05観光ビジネスを形にする実務 category

旅行業・宿泊・体験・地域連携など、観光ビジネスの事業設計・許認可・開業実務をわかりやすく解説します。

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公園や道路で観光イベントを開きたい|場所が決まる前に何を確認する?|第14話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、観光地でお土産や地域商品を販売するときには、何を売るのか。誰が売るのか。そして、どこで売るのか。まで整理することが大切だとお話ししました。 今回は、その「どこで」にもう少し踏み込んでみます。たとえば、公園で地域マルシェを開きたい。道路の一部を使って観光イベントを行いたい。駅前のスペースで地域の魅力を紹介したい。そんな企画を考えたときに、「公共の場所だから、何か申請すれば使えるの?」「そのための確認事項は?」という疑問が出てきます。今回の答えを先にお伝えします。👉 イベントの内容を固める前に、まずその場所を誰が管理し、どんな使い方ができるのかを確認しましょう。場所によって、必要な手続も相談先も変わります。 1.まず「その場所を誰が管理しているか」を確認する 同じように見える公共空間でも、管理者は同じとは限りません。道路であれば道路管理者、公園であれば公園を管理する行政機関など、場所によって相談先が変わります。横浜市でも、道路占用については各区の土木事務所への事前相談を案内しています。公園でイベントを行う場合にも、内容によって公園内行為許可などの手続が必要になります。👉 最初に調べるのは「申請書」ではなく「誰に相談する場所なのか」です。ここを間違えると、その後の準備が進みません。 2.道路では「使用」と「占用」を分けて考える 道路でイベントを行う場合には、少し注意が必要です。たとえば、道路上でイベントを開催して人や車の通行に影響する場合には、警察による道路使用許可が関係します。さらに、テーブルやイス、ステージなどを道路上へ継続して設置する場合には、道路管理者による道路占用許可が必要になることがあります。つまり、「道路をイベントで使う」だけでは、必要な手続は一つとは限りません。横浜市も、道路イベントについて警察への道路使用許可と、内容に応じた道路占用許可の事前相談を案内しています。👉 何を置くのか。どのくらいの時間使うのか。通行へどのような影響があるのか。ここまで具体的にして相談します。 3.公園も自由にイベント会場にできるわけではない 公園も、地域イベントとの相性がよい場所です。マルシェや体……

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観光地でお土産を売りたい|食品・雑貨・ワゴン販売で何が違う?|第13話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、地域イベントで飲食や物販をしたいというケースから、主催者から出店OKをもらうことと、自分の営業に必要な手続きを確認することは別だとお話ししました。 今回は、その中の「物販」にもう少し踏み込んでみます。たとえば、宿泊施設で地元のお菓子を販売したい。古民家で地域の工芸品を並べたい。観光イベントで地元の商品を売りたい。観光スポットの一角にワゴンを出して、お土産や地域商品を販売したい。そんなときに出てくるのが、「物を売るだけなら、特別な許可はいらないの?」という疑問です。今回の答えを先にお伝えします。👉 物販だから一律に許可不要、とは考えません。まず、何を売るのか。誰が作るのか。どこで売るのか。この3つを整理することが大切です。 1.最初に「何を売るのか」を整理する 地域の工芸品や雑貨、ポストカード、アクセサリーなどを販売する場合と、お菓子やジャム、弁当、冷蔵食品などを販売する場合では、確認する内容が違います。特に食品については、営業内容によって食品衛生法上の許可や届出が関係する場合があります。横浜市でも、食品の販売について、営業許可の対象ではなくても営業届が必要となる業態が示されています。👉 「お土産を売りたい」から一歩進めて、「具体的に何を売りたいのか」を決めます。 2.仕入れて売るのか、自分で作って売るのか 次に確認したいのが、誰がその商品を作るのかです。地域のお菓子屋さんの商品を仕入れて販売する場合と、自分の厨房で焼き菓子を作って販売する場合では、必要な確認が違います。同じように、地元事業者のジャムを仕入れて販売する場合と、自分でジャムを製造して商品化する場合も同じではありません。食品を調理・加工して販売する場合には、その内容に応じた営業許可が必要となることがあります。横浜市も、イベントで食品を調理・加工して販売する場合には営業許可が必要と案内しています。👉 「売る」だけなのか、「作って売る」のかを分けて考える。ここがポイントです。 3.包装された食品なら何でも自由に売れる? では、お店から仕入れた包装済みのお菓子や弁当を、そのまま販売する場合はどうでしょう。「自分では調理しないから、特……

