01なぜ今この法律が必要なのか? category

子どもの安心を支える仕組みとは何か。日本版DBSを現場と法務の視点から考える導入シリーズです。

日本版DBSの対象事業者とは?|自分の施設が対象か確認しよう|第4話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 第1話では「何から始めるか」第2話では「日本版DBSとは何か」第3話では「いつから始まるのか」について整理してきました。この導入シリーズの最終回となる第4話は、「では、誰が対象なのか」です。日本版DBSでは、子どもと関わるすべての事業者が同じ扱いになるわけではありません。大きく分けると、「法律上、対応が義務となる事業者」と「申請して認定を受ける事業者」があります。さらに、事業者が対象だからといって、そこで働く全職員が一律に犯罪事実確認の対象になるわけでもありません。まずはこの2段階で整理すると分かりやすくなります。 まず「義務対象」と「認定対象」を分ける 日本版DBSの対象事業者は、大きく2つに分かれます。 義務対象事業者 法律上、日本版DBSへの対応が義務となる事業者です。代表的なものとして、・幼稚園・小学校、中学校、高等学校・特別支援学校・認可保育所・認定こども園・児童養護施設・一定の障害児施設、障害児通所支援事業などがあります。公立か私立かにかかわらず、法律で対象となる施設・事業については対応が必要です。 認定対象事業者 一方、・認可外保育施設・放課後児童クラブ・学習塾・スポーツクラブなど一定の民間教育保育等事業者については、こども家庭庁へ申請し、認定を受ける制度があります。認定を受けた場合には、義務対象事業者と同水準の性暴力防止の取組を行います。つまり、「子どもと関わる事業だから全部義務」でも、「民間事業だから対象外」でもありません。まず、自分の事業がどちらに位置づけられるかを確認することが重要です。 放課後等デイサービス・児童発達支援はどうなる? 当事務所へのご相談でも、特に関心が高いのが、放課後等デイサービスや児童発達支援です。ここは少し注意が必要です。指定を受けた障害児通所支援事業である・児童発達支援・放課後等デイサービス・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援は、義務対象に含まれます。一方で他、制度上の位置づけによっては認定対象として整理される事業もあります。そのため、「放デイだから」「児発だから」という名称だけで判断せず、実際にどの指定・事業として運営しているのかを確認することが大切です。 学童・学習塾・スポー……

日本版DBSはいつから始まる?|事業者が押さえておきたい施行スケジュール|第3話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBSとは何か|子どもと関わる事業者が知っておきたい新制度|第2話」として、日本版DBSの全体像を整理しました。 今回は、「いつから始まり、いつ何をすればよいのか」です。日本版DBSの施行日は、2026年12月25日です。ただし、「12月25日までに全職員の犯罪事実確認を終わらせる」という制度ではありません。施行前。施行後の新規従事者。すでに働いている職員。この3つに分けると、かなり分かりやすくなります。 日本版DBSは2026年12月25日から始まります こども性暴力防止法は、2026年12月25日に施行されます。現在は、ガイドラインやQ&A、各種ひな型も公表され、事業者が具体的な準備を進める段階に入っています。大切なのは、12月25日を「すべての準備を終える日」と考えないことです。12月25日は、制度を実際に運用し始める日と考えると分かりやすいでしょう。 施行前|まず「運用できる状態」をつくる 施行前に取り組みたいのは、犯罪事実確認そのものより、そのための土台づくりです。例えば、・自分の事業が対象になるか確認する・対象となる従事者を整理する・担当者、責任者を決める・就業規則や服務規律を確認する・相談、報告ルートを整える・犯罪事実確認情報を扱う人や管理方法を決めるといった準備です。最新のガイドラインでも、犯罪事実確認だけでなく、研修、相談体制、問題が疑われた場合の対応、情報管理などが制度の重要な柱として整理されています。つまり、「DBSの申請方法だけ覚えればよい」わけではありません。 施行後|新たに働く人は原則として業務開始前に確認 2026年12月25日以降、新たに対象業務へ従事する人については、原則としてその業務に就かせるまでに犯罪事実確認を行います。そのため、今後は採用と日本版DBS対応を別々に考えることができません。採用する。入職日を決める。対象業務を確認する。犯罪事実確認を行う。という流れを、事業所の採用手続の中に組み込む必要があります。「採用してから考える」のではなく、採用段階から確認する仕組みを整えておくことがポイントです。 今いる職員は2029年12月24日まで では、施行時点ですでに働い……

