01旅行業・宿泊・体験・地域連携から考える category

旅行業・宿泊・体験・地域連携を組み合わせ、観光商品づくりや新規参入・独立開業の実務を解説します。

続く観光ビジネスをつくる|旅行業・宿泊・体験・地域連携を一つに考える|第12話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 これまで、旅行業。宿泊。体験。送迎。地域連携。インバウンド。収益。について見てきました。 最終回となる今回は、「観光ビジネスを始めても、ちゃんと続けていけるのか」という悩みを考えます。観光事業は、面白い企画がある。地域資源がある。人を呼べそう。というだけでは続きません。売れること。利益が残ること。人が回せること。必要な許認可を守れること。地域との関係が続くこと。まで含めて、一つの事業として考える必要があります。👉 続く観光ビジネスは、「面白い企画」ではなく、「売れる・回る・利益が残る・適正に続けられる仕組み」でつくられます。 「やりたいこと」が多すぎると続きにくい 観光ビジネスでは、宿泊もやりたい。体験もやりたい。食事も出したい。送迎もしたい。地域の商品も売りたい。となりやすいものです。しかし、サービスを増やすほど、人員。設備。予約管理。契約。許認可。費用。も増えていきます。👉 最初に大切なのは、「何を増やすか」ではなく、「何を自社の中心にするか」を決めることです。 「誰に売るのか」が曖昧だと商品もぼやける 続く事業にするには、誰に来てもらいたいのかを明確にします。家族旅行。法人。外国人旅行者。地域との出会いや体験を求める人。特定の趣味を持つ人。によって、価格。商品内容。販売方法。必要な対応。は変わります。👉 「観光客なら誰でも」ではなく、「誰に選ばれたいか」を決めると、事業全体が整理しやすくなります。 売上だけでなく「残る金額」を見る 前回見たように、売上が大きくても、仕入れ。人件費。広告費。システム費。施設維持費。などを差し引いて利益が残らなければ続きません。観光事業では特に、宿泊。交通。体験。販売手数料。など、お金の流れが複雑になりやすいです。👉 「いくら売れたか」ではなく、「最後にいくら残るか」を毎回確認することが重要です。 「自社でやること」と「他社に任せること」を分ける すべてを自社で抱える必要はありません。宿泊は宿泊事業者。交通は交通事業者。体験は地域事業者。販売は旅行会社。というように、それぞれの得意分野を組み合わせる方法があります。自社ですべて行うほ……

観光ビジネスの収益はどこで生まれる?|手数料・旅行代金・体験料を整理~|第11話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「インバウンド向け観光事業を始める前に整えたいこと」として、予約・決済・案内・食事・緊急時対応など、外国人旅行者を受け入れるための仕組みを見てきました。 今回は、「観光ビジネスを始めたいけれど、どこで利益が出るのか分からない」という悩みを整理します。観光事業では、旅行代金。手数料。宿泊料。体験料。販売手数料。など、さまざまなお金が動きます。しかし、売上が大きいことと、利益が残ることは同じではありません。👉 観光ビジネスでは、「いくら売るか」より先に、「誰からいくら受け取り、誰へいくら支払うのか」を整理することが重要です。 まず「売上」と「利益」を分けて考える たとえば、旅行者から3万円を受け取った。これだけを見ると、3万円の売上があるように見えます。しかし、その中から、宿泊施設。交通事業者。体験事業者。ガイド。などへ支払う費用があれば、そのまま3万円が利益になるわけではありません。👉 最初に見るべきなのは、「受け取る金額(売上高)」ではなく、「最終的に何が残るのか(売上総利益)」です。 旅行代金の中から利益が生まれる場合 旅行会社が、宿泊。交通。体験。などを組み合わせて旅行商品として販売する場合、旅行者から旅行代金を受け取ります。そこから、宿泊代。交通費。食事代。施設利用料。これら仕入代金などを支払います。そして、販売価格と仕入・運営コストとの差が収益につながります。 原価優先で安く仕入れればよいわけではない 利益を増やそうとして、仕入価格だけを見るのは危険です。予約対応。変更対応。キャンセル対応。緊急時対応。などにもコストがかかります。👉 旅行商品では、「販売価格-仕入価格」だけでなく、運営にかかる手間(コスト)まで含めて考えましょう。 手数料で収益を得る方法もある 観光ビジネスでは、自社で商品をすべて提供せず、紹介や販売の手数料を収益とするビジネスモデルもあります。たとえば、体験商品を販売して手数料を受け取る。地域の商品を紹介して販売手数料を受け取る。予約を取り次いで手数料を受け取る。といった形です。ただし、「手数料」という名前であれば何でも自由にできるわけではありません……

