02旅館業開業、経営支援 category

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12.観光事業としての古民家活用を考える

~利用者にとって「また来たい場所」になるために~こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「地域に愛される古民家活用とは」として、古民家を地域の中でどう残していくかについて考えました。 今回は、少し視点を変えます。古民家宿。古民家カフェ。体験施設。交流スペース。利用する人は、その建物に何を期待して訪れるのでしょうか。今回考えたいのは、👉 古民家を「何に使うか」ではなく、「そこでどんな時間を過ごしてもらうか」という視点です。 古民家だから選ばれるとは限らない 古い梁。土壁。縁側。昔ながらの建具。長い年月を重ねた木の質感。こうしたものは、古民家ならではの魅力です。ただし、「古民家です」というだけで、利用者に選ばれ続けるとは限りません。利用者が感じるのは、落ち着けたか。居心地がよかったか。大切な人とよい時間を過ごせたか。その場所ならではの記憶が残ったか。ということです。👉 建物の古さは魅力の入口であって、利用者が持ち帰る価値そのものではありません。 「昔ながら」と「使いにくい」は同じではない 古民家らしさを残そうとすると、できるだけ手を加えたくないという気持ちも出てきます。しかし、古いこと。不便なこと。使いにくいこと。は同じではありません。例えば、冬に極端に寒い。館内が暗すぎる。段差が分かりにくい。トイレが使いづらい。案内が分からない。こうしたことまで、「古民家だから仕方がない」としてしまうと、利用者にとっては魅力ではなく負担になります。残したいものは残す。安心して過ごすために必要な部分は整える。👉 古民家らしさを守ることと、利用者に我慢を求めることは別です。 記憶に残るのは「そこで過ごした時間」 利用者が後から思い出すのは、建物の築年数だけではありません。縁側で朝を過ごした。静かな部屋で家族と話した。古い梁を眺めながら食事をした。庭を見ながらお茶を飲んだ。建物の由来を聞いた。そうした時間が、「また行きたい」という気持ちにつながります。だからこそ、設備や内装だけではなく、利用者がどのようにその場所で時間を過ごすかを考えることが大切です。 写真だけでは伝わらない魅力もある 古民家は写真との相性がよい建物です。一方で、木の香り……

地域に愛される古民家活用とは|第11話

~建物を残すだけでなく、地域に必要とされる場所へ~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁」として、古民家の魅力を残して活用するためにも、契約や本格改修の前に消防・建築を確認することの大切さをお伝えしました。では、消防。建築。許認可。こうした条件をクリアできれば、古民家活用は成功なのでしょうか。もちろん、それだけではありません。古民家宿。古民家カフェ。地域交流施設。体験型観光施設。どのような形であっても、その建物は地域の中にあります。今回考えたいのは、👉 古民家を「建物として残す」だけでなく、「地域に必要とされる場所」として残すには何が大切なのかということです。 地域にある建物だから、地域との関係が欠かせない 古民家を事業として活用すると、それまでとは建物の使われ方が変わります。例えば宿になれば、旅行者が訪れる。車の出入りが増える。夜間にも人が滞在する。カフェになれば、来店客が増える。駐車や自転車の問題が生じる。営業時間によって周辺環境も変わる。可能性があります。事業者にとっては魅力的な活用でも、近隣の方にとっては、「これから何が始まるのだろう」と不安を感じることもあります。だからこそ、許可が取れるかどうかだけでなく、地域の中でどう運営していくかまで考えておく必要があります。 「地域のために」だけでは続かない 古民家活用では、「地域を活性化したい」「人が集まる場所をつくりたい」という言葉がよく使われます。その思いは大切です。しかし、👉地域のためになると思っていることと、地域の人が本当に求めていることは同じとは限りません。例えば、観光客をたくさん呼ぶこと。イベントを頻繁に開催すること。夜まで営業すること。が、必ず地域に歓迎されるとは限りません。一方で、地元のお店を宿泊客に紹介する。地域の商品を販売する。地域の食材を使う。地元の人も利用できる場所にする。地域の歴史や文化を来訪者へ伝える。などといった形なら、古民家を中心に地域へ価値が広がっていきます。👉 「地域のために何をするか」より、「地域と一緒に何ができるか」と考えることが大切です。 古民家の中だけで事業を完結させない 例えば古民家宿……

