古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁|第10話

古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁|第10話

~契約・本格改修の前に確認したいこと~

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
空き家活用で失敗する人の共通点
として、
物件を先に決める。
補助金を見てから事業を考える。
開業してから資金繰りを考える。
といった、
判断の順番が逆になることの危険性
についてお伝えしました。

今回は、その中でも古民家や空き家の活用で特に見落としやすい、
消防と建築
について考えます。
古民家宿。
古民家カフェ。
飲食店。
地域交流施設。
体験施設。
古い建物には、新しい建物にはない魅力があります。
しかし、
「今まで住宅として使えていたから、そのまま宿や店にできる」
とは限りません。
今回のポイントは、
👉 古民家の魅力を残すためにも、契約や本格改修の前に消防・建築の確認をする
ということです。

住宅として使える建物と、事業に使える建物は同じではない

空き家や古民家の多くは、もともと住宅として建てられています。
それを、
宿泊施設。
飲食店。
店舗。
などに使うと、建物の「用途」が変わります。
用途が変われば、
避難。
防火。
構造。
設備。
など、確認すべき基準も変わる可能性があります。
国土交通省は、200㎡以下の特殊建築物では用途変更時の建築確認手続が不要となる場合がある一方で、
建築確認が不要でも、建築基準法や消防法に適合しなくてよいわけではない
と注意を促しています。
ここは特に誤解しやすいところです。
👉 「確認申請がいらない」と「確認する必要がない」は別です。

古民家では消防設備が後から増えることがある

古民家を宿泊施設や飲食店として活用する場合、用途や規模、建物の状況によって、
消火器。
自動火災報知設備。
誘導灯・誘導標識。
非常警報設備。
などの消防用設備が必要になることがあります。
消防庁も、古民家を宿泊施設・飲食店・物販店として活用する事業者向けに、消防用設備等についての案内を公開しています。
問題は、
改修工事がほぼ終わってから消防署へ相談する
というケースです。
設備の追加だけならまだしも、
配線。
壁や天井。
避難経路。
出入口。
などに関係すると、工事のやり直しにつながることもあります。
だからこそ、
👉 図面を作る段階で消防署へ相談する
ことが重要です。

建築では「昔からある建物」だからこその確認が必要

古民家では、
建築確認関係の書類が見つからない。
増築の履歴が分からない。
現在の図面と実際の建物が違う。
ということもあります。
既存建築物を用途変更する場合、国土交通省も現況調査の重要性を示しており、既存不適格建築物については一定の緩和措置もありますが、
👉まず現在の建物の状態を確認することが前提になります。
そのため、「古いから仕方がない」
ではなく、
現在どのような建物なのか。
いつ建てられたのか。
増改築されているか。
どの用途へ変更したいのか。
を整理します。
必要に応じて、
建築士。
行政の建築担当部署。
消防署。
などと連携しながら確認していくことになります。

市街化調整区域など、場所による確認もある

建物そのものだけでなく、
その場所で希望する事業ができるか
も確認が必要です。
例えば、市街化調整区域では、空き家や古民家を宿泊・飲食施設などへ用途変更する場合に、別途許可の検討が必要になることがあります。
国土交通省も、観光振興などを目的とした古民家・空き家活用について、市街化調整区域での用途変更許可の運用を示しています。
つまり、
建物が魅力的。
消防設備を付けられる。
というだけで終わりではありません。
👉 建物と立地の両方を見る必要があります。

今日の実務ワンポイント

気になる古民家や空き家を見つけたら、本格改修の前に次の順番で確認してみましょう。
1.何に使うのか
2.建築上その用途で使えるか
3.消防上どんな設備が必要か
4.改修計画にその内容を反映できるか
そして、
保健所。
消防署。
建築担当部署。
への相談が必要なら、工事前に行います。
👉 「工事が終わってから確認」ではなく、「確認してから工事」が基本です。

