03実務対応編 category

日本版DBS対応を実務目線で解説。規程整備、同意取得、安全管理体制など事業者が今すぐ役立てられる情報をお届けします。

03実務対応編 2026年8月15日

30.日本版DBS対応を子どもの安全を守る組織づくりへ

~制度への対応で終わらせないために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 これまで29回にわたり、日本版DBSについて考えてきました。日本版DBSとは何か。どの事業者が対象になるのか。犯罪事実確認。法人と事業所の役割分担。社内規程。個人情報管理。採用・配置・研修。制度の全体像から、現場で必要になる実務まで一つずつ整理してきました。そして、こども性暴力防止法の施行が近づいています。義務対象となる事業者の皆さま。準備はどこまで進んでいるでしょうか。認定こども園、指定障害児通所支援事業は、この法律の義務対象です。放課後等デイサービスや児童発達支援などを運営する事業者にとって、日本版DBSへの対応は「できれば取り組むもの」ではありません。👉法律に基づいて対応しなければならない事項です。 こども家庭庁でも、義務対象事業者について、施行に向けた事業者情報の登録やシステム利用の準備を進めています。今回はシリーズ最終話として、日本版DBSへの対応を、子どもの安全を守る組織づくりへどうつなげるかを考えてみたいと思います。 「犯罪事実確認をすれば終わり」ではありません 日本版DBSという名称から、「職員の犯罪歴を確認する制度」という印象を持つ方も多いかもしれません。しかし、制度が求めているのは犯罪事実確認だけではありません。対象事業者には、子どもと接する従事者への研修など、児童対象性暴力等を防止するための措置が求められています。こども家庭庁も従事者向けの標準的な研修教材を公開しています。つまり、犯罪事実確認をした。規程を作った。研修を一度行った。というだけでは、本当の意味での安全管理にはつながりません。大切なのは、👉制度で求められている対応を、日常の運営に組み込むことです。 まず「自分の事業所は大丈夫か」を確認する 施行前に一度、事業所の現状を確認してみましょう。例えば、対象となる職員を把握しているか。犯罪事実確認を誰が担当するか決まっているか。採用時の流れを見直しているか。確認結果を誰が扱うか決まっているか。情報管理規程を整えているか。職員研修をどのように行うか決まっているか。相談・報告窓口を職員が知っているか。子どもと一対一になりやすい場面を把握しているか。こうしたこ……

03実務対応編 2026年8月13日

29.日本版DBS対応を採用・配置・研修へどうつなげるか

~犯罪事実確認だけに頼らない安全管理のために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBSで扱う個人情報をどう守るか」について考えました。犯罪事実確認の結果は、誰が見るのか。どこに保存するのか。誰へ伝えるのか。いつ廃棄するのか。を決め、必要最小限の人だけで扱うことが大切です。 今回は、「日本版DBS対応を採用・配置・研修へどうつなげるか」について考えます。日本版DBSというと、犯罪事実確認をする。確認結果に問題がなければ採用する。という部分に目が向きやすいかもしれません。しかし、こども性暴力防止法は、犯罪事実確認だけでなく、児童対象性暴力等を防止するための研修など、複数の安全確保措置を事業者に求めています。制度は2026年12月25日に施行されます。👉大切なのは、確認結果を「安全の証明」にせず、採用・配置・研修を含めた日常の安全管理につなげることです。 採用では「確認する前」から準備する 新しく職員を採用するとき、犯罪事実確認だけを採用手続へ追加すればよいわけではありません。こども家庭庁は、施行前から準備することが望ましいものとして、👉募集要項・求人票、誓約書・内定通知書、就業規則などの参考例を公開しています。 面接でも子どもとの関わり方を見る 採用時には、なぜ子どもと関わる仕事を希望するのか。支援中に判断に迷ったら誰へ相談するか。子どもと一対一になった場合にどう対応するか。職員同士で注意し合うことをどう考えるか。といった点も確認します。過去の経歴だけではなく、支援に対する考え方。組織のルールを守れるか。相談や報告をためらわないか。を見ることも大切です。 犯罪事実確認の時期にも注意する 犯罪事実確認は、誰にでも自由に行えるものではありません。こども家庭庁のQ&Aでは、新たに採用する人について、対象業務に従事することが決まる前に犯罪事実確認を行うことはできないとされています。犯罪歴に関する情報は機微性が高いためです。そのため、求人。選考。内定。犯罪事実確認。従事開始。の順番をあらかじめ採用フローとして整理しておく必要があります。 配置は「この人なら大丈夫」だけで決めない 採用後は、職員をどの業務へ配置するか……

