12.観光事業としての古民家活用を考える

12.観光事業としての古民家活用を考える

~利用者にとって「また来たい場所」になるために~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
地域に愛される古民家活用とは
として、古民家を地域の中でどう残していくかについて考えました。

今回は、少し視点を変えます。
古民家宿。
古民家カフェ。
体験施設。
交流スペース。
利用する人は、その建物に何を期待して訪れるのでしょうか。
今回考えたいのは、
👉 古民家を「何に使うか」ではなく、「そこでどんな時間を過ごしてもらうか」
という視点です。

古民家だから選ばれるとは限らない

古い梁。
土壁。
縁側。
昔ながらの建具。
長い年月を重ねた木の質感。
こうしたものは、古民家ならではの魅力です。
ただし、
「古民家です」
というだけで、利用者に選ばれ続けるとは限りません。
利用者が感じるのは、
落ち着けたか。
居心地がよかったか。
大切な人とよい時間を過ごせたか。
その場所ならではの記憶が残ったか。
ということです。
👉 建物の古さは魅力の入口であって、利用者が持ち帰る価値そのものではありません。

「昔ながら」と「使いにくい」は同じではない

古民家らしさを残そうとすると、
できるだけ手を加えたくない
という気持ちも出てきます。
しかし、
古いこと。
不便なこと。
使いにくいこと。
は同じではありません。
例えば、
冬に極端に寒い。
館内が暗すぎる。
段差が分かりにくい。
トイレが使いづらい。
案内が分からない。
こうしたことまで、
「古民家だから仕方がない」
としてしまうと、利用者にとっては魅力ではなく負担になります。
残したいものは残す。
安心して過ごすために必要な部分は整える。
👉 古民家らしさを守ることと、利用者に我慢を求めることは別です。

記憶に残るのは「そこで過ごした時間」

利用者が後から思い出すのは、建物の築年数だけではありません。
縁側で朝を過ごした。
静かな部屋で家族と話した。
古い梁を眺めながら食事をした。
庭を見ながらお茶を飲んだ。
建物の由来を聞いた。
そうした時間が、
「また行きたい」
という気持ちにつながります。
だからこそ、
設備や内装だけではなく、
利用者がどのようにその場所で時間を過ごすか
を考えることが大切です。

写真だけでは伝わらない魅力もある

古民家は写真との相性がよい建物です。
一方で、
木の香り。
音の響き。
朝や夕方の光。
建物の静けさ。
季節ごとの空気。
といった魅力は、現地に行かなければ分かりません。
だからこそ、
「写真で見たよりよかった」
と思ってもらえる場所にしたいものです。
見た目だけではなく、
実際にそこで過ごした人がどう感じるか
を考えることが大切です。

今日の実務ワンポイント

古民家を活用するときは、
一度、利用者になったつもりで建物を見てみてください。
入口に着いたとき。
建物に入ったとき。
席や部屋で過ごすとき。
トイレを使うとき。
帰るとき。
それぞれの場面で、
「分かりにくくないか」
「落ち着けるか」
「不安を感じないか」
「その場所らしさを感じられるか」
を確認します。
👉 建物を見るだけでなく、「そこで過ごす人の時間」を見ることが大切です。

まとめ

古民家には、新しい建物にはない魅力があります。
ただし、
古い。
珍しい。
雰囲気がある。
というだけでは、選ばれ続ける理由にはなりません。
大切なのは、
どんな時間を過ごせるのか。
どんな気持ちになれるのか。
何を思い出として持ち帰れるのか。
ということです。
👉 古民家を残すだけでなく、利用者の記憶に残る場所にする。
それが、観光事業として古民家を考えるうえで大切な視点だと思います。

今日のチェックポイント

□ 古民家らしさを残す部分が明確になっている
□ 利用者に不便を押し付けていない
□ 初めて来た人でも利用しやすい
□ 安心して過ごせる環境になっている
□ 写真だけでは伝わらない魅力がある
□ 「また来たい」と思える時間を考えている
まずは、
「この場所に来た人に、どんな気持ちで帰ってほしいか」
を考えてみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、さまざまな宿泊施設や観光地を見てきました。
そこで感じるのは、
旅行者の記憶に残るのは、必ずしも豪華な設備や大きな施設ではないということです。
小さな宿でも。
古い建物でも。
そこで心地よい時間を過ごせれば、その場所は記憶に残ります。
一方で、建物に魅力があっても、不便さばかりが残れば、
「一度行けば十分」
になってしまうこともあります。
古民家では、
残すべき古さと、改善すべき不便さを分けて考えること
が大切です。
行政書士として許認可を支援するときも、手続だけではなく、
その建物が実際にどのように使われるのか
を見ることが重要だと考えています。

Q&A|利用者から考える古民家活用

Q1.古民家は、できるだけ昔のまま残した方がよいのでしょうか。
すべてを昔のまま残す必要はありません。
建物の魅力を残しながら、安全性や使いやすさなど、利用者が安心して過ごすために必要な部分は整えることが大切です。

Q2.設備を新しくすると古民家らしさが失われませんか。
必要な設備を整えながら、
梁。
建具。
庭。
間取り。
など、その建物らしい部分を活かす方法を考えます。
「新しくしないこと」が古民家活用ではありません。

Q3.利用者にとって魅力的な古民家にするには何が重要ですか。
まず、
「この場所でどのような時間を過ごしてほしいか」
を考えることです。
宿泊、飲食、体験のいずれでも、
落ち着ける。
その場所らしさを感じられる。
また来たいと思える。
という時間を意識することが大切です。

次回予告

次回は、
古民家カフェだけでは厳しい理由
について考えてみたいと思います。
古民家カフェは、建物そのものに魅力があり、古民家活用の入口としても人気があります。
しかし、
魅力のある場所をつくることと、
その事業を長く続けることは同じではありません。
改修費。
維持費。
人件費。
光熱費。
客単価。
営業時間。
などを考えると、カフェだけの売上で古民家を維持することが難しい場合もあります。
次回は、
👉 利用者に選ばれる場所を、どう持続できる事業にしていくのか
という視点から考えます。

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クイズ!利用者にとってまた来たい古民家活用とは

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。