インバウンド向け観光事業を始める前に整えたいこと|第10話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「観光協会・DMO・地域事業者と観光商品をつくるには」として、地域の商品を実際に販売できる形にするための役割分担を見てきました。 今回は、「外国人旅行者を受け入れたいけれど、何から準備すればよいのか分からない」という事業者向けに、インバウンド受入れの基本を整理します。インバウンド対策というと、ホームページの外国語化や外国語対応スタッフを思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、予約。決済。案内。食事。交通。緊急時対応。など、旅行者が利用を終えるまでの流れ全体を見る必要があります。👉 インバウンド対応は、「外国語対応」ではなく、「外国人旅行者が迷わず利用できる仕組みづくり」です。 まず「誰に来てほしいか」を決める 「外国人観光客を増やしたい」だけでは対象が広すぎます。国・地域。年齢。旅行目的。予算。興味。によって、求めるものは異なります。日本文化を体験したい人。地域の日常を楽しみたい人。食を目的に訪れる人。家族旅行。個人旅行。では、必要なサービスも変わります。👉 最初に「外国人」ではなく、「どんな旅行者に来てほしいか」を具体的にしましょう。 外国語対応より「予約できるか」を確認する ホームページを英語にしても、それだけで予約につながるとは限りません。旅行者が知りたいのは、何ができるのか。いくらなのか。どこにあるのか。どう予約するのか。どう支払うのか。です。 旅行者目線で見る 自社サイトを、初めて日本へ来る旅行者になったつもりで確認します。場所は分かるか。料金は分かるか。予約方法は分かるか。問い合わせ先は分かるか。👉 「読めるか」ではなく、「自分だけで予約できるか」で確認しましょう。 予約・決済・アクセスを一つで考える 予約できても、支払えない。現地まで行けない。では利用につながりません。 決済 事前決済。現地決済。クレジットカード。など、支払方法を整理します。 アクセス 最寄駅。バス。徒歩ルート。所要時間。目印。も明確にします。特に地域型観光では、「最後の移動」が分かりにくいことがあります。👉 「予約→決済→現地到着」までを一つの流れと……

観光協会・DMO・地域事業者と観光商品をつくるには|第9話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「小さな旅行会社は何を売る?|大手と競わない旅行商品のつくり方」として、地域。テーマ。法人・団体。インバウンド。など、小さな旅行会社だからこそ持てる強みを考えました。 今回は、その旅行商品を、地域の事業者と一緒につくる場合を考えます。観光商品は、一社ですべてを用意する必要はありません。宿泊施設。飲食店。交通事業者。体験事業者。観光協会。DMO。自治体。などが連携することで、一つの地域を魅力的な旅行商品として見せることもできます。しかし、「みんなで地域を盛り上げよう」だけでは、実際の販売は始まりません。👉 地域連携を観光ビジネスにするには、「誰が何をするのか」を具体的に決める必要があります。 地域にはすでに「商品になる素材」がある 地域には、宿泊。食。歴史。文化。自然。交通。体験。人。など、さまざまな観光資源があります。問題は、それぞれが別々に存在していることです。たとえば、泊まる場所はある。食べる場所もある。面白い体験もある。でも、旅行者から見ると、どう組み合わせて利用すればよいのか分からないということがあります。そこで、「宿泊+食」「まち歩き+体験」「交通+観光施設」といった形でつなぐことで、「地域にあるもの」が「旅行商品」に近づいていきます。👉 地域連携の役割は、新しいものを全部つくることではなく、すでにある魅力をつなぐことでもあります。 観光協会やDMOは何をするのか 地域の商品づくりでは、観光協会やDMO(Destination Marketing / Management Organization)が関わることがあります。 地域の事業者を集める。観光資源を発掘する。商品づくりを支援する。情報を発信する。旅行者のデータを集める。など、地域全体をつなぐ役割が期待されます。しかし、ここで注意したいのが、「商品を企画すること」と「旅行商品を販売すること」は同じではないという点です。地域の魅力を集め、モデルコースを作ることと、実際に旅行者と契約し、宿泊や交通を手配して販売することは別の問題です。👉 観光協会やDMOが関わる場合も、「誰が最終的に販売するのか」を明確にすることが重要です。 ……

