSは、運営施設の種類で判断する制度ではありません。子どもと接する環境に着目した制度なのです。 「うちは小さい教室だから関係ない」は本当か 地域密着型の教室経営者の方からすると、こう感じるかもしれません。「大手学習塾の話でしょう」「個人経営の教室には関係ないのでは」しかし、保護者の視点で考えるとどうでしょうか。子どもを預ける保護者にとっては、大手か個人経営かは本質ではありません。最も気になるのは、👉「安心して通わせられるか」ということです。むしろ地域密着型の教室ほど、保護者との信頼関係が重要になります。 日本版DBSの本質は信頼づくり 私は、日本版DBSの本質は「排除」ではなく「信頼づくり」だと思っています。・子どもの安全を守る・適切な職員管理を行う・トラブルを未然に防ぐそうした取り組みを社会に示す仕組みが、日本版DBSです。今後は、保護者が塾や教室選びをする際にも、安全への取り組みを意識する場面が増えていくのだと思います。 まだ先の話と思わないことが大切 制度施行はまだ先(2026年12月……

旅のプロが語る!横浜でリピーターが集まる宿と消える宿の違い|第9話

こんにちは。旅行会社で37年間、「旅を売る現場」に携わり、現在は「宿を創るお手伝い」をしている横浜市泉区・中田駅の行政書士のブログです。 前回は、「横浜の旅館業をスマート運営!予約システムと省力化の実践法|第8話」についてお話ししました。予約システムやPMS(宿泊管理システム)、サイトコントローラーなどを活用することで、宿泊施設の運営は大きく効率化できます。しかし、どれだけ優れたシステムを導入しても、お客様が来てくれなければ宿は続きません。同時にリピーターも大事です。 旅行業界で37年間、全国の旅館やホテルを見てきた中で感じることがあります。それは、「また泊まりたい宿」には共通点があるということです。 今回は、リピーターが集まる宿と、一度きりで終わってしまう宿の違いについて考えてみたいと思います。 リピーターは設備だけでは生まれない 宿を始めようと考える方の多くは、・設備・内装・デザイン・客室に目が向きます。もちろん大切です。しかし旅行業時代に見てきた現実は少し違いました。 最新設備を導入しても苦戦する宿がある一方で、建物は決して新しくないのに予約が取りづらい宿そんな施設も数多く見てきました。その違いは何だったのでしょうか。私は、「お客様の記憶に残る体験」だと思っています。 宿選びと再訪の理由は違う 旅行者が最初に宿を選ぶとき、多くの場合はとても現実的です。・駅から近いか・観光地に行きやすいか・料金は予算内か・写真の印象は良いか・口コミ評価は悪くないか つまり、初回予約の段階では、「便利そう」「安すぎず高すぎない」「失敗しなさそう」という理由で選ばれることが多いのです。図にすると、こうなります。【初回予約の決め手】立地↓料金↓写真・設備↓口コミ↓予約 しかし、もう一度泊まりたいと思う理由は少し違います。再訪するかどうかは、「泊まる前に見えた情報」ではなく、👉「泊まった後に残った印象」で決まります。 たとえば、・スタッフの対応が気持ちよかった・部屋が清潔で安心できた・地元のお店を教えてもらえた・朝の空気や街の雰囲気が心に残った・またあの場所に戻りたいと思えたこうした体験が、「次もここにしよう」という気持ちにつながります。 【リピーター化の決め手】接客↓清潔感↓地域体験↓安心感↓思……

横浜の空き家を壊す前に考えたい 地域資源としての古民家|第1話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。私は旅行業界で37年間、多くの地域を訪れ、多くの旅館やホテルを見てきました。現在は行政書士として、旅館業や民泊の開業支援にも携わっています。その中で近年強く感じるのが、空き家や古民家を活用した宿づくりへの関心の高まりです。旅館業も、民泊も、地域活性化も、突き詰めれば「地域の魅力をどう活かすか」という話になります。そして私は、空き家を単なる問題として見るのではなく、👉地域の資源として活かす可能性にも注目しています。 そこで日曜日は少し肩の力を抜いて、古民家や空き家の活用について考えてみたいと思います。☕ 空き家は本当に「負動産」なのでしょうか 近年、空き家問題という言葉を耳にする機会が増えました。・人口減少・高齢化・相続さまざまな理由から全国で空き家が増えています。ニュースなどでは、管理されない空き家による倒壊リスクや景観悪化が取り上げられることも少なくありません。確かに、放置された空き家は問題になります。しかし私は、👉空き家を単なる「負動産」と考えるだけでは少しもったいないように感じています。なぜなら、その建物には、地域の歴史や記憶が残っているからです。 旅行者が求めているものは変わってきた 旅行業界にいた頃、旅行者が宿に求めるものは、大型ホテルや豪華な設備が中心でした。しかし近年は少し変化しています。旅行者は、地域らしさを求めるようになりました。 例えば、・古民家を改装した一棟貸しの宿。・地域の食材を使ったカフェ。・歴史ある町並みを活かした観光拠点。こうした場所には、新しいホテルにはない魅力があります。旅行者は、単に泊まる場所を探しているのではありません。👉その地域でしか味わえない体験を求めているのです。 空き家は観光資源になる可能性がある 私が旅館業の相談を受ける中でも、古民家を活用したいという声は年々増えています。もちろん、簡単な話ではありません。・宿にするなら旅館業法・民泊にするなら住宅宿泊事業法・カフェにするなら飲食店営業許可さらに、消防法や建築基準法も関わってきます。 しかし、だからといって不可能なわけではありません。実際に全国では、空き家だった建物が、宿やカフェと……