03実務対応編 2026年8月11日

28.日本版DBSで扱う個人情報をどう守るか

~確認結果を「知る必要がある人」だけで扱うために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS対応で整えておきたい社内規程と運用ルール」について考えました。日本版DBSへの対応では、採用。配置。相談・報告。情報管理。研修。を、担当者の記憶だけに頼らず、法人のルールとして整えることが大切です。今回は、その中でも特に重要な、個人情報の管理について考えます。犯罪事実確認の結果は、非常に慎重な取扱いが必要な情報です。確認できる制度があるからといって、管理者なら誰でも見てよい。人事担当者同士で自由に共有してよい。念のためコピーを保存しておけばよい。というものではありません。👉大切なのは、「誰が知る必要があるのか」を最初に絞ることです。 日本版DBSでは情報管理そのものが義務です こども性暴力防止法では、対象事業者に対して、犯罪事実確認だけでなく、確認に関する情報を適正に管理するための措置も求めています。こども家庭庁のQ&Aでは、・管理責任者を置く・情報管理規程を策定する・その規程を守ることなどが必要とされています。つまり、「確認した後、どう管理するか」までが日本版DBS対応です。 まず「誰が見るのか」を決める 確認結果を扱う人は、多ければ安心というものではありません。こども家庭庁は、犯罪事実確認記録等の取扱者を必要最小限にすることを求めています。例えば、法人代表者。人事責任者。日本版DBSの管理責任者。配置判断を行う責任者。など、業務上必要な人に限定します。事業所管理者へどこまで伝えるか事業所の管理者が職員配置を行う場合でも、確認結果そのものを共有しなければならないとは限りません。例えば、「この職員はこの業務に配置しない」という配置上必要な情報だけを伝えれば足りる場合もあります。詳細を知る必要のない人へ、犯罪事実の内容まで共有しないことが重要です。👉「知りたい人」ではなく、「業務上知る必要がある人」で考えます。 記録を増やしすぎない 情報管理というと、念のため印刷して保存する。人事ファイルへコピーする。Excelへ転記する。という対応を考えがちです。しかし、こども家庭庁は、犯罪事実確認書の内容について、記録・保存を極力避けることを基……

03実務対応編 2026年8月8日

27.日本版DBS対応で整えておきたい社内規程と運用ルール

~ひな型を置くだけで終わらせないために~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「神奈川県の児童福祉事業者が日本版DBSで確認したい法人・事業所の役割分担」について考えました。複数の事業所を運営する法人では、採用や確認手続は法人本部。日々の職員配置は各事業所。相談の受付は現場。法人としての判断は本部。というように、仕事が分かれていることがあります。大切なのは、誰が最初に動くのか。誰へ報告するのか。誰が最終的に判断するのか。を明確にすることです。 今回は、「日本版DBS対応で整えておきたい社内規程と運用ルール」について考えます。日本版DBSへの対応では、犯罪事実確認の手続だけでなく、採用。配置。相談・報告。安全確保。情報管理。研修。を、法人のルールとして整える必要があります。ただし、👉ひな型を保存しただけでは、現場で動ける仕組みにはなりません。 なぜ社内規程が必要なのか 担当者が制度を理解していても、担当者が休んでいる。管理者が異動した。新しい職員が入った。夜間や休日に相談があった。という場合に、同じ対応ができるとは限りません。口頭の説明や担当者の経験だけに頼ると、事業所によって対応が変わることがあります。社内規程や運用ルールには、誰が担当するのか。どのような順番で対応するのか。どこまで記録するのか。誰へ報告するのか。を残します。規程の目的は書類を増やすことではありません。👉担当者が変わっても、子どもの安全を守る対応を続けられるようにすることです。 最初に既存の規程を確認する 日本版DBSのために、すべての規程を新しく作り直す必要があるとは限りません。まず、法人に現在ある書類を確認します。例えば、・就業規則・採用に関する規程・服務規律・個人情報保護規程・安全管理に関する規程・事故、苦情対応の手順・虐待防止に関する指針・相談、通報の手順・職員研修計画などです。そのうえで、日本版DBSへの対応がどこに書かれているか。現在の規程同士に矛盾がないか。規程と現場の運用が一致しているか。を確認します。新しい規程を一冊追加するだけではなく、既存の仕組みとの関係を整理することが大切です。 採用時のルールを整える こども家庭庁は、施行前の準備に活用できる……