小さな旅行会社は何を売る?|大手と競わない旅行商品のつくり方|第8話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「旅行会社勤務から独立開業するには|経験を事業に変える準備」として、顧客。仕入先。旅行業務取扱管理者。営業所。資金。得意分野。など、独立開業に必要な準備を見てきました。 今回は、その次に考えたい、「では、小さな旅行会社は何を売ればよいのか」というテーマです。大手旅行会社には、知名度。仕入力。広告力。販売網。があります。同じ商品を、同じ売り方で、価格だけで競争するのは簡単ではありません。だからこそ、👉 小さな旅行会社は、「何でも売る」より、「この旅行ならここに頼みたい」と思われる分野を持つことが重要です。 小さいからこそ「狭く深く」が強みになる 小さな旅行会社の強みは、大きな会社のようにすべてを扱うことではありません。むしろ、地域に詳しい。特定の顧客層に詳しい。特定の目的の旅行に詳しい。という専門性です。たとえば、地域特化。歴史・文化。スポーツ。教育旅行。法人旅行。インバウンド。趣味・テーマ旅行。などがあります。👉 「誰にでも売れる旅行」ではなく、「特定の人に強く選ばれる旅行」を考える方が、小さな会社には向いています。 地域特化は小さな会社と相性がよい 地域に詳しいことは、大きな強みになります。地元の宿。飲食店。体験事業者。ガイド。交通。地域イベント。こうした情報をつなげることで、大手には作りにくい商品ができます。たとえば、横浜の港町をテーマにしたまち歩き。地域の食を組み合わせた小規模ツアー。地元の事業者を訪ねる体験旅行。などです。👉 地域を知っていること自体が、旅行商品の価値になります。 テーマ旅行は価格競争になりにくい 旅行の目的がはっきりしている商品も、小さな旅行会社に向いています。たとえば、鉄道。写真。歴史。酒蔵。建築。音楽。スポーツ。などです。こうした旅行では、「安いから買う」だけではなく、自分の興味を分かってくれる旅行会社だから買うという理由が生まれます。 知識そのものが商品になる テーマ旅行では、どこへ行くかだけではなく、なぜそこへ行くのか。どんな順番で巡るのか。誰に案内してもらうのか。といった企画力が価値になります。👉 小さな旅行会社では、「詳し……

旅行会社勤務から独立開業するには|経験を事業に変える準備|第7話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「異業種から旅行業へ参入するには」として、既存事業の強みを旅行ビジネスへつなげる考え方を見てきました。 今回は、旅行会社で働いてきた方が、自分で旅行会社を始める場合を考えます。旅行会社で長く仕事をしていると、得意な旅行商品。付き合いのある仕入先。顧客。販売方法。旅行業務の流れ。などを理解しているため、「いつか自分でやってみたい」と考える方もいるでしょう。しかし、会社員として旅行業務を行うことと、自分で旅行会社を経営することは同じではありません。👉 独立開業では、旅行業の経験を「自分の事業」として組み立て直すことが必要です。 まず「何を売る旅行会社にするか」を決める 独立を考えると、最初に旅行業登録を調べたくなります。しかし、その前に整理したいのが、自分は何を売る旅行会社をつくるのかです。たとえば、国内の地域旅行。団体旅行。教育旅行。スポーツ旅行。訪日旅行。特定の趣味やテーマに特化した旅行。企業向けの出張・研修旅行。など、旅行会社の形はいろいろあります。 前職の経験をそのまま持ってくるだけではない 会社員時代に得意だった仕事は、大きな強みです。しかし、勤務先のブランド。仕入条件。顧客基盤。社内システム。などがあって成立していた部分もあります。独立後は、「自分自身の強みは何か」を改めて考える必要があります。👉 独立では、「旅行業界で何年働いたか」より、「その経験を誰に、何として売るか」が重要です。 顧客はどこから来るのか 独立後に最も大切な問題の一つが、誰に買ってもらうのかです。旅行商品を作れても、顧客がいなければ事業にはなりません。以前から付き合いのある顧客。地域の事業者。法人。学校。趣味のコミュニティ。インターネットからの新規顧客。など、どこから顧客を獲得するのかを考えます。 前職の顧客は自分の顧客とは限らない ここは特に注意したいところです。勤務先で担当していた顧客や取引先との関係については、雇用契約。秘密保持。競業に関する取り決め。顧客情報の取扱い。などにも注意する必要があります。👉 「知っている顧客がいる」ことと、「独立後に営業できる」ことは分けて考えましょう。 ……

