03 古民家・空き家活用方法 2nd page

古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには|第7話

~地域の人にも観光客にも選ばれる店づくり~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには」について考えました。古民家カフェを安心して営業するためには、駐車や駐輪。話し声や音。排気やにおい。ごみの保管。営業時間。など、周辺で暮らす人への配慮が欠かせません。しかし、苦情を起こさない。迷惑をかけない。というだけでは、地域から応援される店にはなりません。地域の人も利用しやすい店にする。地元の食材や商品を紹介する。地域の行事や観光資源とつながる。来店した人を周辺の店や場所へ案内する。こうした積み重ねによって、古民家カフェは、飲食を提供するだけの店から、地域の魅力を伝える観光拠点へ育っていきます。今回は、地域に嫌われない店ではなく👉地域から応援される古民家カフェをつくるには何が必要かについて考えます。 観光客だけの店にしない 古民家カフェという言葉から、遠方から訪れる観光客。写真を撮ってSNSへ投稿する人。休日にドライブで立ち寄る人。を思い浮かべるかもしれません。もちろん、観光客に来てもらうことは大切です。しかし、観光客だけを対象にした店では、平日や閑散期の利用が安定しにくくなります。また、地域の人から、観光客のためだけの店。混雑や車だけが増える店。自分たちは入りにくい店。と思われてしまうこともあります。地域に長く根づくためには、近所の人が日常的に利用できる。一人でも入りやすい。子どもや高齢者も利用しやすい。地域の人が知人を連れて来られる。という店づくりが必要です。例えば、平日に利用しやすいメニューを用意する。地域の人向けの案内を店頭へ出す。常連客の声をメニューや営業時間へ反映する。地域の集まりに使える時間帯を設ける。といった工夫が考えられます。👉観光客を呼ぶ前に、地域の人が「自分たちの店」と感じられるかを考える。ことが、地域に愛される古民家カフェの出発点です。 地元の食材や商品を「物語」として伝える 地域とのつながりを作る方法として、地元の食材や商品を使うことが挙げられます。地元で採れた野菜。地域の果物。近隣のパンや菓子。地元の工芸品。地域で作られた調味料や加工品。こうしたものをメニューや店内販売へ取り入れることで、古民家カフェが地域……

古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには|第6話

~許可だけでなく、周辺の暮らしへの配慮も開業準備の一つ~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、古民家カフェの開業にあたり、保健所や消防署へ相談したいことを整理しました。飲食店営業許可。厨房設備。消防設備。建物の用途や改修。こうした法令上の確認は、開業に欠かせません。しかし、許可を取得すれば、すべての準備が終わるわけではありません。古民家カフェを始めると、これまで住宅だった場所に、人。車。話し声。排気。ごみ。看板や照明。が加わります。開業する側には小さな変化でも、近隣に住む方には、毎日の生活に関わる問題になることがあります。今回は、👉古民家カフェを長く安心して続けるために、開業前に確認したい近隣対策について考えます。 許可と近隣対策は別の問題です 飲食店営業許可や消防上の確認は、法令上の基準を満たしているかを見るものです。一方、路上駐車。話し声。厨房のにおい。夜間の照明。ごみの保管。などは、周辺の暮らしとの関係から生じます。許可を取得していても、近隣への影響が大きければ、苦情やトラブルにつながります。👉法令上営業できることと、地域で安心して営業を続けられることは別です。この二つを、開業前から一緒に考える必要があります。 1. 車と人の流れ 古民家は、道幅の狭い住宅地。昔からの集落。駅から離れた地域。に建っていることがあります。そのため、お客様は何で来るのか。駐車場は何台必要か。満車時はどこへ案内するか。自転車をどこへ置くか。店の前に人が並ばないか。を確認します。特に避けたいのは、近隣住宅前への路上駐車。私有地への無断駐車。狭い道路での送迎や転回。店の前での長時間の待機。です。駐車場が少ない場合には、予約制。来店時間の分散。公共交通機関の案内。近隣駐車場の紹介。なども検討します。 2.営業時間と作業時間 近隣へ影響するのは、営業時間だけではありません。早朝の仕込み。食材の搬入。閉店後の清掃。椅子や食器の片付け。スタッフの出入り。も、音の原因になります。そこで、仕込みは何時からか。搬入は何時ごろか。片付けは何時までか。屋外で行う作業はあるか。を確認します。👉開店時間と閉店時間だけでなく、店の一日の動きを考えることが大切です。 3.……