日本版DBSとは何か~子どもと関わる事業者が知っておきたい新制度~|第2話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 前回は、「日本版DBS対応は何から始める?事業者が今準備したいこと|第1話」として、2026年12月25日の施行に向け、事業者が最初に確認したいことを整理しました。 今回は、もう一歩手前に戻ります。そもそも、「日本版DBSって何をする制度なの?」というお話です。ニュースなどでは、「子どもと関わる仕事に就く人の性犯罪歴を確認する制度」と紹介されることがあります。間違いではありません。しかし、それだけでは制度の一部分しか見えていません。日本版DBSの本当のポイントは、「犯罪事実を確認すること」と「子どもへの性暴力を防ぐ仕組みを事業者の中につくること」を組み合わせた制度であることです。第2話では、その全体像だけをできるだけ分かりやすく見ていきます。 日本版DBSとは何か 日本版DBSは、正式には👉「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」に基づく仕組みです。とても長い名称ですね。一般には「こども性暴力防止法」、そして制度の特徴から「日本版DBS」と呼ばれています。目的は明確です。子どもと接する仕事の中で、児童対象性暴力等が起きることを防ぐこと。そして、子どもが安心して教育・保育などを受けられる環境をつくることです。そのために事業者へ、・犯罪事実の確認・性暴力を防ぐための取組・早期に気づくための体制・問題が起きた場合の対応・職員への研修・相談しやすい環境づくりなどを求める仕組みになっています。 「性犯罪歴をチェックする制度」だけではありません ここが最初に知っていただきたいポイントです。日本版DBSという言葉から、「採用するときに犯罪歴を調べる制度」という印象を持つ方も多いと思います。しかし、犯罪事実確認だけで子どもへの性暴力を防ぐことはできません。過去に確認対象となる犯罪事実がない人であっても、将来の行為まで保証されるわけではないからです。そのため制度では、「犯罪事実確認」だけではなく、日常の環境づくりや研修、相談・報告体制などを組み合わせて、性暴力の防止を図ります。つまり、「DBSで確認したから安全」ではありません。事業所全体で子どもを守る仕組みをつくる。その中の一つが犯罪事実確認です。 ……

日本版DBS対応は何から始める?事業者が今準備したいこと|第1話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。 いよいよ、こども性暴力防止法、いわゆる「日本版DBS」の施行が近づいてきました。施行日は2026年12月25日です。制度について、「名前は聞いたことがある」「性犯罪歴を確認する制度らしい」という方も急激に増えてきたと思います。一方で、事業者の方から見れば、「うちは対象なのか」「どの職員を確認するのか」「何をいつまでに準備するのか」「就業規則や社内規程まで変える必要があるのか」など、実務になると分かりにくい部分も少なくありません。そして大切なのは、日本版DBSは単に「性犯罪歴を確認する制度」ではないということです。子どもへの性暴力を防ぐために、事前の防止。職員への周知・研修。相談できる体制。問題が疑われたときの対応。重要な情報の適切な管理。まで含めて、事業者としての仕組みを整える制度です。第1話では、細かな制度説明に入る前に、👉「では、事業者は今、何から始めればよいのか」を整理します。 日本版DBSは2026年12月25日に始まります こども性暴力防止法は、2024年6月に成立し、2026年12月25日に施行されます。ここまでの間に、制度の詳細を定める政令・内閣府令、ガイドライン、Q&A、各種ひな型などが順次公表されてきました。そして現在は、施行に向けた具体的な準備段階に入っています。すでに今、もう「制度が始まってから考えればよい」という時期ではありません。特に義務対象となる事業者では、施行前から職員や組織の体制を整理しておく必要があります。 最初に確認したいのは「自分の事業がどう関係するか」 日本版DBSへの対応を考えるとき、いきなり規程を作り始める必要はありません。最初に確認したいのは、👉「自分の事業が、この制度とどのように関係するのか」です。日本版DBSには、法律上対応が求められる事業者と、認定制度を利用することができる民間教育保育等事業者があります。施設名だけを見て判断するのではなく、どの事業を行っているのか。誰が子どもと接するのか。どのような業務をしているのか。を整理することが第一歩です。対象事業者については、第4話で詳しく取り上げます。 施行前に準備したい5つのこと では、対象となる事業者では何を準……