03実務対応編 2026年7月28日

22.日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか

~採用・異動・担当者変更のたびに確認したいこと~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「小規模事業所の日本版DBS対応|少人数でも無理なく進める方法」について考えました。小規模事業所では、大規模法人と同じ複雑な体制を作るのではなく、責任者一人。代行者一人。手順をまとめた一枚。を基本に、少人数でも続けられる仕組みを作ることが大切です。では、規程を作った。職員へ説明した。研修を実施した。認定申請を終えた。そこまで進めれば、日本版DBSへの対応は完了するのでしょうか。実際には、施設の職員や体制は変わります。新しい職員を採用する。職員が退職する。配置転換を行う。担当者が変わる。事業所を増やす。国の資料が更新される。こうした変化に合わせて、👉規程や対象者一覧、研修記録なども見直す必要があります。 今回は、👉日本版DBS対応を一度きりにせず、日常業務の中で無理なく見直す方法について考えます。 日本版DBSは「書類を作れば完了」ではありません 日本版DBSへの準備では、対象者一覧。報告・対応ルール。情報管理規程。職員説明資料。研修記録。などを整えます。しかし、これらの書類は、作成した時点の職員や組織体制をもとにしています。その後、責任者が退職した。報告先の連絡先が変わった。新しい職員が入った。別の事業所へ異動した。情報の保管方法を変えた。という場合には、書類と実際の運用にずれが生じます。👉制度対応で大切なのは、書類があることではなく、現在の施設で使える状態になっていることです。 見直す時期は「年に一度」だけではありません 規程や運用方法を、年に一度まとめて見直す方法は有効です。しかし、それだけでは不十分な場合があります。特に確認したいのは、次のような時期です。 新しい職員を採用するとき 新しく採用する職員が、こどもと接する業務の対象になるかを確認します。犯罪事実確認は、新規採用や対象業務への配置転換の際に行うことが基本とされ、一度確認を受けた従事者についても5年ごとの再確認が必要とされています。採用時には、対象者一覧への追加。本人への制度説明。研修の実施。必要書類の取得。を一つの流れとして行います。 職員が異動・退職するとき ……

03実務対応編 2026年7月25日

21.小規模事業所の日本版DBS対応|少人数でも無理なく進める方法

~「責任者一人・代行者一人・手順一枚」から始める~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS導入支援で行政書士がお手伝いできること」について考えました。日本版DBSへの対応では、規程や帳票を整えるだけでなく、施設の中で継続して運用できる仕組みが必要です。しかし、小規模事業所では、管理者が現場と事務を兼務している。法務や人事の専任担当者がいない。職員全員を集める時間を取りにくい。一人の担当者に情報や判断が集中しやすい。という事情があります。このような事業所が、大規模法人と同じ複雑な体制を作っても、日常業務の中では続かないかもしれません。小規模事業所に必要なのは、大きな仕組みを小さくまねることではありません。👉少人数でも迷わず動ける、簡潔な運用方法を作ることです。 「一人が担当すること」と「一人しか分からないこと」は違う 小規模事業所では、管理者が日本版DBSの責任者を兼ねることも考えられます。担当者が一人であること自体が、直ちに問題になるわけではありません。注意したいのは、その人しか保管場所を知らない。その人が休むと手続が止まる。その人が退職すると引継ぎができない。その人自身について問題が起きた場合、報告先がない。という状態です。つまり、一人が担当すること(専属化)と、一人しか対応できないこと(属人化)は違います。小規模事業所では、まず、・通常の責任者一人・責任者不在時の代行者一人・責任者本人に関する問題の報告先を決めます。多くの担当者を置くことよりも、👉誰に伝えれば対応が始まるのかを明確にすることが重要です。 最低限の体制は「責任者一人・代行者一人・手順一枚」 少人数で運用する場合、最初から多くの規程や管理表を作ると、確認する書類が増え、かえって動きにくくなります。そこで、まずは、責任者一人代行者一人手順をまとめた一枚という形から考えます。手順書には、例えば、・新しい職員を採用したとき・対象者を確認するとき・職員へ説明するとき・情報を取り扱うとき・問題が起きたとき・担当者が不在のときについて、誰が行うのか。どの書類を使うのか。どこへ保存するのか。誰へ報告するのか。を簡潔に記載します。分厚いマニュアルを作ることよりも、必要なときにすぐ確認できることが……