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地域イベントで飲食や物販をしたい|主催者任せで大丈夫?|第12話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、古民家で宿泊・カフェ・物販・体験を一緒にやりたいというケースから、建物は一つでも、そこで行う営業は一つとは限らず、「何を、どこで、誰に提供するのか」を分けて考えることが大切だとお話ししました。 今回は、建物の中から地域へ出てみます。たとえば、地域のお祭りマルシェ観光イベント商店街の催しこうした場所で、飲食物を販売したい地域の商品を売りたいキッチンカーを出したいそんなときに出てくるのが、「主催者から出店OKをもらえば、それで大丈夫?」という疑問です。今回の答えを先にお伝えします。👉 主催者の出店許可と、営業に必要な手続は別に確認する必要があります。大切なのは、「イベントに参加できるか」と「その内容で営業できるか」を分けて考えることです。 1.主催者の「出店OK」だけでは終わらない イベントでは通常、出店申込み出店料出店区画搬入時間電源火気ごみ処理販売時間など、主催者独自のルールがあります。これらをクリアすれば、そのイベントに参加することはできます。しかし、食品を調理・販売するキッチンカーで営業する公共空間を使う。といった場合には、別の手続が関係することがあります。横浜市でも、キッチンカー出店について「保健所の許可手続きは各店舗で行う」としているイベントがあります。横浜市👉 「主催者がOKと言った」=「必要な許認可まで全部済んでいる」ではありません。 2.飲食は「何を、どう提供するか」を確認する イベントで食品を扱う場合、何を販売するのかその場で調理するのか事前に作ったものを販売するのかキッチンカーなのかなどによって、必要な手続が変わります。横浜市では、地域行事で食品を提供する場合、行事開催届の対象となるものや、営業許可・営業届が必要となるものがあり、イベントの内容によって扱いが分かれています。横浜市ですから、「一日だけだから大丈夫」「地域のお祭りだから特別」とは考えず、👉 販売する食品と提供方法を具体的にして確認する。ここが最初のポイントです。 3.物販も「何を売るか」で考える 物販の場合も同じです。雑貨工芸品衣類地域のお土産包装済み食品自家製の加工食品では、確認内容が違います。特に食品を……

古民家でカフェや物販も始めたい|宿と一緒にやるとき何を確認する?|第11話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、宿泊施設で朝食や軽食を出したいというケースから、宿泊と飲食は別に考え、誰に、何を、どこで提供するのかを設備工事の前に整理することが大切だとお話ししました。 今回は、さらに一歩進めます。たとえば古民家を活用して、宿泊カフェ地域商品の販売ワークショップを一つの場所でやってみたいそんなときに出てくるのが、「一つの古民家なら、許可も一つ取ればいいの?」という疑問です。今回の答えを先にお伝えします。👉 建物は一つでも、そこで行う営業は一つとは限りません。大切なのは、建物単位ではなく、「何をする場所なのか」を分けて整理することです。 1.「古民家活用」という一言では許認可は決まらない 古民家を活用するといっても、宿泊させる飲食を提供する食品を作って販売する雑貨や地域商品を売る有料体験を行うでは、確認する制度が違います。たとえば、横浜市で宿泊料を受けて人を宿泊させる営業には旅館業の許可が必要です。横浜市一方、食品の調理・提供や販売については、営業内容に応じて食品衛生法上の許可や届出を確認する必要があります。横浜市つまり、👉 「古民家事業の許可」という一つの許可があるわけではありません。まず、やりたいことを分解します。 2.最初に「一棟の使い方」を図にしてみる 複数の事業を行うときにおすすめなのが、建物の間取りに、どこで何をするのかを書き込むことです。たとえば、1階の一部はカフェ奥は厨房別室は物販2階は宿泊庭ではワークショップという形です。すると、誰が使う場所なのか宿泊者だけが入るのか一般客も入るのか食品を扱う場所はどこか宿泊者と一般客の動線は重なるのかが見えてきます。👉 「何をやるか」だけでなく、「どこでやるか」まで整理する。複合事業では、ここが非常に重要です。 3.カフェと物販も「何を売るか」で違う 物販といっても、雑貨工芸品お土産包装済みの食品自家製のお菓子では同じではありません。横浜市の案内でも、仕入れた包装食品や生鮮食品などの販売について営業届が必要となるケースが示されています。さらに、古民家の厨房で菓子を製造して販売する。持ち帰り食品を作る。となれば、店内で飲食を提供する場合とは別の営業内容……

