横浜の行政書士のアトリエから 2nd page

外国人雇用で失敗する宿の共通点|第6話

~採用後の教育・生活支援・現場定着の落とし穴~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、旅館業で外国人を雇う前に知りたい在留資格の基礎知識についてお話ししました。外国人スタッフを雇用するときは、「人手が足りないから採用する」だけでは不十分です。その人の在留資格で、その宿で、その業務を行えるのか。ここを確認する必要があります。宿泊業では、フロント、予約管理、通訳、清掃、レストランサービス、接客、企画・広報など、さまざまな業務があります。しかし、外国人スタッフにどの業務を任せられるかは、👉在留資格や雇用内容との関係で確認が必要です。今回のテーマは、「外国人雇用で失敗する宿の共通点」です。 外国人スタッフを採用した後、👉本当に大切になるのは定着です。採用したのに長く続かない。現場とのコミュニケーションがうまくいかない。教育担当者が決まっていない。生活面の相談先がない。在留資格や更新時期の管理が曖昧になっている。こうした状態では、せっかく採用しても、本人にも宿側にも負担がかかってしまいます。この数話では、旅館・ホテルの経営者だけでなく、日本で働く外国人スタッフの方にも読んでいただけるように、できるだけ分かりやすくお話ししていきます。 日本で働き続けたい外国人の方にとっても、在留資格、雇用契約、職場での役割、更新時期、将来の永住などは、とても大切なテーマです。宿側と外国人スタッフ本人が、お互いに安心して働ける関係を作ること。それが、外国人雇用を成功させる第一歩です。 外国人雇用は「採用して終わり」ではない 外国人スタッフを採用できると、宿側はほっとするかもしれません。人手不足が少し楽になる。外国語対応ができる。インバウンドのお客様にも対応しやすくなる。若い人材が増える。現場に新しい風が入る。こうした期待はとても自然です。しかし、外国人雇用は、採用して終わりではありません。むしろ、👉採用した後から本当の実務が始まります。業務をどう教えるのか。誰が教育担当になるのか。困ったときに誰へ相談するのか。在留資格の更新時期をどう管理するのか。雇用契約の内容と実際の業務が合っているのか。生活面で困っていることはないか。現場の日本人スタッフとの関係はうまくいっているか。こ……

14.日本版DBS導入で同意取得フローを作る

~同意書を渡す前に整理したい説明・個人情報・保留対応~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、日本版DBS導入で職員説明資料を作ることについてお話ししました。日本版DBS対応では、いきなり同意書を渡すのではなく、まず職員に制度の目的や事業所としての方針を説明することが大切です。なぜこの制度が必要なのか。子どもの安全を守るために何を確認するのか。個人情報はどのように扱われるのか。事業所としてどのような方針で対応するのか。こうした点を職員に分かりやすく伝えることで、不安や誤解を減らすことができます。 今回のテーマは、「同意取得」です。日本版DBS対応では、職員説明資料を作った後、次に大切になるのが同意取得の進め方です。同意書は、ただ署名をもらえばよいものではありません。何に同意するのか。どのような目的で使うのか。個人情報はどう扱われるのか。同意しない場合にどう対応するのか。いつ、誰が、どのように説明して、どの書類を保管するのか。こうした流れを整理しておく必要があります。特に、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、職員体制も多様です。正社員。パート職員。送迎担当者。児童発達支援管理責任者。外部プログラムの講師。法人本部の担当者。複数事業所を兼務する職員。こうした関係者がいる中で、誰に、いつ、どのように説明し、同意を取得するのか。ここを曖昧にしてしまうと、現場で混乱が起こります。 今回は、日本版DBS対応における同意取得の流れと、事業所で気を付けたい実務ポイントについて、実際に👉「同意取得フロー」を作るイメージで整理していきます。 同意取得は「書類をもらう作業」ではない 同意取得というと、どうしても「同意書に署名してもらうこと」をイメージしがちです。しかし実務では、同意書を回収することだけが目的ではありません。同意取得で大切なのは、職員が内容を理解したうえで、必要な手続きに協力できる状態を作ることです。何のための同意なのか。何を確認するための同意なのか。どの情報が扱われるのか。誰が管理するのか。不明点がある場合は誰に相談できるのか。ここが分からないまま署名を求めると、職員は不安を感じます。特に、日本版DBSでは慎重な情報が関……