古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁|第10話

~契約・本格改修の前に確認したいこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「空き家活用で失敗する人の共通点」として、物件を先に決める。補助金を見てから事業を考える。開業してから資金繰りを考える。といった、判断の順番が逆になることの危険性についてお伝えしました。 今回は、その中でも古民家や空き家の活用で特に見落としやすい、消防と建築について考えます。古民家宿。古民家カフェ。飲食店。地域交流施設。体験施設。古い建物には、新しい建物にはない魅力があります。しかし、「今まで住宅として使えていたから、そのまま宿や店にできる」とは限りません。今回のポイントは、👉 古民家の魅力を残すためにも、契約や本格改修の前に消防・建築の確認をするということです。 住宅として使える建物と、事業に使える建物は同じではない 空き家や古民家の多くは、もともと住宅として建てられています。それを、宿泊施設。飲食店。店舗。などに使うと、建物の「用途」が変わります。用途が変われば、避難。防火。構造。設備。など、確認すべき基準も変わる可能性があります。国土交通省は、200㎡以下の特殊建築物では用途変更時の建築確認手続が不要となる場合がある一方で、建築確認が不要でも、建築基準法や消防法に適合しなくてよいわけではないと注意を促しています。ここは特に誤解しやすいところです。👉 「確認申請がいらない」と「確認する必要がない」は別です。 古民家では消防設備が後から増えることがある 古民家を宿泊施設や飲食店として活用する場合、用途や規模、建物の状況によって、消火器。自動火災報知設備。誘導灯・誘導標識。非常警報設備。などの消防用設備が必要になることがあります。消防庁も、古民家を宿泊施設・飲食店・物販店として活用する事業者向けに、消防用設備等についての案内を公開しています。問題は、改修工事がほぼ終わってから消防署へ相談するというケースです。設備の追加だけならまだしも、配線。壁や天井。避難経路。出入口。などに関係すると、工事のやり直しにつながることもあります。だからこそ、👉 図面を作る段階で消防署へ相談することが重要です。 建築では「昔からある建物」だからこその確認が必要 古……

空き家活用で失敗する人の共通点|第9話

~契約・購入・改修の前に確認したいこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点」として、宿泊と飲食を別々に考えるのではなく、建物全体の使い方や動線、許認可を早い段階から一体で考えることの大切さをお伝えしました。では、そもそも空き家や古民家を活用するとき、どの段階で判断を誤りやすいのでしょうか。古民家宿。古民家カフェ。地域交流施設。体験型観光施設。空き家には、さまざまな活用方法があります。一方で、「建物の雰囲気が気に入った」「安く購入できた」「補助金が使えそうだ」「地域のためになりそうだ」という思いだけで進めると、後から想定外の問題が見つかることがあります。今回のポイントは、👉 空き家活用で失敗しやすいのは、手続を知らないことよりも、「何をしたいか」を決める前に物件や改修を先に進めてしまうことです。 物件を先に決めてしまう 気に入った古民家を見つけると、「ここで宿をやりたい」「カフェにしたい」と思うかもしれません。しかし、その建物で希望する事業ができるかどうかは別の問題です。宿泊。飲食。地域交流。体験施設。用途が変われば、必要な確認も変わります。そのため、何をしたいのか。誰に利用してもらいたいのか。その事業に必要な条件は何か。を整理してから物件を見る方が安全です。👉 「この物件で何をするか」ではなく、「やりたい事業にこの物件が合うか」で考えます。 「安い」「補助金がある」だけで判断しない 空き家は、取得価格だけを見ると魅力的に見えることがあります。しかし実際には、改修。設備。消防対応。許認可対応。開業準備。などに費用がかかることがあります。また、「補助金が使えるならやってみよう」という考え方にも注意が必要です。補助金は事業を成立させるものではありません。採択されないこともあります。自己負担もあります。対象外となる経費もあります。大切なのは、補助金がなくても、その事業をやりたいのか。開業後も続けられる見通しがあるのか。を先に考えることです。👉 補助金や安さは「始める理由」ではなく、事業を実現するための条件の一つです。 開業できるかだけでなく、続けられるかを見る 空き家活用では、物件……