横浜の古民家カフェ開業で見落としやすい保健所と消防の確認|第5話

~改修してから気付く前に、図面を持って事前相談する~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、横浜の古民家カフェ開業で最初に確認したいこと|第4話古民家カフェを開業するときに必要となる、飲食店営業許可についてお話ししました。古民家の落ち着いた雰囲気。昔ながらの梁や柱。庭を眺めながら過ごせる客席。地域の食材を使った料理やお菓子。こうした魅力を生かして、古い住宅をカフェとして活用したいと考える方も増えています。しかし、古民家カフェの開業は、「古い住宅に厨房設備を入れれば営業できる」というものではありません。飲食店として営業するためには、保健所の施設基準を満たす必要があります。また、住宅として使われてきた建物へ不特定多数のお客様を迎え、厨房で火や電気を使うことになれば、消防上の確認も必要になります。 今回のテーマは、「古民家カフェ開業で見落としやすい保健所と消防の確認」です。改修工事を始めてから大きな変更が必要にならないよう、開業前に確認しておきたい実務を整理していきます。 飲食店営業許可だけを申請すればよいわけではありません 古民家カフェを開業する場合、まず思い浮かぶのが飲食店営業許可です。もちろん、飲食物を調理してお客様へ提供するのであれば、原則として飲食店営業許可の検討が必要です。しかし、申請書を提出すれば、そのまま許可されるわけではありません。営業施設が、食品衛生法や条例に基づく施設基準へ適合している必要があります。横浜市では、営業許可までの流れを、1.事前相談2.営業許可申請3.施設検査4.営業許可証の交付・営業開始と案内しています。特に重要なのが、最初の事前相談です。横浜市は、施設工事の着工前に店舗の平面図を用意し、営業施設を管轄する区の福祉保健センター生活衛生課へ相談するよう案内しています。取扱食品や調理量などによっても、必要な営業許可や設備の判断が変わります。👉工事が終わってから保健所に相談するのでは遅いことがあります。まず図面の段階で相談する。これが、古民家カフェ開業の重要な第一歩です。 住宅用の台所をそのまま使えるとは限りません 古民家には、昔ながらの台所が残っていることがあります。立派な流し台がある。水道も通っている。家庭で長年料理をしてきた。その……

