観光ビジネスを始める前に整理したいこと|誰に何を提供する?|第1話

観光ビジネスを始める前に整理したいこと|誰に何を提供する?|第1話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

今回から、新シリーズ
観光ビジネスを形にする実務
~旅行業・宿泊・体験・地域連携から考える~
を始めます。
観光ビジネスというと、
旅行会社。
ホテル・旅館。
飲食店。
体験施設。
観光案内。
など、それぞれ別の業種を思い浮かべるかもしれません。
しかし実際の旅行では、
泊まる。
食べる。
移動する。
体験する。
地域を歩く。
買い物をする。
といったさまざまなサービスがつながっています。
そして、その組み合わせ方によって、
「旅行業にあたるのか」
「どんな許認可が必要なのか」
「誰が販売するのか」
「どこで収益を得るのか」
も変わってきます。
そこで第1話では、いきなり法律や許認可から入るのではなく、
👉 観光ビジネスを始める前に、「誰に、何を、誰が、どう提供するのか」を整理する
ところから考えてみたいと思います。

観光ビジネスは「何を売るか」だけでは決まらない

たとえば、
古民家に泊まる。
地域の料理を楽しむ。
地元をガイドと歩く。
観光船に乗る。
伝統文化を体験する。
こうした一つ一つも観光サービスになります。
さらに、
宿泊+体験
食+まち歩き
交通+観光
宿泊+地域ツアー
のように組み合わせることで、一つの観光商品になることもあります。

まず「業種」ではなく「旅行者の体験」から考える

最初から、
「旅行会社をつくろう」
「体験施設を始めよう」
と業種だけを決めるのではなく、
旅行者にどんな時間を過ごしてもらいたいのか
から考えてみます。
たとえば横浜でも、
港。
歴史。
街歩き。
食。
クルーズ。
地域文化。
など、さまざまな観光資源があります。
それらを誰に、どのように楽しんでもらうのか。
ここから観光ビジネスの形が見えてきます。

最初に整理したい「誰に・何を」

観光事業を考えるときには、
まず二つを明確にします。

誰に来てもらいたいのか

たとえば、
家族旅行。
シニア層。
若い個人旅行者。
企業や団体。
学校。
訪日外国人旅行者。
では、求めるサービスが違います。
すべての人を対象にするより、
「誰に来てもらいたいのか」
をある程度イメージした方が、商品を考えやすくなります。

何を提供したいのか

次に、
その人に何を体験してもらうのかを考えます。
宿泊なのか。
食なのか。
地域体験なのか。
移動なのか。
ガイドなのか。
それとも複数を組み合わせるのか。
👉 「誰に」と「何を」が決まると、必要な人・場所・事業者・許認可も見えやすくなります。

自社でやることと他社に任せることを分ける

観光ビジネスは、すべてを一社で行う必要はありません。
たとえば、
宿泊は旅館。
食事は地域の飲食店。
体験は地元事業者。
移動は交通事業者。
旅行商品の販売は旅行会社。
というように、それぞれの専門事業者が連携することもできます。
「誰が提供するか」を整理する
ここで重要なのが、
誰が何を提供するのか
です。
自社が提供するのか。
他社へ依頼するのか。
他社の商品を紹介するだけなのか。
自社がまとめて販売するのか。
この違いによって、事業の形も変わります。
👉 観光ビジネスでは、「何をするか」だけでなく、「誰がするか」まで整理することが大切です。

組み合わせ方によって許認可が関係することがある

観光事業を形にしていくと、
許認可の確認が必要になる場面があります。
たとえば、
宿泊。
飲食。
旅行商品の企画・販売。
送迎。
などです。
「セットにする」と確認事項が変わることもある
体験だけを提供する場合と、
宿泊や交通などを組み合わせて販売する場合では、
確認すべき内容が変わることがあります。
特に、
他社の宿泊や交通を手配する。
複数のサービスを旅行商品として販売する。
といった場合には、旅行業法との関係も確認する必要があります。
ただし、
「宿泊+体験なら必ず旅行業」
というように、単純に組み合わせだけで判断するものでもありません。
誰が契約するのか。
誰が手配するのか。
誰が代金を受け取るのか。
など、実際の事業の仕組みから確認します。
👉 面白い観光企画ができたら、販売を始める前に「どんな手続が関係するのか」を確認することが大切です。

「誰がお金を受け取るか」まで考える

観光客が来れば、それだけでビジネスになるわけではありません。
事業として続けるには、
どこで収益を生むのか
も考える必要があります。
何の対価としてお金を受け取るのか
たとえば、
宿泊代。
体験料。
旅行代金。
企画料。
手数料。
販売手数料。
などがあります。
さらに地域の複数事業者が連携するなら、
誰が予約を受けるのか。
誰が旅行者から代金を受け取るのか。
各事業者へどう支払うのか。
も整理します。
この部分が曖昧なままだと、
良い企画はできても、
継続できる事業
にはなりません。

地域連携は「一緒にやりましょう」で終わらせない

観光ビジネスでは、
宿泊施設。
飲食店。
交通事業者。
体験事業者。
観光協会。
DMO。
自治体。
など、さまざまな関係者が連携することがあります。
地域の魅力を組み合わせられることは、大きな強みです。
しかし、
「みんなで地域を盛り上げよう」
だけでは、実際の事業は動きません。

役割を決める

誰が企画するのか。
誰が販売するのか。
誰が予約を受けるのか。
誰が代金を受け取るのか。
トラブルが起きた場合に誰が対応するのか。
まで整理して初めて、連携が事業になります。
👉 地域連携では、人を集めるだけでなく「役割をつなぐ」ことが重要です。