異業種から旅行業へ参入するには|新規事業として考えるポイント|第6話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「宿泊施設が飲食・体験・物販を始めるときの許認可」として、宿泊事業を広げる際に確認したい許認可を見てきました。 今回は、さらに一歩進んで、「これまで旅行会社ではなかった事業者が、旅行業へ参入する場合」を考えます。たとえば、宿泊事業者。交通事業者。不動産会社。地域商社。イベント会社。体験事業者。観光施設。などです。こうした事業者が、自社のサービスに旅行商品を組み合わせたいと考えることがあります。しかし、「旅行業登録を取れば、新しい事業が始められる」と考えるだけでは足りません。👉 大切なのは、登録を取ることではなく、「自社の強みを旅行商品としてどう売るのか」を先に考えることです。今回は、異業種から旅行業へ参入するときの基本を整理します。 なぜ異業種から旅行業へ参入するのか 旅行業へ参入する理由は、会社によって違います。宿泊施設なら、宿泊だけでなく地域体験も販売したい。交通事業者なら、移動だけでなく観光コースとして販売したい。地域商社なら、地元の食・体験・宿泊を一つの商品にしたい。イベント会社なら、イベント参加と宿泊・交通を組み合わせたい。ということがあります。つまり、すでに持っているサービスや顧客との接点を、旅行商品へ広げることが目的です。👉 旅行業への参入は、「新しい業種を一から始める」というより、既存事業の強みを広げる方法として考えると分かりやすくなります。 最初に考えたいのは「何を売るか」 旅行業登録を調べる前に、まず整理したいのは、どんな旅行商品を売りたいのかです。たとえば、宿泊+体験。交通+観光。イベント+宿泊。地域ツアー。訪日外国人向け商品。法人・団体向け旅行。などがあります。 ・「何でも売る」は強みになりにくい 新規参入だからといって、国内旅行も。海外旅行も。団体も。個人も。すべて扱う必要はありません。むしろ、自社がすでに持っている顧客・地域・商品とのつながりから考える方が現実的です。👉 「旅行業をやりたい」ではなく、「誰に、どんな旅行を売りたいか」まで具体化することが第一歩です。 旅行業登録が必要になる場面を確認する 商品を考えたら、次に旅行業法との関係を確認しま……

宿泊施設が飲食・体験・物販を始めるときの許認可|第5話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「観光事業で送迎サービスを始める前に確認したいこと」として、宿泊施設や体験事業者がお客様を車で運ぶ場合の考え方を見てきました。 今回は、宿泊施設が事業を広げるときの許認可です。ホテルや旅館では、朝食を提供したい。カフェを始めたい。地域体験を販売したい。地元の商品を売りたい。宿泊と体験をセットで販売したい。といった展開が考えられます。どれも宿泊者にとって魅力的なサービスですが、「旅館業の許可を持っているから、宿の中なら何でもできる」とは限りません。👉 宿泊施設が新しいサービスを始めるときは、「宿泊とは別の事業が加わっていないか」を確認することが大切です。今回は、代表的な4つのケースを見ていきます。 旅館業許可は「宿泊」のための許可 まず押さえておきたいのは、旅館業許可は、宿泊サービスを行うための許可だということです。ホテルや旅館の中で行うサービスだからといって、すべてが旅館業許可の範囲に入るわけではありません。飲食を始めれば食品衛生。お客様を車で運べば道路運送。他社の宿泊や交通を組み合わせて販売すれば旅行業。というように、サービスが増えると関係する制度も増える可能性があります。👉 「どこで行うか」ではなく、「何をするか」で必要な許認可を確認します。 朝食・カフェ・レストランを始める場合 宿泊施設でよくあるのが、朝食。夕食。カフェ。バー。などの飲食サービスです。ここでは、食品衛生法上の営業許可や届出が必要になるかを確認します。 ・宿の厨房だからそのまま使えるとは限らない 重要なのは、何を調理するのか。誰に提供するのか。どのような設備で調理するのか。です。新しく厨房を作ったり、飲食営業を追加したりする場合には、工事を終えてから確認するのではなく、計画段階で保健所などへ相談しておく方が安全です。👉 飲食を追加するなら、「メニューを決める」だけでなく、「その提供方法で必要な営業許可は何か」を先に確認しましょう。 地域体験を始める場合 宿泊施設が、料理体験。農業体験。ものづくり。まち歩き。文化体験。などを提供することもあります。「体験業」という一つの共通許可があるわけではありません。その……