横浜の古民家カフェ開業で最初に確認したいこと|第4話

~古民家を地域の小さな観光拠点にするために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 日曜日の朝に、少し肩の力を抜いて読んでいただきたい「古民家宿・空き家活用の実践ガイド」今回は第4話です。 前回は、「古民家を宿にするには何が必要か」についてお話ししました。古民家を宿として活用するには、旅館業許可、建築基準法、消防法、衛生管理、近隣との関係など、確認すべきことがたくさんあります。しかし、古民家の活用方法は宿だけではありません。地域の人が集まるカフェ。観光客が立ち寄る休憩場所。地元の食材を味わえる小さな飲食店。週末だけ開く古民家カフェ。イベントや展示と組み合わせた交流スペース。こうした使い方も、古民家や空き家の大切な活用方法です。 これまで宿を中心にお話ししてきましたので、今回は少しサプライズかもしれません。でも私は、古民家カフェも立派な観光まちづくりの入口になると考えています。宿泊しなくても、その地域を訪れる理由になる。地域の人と観光客が出会う場所になる。地元の食材や文化を伝える場所になる。空き家だった建物に、もう一度人の流れを生み出す場所になる。古民家カフェには、宿とはまた違った魅力があります。 ただし、カフェとして営業するためには、雰囲気や想いだけでは始められません。飲食店営業許可。厨房設備。食品衛生責任者。建物の用途。消防への確認。近隣環境。駐車場や騒音。こうした点を、開業前に確認しておく必要があります。 今回は、古民家カフェを始める前にまず確認したいことについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えていきます。 古民家カフェは地域の入口になる 古民家カフェというと、まず思い浮かぶのは、落ち着いた空間、木のぬくもり、畳の部屋、庭を眺める席、地元野菜を使ったランチ、手作りのスイーツ、ゆっくり流れる時間。そんなイメージではないでしょうか。 確かに、古民家カフェには、普通の店舗にはない魅力があります。しかし私が注目したいのは、古民家カフェが単なる飲食店にとどまらないことです。観光客にとっては、その地域を歩くきっかけになります。地域の人にとっては、日常の中で集まれる場所になります。移住を考えている人にとっては、地域の空気を知る入口になります。空き家所有者にとっては、……

横浜の古民家を宿にするには何が必要か|第3話

~魅力を活かす前に確認したい許認可の第一歩~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。日曜日の朝に、少し肩の力を抜いて読んでいただきたい「古民家宿・空き家活用の実践ガイド」今回は第3話です。前回は、「なぜ今、古民家宿が選ばれるのか」についてお話ししました。新しいホテルにはない温かさ。地域の暮らしを感じられる空間。古い梁や柱、庭、畳、縁側、土間。そうした古民家ならではの魅力は、旅の目的そのものになることがあります。 しかし、古民家を宿にしたいと思ったとき、魅力だけで話を進めることはできません。「この建物を宿にしたい」「空き家を活かして地域に人を呼びたい」「古民家を壊さず、観光資源として使いたい」そう思ったときに、最初に確認すべきことがあります。それが、宿として使える建物なのかという視点です。 今回は、古民家を宿にするための第一歩として、確認しておきたい許認可や実務のポイントについてお話しします。 古民家の魅力と宿にする難しさ 古民家には、新築の建物にはない魅力があります。長い時間をかけて残ってきた建物には、その地域の暮らしや歴史が刻まれています。柱の傷。床のきしみ。古い建具。庭の木々。その一つひとつが、訪れる人にとっては特別な体験になります。都会のホテルでは味わえない時間。地域の空気を感じる滞在。それが、古民家宿の大きな魅力です。 しかし一方で、古民家を宿にするには難しさもあります。古い建物だからこそ、現在の法律や基準にそのまま合うとは限りません。建物の構造。避難経路。消防設備。水回り。衛生管理。近隣環境。用途地域。こうした点を確認しないまま進めてしまうと、後から大きな壁にぶつかることがあります。古民家を活かすためには、まず現実を知ることが大切です。 まず確認したいのは「宿として使う」ということ 古民家を活用するといっても、使い方によって必要な手続きは変わります。例えば、自分たちだけで使う別荘。地域の交流スペース。古民家カフェ。体験施設。民泊。簡易宿所。旅館・ホテル。同じ古民家でも、使い方が変われば、確認すべき許認可も変わります。特に注意したいのは、👉「人を泊めるかどうか」です。 お客様を宿泊させる場合、単に空いている部屋を貸すだけでは済みません。宿泊事業として行……