旅館業で外国人を雇う前に知りたい在留資格の基礎知識|第5話

~業務内容と在留資格のズレを防ぐために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、旅館・ホテルの外国人雇用は救世主か人手不足の現実についてお話ししました。人手不足が深刻になる中で、外国人スタッフの採用を検討する宿は増えています。しかし、外国人雇用は、単に人手を補う方法ではありません。業務内容、在留資格、教育体制、生活面の支援、現場でのコミュニケーションなど、事前に整理しておくべきことが多くあります。今回は、さらに一歩進んで、「在留資格」について考えてみたいと思います。 宿泊業で外国人を雇うとき、よくある誤解があります。「日本に住んでいる外国人なら働ける」「アルバイトなら問題ない」「フロントも清掃も配膳も、必要に応じて任せればよい」「人手不足だから、とにかく来てもらえれば助かる」しかし、外国人が日本で働く場合には、在留資格と業務内容の関係を確認する必要があります。在留資格によって、できる仕事と注意すべき仕事が変わるからです。旅館・ホテルの現場では、フロント、予約管理、通訳、企画・広報、接客、清掃、レストランサービス、送迎、夜間対応など、さまざまな業務があります。そのすべてを、同じように考えることはできません。 今回は、旅館業で外国人を雇う前に知っておきたい在留資格の基礎知識について、行政書士としての視点から分かりやすく整理していきます。 在留資格とは何か まず、在留資格とは何でしょうか。簡単に言えば、外国人が日本に滞在し、どのような活動をすることができるのかを示す資格です。観光で来ている人。留学している人。会社で働いている人。日本人と結婚している人。永住している人。 それぞれ、日本でできる活動の範囲が異なります。宿泊業で外国人を雇う場合には、その人が持っている在留資格で、その業務を行えるのかを確認する必要があります。ここを確認しないまま採用してしまうと、本人にも宿側にも大きなリスクがあります。外国人雇用では、「人柄が良い」「日本語が話せる」「すぐ働けると言っている」だけで判断してはいけません。まず確認すべきなのは、👉在留カードと在留資格です。 宿泊業で関係しやすい在留資格 旅館・ホテルで外国人を雇用する場合、関係しやすい在留資格はいくつかあります。代表的なものと……

13.日本版DBS導入で職員説明資料を作る

~いきなり同意書を渡す前に、職員へ伝えるべきこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、日本版DBS導入で対象者一覧表を作ることについてお話ししました。日本版DBS対応では、まず誰が子どもと関わっているのかを整理することが大切です。正社員。パート。アルバイト。外部講師。委託スタッフ。ボランティア。雇用形態だけで判断するのではなく、👉「子どもとどのように関わっているか」という視点で整理することが必要です。 今回は、その次の実務として、「職員説明資料を作る」ことについて考えてみたいと思います。日本版DBS対応では、職員への説明を後回しにしてしまうと、現場に不安や誤解が広がる可能性があります。いきなり同意書を渡す。制度名だけを伝える。「法律で決まったのでお願いします」とだけ説明する。これでは、職員は戸惑ってしまうかもしれません。なぜこの制度が必要なのか。何を確認する制度なのか。自分は対象になるのか。個人情報はどのように扱われるのか。同意しない場合はどうなるのか。事業所としてどのような方針で対応するのか。こうした点を、職員に分かりやすく説明する資料を準備しておくことが大切です。 特に、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、職員への説明は単なる事務手続きではありません。子どもの安全を守るための体制づくりであり、職員が安心して働くための説明でもあります。 今回は、実際に事業所で使える「職員説明資料」を作るイメージで、実務の視点から整理していきます。 なぜ職員説明資料が必要なのか 日本版DBS対応では、制度そのものに注目が集まりがちです。しかし実務では、制度をどう現場に伝えるかがとても重要です。特に職員にとっては、「自分の過去を調べられるのですか」「個人情報は誰が見るのですか」「同意しないと働けなくなるのですか」「何か疑われているのでしょうか」といった不安が出る可能性があります。この不安を放置したまま進めると、👉制度対応が職員との信頼関係を損なう原因になってしまいます。 日本版DBSは、職員を疑うための制度ではありません。子どもを守るために、👉事業者として必要な安全管理体制を整えるための制度で……