宿泊施設で朝食や軽食を出したい|旅館業の許可だけで大丈夫?|第10話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、キッチンカーは観光ビジネスになる?というテーマから、何を売るのか。どこで売るのか。どんな営業許可が必要なのか。を、車を購入する前に整理することが大切だとお話ししました。今回は、その逆です。外からキッチンカーを呼ぶのではなく、宿泊施設の側が、自分たちで朝食や軽食を提供したいというケースです。たとえば、「素泊まりだけだったけれど、朝食も出したい」「宿泊者にコーヒーや軽食を提供したい」「古民家宿の一角でカフェもやってみたい」「宿泊者だけでなく、近所の人にも食事を出したい」そんなときに出てくるのが、「旅館業の許可があるなら、そのまま食事も出せるの?」という疑問です。今回の結論を先にお伝えします。👉 旅館業の営業許可と、食品を調理・提供するための手続は別に考える必要があります。大切なのは、誰に、何を、どこまで提供するのかを最初に整理することです。 1.「宿泊」と「飲食」は別の営業として考える 旅館業は、施設を設けて、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業です。横浜市でも、旅館業を始める場合には旅館業法に基づく営業許可が必要とされています。横浜市一方で、料理を作る。飲み物を提供する。食品を販売する。といった行為は、食品衛生法上の確認が必要になります。横浜市では、営業内容に応じて食品営業許可や営業届の手続が設けられています。横浜市つまり、👉 「泊める許可」と「食べてもらうための手続」は同じではありません。ここを分けて考えることが最初のポイントです。 2.まず「何を出したいのか」を決める 「朝食を出したい」と言っても、内容はさまざまです。たとえば、コーヒーだけ市販のパンや飲料簡単なモーニングその場で調理する朝食夕食まで提供するでは、必要な設備や確認内容も変わります。ですから、厨房を作ったり設備を購入したりする前に、どんな食品を、どんな方法で提供したいのかを決めておくことが大切です。👉 設備を先に作らず、まずメニューと調理方法を整理する。これはキッチンカーと同じ考え方です。 3.宿泊者だけに出すのか、外部客にも売るのか もう一つ重要なのが、誰に提供するのかです。宿泊者だけに朝食を提供する。宿泊者以外にもランチを販売す……

キッチンカーは観光ビジネスになる?|営業許可と出店前に確認したいこと|第9話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、海外の旅行サイトに横浜の体験を載せたいというケースから、海外OTAを利用するときにも、誰が販売するのか。誰が予約を受けるのか。キャンセルや返金は誰が対応するのか。を整理することが大切だとお話ししました。今回は、オンラインで「売る」話から少し離れて、観光地で実際にサービスを提供する側へ視点を移します。たとえば、「イベントにキッチンカーを出したい」「観光や宿泊施設の敷地で週末だけ飲食を提供したい」「地域のお祭りや観光イベントへ出店したい」「観光スポットを訪れる人に地域の食を届けたい」そんなときに活用しやすいのが、キッチンカーです。そこで出てくるのが、「キッチンカーって、車を用意して営業許可を取れば始められるの?」という疑問です。今回の結論を先にお伝えします。👉 営業許可だけ確認して終わりではありません。何を売るのか、どこで売るのか、誰の場所を使うのか。この3つを、車を作り込む前に整理することが大切です。 1.キッチンカーは「移動できる飲食店」 キッチンカーの魅力は、固定店舗を持たず、イベント宿泊施設観光施設古民家地域のお祭りなど、人が集まる場所へ出向けることです。その意味では、観光との相性がとてもよい事業です。ただし、「車だから普通の飲食店とは別」というわけではありません。車内で食品を調理・提供する場合には、営業内容に応じて食品衛生法上の営業許可が必要になります。横浜市では、自動車による飲食店営業等について、車両の図面や業務計画書などを準備して事前相談するよう案内しています。横浜市👉 まず「キッチンカーをやりたい」ではなく、「車内で何を作り、どう提供したいか」を決めます。 2.売るメニューによって車の設備も変わる ここは、車を購入・改造する前に確認したいところです。横浜市では、扱う食品品目数調理工程使用する水の量などによって、必要となる給排水設備や営業できる内容が変わります。自動車営業では、営業内容に応じて40L・80L・200Lの貯水設備の考え方があります。ですから、「中古のキッチンカーを買ってからメニューを決める」より、メニュー → 必要設備 → 車両の順で考えた方が安全です。👉 車を先に買わない。まず、……