なぜ今、横浜では古民家宿が選ばれるのか|第2話

~旅行者が求める価値の変化と地域資源としての可能性~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回の記事では、「空き家を壊す前に考えたい、地域資源としての古民家」についてお話ししました。 空き家は、放置すれば負の遺産として地域の問題・課題になることがあります。しかし一方で、地域資源として活かせる可能性も秘めています。今回は、「なぜ今、古民家宿が選ばれるのか」について考えてみたいと思います。 私は旅行業界で37年間、数多くの旅館やホテルと関わってきました。その中で強く感じているのは、旅行者が宿に求める価値が、昔と今では少しずつ変わってきているということです。日曜日の今日は少し肩の力を抜いて、古民家や空き家の活用について考えてみましょう。☕ 「泊まる」から「体験する」へ かつて宿選びでは、駅や繁華街から近く賑やか。設備が新しい。部屋が広い。そんなことが大きな評価基準でした。もちろん、今でも大切な要素です。しかし最近では、「その土地でしか味わえない時間」を求める旅行者が増えているように感じます。図にするとこんなイメージです。【これまで】立地↓設備↓料金↓宿泊 【これから】地域らしさ↓体験↓思い出↓再訪(リピート) 宿泊そのものではなく、その土地で何を感じられるか。それが旅の価値になりつつあるのです。 古民家宿だからこそ生まれる体験 古民家宿には、最新ホテルにはない魅力があります。木の香り。梁の存在感。縁側から眺める庭。地域で受け継がれてきた建物だからこそ、その場所でしか味わえない空気があります。旅行者が求めているのは、豪華さだけではありません。「ここでしか過ごせない時間」なのだと思います。 地域を知ることが旅の魅力になる 旅行業時代、私は全国各地の旅館やホテルを訪れてきました。人気のある宿には共通点があります。👉地域を大切にしていることです。・近くの商店を紹介する・地元の食材を提供する・地域のお祭りを案内する宿だけではなく、宿を拠点に地域全体を楽しんでもらおうという姿勢があります。 宿は、地域への入口でもあるのです。古民家は地域の資源になる前回の記事でもお話ししましたが、私は空き家を単なる問題として見るのではなく、地域の資源とし……

横浜の空き家を壊す前に考えたい 地域資源としての古民家|第1話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。私は旅行業界で37年間、多くの地域を訪れ、多くの旅館やホテルを見てきました。現在は行政書士として、旅館業や民泊の開業支援にも携わっています。その中で近年強く感じるのが、空き家や古民家を活用した宿づくりへの関心の高まりです。旅館業も、民泊も、地域活性化も、突き詰めれば「地域の魅力をどう活かすか」という話になります。そして私は、空き家を単なる問題として見るのではなく、👉地域の資源として活かす可能性にも注目しています。 そこで日曜日は少し肩の力を抜いて、古民家や空き家の活用について考えてみたいと思います。☕ 空き家は本当に「負動産」なのでしょうか 近年、空き家問題という言葉を耳にする機会が増えました。・人口減少・高齢化・相続さまざまな理由から全国で空き家が増えています。ニュースなどでは、管理されない空き家による倒壊リスクや景観悪化が取り上げられることも少なくありません。確かに、放置された空き家は問題になります。しかし私は、👉空き家を単なる「負動産」と考えるだけでは少しもったいないように感じています。なぜなら、その建物には、地域の歴史や記憶が残っているからです。 旅行者が求めているものは変わってきた 旅行業界にいた頃、旅行者が宿に求めるものは、大型ホテルや豪華な設備が中心でした。しかし近年は少し変化しています。旅行者は、地域らしさを求めるようになりました。 例えば、・古民家を改装した一棟貸しの宿。・地域の食材を使ったカフェ。・歴史ある町並みを活かした観光拠点。こうした場所には、新しいホテルにはない魅力があります。旅行者は、単に泊まる場所を探しているのではありません。👉その地域でしか味わえない体験を求めているのです。 空き家は観光資源になる可能性がある 私が旅館業の相談を受ける中でも、古民家を活用したいという声は年々増えています。もちろん、簡単な話ではありません。・宿にするなら旅館業法・民泊にするなら住宅宿泊事業法・カフェにするなら飲食店営業許可さらに、消防法や建築基準法も関わってきます。 しかし、だからといって不可能なわけではありません。実際に全国では、空き家だった建物が、宿やカフェと……