03実務対応編 2026年7月23日

20.日本版DBS導入支援で行政書士がお手伝いできること

~施設が本来の支援業務に専念するために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS対応を専門家に依頼するメリット」について考えました。日本版DBSへの対応では、申請書を作るだけではなく、対象者の整理。規程や帳票の整備。職員への説明。個人情報の管理。研修と記録。などを、施設の実際の業務につなげる必要があります。しかし、施設の管理者や職員には、すでに日々多くの仕事があります。子どもの支援。保護者への対応。職員の配置と育成。変更届や加算届。委員会や研修。その中で、新しい制度を読み解き、必要な書類を一つずつ整えることは、大きな負担になります。 今回は、👉日本版DBS導入支援で、行政書士が施設の負担をどのように減らせるのかについて考えます。 施設が困るのは「自施設では何をすればよいのか」です 日本版DBSについては、ガイドラインやひな型など、さまざまな資料が公表されています。しかし、施設側では、どの資料を使うのか。誰を対象者として整理するのか。現在の規程を修正すればよいのか。新しい書類が必要なのか。誰が情報を管理するのか。といった判断が必要です。資料があることと、施設で運用できることは別です。行政書士は、法令や公表資料を確認したうえで、現在できていること。不足していること。施設内で決めること。を整理します。👉制度の内容を、施設が実際に動ける形へ変える。これが、行政書士による導入支援の基本です。 面倒な資料確認と書類整理を任せられます 施設の管理者が、多数の資料やひな型を一つずつ読み比べるのは大変です。行政書士は、・施設に関係する資料を選ぶ・必要な対応を抜き出す・現在の規程や帳票と照合する・不足している書類を整理する・取り組む順番を決めるといった作業を支援します。例えば、個人情報保護規程と情報管理規程。既存の報告手順と日本版DBSの報告ルール。年間研修計画と日本版DBS研修の記録。職員一覧と対象者管理表。これらの内容が食い違っていないかも確認します。規程には書いてあるが、使用する帳票がない。責任者は決まっているが、不在時の対応者がいない。記録を残すことになっているが、保管方法が決まっていない。こうした細かな抜けは、一つの書類だけを見ても気付きにくいもので……

03実務対応編 2026年7月21日

19.日本版DBS対応を専門家に依頼するメリット

~自社で行うことと、専門家に任せることを整理する~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、日本版DBS対応における職員研修について考えました。制度を理解するだけでなく、誰が対象になるのか。職員へどう説明するのか。同意をどのように取得するのか。確認した情報を誰が管理するのか。問題が起きたとき、誰へ報告するのか。こうした手順を、実際の事業所運営へ落とし込む必要があります。日本版DBSへの対応は、一つの申請書を作れば終わる手続ではありません。 今回は、👉日本版DBS対応を専門家へ依頼すると、何が変わるのかについて考えていきます。 公表されたひな型を使えば十分なのでしょうか こども家庭庁からは、事業者向けチェックリスト、研修教材、報告ルール、対応ルールなどのひな型や参考資料が公表されています。これらは、制度を理解し、準備を進めるための重要な資料です。ただし、ひな型へ事業所名を入れれば、そのまま運用できるとは限りません。例えば、誰を報告先にするのか。管理者が不在の場合はどうするのか。複数の事業所を運営している場合、 誰が全体を管理するのか。非常勤職員や外部講師を、 どのように整理するのか。取得した情報を、 どこで、誰が、どのように保管するのか。👉事業所ごとに組織体制や職員配置は異なります。こども家庭庁も、報告・対応ルールについて、事業者の組織体制や業務運営を踏まえ、報告先や対応者、手順などを検討する必要があると説明しています。 専門家へ依頼するメリットは「書類作成」だけではありません 専門家へ依頼するというと、申請書を作ってもらう。規程を作ってもらう。と考える方も多いかもしれません。しかし、大きなメリットは、👉事業所に必要な対応を整理し、書類と実際の運用をつなげられることです。日本版DBSへの対応では、・対象となる事業や従事者の整理・現在の規程や書類の確認・職員への説明・同意取得・情報管理・報告、対応ルール・職員研修・実施記録の保存などを、一つの流れとして考える必要があります。それぞれを別々に作ると、規程には書いてあるが、職員は知らない。研修は実施したが、記録が残っていない。管理表はあるが、更新する担当者が決まっていない。ということが起こります。専……