海外のOTAに横浜の体験を載せたい|最初に何を確認する?|第8話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「SNSで参加者を募集して観光体験を売りたい」というケースから、InstagramLINE自社ホームページSNSのDMなどで直接販売するときに、誰が何を売るのか。いつ予約が成立するのか。誰がお金を受け取るのか。を整理することが大切だとお話ししました。今回は、販売先を海外へ広げてみます。「横浜のまち歩きを外国人旅行者にも販売したい」「海外の体験予約サイトへ掲載したい」「英語ページを作ってインバウンド客を呼びたい」そんなときに出てくるのが、「海外OTAに掲載すれば、それだけで外国人旅行者へ売れるの?」という疑問です。今回の結論を先にお伝えします。👉 海外OTAへ掲載する前に、まず「誰が販売者になるのか」を確認しましょう。サイトに掲載されることと、自分が直接お客様へ販売することは、必ずしも同じではありません。 1.海外OTAといっても仕組みは同じではありません 海外の旅行サイトや体験予約サイトといっても、その仕組みはさまざまです。例えば、自分の商品を掲載するだけ。予約をサイトが受け付ける。代金までサイトが回収する。予約後に自分へ入金される。キャンセルや返金をサイトが処理する。などがあります。観光庁も、海外OTAを含むオンライン旅行取引では、サイトごとに取引形態や旅行業登録の有無が異なるため、利用者にとって契約当事者が分かりにくい場合があるとしています。つまり、「有名な海外サイトだから全部任せておけば大丈夫」ではありません。👉 サイト名ではなく、そのサイトが何をしているのかを見る。ここから始めます。 2.最初に確認したいのは「誰がお客様へ売っているのか」 例えば、横浜のまち歩き体験を海外OTAへ掲載したとします。お客様がサイトから申し込む。では、体験を販売しているのは誰でしょう。あなたでしょうか。OTAでしょうか。OTAは単に予約の場を提供しているだけでしょうか。ここを確認します。さらに、予約確認を誰が出すのか。領収書は誰が発行するのか。代金は誰が受け取るのか。キャンセル時に誰が返金するのか。まで見ていきます。👉 「サイトに載っている」ではなく、「誰と誰が契約しているのか」を確認する。これは第7話までと同じ考え方……

SNSで観光体験を売りたい|予約サイトを通さなくても大丈夫?|第7話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、地域周遊パスを作るときの販売主体や代金の流れについて考えました。今回はもっと身近な販売方法です。InstagramLINE自社ホームページSNSのDM「予約サイトを使わず、自分で直接参加者を集めたい」そんなときに出てくるのが、「予約サイトを通さなければ、自由に売っていいの?」という疑問です。結論から言えば、👉 予約サイトを使うかどうかだけで、必要な許認可やルールが決まるわけではありません。大切なのは、誰が、何を、どんな形で売っているのかです。 1.自分の体験を自分で売るなら分かりやすい たとえば、自分が行うまち歩き写真体験ものづくり体験地域案内これを自分でSNS募集する。この形は比較的シンプルです。ただし、他社の宿泊交通他の体験まで組み合わせ始めると、確認すべきことは増えます。👉 SNSで売っているから大丈夫なのではなく、何を売っているかを見る。 2.DM予約でも条件は明確にする SNSでの予約は手軽ですが、料金予約確定の時点キャンセル雨天中止返金集合場所などが曖昧になりやすい面もあります。「言った・言わない」を防ぐためにも、予約確定後に、条件をまとめて案内する仕組みを作っておくと安心です。👉 手軽に売るほど、条件は分かりやすくが基本です。 3.自社サイト販売は「自由」ではなく「自分で設計する」 自社サイトなら、料金写真予約決済を自分で決められます。その一方で、予約条件キャンセル返金顧客対応も自分で整える必要があります。👉 予約サイトを使わない分、自分で販売ルールを作る必要があります。 4.他社の宿泊・交通を扱うなら別確認 自分の体験だけではなく、ホテルバス鉄道など他社の宿泊・交通を手配するようになると、旅行業法上の確認が必要になることがあります。つまり、InstagramLINE自社サイト予約サイトどこで売るかは本質ではありません。大切なのは、👉 誰が何を売り、誰が予約を取り、誰がお金を受け取るのか。です。 今日の実務ワンポイント SNSや自社サイトで観光体験を売るなら、まず次の5つを確認してみてください。①自分の商品だけを売る?②予約確定はい……