観光事業で送迎サービスを始める前に確認したいこと|第4話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「地域体験・着地型観光を商品にするには」として、地域の観光資源を実際に予約・販売できる商品へ変える流れを見てきました。地域体験を商品にすると、次に考えたいのが、旅行者をどう移動させるかです。ホテルから体験場所まで送る。駅から宿まで迎えに行く。複数の観光スポットを車で巡る。旅行者にとって便利なサービスですが、「無料なら大丈夫」「宿泊料金に含めれば問題ない」と単純には判断できない場合があります。👉 送迎を観光サービスに組み込むときは、「誰を・どこへ・何の対価で運ぶのか」を整理することが大切です。 今回は、観光事業で送迎を始める前に確認したい基本を見ていきます。 送迎には道路運送法が関係する 自動車で人を運ぶ事業には、道路運送法が関係します。タクシーやバスのように、人を有償で運ぶことを事業として行う場合には、原則として許可などが必要です。一方、ホテルや旅館などが利用者へのサービスとして無料送迎を行うケースもあります。ここで重要なのは、単に「お客様を車に乗せるか」ではなく、運送の対価を受け取っているかという点です。 宿泊施設の無料送迎はどう考える? ホテルや旅館が宿泊者を駅や空港などへ送迎するケースがあります。国土交通省は、宿泊施設の利用者を対象として、送迎に対する反対給付がなく、宿泊サービスに付随して行われる一定の送迎について、道路運送法上の許可・登録を要しない場合を示しています。現在のガイドラインでは、一定の条件のもとで近隣の観光スポットへの送迎や、送迎途中の立寄りなども例示されています。ただし、「送迎無料」と表示すればよいわけではありません。送迎利用者だけ料金が高い。送迎付きプランとして実質的に料金を上乗せしている。こうした場合には、送迎への対価が含まれていないかを確認する必要があります。👉 名称ではなく、実際のお金の流れを見ることがポイントです。 体験事業者が送迎する場合は? 地域体験でも、「駅から体験場所まで迎えに行きたい」ということがあります。ここでも考え方の基本は同じです。たとえば、体験料5,000円+送迎料1,000円であれば、送迎への対価があることは明確です。一方、「体験料金に全部含めています……

地域体験・着地型観光を商品にするには|企画から販売までの実務|第3話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「宿泊・体験・交通をセットで販売すると旅行業になる?」として、誰が手配するのか。誰が契約するのか。誰が代金を受け取るのか。という視点から、観光ビジネスと旅行業法の関係を整理しました。 今回は、地域体験・着地型観光を取り上げます。地域には、まち歩き。食。文化。農業。自然。産業。歴史。など、さまざまな観光資源があります。しかし、「面白い場所がある」「地域ならではの体験がある」だけでは、そのまま旅行者が購入できる商品にはなりません。👉 観光素材を商品にするには、「誰に・何を・いくらで・どう販売するか」まで形にする必要があります。今回は、地域にある魅力を、実際に予約・販売できる観光商品へ変える流れを整理します。 地域にあるものを「商品」に変える 着地型観光とは、旅行者が訪れる地域側で、その地域ならではの観光資源を活用してつくられる旅行や体験などを指す言葉として使われます。たとえば、港町を歩くガイドツアー。地元の料理を学ぶ体験。農業や漁業の体験。伝統文化に触れるプログラム。工場やものづくりの見学。などです。 ・「地域にある」だけでは商品にならない たとえば、「歴史ある街並みがあります」というだけでは、旅行者は何を申し込めばよいのか分かりません。そこで、何時に集合するのか。どこを歩くのか。誰が案内するのか。何分・何時間かかるのか。何人まで参加できるのか。料金はいくらか。雨天時はどうするのか。まで決めます。👉 観光資源を「参加できる形」にすることが、商品造成の第一歩です。 最初に「誰に売るか」を決める 観光商品を考えるとき、つい、「何を体験させるか」から考えたくなります。しかし、その前に、誰に参加してもらいたいのかを考えることが重要です。 ・同じ体験でも対象によって変わる たとえば、横浜のまち歩きでも、シニア向け。家族向け。外国人旅行者向け。歴史好き向け。修学旅行向け。では、内容も所要時間も説明方法も変わります。家族向けなら、短時間。安全性。子どもが楽しめる内容。が重要かもしれません。外国人旅行者向けなら、言語対応。予約・決済方法。文化的な説明。なども考えます。👉 「誰に売るのか」が決まる……