旅館・ホテル経営を地域に残る資産へ変えるために|第19話

~許可を取ることから、宿を次の世代へつなぐことまで~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「旅館業の事業承継と出口戦略|旅館業許可は引き継げるのか」について考えました。旅館業許可は、建物や屋号と一緒に自動的に移るものではありません。親族への承継。第三者への事業譲渡。相続。法人の合併や分割。廃業。どの方法を選ぶかによって、必要な手続は異なります。また、次の営業者へ引き継ぐものは、旅館業許可だけではありません。従業員。予約。取引先。運営記録。設備の情報。近隣や地域との関係。これらも、宿を支えてきた大切な財産です。 今回で、「旅館・ホテル開業後の実務と経営」について考えてきた「旅館業 開業後の落とし穴編」シリーズは最終話となります。最終話では、👉旅館・ホテルを一時的な営業施設ではなく、地域に残る資産へ変えるには何が必要かについて、これまでの記事を振り返りながら考えてみます。 旅館業許可の取得はゴールではありません 旅館・ホテルの開業を考えたとき、最初に大きな課題となるのが旅館業許可です。保健所へ相談する。消防署へ相談する。建物や設備を確認する。必要な書類をそろえる。申請を行う。検査を受ける。こうした手続を経て、ようやく営業を始めることができます。そのため、許可証を受け取ると、これで準備が終わった。ようやく安心できる。と感じるかもしれません。しかし、実際には、許可を取得した日から宿の運営が始まります。宿泊者を受け入れる。従業員を雇う。予約を管理する。料金を決める。宿泊者名簿を整える。消防・衛生の状態を維持する。営業内容が変われば必要な届出を行う。旅館業許可は、宿を経営するための入口です。👉許可を取ることではなく、許可を守りながら営業を続けることが本当の課題です。 宿を続けるには利益を残す必要があります 旅館・ホテルは、多くの人や設備によって支えられています。従業員。清掃。リネン。食材。光熱費。建物や設備の修繕。予約システム。OTAへの手数料。広告や情報発信。法令対応。宿泊者に喜んでもらうためのサービスだけでなく、安全な施設を維持するためにも費用が必要です。そのため、宿泊者に喜んでもらえればよい。稼働率が高ければよい。売上が増えればよい。というだけでは、……

宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点|第8話

~旅館業許可と飲食店営業許可を一体で考える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには」について考えました。地域の飲食店や商店を紹介する。地元の商品や食材を活用する。周辺を歩いてもらう仕組みをつくる。地域住民の声を店づくりに生かす。こうした取組によって、古民家カフェは飲食を提供する場所だけでなく、地域の魅力を伝える観光拠点にもなります。 今回は、「宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点」について考えます。いつもの日曜日の朝はリラックスしてお付き合いください。古民家を活用する方法は、宿泊施設か。カフェか。どちらか一つとは限りません。古民家宿で朝食を提供する。宿泊者以外にもカフェを開放する。昼はカフェ、夜は宿として使用する。地域イベントの際に食事を提供する。といった組合せも考えられます。しかし、旅館業許可があれば自由に食事を提供できる。飲食店営業許可があれば宿泊者を受け入れられる。というわけではありません。👉宿泊と飲食を組み合わせる場合は、二つの営業を一つの建物全体で考える必要があります。 旅館業許可と飲食店営業許可は別の手続です 宿泊料を受けて人を宿泊させる営業には、原則として旅館業法に基づく許可が必要です。旅館業の許可では、客室、換気、採光、衛生設備など、宿泊施設としての構造設備が確認されます。一方、食品を調理して客に提供する営業は、食品衛生法上の飲食店営業に該当し、営業内容に応じた許可が必要です。飲食店営業には、一般のレストランやカフェだけでなく、ホテル・旅館の厨房も含まれます。つまり、👉宿泊を行うための許可。👉食事を提供するための許可。は別々に確認しなければなりません。同じ建物で営業する場合でも、どの場所で何を行うのかを明確にする必要があります。 最初に営業の形を具体的にする 「古民家で宿とカフェをやりたい」というだけでは、必要な設備や許可を判断できません。まず、実際の営業方法を書き出します。 ・宿泊者にだけ食事を提供する 例えば、朝食だけを提供する。夕食付きの宿泊プランを販売する。宿泊者へ軽食や飲物を提供する。という形です。宿泊者だけを対象とする場合でも、厨房で……