観光施設を何か所か回れる周遊パスをつくりたい|誰が販売すればいい?|第6話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「体験料と食事代をセットで売りたい」というケースから、複数の事業者の商品を一つにするときは、誰が提供するのか。誰が代金を受け取るのか。誰がキャンセルや返金に対応するのか。を整理することが大切だとお話ししました。では今回は、それを地域全体へ広げてみます。「観光施設を3か所回れるパスを作りたい」「飲食店の特典も付けたい」「体験施設やお土産店にも参加してもらいたい」「スマートフォンでQRコードを見せれば使えるようにしたい」そんな地域周遊パスです。旅行者にとって便利ですし、一つの観光施設だけを訪れて帰るのではなく、地域の中を歩いてもらうきっかけにもなります。ただ、実際に作ろうとすると、最初にこんな問題が出てきます。「ところで、このパスは誰の名前で売るの?」今回の結論を先にお伝えします。👉 周遊パスを作るなら、参加施設を集める前に「誰が販売主体になるのか」を決めましょう。観光協会商店街民間会社地域団体旅行会社誰が中心になる場合でも、企画する人と、実際にお客様へ販売する人は必ずしも同じではありません。 1.「みんなで作る」と「みんなで売る」は別です 周遊パスというと、「地域のみんなで作る商品」というイメージがあります。それ自体はよいのですが、実際の販売では、「みんなで売っています」だけでは困ることがあります。たとえば、3,000円の周遊パスで、A施設に入場。B店でランチ。C施設で体験。ができるとします。では、お客様から3,000円を受け取るのは誰でしょう。領収書を発行するのは?A施設が休業していたら?B店が参加を取りやめたら?利用者から返金を求められたら?👉 地域では共同事業でも、お客様との窓口は決めておく必要があります。ここが周遊パスづくりのスタートです。 2.まず「1枚のパスで何ができるのか」を分解する 「周遊パス」という名前だけでは、中身は分かりません。たとえば、タイプA3施設の入場券をまとめて販売する。タイプB施設入場+飲食+体験をセットにする。タイプC購入した3,000円分を複数の特典付きのお店で自由に使える。タイプD施設入場+バスや鉄道の乗車券を付ける。どれも「周遊パス」と呼べそうですが、法律上・契約上の仕組みは同じでは……

体験料と食事代をセットで売りたい|まとめて料金を取っても大丈夫?|第5話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です 前回は、「イベント参加者のホテルもまとめて手配したい」というケースから、イベントの主催と宿泊の手配は分けて考えること。そして、誰が予約し、誰と契約し、誰がお金を受け取るのかを整理することが大切だとお話ししました。今回は、こんな観光商品を考えてみます。「午前中はまち歩き」「そのあと地元のお店でランチ」これを別々に申し込んでもらうのではなく、「まち歩き+ランチ 5,000円」として一つの商品にしたい。あるいは、「ものづくり体験+地元料理」「農業体験+ランチ」「文化体験+カフェ」なども考えられます。地域の事業者同士が連携できて、お客様にも分かりやすい。観光商品としては、とても自然な発想です。でも、ここで気になるのが、「体験料と食事代をまとめて受け取っても大丈夫?」ということです。 今回も答えを先にお伝えします。👉 体験と食事をセットにして販売しただけで、直ちに旅行業になるわけではありません。ただし、誰が体験を提供し、誰が食事を提供し、誰がお客様から代金を受け取り、トラブル時に誰が対応するのかは、最初に整理しておきたいところです。 1.「体験+食事」だけなら、まず旅行業とは分けて考える たとえば、自分が行うまち歩き。地域の飲食店が提供するランチ。この二つを組み合わせたとします。旅行業法では、運送・宿泊以外のサービスだけを手配したり提供したりする場合は、旅行業に該当しない例として整理されています。つまり、体験食事観劇入場などだけを組み合わせたからといって、それだけで旅行業になるわけではありません。ここは、「セット販売=旅行業」と早合点しなくても大丈夫です。ただし、ホテルも付ける。バスも手配する。鉄道も含める。となれば話は変わります。👉 何をセットにしたのかを、一つずつ分けて考えます。 2.では「5,000円まとめて受け取る」のは大丈夫? ここが今回の本題です。たとえば、あなたがまち歩きを提供し、提携する飲食店がランチを提供する。お客様からは、「まち歩き+ランチ 5,000円」として、あなたが一括して受け取る。この形自体を見て、「まとめて受け取ったから旅行業」とはなりません。むしろ実務で考えたいのは、👉その5,000円が……