旅館・ホテルの外国人雇用は救世主か?人手不足の現実|第4話

~採用前に考えたい業務整理と受け入れ体制~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、旅館業の人手不足より怖いオペレーション崩壊についてお話ししました。宿泊業界では、人手不足が大きな課題になっています。しかし、人が足りないこと以上に、業務の流れが整理されていないこと。担当者が曖昧なこと。引き継ぎが弱いこと。現場の仕組みが整っていないこと。こうした問題が、宿の運営を苦しくしている場合があります。今回のテーマは、「外国人雇用」です。 人手不足が深刻になる中で、外国人スタッフの採用を検討する旅館・ホテルも増えています。フロントで外国語対応ができる人材がほしい。清掃やレストランサービスを支えてほしい。インバウンド対応を強化したい。若い人材を確保したい。こうした理由から、外国人雇用に関心を持つ宿は少なくありません。しかし私は、外国人雇用を「人手不足を一気に解決する魔法の方法」のように考えるのは危険だと思っています。外国人スタッフを採用する前に、宿側が整理しておくべきことがあります。業務内容。在留資格。教育体制。生活面の支援。現場でのコミュニケーション。相談できる体制。こうした準備がないまま採用してしまうと、外国人スタッフも宿側も、お互いに苦しくなってしまいます。 今回は、外国人雇用を検討する前に整理しておきたい宿側の準備について、旅行業37年の経験と特に行政書士としての視点から考えていきます。 外国人雇用は人手不足の「救世主」なのか 人手不足に悩む宿にとって、外国人スタッフの採用は大きな可能性があります。特に、インバウンド需要が高まる中で、外国語対応ができるスタッフ。異文化理解のあるスタッフ。海外のお客様と自然にコミュニケーションを取れるスタッフ。こうした人材は、宿の魅力を高める力になります。また、日本で働きたいと考える外国人の中には、真面目で意欲が高く、長く宿泊業に関わりたいと考えている方もいます。その意味で、外国人雇用は、宿にとって大きなチャンスです。 しかし、外国人スタッフを採用すれば、すぐに人手不足が解決するわけではありません。むしろ、受け入れ体制が整っていない宿では、思った業務を任せられない。在留資格との関係で業務内容に問題が出る。教育に時間がかかる。現場で意思疎通がうまくいかない。生活面……

横浜の古民家を宿にするには何が必要か|第3話

~魅力を活かす前に確認したい許認可の第一歩~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。日曜日の朝に、少し肩の力を抜いて読んでいただきたい「古民家宿・空き家活用の実践ガイド」今回は第3話です。前回は、「なぜ今、古民家宿が選ばれるのか」についてお話ししました。新しいホテルにはない温かさ。地域の暮らしを感じられる空間。古い梁や柱、庭、畳、縁側、土間。そうした古民家ならではの魅力は、旅の目的そのものになることがあります。 しかし、古民家を宿にしたいと思ったとき、魅力だけで話を進めることはできません。「この建物を宿にしたい」「空き家を活かして地域に人を呼びたい」「古民家を壊さず、観光資源として使いたい」そう思ったときに、最初に確認すべきことがあります。それが、宿として使える建物なのかという視点です。 今回は、古民家を宿にするための第一歩として、確認しておきたい許認可や実務のポイントについてお話しします。 古民家の魅力と宿にする難しさ 古民家には、新築の建物にはない魅力があります。長い時間をかけて残ってきた建物には、その地域の暮らしや歴史が刻まれています。柱の傷。床のきしみ。古い建具。庭の木々。その一つひとつが、訪れる人にとっては特別な体験になります。都会のホテルでは味わえない時間。地域の空気を感じる滞在。それが、古民家宿の大きな魅力です。 しかし一方で、古民家を宿にするには難しさもあります。古い建物だからこそ、現在の法律や基準にそのまま合うとは限りません。建物の構造。避難経路。消防設備。水回り。衛生管理。近隣環境。用途地域。こうした点を確認しないまま進めてしまうと、後から大きな壁にぶつかることがあります。古民家を活かすためには、まず現実を知ることが大切です。 まず確認したいのは「宿として使う」ということ 古民家を活用するといっても、使い方によって必要な手続きは変わります。例えば、自分たちだけで使う別荘。地域の交流スペース。古民家カフェ。体験施設。民泊。簡易宿所。旅館・ホテル。同じ古民家でも、使い方が変われば、確認すべき許認可も変わります。特に注意したいのは、👉「人を泊めるかどうか」です。 お客様を宿泊させる場合、単に空いている部屋を貸すだけでは済みません。宿泊事業として行……