旅館業の事業承継と出口戦略|旅館業許可は引き継げるのか|第18話

~売却・相続・事業譲渡の契約前に確認したいこと~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「地域と共に生きる宿だけが長く続く理由」について考えました。宿泊によって生まれる利益を宿の中だけにとどめず、地域の飲食店や商店へ宿泊者をつなぐ。地元の商品やサービスを利用する。地域の魅力とルールを宿泊者へ伝える。地域住民や行政と対話する。という積み重ねが、地域から応援される宿につながります。しかし、宿を長く残すためには、現在の営業だけでなく、その先も考えなければなりません。親族へ引き継ぐ。従業員へ引き継ぐ。第三者へ売却する。法人化する。建物を貸す。廃業する。経営者には、いつか何らかの選択が必要になります。今回は、👉旅館・ホテルを売却・譲渡・相続する場合に、旅館業許可をどのように扱うのかについて考えます。 旅館業許可は建物についてくるものではありません 旅館・ホテルの建物を購入すれば、買主がそのまま営業できると思われることがあります。しかし、旅館業許可は、建物そのものに付いている権利ではありません。許可を受けた営業者が、許可を受けた施設で旅館業を営むためのものです。そのため、建物を売買した。営業設備を引き渡した。宿の名称を引き継いだ。予約サイトの掲載ページを引き継いだ。という事実だけで、買主が旅館業の営業者になるわけではありません。大切なのは、誰が現在の許可を受けているのか。誰が次の営業者になるのか。どの方法で事業を引き継ぐのか。を確認することです。 事業譲渡では事前の承認が必要です 以前は、旅館業を事業譲渡する場合、譲受人が原則として新たに許可を取得する必要がありました。現在は、👉旅館業法上の承継承認を受けることで、譲受人が営業者の地位を承継できる制度が設けられています。ただし、事業を譲渡した後に届け出ればよいわけではありません。譲渡人と譲受人は、事業譲渡の効力が発生する前に、都道府県知事等の承認を受ける必要があります。例えば横浜市も、承認前に譲渡の効力が発生した場合は承継制度を利用できず、新規許可が必要になると案内しています。したがって、事業譲渡契約を結ぶ。代金を支払う。施設を引き渡す。買主が営業を始める。という日程を決める前に、管轄する行政窓口へ相談する必要があ……

地域と共に生きる宿だけが長く続く理由|第17話

~地域住民・地元事業者・行政と価値を分かち合う~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応」について考えました。旅館・ホテルを営業していれば、宿泊者の話し声。深夜の出入り。路上駐車。喫煙。ごみ出し。送迎車両。などについて、近隣から意見や苦情を受けることがあります。大切なのは、苦情を受けたときに事実を確認する。現在起きている問題を止める。対応内容を記録する。スタッフへ共有する。同じ問題を繰り返さないために運営を見直す。という流れを整えることです。しかし、迷惑をかけない。苦情を起こさない。というだけでは、地域から応援される宿にはなりません。宿泊客が増えることで、地域には、人や車の出入りが増える。生活道路が混雑する。夜間も知らない人が歩く。ごみや騒音への不安が生じる。といった負担がかかることがあります。その一方で、地域の飲食店や商店を利用する。地元の商品や食材を購入する。地域で働く人を雇用する。空き家や使われていない建物を再生する。地域の魅力を宿泊者へ伝える。という価値を生み出すこともできます。 今回は、👉旅館・ホテルが地域へ負担だけを残さず、地域住民・地元事業者・行政と価値を分かち合うには何が必要かについて、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えます。 地域は宿泊事業の「背景」ではありません 旅館・ホテルの魅力を考えるとき、客室。食事。温泉。館内設備。接客。立地。など、施設の中にあるものへ目が向きやすくなります。しかし、宿泊者が感じる旅の魅力は、宿の中だけで作られるものではありません。地域の風景。駅から宿までの道。近くの飲食店。地域で暮らす人との会話。地元の食材や商品。祭りや季節の行事。こうしたものも、宿泊体験の一部になります。宿は地域と切り離された建物ではありません。地域の魅力があるから宿泊者が訪れ、宿があることで地域を訪れる人が増えます。👉宿と地域は、お互いの価値を高める関係にあります。 宿泊客が増えれば地域も喜ぶとは限りません 宿泊者が増えることは、宿にとっては売上の増加につながります。しかし、地域住民にとっては、必ずしも利益だけではありません。例えば、住宅地に大きな車両が入る。駐車場へ入れな……

