古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには|第7話

古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには|第7話

~地域の人にも観光客にも選ばれる店づくり~

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには
について考えました。
古民家カフェを安心して営業するためには、
駐車や駐輪。
話し声や音。
排気やにおい。
ごみの保管。
営業時間。
など、周辺で暮らす人への配慮が欠かせません。
しかし、
苦情を起こさない。
迷惑をかけない。
というだけでは、地域から応援される店にはなりません。
地域の人も利用しやすい店にする。
地元の食材や商品を紹介する。
地域の行事や観光資源とつながる。
来店した人を周辺の店や場所へ案内する。
こうした積み重ねによって、古民家カフェは、飲食を提供するだけの店から、
地域の魅力を伝える観光拠点へ育っていきます。
今回は、地域に嫌われない店ではなく
👉地域から応援される古民家カフェをつくるには何が必要か
について考えます。

観光客だけの店にしない

古民家カフェという言葉から、
遠方から訪れる観光客。
写真を撮ってSNSへ投稿する人。
休日にドライブで立ち寄る人。
を思い浮かべるかもしれません。
もちろん、観光客に来てもらうことは大切です。
しかし、観光客だけを対象にした店では、平日や閑散期の利用が安定しにくくなります。
また、地域の人から、
観光客のためだけの店。
混雑や車だけが増える店。
自分たちは入りにくい店。
と思われてしまうこともあります。
地域に長く根づくためには、
近所の人が日常的に利用できる。
一人でも入りやすい。
子どもや高齢者も利用しやすい。
地域の人が知人を連れて来られる。
という店づくりが必要です。
例えば、
平日に利用しやすいメニューを用意する。
地域の人向けの案内を店頭へ出す。
常連客の声をメニューや営業時間へ反映する。
地域の集まりに使える時間帯を設ける。
といった工夫が考えられます。
👉観光客を呼ぶ前に、地域の人が「自分たちの店」と感じられるかを考える。
ことが、地域に愛される古民家カフェの出発点です。

地元の食材や商品を「物語」として伝える

地域とのつながりを作る方法として、地元の食材や商品を使うことが挙げられます。
地元で採れた野菜。
地域の果物。
近隣のパンや菓子。
地元の工芸品。
地域で作られた調味料や加工品。
こうしたものをメニューや店内販売へ取り入れることで、古民家カフェが地域の魅力を紹介する場になります。
ただし、
「地元産を使っています」
という表示だけでは、十分に魅力が伝わらないことがあります。
どこで作られているのか。
誰が作っているのか。
どのような思いがあるのか。
なぜこの店で提供しているのか。
ここまで紹介すると、商品に地域の物語が加わります。
店内の小さな案内。
メニューへの一言。
生産者を紹介するカード。
スタッフからの短い説明。
などでも構いません。
旅行業の現場でも、旅行者の記憶に残るのは、商品そのものだけではありません。
その土地で出会った人。
そこで聞いた話。
地域ならではの背景。
が、旅の印象を作ります。
👉古民家カフェは、地域の商品を売る場所ではなく、その背景を伝える場所にもなれます。

店の中で完結させず、周辺へ人をつなぐ

観光拠点というと、大きな観光案内所や施設を想像するかもしれません。
しかし、古民家カフェにもできることがあります。
近くの寺社。
古い町並み。
散策路。
農産物直売所。
地域の商店。
小さな美術館や資料館。
季節の花や景色。
地域のイベント。
などを、来店客へ案内することです。
例えば、
店内に周辺案内を置く。
おすすめの散策コースを紹介する。
近隣店舗のチラシを置く。
地域の商品を販売する。
季節の行事をSNSで紹介する。
といった方法があります。
大切なのは、自分の店だけで来店客の時間と消費を囲い込まないことです。
古民家カフェを訪れた人が、周辺を歩き、別の店にも立ち寄り、地域全体を楽しむ。
その流れが生まれることで、近隣の事業者からも歓迎されやすくなります。
👉店に人を集めるだけでなく、店から地域へ人を送り出す。
ことが、観光拠点としての大切な役割です。

地域の行事や活動とは無理のない範囲でつながる

地域との関係を深めるために、
祭り。
マルシェ。
文化行事。
地域清掃。
防災活動。
学校や福祉施設の催し。
などへ参加する方法もあります。
ただし、開業直後から何でも引き受けると、店の負担が大きくなります。
古民家カフェ本来の営業が不安定になっては、地域との関係も長続きしません。
最初は、
地域行事の案内を店内へ置く。
イベントの日に限定メニューを用意する。
地域の商品を一部取り扱う。
店の前の清掃を丁寧に行う。
近隣の人へ営業日や催しを伝える。など
👉小さな関わりから始めてもよいでしょう。
地域連携は、一度に大きなイベントを行うことではありません。
👉無理なく続けられる関係を少しずつ作ることです。