まとめ

古民家や空き家は、
建物の雰囲気。
昔ながらの間取り。
木の温もり。
地域との歴史。
そのものが魅力です。
だからこそ、
消防設備や建築基準への対応によって、その魅力をできるだけ損なわないためにも、
早い段階で確認すること
が大切です。
後から、
設備を追加する。
壁を壊す。
避難経路を変更する。
となれば、費用も時間もかかります。
👉 古民家活用では、消防・建築を「最後に確認する手続」ではなく、「最初の事業計画の一部」として考える。
これが今回お伝えしたいポイントです。

今日のチェックポイント

□ 建物を何に使うか決めている
□ 用途変更の有無を確認している
□ 建築確認が必要か確認している
□ 建築確認不要でも法適合を確認している
□ 増改築の履歴を確認している
□ 消防署へ事前相談している
□ 必要な消防設備を把握している
□ 避難経路を確認している
□ 改修見積りに消防・建築対応を入れている
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
「この建物を何に使いたいのか」
を明確にして、契約・改修前に必要な確認先を整理してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、多くの宿泊施設や観光地を見てきました。
古民家の魅力は、
新しく作ろうとしても簡単には再現できないものです。
しかし、その魅力を残したいという思いが強いほど、
「できるだけ建物を触りたくない」
と考えることもあると思います。
だからこそ、
改修を始める前の確認が重要です。
行政書士としてできるのは、
旅館業許可や飲食店営業許可だけを見ることではありません。
事業内容を整理する。
行政への相談先を確認する。
消防署や保健所との事前相談につなぐ。
必要に応じて建築士などの専門家と連携する。
その順番を整えることです。
古民家を壊さず活かすためにも、
許可・消防・建築を別々に考えず、最初から一つの計画として考える
ことが大切だと思います。

Q&A|古民家活用と消防・建築

Q1.200㎡以下なら用途変更の確認は不要ですか。
建築確認手続が不要となる場合はあります。
ただし、建築確認が不要だからといって、建築基準法への適合確認まで不要になるわけではありません。
用途や建物の状況によって確認すべき内容が異なるため、事前に建築担当部署や建築士へ確認することをおすすめします。

Q2.消防署への相談は改修工事の後でも大丈夫ですか。
できるだけ工事前に相談することをおすすめします。
用途や規模によって必要な消防設備が変わり、設備の追加が配線・壁・避難経路などに影響する場合があるためです。

Q3.古民家なら消防設備の基準は緩くなりますか。
古民家だから一律に基準が免除されるわけではありません。
一方で、消防庁では一般住宅を宿泊施設や飲食店等として活用する場合について、建物の状況に応じた技術上の基準の特例に関する取扱いも示しています。具体的な適用は管轄消防署への確認が必要です。

次回予告

次回は、
地域に愛される古民家活用とは
について考えてみたいと思います。
消防。
建築。
許認可。
こうした条件をクリアしても、
建物を活用できればそれで成功
というわけではありません。
古民家宿。
カフェ。
地域交流施設。
観光施設。
として長く続けていくためには、
地域住民。
利用者。
周辺事業者。
との関係も重要になります。
次回は、
👉 古民家を「建物として残す」だけでなく、地域に必要とされる場所として残すには何が大切か
を考えます。

\ 古民家・空き家を「壊す」のではなく「活かしたい」方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・古民家を宿として活用したい
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といったお悩みに対し、旅行業界での37年の現場経験と、行政書士としての法務視点を踏まえてサポートしています。
古民家や空き家は、地域に残された大切な資源です。
👉 「壊す」のではなく「活かす」
その一歩を法務の面から支えることが、行政書士としての私の役割だと考えています。
旅館業許可、民泊、飲食店営業許可、消防署・保健所との事前相談など、古民家・空き家活用に必要な手続を、計画段階から実務に合わせて伴走いたします。
古民家や空き家は、建物の状態、営業内容、必要な許可、相談範囲が物件ごとに異なります。
そのため、当事務所では、ご相談内容と必要な支援を確認したうえで、個別にお見積りをご案内しています。

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クイズ!古民家活用で見落としやすい消防と建築の壁

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。