03実務対応編 2026年7月18日

18.日本版DBSと職員研修

~作ったルールを、現場で使える仕組みにする~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、日本版DBS対応を採用から退職まで継続するための、運用チェックリストについてお話ししました。対象者一覧表。職員説明資料。同意取得フロー。個人情報管理ルール。社内規程。運用チェックリスト。こうした書類を整えることで、事業所としての対応手順が見えるようになります。しかし、書類や規程を作っただけでは、現場で適切に運用されるとは限りません。職員が、なぜこの取組が必要なのか。自分は何をすればよいのか。気になる行為を見つけたとき、誰に報告すればよいのか。こうしたことを理解して、初めて事業所のルールが動き始めます。 今回のテーマは、「日本版DBSと職員研修」です。13.日本版DBS導入で職員説明資料を作るでは、同意取得前に行う職員説明について整理しました。今回は、一度限りの説明ではなく、日本版DBS対応を事業所全体に定着させるための継続的な職員研修について考えていきます。 職員説明と職員研修は役割が違います まず整理したいのが、「職員説明」と「職員研修」の違いです。第13話で取り上げた職員説明は、日本版DBS対応を始めるに当たり、・制度の目的・対象となる職員・必要な手続・同意を求める理由・個人情報の取扱いなどを伝えるものでした。一方、今回取り上げる職員研修は、👉実際の業務の中で、職員がどのように行動するかを確認するものです。 例えば、子どもとの距離の取り方。不適切と思われる行為を見つけたときの報告。子どもから相談を受けたときの対応。事業所の規程や報告ルート。個人情報を扱う際の注意点。このような内容を、実際の現場に合わせて確認していきます。対象事業者には、子どもと接する業務の従事者に研修を受講させることが求められており、こども家庭庁も従事者向けの標準動画や研修資料を公表しています。 全職員に同じ研修をすればよいとは限りません 日本版DBSに関する研修は、全職員へ同じ資料を配布して終わりではありません。職員の役割によって、知っておくべき内容が異なるからです。例えば、次のように分けて考えることができます。 子どもと接する職員・子どもとの適切な関わり方・不適切な行為の具体例・気になる行為を……

03実務対応編 2026年7月16日

17.日本版DBSの運用チェックリスト

~採用から退職まで、確認漏れを防ぐ仕組みを作る~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、日本版DBS対応を一時的な作業で終わらせず、事業所のルールとして継続するための社内規程整備についてお話ししました。規程を作ることで、誰が担当するのか。どのような手順で進めるのか。職員情報をどのように管理するのか。事業所としての基本的なルールが見えるようになります。しかし、規程を作っただけで、日々の手続が自動的に進むわけではありません。採用が決まったとき。職員の業務内容が変わったとき。退職の申し出があったとき。それぞれの場面で、必要な確認が行われたかを確かめる仕組みが必要です。 今回のテーマは、「日本版DBSの運用チェックリスト」です。これまで作ってきた対象者一覧表職員説明資料同意取得フロー個人情報管理ルール社内規程を実際の運用につなげる方法について考えていきます。 チェックリストは「新しい手続」を増やすものではありません 日本版DBS対応では、すでにさまざまな書類や仕組みを準備してきました。対象者一覧表。職員説明資料。同意取得管理表。個人情報管理台帳。社内規程。ここに運用チェックリストを加えると、「また書類が増えるのか」と感じるかもしれません。しかし、運用チェックリストは、新しい手続を増やすためのものではありません。👉これまで決めた手続が、実際に行われたかを確認するためのものです。 例えば、職員への説明方法は決まっていても、説明した日が記録されていなければ、完了したかどうかが分かりません。同意取得の流れを決めていても、未提出の職員への対応期限が決まっていなければ、手続が途中で止まることがあります。規程と実際の運用の間をつなぐ。それが、運用チェックリストの役割です。 対象者一覧表とチェックリストの役割を分ける 第12話では、日本版DBSの対象となる可能性がある人を整理するための「対象者一覧表」についてお伝えしました。対象者一覧表は、👉事業所全体の状況を見るためのものです。一方、 運用チェックリスト 👉一人ひとりの手続が、どこまで進んでいるかを確認するためのものです。例えば、対象者一覧表には、・対象となるか・説明が終わっているか・……