近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応|第16話

~苦情が入ったときの初動と再発防止を整える~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「旅館・ホテルの変更届|客室・定員・設備を変える前に確認したいこと」について考えました。旅館・ホテルの営業内容を変える場合は、変更してから届け出るのではなく、工事を始める前。設備を購入する前。予約サイトで販売する前。営業者を変更する契約を結ぶ前。に、必要な手続を確認することが大切です。今回は、「近隣トラブルで苦しむ宿の特徴とクレーム対応」について考えます。旅館・ホテルを営業していると、宿泊者の話し声。深夜の出入り。路上駐車。喫煙。ごみ出し。送迎車両。などについて、近隣から意見や苦情が寄せられることがあります。開業前に十分な対策を行っていても、すべてのトラブルを防げるとは限りません。大切なのは、👉苦情が入ったときに、誰が何を確認し、どう対応するかを決めておくことです。 近隣トラブルで苦しむ宿には共通点があります 近隣トラブルが繰り返される宿では、問題そのものよりも、苦情を受けた後の対応に課題があることがあります。例えば、誰が苦情を受けるのか決まっていない。担当者によって説明が違う。宿泊者の行動だから仕方がないと考える。謝罪だけで終わり、記録を残さない。スタッフへ共有されない。予約サイトや館内案内を直さない。同じ問題が繰り返されても原因を確認しない。という状態です。一度の苦情であれば、相手も事情を理解してくれることがあります。しかし、同じ問題が何度も続くと、話を聞いてくれない宿。改善する気がない宿。地域の生活を軽く考えている宿。という印象につながります。👉近隣トラブルを大きくするのは、問題の発生だけでなく、その後の対応です。 最初に行うのは反論ではなく事実確認です 苦情を受けたとき、施設側にも言い分があるかもしれません。宿泊者がしたことなので分からない。うちの駐車場ではない。営業時間内の出来事である。一度だけのことだと思う。しかし、最初から反論すると、近隣の方は、話を聞いてもらえない。責任を避けている。と感じる可能性があります。まず確認したいのは、いつ起きたのか。どこで起きたのか。何が問題だったのか。どのくらい続いたのか。宿泊者や車両を特定できるか。現在も続いているのか。という事実……

古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには|第7話

~地域の人にも観光客にも選ばれる店づくり~ こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。前回は、「古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには」について考えました。古民家カフェを安心して営業するためには、駐車や駐輪。話し声や音。排気やにおい。ごみの保管。営業時間。など、周辺で暮らす人への配慮が欠かせません。しかし、苦情を起こさない。迷惑をかけない。というだけでは、地域から応援される店にはなりません。地域の人も利用しやすい店にする。地元の食材や商品を紹介する。地域の行事や観光資源とつながる。来店した人を周辺の店や場所へ案内する。こうした積み重ねによって、古民家カフェは、飲食を提供するだけの店から、地域の魅力を伝える観光拠点へ育っていきます。今回は、地域に嫌われない店ではなく👉地域から応援される古民家カフェをつくるには何が必要かについて考えます。 観光客だけの店にしない 古民家カフェという言葉から、遠方から訪れる観光客。写真を撮ってSNSへ投稿する人。休日にドライブで立ち寄る人。を思い浮かべるかもしれません。もちろん、観光客に来てもらうことは大切です。しかし、観光客だけを対象にした店では、平日や閑散期の利用が安定しにくくなります。また、地域の人から、観光客のためだけの店。混雑や車だけが増える店。自分たちは入りにくい店。と思われてしまうこともあります。地域に長く根づくためには、近所の人が日常的に利用できる。一人でも入りやすい。子どもや高齢者も利用しやすい。地域の人が知人を連れて来られる。という店づくりが必要です。例えば、平日に利用しやすいメニューを用意する。地域の人向けの案内を店頭へ出す。常連客の声をメニューや営業時間へ反映する。地域の集まりに使える時間帯を設ける。といった工夫が考えられます。👉観光客を呼ぶ前に、地域の人が「自分たちの店」と感じられるかを考える。ことが、地域に愛される古民家カフェの出発点です。 地元の食材や商品を「物語」として伝える 地域とのつながりを作る方法として、地元の食材や商品を使うことが挙げられます。地元で採れた野菜。地域の果物。近隣のパンや菓子。地元の工芸品。地域で作られた調味料や加工品。こうしたものをメニューや店内販売へ取り入れることで、古民家カフェが地域……