空き家活用で失敗する人の共通点|第9話

空き家活用で失敗する人の共通点|第9話

~契約・購入・改修の前に確認したいこと~

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点
として、
宿泊と飲食を別々に考えるのではなく、建物全体の使い方や動線、許認可を早い段階から一体で考えることの大切さをお伝えしました。
では、そもそも空き家や古民家を活用するとき、
どの段階で判断を誤りやすいのでしょうか。
古民家宿。
古民家カフェ。
地域交流施設。
体験型観光施設。
空き家には、さまざまな活用方法があります。
一方で、
「建物の雰囲気が気に入った」
「安く購入できた」
「補助金が使えそうだ」
「地域のためになりそうだ」
という思いだけで進めると、後から想定外の問題が見つかることがあります。
今回のポイントは、
👉 空き家活用で失敗しやすいのは、手続を知らないことよりも、「何をしたいか」を決める前に物件や改修を先に進めてしまうことです。

物件を先に決めてしまう

気に入った古民家を見つけると、
「ここで宿をやりたい」
「カフェにしたい」
と思うかもしれません。
しかし、
その建物で希望する事業ができるかどうか
は別の問題です。
宿泊。
飲食。
地域交流。
体験施設。
用途が変われば、必要な確認も変わります。
そのため、
何をしたいのか。
誰に利用してもらいたいのか。
その事業に必要な条件は何か。
を整理してから物件を見る方が安全です。
👉 「この物件で何をするか」ではなく、「やりたい事業にこの物件が合うか」で考えます。

「安い」「補助金がある」だけで判断しない

空き家は、取得価格だけを見ると魅力的に見えることがあります。
しかし実際には、
改修。
設備。
消防対応。
許認可対応。
開業準備。
などに費用がかかることがあります。
また、
「補助金が使えるならやってみよう」
という考え方にも注意が必要です。
補助金は事業を成立させるものではありません。
採択されないこともあります。
自己負担もあります。
対象外となる経費もあります。
大切なのは、
補助金がなくても、その事業をやりたいのか。
開業後も続けられる見通しがあるのか。
を先に考えることです。
👉 補助金や安さは「始める理由」ではなく、事業を実現するための条件の一つです。

開業できるかだけでなく、続けられるかを見る

空き家活用では、
物件を見つける。
改修する。
許可を取る。
オープンする。
というところまでに意識が向きがちです。
しかし、本当に重要なのはその後です。
家賃や借入返済。
光熱費。
人件費。
広告費。
修繕費。
など、開業後も費用は続きます。
古い建物ほど、予想外の修繕が発生する可能性もあります。
そのため、
「開業できる資金」と「事業を続けられる資金」は分けて考える
必要があります。

「地域のためになる」と「利用される」は別

古民家や空き家を、
地域の交流拠点にしたい。
観光客に来てもらいたい。
地域を元気にしたい。
という思いはとても大切です。
ただし、
「地域に必要だと思う」
ことと、
「実際に利用してもらえる」
ことは同じではありません。
誰が利用するのか。
どのくらい利用するのか。
いくらなら利用してもらえるのか。
どうやって知ってもらうのか。
まで考える必要があります。
👉 想いを事業として続けるには、利用する人を具体的に考えることが大切です。

今日の実務ワンポイント

気になる空き家を見つけたら、契約や購入の前に次の4つを確認してみましょう。

  1. 何に使いたいのか
  2. 誰に利用してもらうのか
  3. その物件で本当に実現できるのか
  4. 開業後も続けられる資金計画になっているか
    これだけでも、判断の順番はかなり整理できます。

まとめ

空き家活用で失敗する原因は、
手続を知らないことだけではありません。
物件を決めてから事業を考える。
補助金を見つけてから事業を考える。
開業してから資金繰りを考える。
という、
判断の順番の逆転
にあることが少なくありません。
👉 「この建物をどう使うか」ではなく、「どんな事業を続けたいのか。そのためにこの建物は合っているか」
という順番で考えてみてください。

今日のチェックポイント

□ 何に使うのか決めている
□ 誰に利用してもらうのか考えている
□ 契約前に用途や許認可を確認している
□ 改修費を概算している
□ 補助金なしでも事業が成立するか考えている
□ 開業後の運転資金を見込んでいる
□ 地域で実際に利用されるか考えている
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
何をしたいのか。
誰に使ってもらうのか。
その建物で本当にできるのか。
の三つから整理してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、さまざまな宿泊施設や観光地を見てきました。
古い建物だから魅力がない。
新しい建物だから成功する。
というものではありません。
古民家や空き家には、新築ではつくれない雰囲気や地域との物語があります。
ただ、
建物の魅力と、事業として続けられることは別です。
行政書士として大切にしたいのは、
許可申請だけを見るのではなく、
何をしたいのか。
その物件で実現できるのか。
どの段階で行政へ相談するのか。
を早い段階で整理することです。
空き家を「壊さず活かす」ためには、
想いを続けられる事業に変えること
が必要だと考えています。

Q&A|空き家活用で失敗する人の共通点

Q1.気に入った古民家を先に購入しても大丈夫ですか。
できれば、購入前に活用方法をある程度決めておくことをおすすめします。
宿泊、飲食、店舗など、用途によって必要な確認や設備が変わるためです。
Q2.補助金が使えるなら事業を始めてもよいですか。
補助金だけを理由に判断するのはおすすめできません。
補助金がなくても事業として成立するか、開業後も続けられるかを先に考えることが大切です。
Q3.行政への相談は改修後でも大丈夫ですか。
できるだけ早い段階で相談する方が安全です。
宿泊や飲食などでは、保健所、消防、建築関係部署などへの確認が必要になることがあります。

次回予告

次回は、
古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁
について考えてみたいと思います。
古民家の魅力を残しながら活用したくても、
消防。
避難。
建築。
用途変更。
など、安全面から確認しなければならないことがあります。
次回は、
👉 契約や本格改修の前に、なぜ消防・建築の確認が重要なのか
を整理します。

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行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
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👉「壊す」のではなく「活かす」
その一歩を法務の面から支えることが、行政書士としての私の役割だと考えています。
旅館業許可、民泊、飲食店営業許可、消防署・保健所との事前相談など、古民家・空き家活用に必要な手続を、計画段階から実務に合わせて伴走いたします。
古民家や空き家は、建物の状態、営業内容、必要な許可、相談範囲が物件ごとに異なります。
そのため、当事務所では、ご相談内容と必要な支援を確認したうえで、個別にお見積りをご案内しています。

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クイズ!空き家活用で失敗する人の共通点

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前回 8.宿泊と古民家カフェを組み合わせるときの注意点
次回 10.古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。