近隣からの意見を店づくりに生かす

近隣から寄せられる声は、苦情だけではありません。
この時間帯は車が多い。
店の前が暗い。
案内看板が分かりにくい。
地元の人向けのメニューがあると利用しやすい。
この地域には、こんな歴史や名物がある。
といった意見が、店を改善するヒントになることがあります。
すべての要望へ応える必要はありません。
しかし、
誰が意見を受けるのか。
内容をどのように記録するのか。
どこまで店の運営へ反映するのか。
を決めておくと、地域との対話を続けやすくなります。
特に、開業した側には見えにくい地域の日常があります。
登下校の時間。
ごみ収集の時間。
道路が混雑する時間帯。
地域行事の日程。
近隣住民が大切にしている風景。
などです。
👉地域の声は、店を制限するものではなく、地域に合った営業へ近づける材料にもなります。

古民家そのものの歴史を伝える

古民家カフェの大きな魅力は、建物そのものにあります。
いつ頃建てられたのか。
以前は誰がどのように暮らしていたのか。
どの部分を残したのか。
どのように改修したのか。
地域でどのような役割を持っていたのか。
こうした背景を伝えることで、建物は単なる内装や撮影場所ではなくなります。
ただし、所有者や以前の居住者に関する情報を紹介する場合は、プライバシーへの配慮も必要です。
確認できる範囲で、
建物の年代。
構造や意匠。
残した柱や梁。
地域の暮らしとの関係。
などを紹介するとよいでしょう。
古民家の歴史と地域の歴史がつながることで、来店客が周辺にも関心を持つきっかけになります。

集客と地域への配慮を両立させる

SNSやメディアで紹介されると、短期間に多くの人が訪れることがあります。
古民家カフェにとっては喜ばしいことですが、
駐車場が足りない。
店の前に行列ができる。
住宅地へ人が入り込む。
写真撮影のために私有地へ入る。
店外で大きな声を出す。
といった問題が起きる可能性もあります。
そのため、発信するときは、
公共交通機関での来店方法。
利用できる駐車場・駐輪場。
満席時の待ち方。
撮影してよい場所。
近隣の私有地へ入らないこと。
店外での会話や喫煙へのお願い。
なども一緒に伝えます。
多くの人に来てもらうことだけが、よい集客ではありません。
地域への負担を抑えながら、店と周辺を楽しんでもらうことが大切です。

今日の実務ワンポイント

店を中心に、歩いて行ける範囲の地図を一枚作ってみましょう。
そこへ、
地域の店。
寺社や史跡。
公園や散策路。
直売所。
公共交通機関。
駐車場。
地域の行事。
を書き込みます。
その中から、来店客へ紹介できる場所を三つ選びます。
👉「この店へ来た後、地域でどのように過ごしてもらいたいか」を考える。
ことが、観光拠点づくりの第一歩です。

まとめ

古民家カフェが地域に愛されるためには、近隣トラブルを防ぐだけでは足りません。
地域の人も利用しやすい店にする。
地元の食材や商品を紹介する。
古民家や地域の歴史を伝える。
来店客を周辺の店や観光資源へつなぐ。
地域の行事や活動と無理なく関わる。
近隣からの意見を店づくりに生かす。
という積み重ねが必要です。
大切なのは、
👉自分の店だけがにぎわうのではなく、店を訪れた人が地域全体へ関心を持つ流れを作ること
です。
地域の人が利用し、地域の人が紹介し、地域の事業者も応援できる。
そのような関係が生まれることで、古民家カフェは地域の魅力を伝える観光拠点へ育っていきます。