今日の実務ワンポイント

観光ビジネスのアイデアがある方は、
まず一枚の紙に次の5つを書いてみてください。
① 誰に
② 何を
③ 誰が提供するのか
④ 誰が販売するのか
⑤ 誰がお金を受け取るのか
すべて決まっていなくても構いません。
むしろ、
まだ決まっていない部分を見つけること
が大切です。
👉 観光ビジネスは、いきなり許認可を調べる前に、まず事業の形を一枚にしてみましょう。

まとめ

観光ビジネスは、
旅行業。
宿泊。
飲食。
体験。
交通。
地域連携。
など、一つの業種だけで成り立つとは限りません。
さまざまなサービスを組み合わせることで、新しい観光商品をつくることができます。
一方で、
誰が提供するのか。
誰が販売するのか。
誰が代金を受け取るのか。
によって、必要な許認可や契約関係も変わってきます。
👉 観光ビジネスは、「何の許可を取るか」から始めるのではなく、
「誰に、何を、誰が、どう提供するのか」を整理するところから始まります。
まず事業の形を整理する。
そのうえで、
必要な許認可。
資金。
人。
地域との連携。
を確認していく。
この順番が、観光のアイデアを実際の事業へ変える第一歩です。

今日のチェックポイント

• □誰を主な顧客にするか考えている
• □何を提供するのか整理している
• □自社で行う部分を整理している
• □他社と連携する部分を整理している
• □誰が商品を販売するのか考えている
• □誰が代金を受け取るのか考えている
• □必要な許認可がありそうか確認している
• □地域事業者との役割分担を考えている
• □どこで収益を生むのか考えている
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「誰に・何を・誰が提供するか」
の3つから整理してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて感じるのは、
魅力的な観光素材があることと、それが旅行商品として成り立つことは別
だということです。
景色がきれい。
料理がおいしい。
面白い体験がある。
それだけでも地域の大切な魅力です。
しかし、事業にするためには、
誰に届けるのか。
どう販売するのか。
いくらで提供するのか。
誰と連携するのか。
まで考える必要があります。
さらに行政書士として見ると、
事業を具体化した段階で、
旅行業。
宿泊。
飲食。
送迎。
その他の許認可。
が関係することもあります。
だからこそ、
観光のアイデアと法務・許認可を別々に考えないこと
が重要だと考えています。
まず「やりたいこと」を整理し、
その事業を実際に動かすために何が必要なのかを確認する。
このシリーズでは、その順番で観光ビジネスを一つずつ形にしていきたいと思います。

Q&A|観光ビジネスを始める前に

Q1.観光事業を始めるなら、まず旅行業登録が必要か調べればよいですか?
旅行業登録の確認が必要になる事業もありますが、最初に事業内容を整理することが大切です。
何を提供するのか。
誰が手配するのか。
誰が販売するのか。
によって、旅行業法との関係も変わります。
まず事業の仕組みを整理してから、必要な許認可を確認しましょう。

Q2.観光サービスは自社ですべて提供しなければなりませんか?
その必要はありません。
宿泊、飲食、交通、体験など、地域の事業者と連携して観光商品をつくることもできます。
ただし、
誰が契約し、誰が販売し、誰が代金を受け取るのか
は明確にしておくことが重要です。

Q3.まだ観光事業のアイデア段階でも相談できますか?
はい。
むしろ、
物件契約。
大きな設備投資。
商品販売。
などを始める前に、
事業内容と必要な許認可を整理しておくことには意味があります。
「何をしたいのかは決まっているけれど、どう事業にすればよいか分からない」
という段階から整理できることもあります。

次回予告

観光ビジネスの形を整理すると、
次に気になるのが、
「これは旅行業になるのか?」
という問題です。
宿泊。
体験。
交通。
それぞれを単独で提供する場合と、
複数のサービスを組み合わせて販売する場合では、
考え方が変わることがあります。
次回は、
宿泊・体験・交通をセットで販売すると旅行業になる?|第2話
として、
・旅行業とは何か
・旅行業登録が関係する場面
・宿泊と体験の組み合わせ
・交通を含める場合
・他社の商品を手配する場合
・誰が契約・販売するのか
・旅行業登録が必要か確認するポイント
などを整理します。
👉 次回は、「旅行に関係することをしたら全部旅行業」でも、
「自社で企画したから旅行業ではない」でもなく、実際の取引の形から考えていきます。

\ 観光ビジネスを形にしたい方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
旅行業、宿泊業、飲食、地域体験など、観光ビジネスについて、
事業内容・必要な許認可・事業計画・開業までの手続を一体で整理する支援
を行っています。
例えば、
・観光ビジネスの事業内容の整理
・旅行業登録が必要かどうかの確認
・旅行業への新規参入・独立開業支援
・旅行業登録申請
・宿泊事業・旅館業許可
・観光体験や地域商品づくりに伴う許認可の確認
・行政への事前相談
・事業計画・資金計画の整理
・地域事業者との連携に伴う事業スキームの整理
など、現在の計画段階に応じて必要な支援を整理します。
観光ビジネスでは、
旅行業、宿泊、飲食、体験、移動、地域連携
がそれぞれ別々ではなく、組み合わせ方によって事業の形が変わります。
そのため当事務所では、
「どの許可を取ればよいか」
だけを見るのではなく、
誰に何を提供するのか。
誰が販売するのか。
誰が代金を受け取るのか。
どんな許認可が必要になるのか。
から一緒に整理しています。
また、必要に応じて税務、建築、労務など他の専門分野について、各専門家との連携も検討しながら進めます。
👉 観光のアイデアを、実際に販売・運営できる事業へ形にするところから整理してみませんか。

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クイズ!観光ビジネスを始める前に整理したいこと

読み込み中…


次回 宿泊・体験・交通をセットで販売すると旅行業になる?|第2話

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。