12.日本版DBS導入で対象者一覧表を作る

こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 前回は、日本版DBS導入で最初に作る実務計画について整理しました。すると実際の現場では、👉「結局、誰を対象職員として整理すればいいのですか?」という質問が多くでてきます。実は、ここが最も実務で迷うポイントです。正社員だから対象。アルバイトだから対象外。そんな単純な話ではありません。大切なのは、👉「雇用形態ではなく、子どもとどのように関わるか」という視点です。 今回は、事業所でそのまま使える「対象者一覧表」を作るイメージで考えてみたいと思います。 なぜ一覧表が必要なのか 日本版DBSへの対応では、最初から「対象者」を正確に判断しようとすると手が止まります。まず必要なのは、事業所の現状を見える化することです。誰が、どのような立場で、どのくらい子どもと関わっているのか。これを整理して初めて、制度への対応を検討できます。 ステップ1 まずは全員を書き出す 最初は難しく考えなくてもOKです。現在事業所に関わっている人を、すべて書き出します。例えば、・正社員・契約社員・パート・アルバイト・外部講師・委託スタッフ・派遣労働者・スポットワーカー・ボランティアここでは、対象か対象外かを判断する必要はありません。まずは漏れなく一覧化することが大切です。 ステップ2 子どもと接する場面を書き添える 次に、それぞれの人が、どのような場面で子どもと関わるのかを書き加えます。例えば、・授業を担当する・送迎を担当する・受付を担当する・イベントだけ参加する・合宿時のみ帯同する・施設管理のみ行うここまで整理すると、子どもとの関わり方が見えてきます。 ステップ3 判断に迷う人は「保留」にする 実務では、すぐに判断できないケースが少なくありません。例えば、「月に数回だけ来る講師」「イベントだけ参加するスタッフ」「短期間だけ雇用するアルバイト」こうした方を無理に対象・対象外へ分ける必要はありません。まずは、『判断保留』という欄を設けて整理しておきます。制度運用や今後のガイドラインを確認しながら、後で見直せる状態にしておくことが実務では重要です。 ステップ4 外部スタッフも忘れない ……

旅館業の人手不足より怖いオペレーション崩壊の実態|第3話

~人が足りない宿ではなく、仕組みが回らない宿になっていないか~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、旅館・ホテルの口コミ評価が下がる宿の共通点についてお話ししました。口コミは、単なるお客様の感想ではありません。清掃、案内、接客、設備、予約対応など、宿の運営体制が表に出る場所でもあります。 今回のテーマは、「オペレーション崩壊」です。宿泊業界では、👉人手不足が年々深刻になっています。求人を出しても応募がない。採用しても定着しない。繁忙期になると現場が回らない。こうした悩みを抱えている宿は少なくありません。しかし実務では、人が足りないことそのものよりも、業務の流れが整理されていないことが宿の運営を苦しくしているケースがあります。清掃。チェックイン。予約管理。問い合わせ対応。スタッフ間の引き継ぎ。緊急時の対応。こうした流れが崩れると、お客様の不満は口コミに表れ、スタッフの負担も大きくなります。そして結果として、「人が足りない」という問題に見えてしまうのです。 今回は、人手不足の前に確認したい宿のオペレーションについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から、実務的に整理してみたいと思います。 人手不足の前に確認したいこと 宿の運営が苦しくなったとき、最初に出てくる言葉は、「人が足りない」です。もちろん、本当に人手が足りない場合もあります。しかし、現場をよく見ると、人が足りないのではなく、👉業務の流れが整理されていないというケースもあります。例えば、清掃の終了時間が毎日ずれる。チェックイン前に部屋の最終確認が終わっていない。予約変更の情報が現場に伝わっていない。お客様からの問い合わせに誰が返信するか決まっていない。スタッフごとに案内内容が違う。忘れ物対応のルールがない。 こうした状態では、スタッフが何人いても現場は混乱します。人を増やせば解決するように見えて、実は仕組みを整えなければ、新しいスタッフも同じ混乱に巻き込まれてしまいます。人手不足対策の前に、まず確認したいのは、今の業務がどのような流れで動いているかです。 オペレーション崩壊とは何か オペレーション崩壊とは、宿の業務が一つひとつは存在しているのに、全体としてうまくつながって……