今日のチェックポイント

□ 地域の人が利用しやすい営業内容を考えている
□ 地元の食材や商品を取り入れている
□ 商品や生産者の背景を紹介している
□ 周辺の店や観光資源を案内している
□ 店から地域へ人を送り出す仕組みがある
□ 地域行事と無理のない範囲で関わっている
□ 近隣からの意見を記録している
□ 古民家の歴史や特徴を伝えている
□ 来店方法や駐車ルールを発信している
□ 集客が地域の負担にならないよう配慮している
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
地域の人が利用できること。
地域の魅力を紹介すること。
店から地域へ人をつなぐこと。
の三つから始めてみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、さまざまな観光地や宿泊施設を見てきました。
長く人が訪れる地域には、有名な観光施設だけではなく、地域の人と旅行者をつなぐ小さな場所があります。
そこで地域の話を聞く。
地元の商品を知る。
次に訪れる場所を教えてもらう。
地域の人と短い会話を交わす。
そうした体験が、その土地の印象として残ります。
古民家カフェも、そのような役割を担うことができます。
ただ飲食を提供するだけでなく、
地域の入口になる。
地域の魅力を伝える。
周辺へ人をつなぐ。
地域の人にも利用される。
という店づくりです。
行政書士としてお手伝いしたいのは、飲食店営業許可などの手続だけではありません。
保健所や消防署との相談。
古民家改修前の確認。
必要となる許可の整理。
近隣への配慮。
地域と連携する事業内容の確認。
を、計画段階から整理することです。
手続や調整の負担を減らし、事業者が料理や接客、地域との関係づくりに専念できる状態をつくる。
それが、古民家カフェの開業と運営を支える行政書士の役割だと考えています。

Q&A|地域に愛される古民家カフェ

Q1.観光地ではない地域でも、観光拠点になれますか。
A 有名な観光名所がなくても、地域の食、歴史、景観、暮らしを紹介する場所になることはできます。
来店客へ周辺の散策場所や地域の店を案内するなど、小さな取組から始めることができます。

Q2.地元の商品を店内で販売する場合、許可は必要ですか。
A 販売する商品の種類や販売方法によって、確認すべき内容が異なります。
食品を製造・加工する場合や、酒類を販売する場合などは別の許可や手続が関係することがあるため、取扱いを決める前に確認することが大切です。

Q3.地域イベントを古民家カフェで開催する場合、何に注意しますか。
A 参加人数、飲食の提供、営業時間、音、駐車場、避難経路、消防設備などを確認します。
通常営業と異なる使い方をする場合は、保健所や消防署などへの事前相談が必要になる可能性があります。

次回予告

次回は、
宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点
について考えてみたいと思います。
古民家を活用する方法は、
宿泊施設かカフェのどちらか一つとは限りません。
古民家宿で朝食を提供する。
宿泊者以外にもカフェを開放する。
昼はカフェ、夜は宿として利用する。
地域イベントの際に食事を提供する。
といった形で、
宿泊と飲食を組み合わせることも考えられます。
しかし、
旅館業許可があれば食事を自由に提供できる。
飲食店営業許可があれば宿泊者を受け入れられる。
というわけではありません。
旅館業許可と飲食店営業許可は、
それぞれ別の基準と手続に基づく許可です。
さらに、
厨房設備。
客席。
宿泊者と一般利用者の動線。
避難経路。
消防設備。
営業時間。
などを、施設全体で考える必要があります。
次回は、
👉古民家で宿泊とカフェを組み合わせる場合に、旅館業許可と飲食店営業許可をどのように整理するか
について、旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えます。

\ 古民家・空き家を「壊す」のではなく「活かしたい」方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・古民家を宿として活用したい
・空き家を観光資源として活かしたい
・古民家カフェを始めたい
・旅館業許可や飲食店営業許可について相談したい
・保健所や消防署への相談に不安がある
といったお悩みに対し、
旅行業界での37年の現場経験と、
行政書士としての法務視点を踏まえてサポートしています。
古民家や空き家は、
地域に残された大切な資源です。
👉「壊す」のではなく「活かす」
その一歩を法務の面から支えることが、
行政書士としての私の役割だと考えています。
旅館業許可、民泊、飲食店営業許可、消防署・保健所との事前相談など、古民家・空き家活用に必要な手続を、計画段階から実務に合わせて伴走いたします。
古民家や空き家は、
建物の状態、営業内容、必要な許可、相談範囲が物件ごとに異なります。
そのため、当事務所では、
ご相談内容と必要な支援を確認したうえで、
個別にお見積りをご案内しています。

▼ ご相談はこちら
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ―
古民家活用のご相談はこちら
相談から正式依頼までの流れ
お問い合わせフォーム
また、古民家カフェの開業を検討している方へ、
古民家カフェ開業前チェックシート
~物件契約・改修工事の前に確認したい項目~
無料で進呈しております。
物件の立地や建物の状況、保健所・消防署への相談、必要な許可、近隣への配慮など、開業準備で確認したい項目をまとめたチェックシートです。
👉物件を購入・契約した後や、改修工事を始めた後に慌てないために、まずは現在の計画を整理してみませんか。
チェックシート(無料)のご請求は、
お問い合わせフォームより承っております。

クイズ!古民家カフェを地域に愛される観光拠点にするには

読み込み中…

前回 古民家カフェ開業で近隣トラブルを防ぐには|第6話
次回 宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点|第8話

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。