11.日本版DBS導入で最初に作る実務計画

~担当者・期限・必要書類を見える化する~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。 これまでこのブログでは、日本版DBSについて、制度の概要、対象事業者、認定事業者制度、学習塾やスポーツクラブの対応、認定を受けないという選択肢などについてお話ししてきました。ここからは、いよいよ実務対応編に入ります。 日本版DBSについて調べ始めた事業者の方が感じる一番大きな悩みは、👉「結局、何から始めればよいのか」ではないでしょうか。制度を理解することと、現場で実際に動かせる仕組みを作ることは、まったく別の話です。日本版DBS対応では、対象者を整理し、職員へ説明し、同意取得の流れを考え、個人情報管理体制を整え、必要に応じて規程類も見直す必要があります。つまり、これは単なる法改正対応ではなく、事業所の運営そのものに関わる実務対応です。 そこで今回は、まず最初に作っておきたい「日本版DBS対応の実務計画」について考えてみたいと思います。この記事は、読むだけではなく、実際に自社の計画表を作るつもりで読み進めていただければと思います。 なぜ最初に実務計画が必要なのか 日本版DBS対応でよくある失敗は、「とりあえず分かるところから始める」ことです。もちろん、動き出すことは大切です。しかし、全体像が見えないまま進めると、・誰が担当するのか・いつまでに決めるのか・どの書類が必要なのか・誰に説明するのか・個人情報をどこで管理するのかこうした点が後回しになり、途中で混乱しやすくなります。 特に、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所のように複数の職員が関わる現場では、管理者だけで完結する話ではありません。法人本部、管理者、児童発達支援管理責任者、現場職員、採用担当者など、複数の人が関わります。また、学習塾やスポーツクラブなどの認定事業者を検討する事業者でも、講師、コーチ、アルバイト、外部スタッフなどを含めて整理する必要があります。だからこそ、最初に必要なのは、完璧な答えではありません。 まずは、「誰が、いつまでに、何を決めるのか」を見える化することです。 実務計画は完璧でなくてよい ここで大切なのは、最初から完璧な計画を作ろうとしないこ……

旅館・ホテルの口コミ評価が下がる宿の共通点とは|第2話

~お客様の不満は、開業後の運営体制に表れる~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、旅館業許可取得後に本当に始まる宿経営についてお話ししました。旅館業は、許可を取得すれば終わりではありません。お客様を迎え始めてから、本当の宿経営が始まります。今回のテーマは、「口コミ評価」です。ただし今回は、「良い口コミを増やしましょう」「悪い口コミには丁寧に返信しましょう」という話で終わらせるつもりはありません。それだけでは、実際の宿の改善にはつながりにくいからです。今回お伝えしたいのは、口コミを、宿の運営改善に使う方法です。 旅館・ホテルの口コミ評価が下がるとき、そこには必ず理由があります。清掃が悪い。接客が悪い。設備が古い。このように一言で片付けてしまうこともできます。しかし実務では、もう少し細かく見る必要があります。お客様は、何に不満を感じたのか。それは、一度だけのミスなのか。何度も繰り返されている問題なのか。現場の誰が対応すべき問題なのか。すぐ直せるのか。時間や費用がかかるのか。ここまで分けて考えないと、口コミは改善に使えません。 そこで今回は、口コミを単なる評価として読むのではなく、👉「口コミ分解シート」を作るイメージで、宿の運営改善につなげる方法を考えてみたいと思います。 口コミは点数よりも「中身」を見る 予約サイトやGoogleマップの口コミを見ると、つい点数に目が行きます。4.5なのか。4.0なのか。3点台に落ちていないか。もちろん点数は大切です。しかし、宿の改善で本当に見るべきなのは、点数そのものではありません。大切なのは、👉何について不満が書かれているのかです。例えば、同じ3点の口コミでも、内容はまったく違います。「部屋は良かったが、チェックイン案内が分かりにくかった」という口コミと、「清掃が不十分で、もう泊まりたくない」という口コミでは、改善すべき内容が違います。また、「スタッフの対応が冷たかった」という口コミと、「駐車場の場所が分からなかった」という口コミでも、対応すべき担当者や改善策は変わります。口コミを読むときは、良い悪いで一喜一憂するのではなく、👉どの業務に関する指摘なのかを分けて見ることが大切です。 まず口コミを5つに分類……