外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと|第8話

外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと|第8話

~更新時期・勤務実態・雇用管理をあいまいにしない~

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
旅館・ホテルで外国人スタッフが定着しない理由
についてお話ししました。
外国人スタッフが長く働くためには、
仕事だけでなく、
生活面の安心、
職場での相談体制、
日本人スタッフとの関係づくり、
そして在留資格への不安を減らすことが大切です。
外国人スタッフにとって、
在留資格は日本で働き続けるための土台です。
宿側から見ると、
まじめに働いてくれているスタッフであっても、
在留期限や更新時期の管理が曖昧になっていると、
思わぬところで困ることがあります。

今回のテーマは、
外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと
です。
外国人スタッフが長く働くためには、
在留資格の更新時期をきちんと確認しておくことが大切です。
在留期限はいつまでなのか。
更新準備はいつから始めるのか。
雇用契約や勤務実態は整理できているのか。
採用時と実際の業務内容にズレはないのか。
また、転職者を採用した場合、何を確認すべきなのか。
今回は、
外国人スタッフの在留資格更新で宿側が気を付けたい実務について
旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えていきます。

在留資格更新は本人だけの問題ではない

在留資格の更新は、
基本的には外国人本人に関わる手続きです。
しかし、
宿側がまったく関係ないわけではありません。
なぜなら、
就労系の在留資格では、
どこで働いているのか、
どのような業務をしているのか、
雇用契約はどうなっているのか、
勤務実態はどうか、
という点が関係してくるからです。
宿側が、
「更新は本人がやるものだから分からない」
「在留カードは採用時に見たから大丈夫」
「期限は本人が管理しているはず」
と考えていると、
更新時期になって慌てることがあります。
外国人スタッフ本人も、
制度を十分に理解しているとは限りません。
日本語での案内が難しい。
書類の準備に不安がある。
何を会社に頼めばよいか分からない。
更新時期が近づいて初めて焦る。
こうしたことは珍しくありません。

在留資格更新は、
本人だけに任せきりにするのではなく、
宿側も必要な範囲で確認することが大切です。

まず在留期限を一覧で管理する

最初に行うべきことは、
在留期限の管理です。
外国人スタッフを雇用している場合、
少なくとも次の情報は整理しておきたいところです。

【在留期限管理で確認したい項目】

・氏名
・在留資格
・在留期限
・在留カード番号
・担当業務
・雇用開始日
・雇用契約期間
・更新予定時期
・確認担当者
・次回確認日
このような一覧を作っておくと、
更新時期を見落としにくくなります。
大切なのは、
在留期限の直前に気づくのではなく、
👉早めに確認することです。
更新準備には時間がかかることがあります。
本人が書類を準備する時間。
宿側が雇用契約や勤務内容を確認する時間。
必要に応じて専門家へ相談する時間。
こうした時間を考えると、
期限直前ではなく、
余裕を持って確認しておくことが大切です。
宿側が一覧表を持っているだけで、
本人にとっても安心材料になります。
「この宿は自分の在留期限を気にしてくれている」
そう感じられる職場は、
外国人スタッフにとって働きやすい場所になります。

更新前に業務内容を確認する

在留資格更新で特に注意したいのが、
業務内容です。
採用時には、
フロント業務、
予約管理、
通訳、
海外のお客様対応、
企画・広報などを予定していた。
ところが、
実際には清掃、
配膳、
洗い場、
単純作業が中心になっている。
このような場合、
在留資格との関係で問題が生じる可能性があります。

もちろん、
宿泊業の現場では、
忙しい時間帯に他の業務を手伝うことはあります。
しかし、
👉主な業務が何なのかは重要です。
雇用契約書に書かれている業務。
本人が実際に行っている業務。
在留資格で認められる活動。
この3つにズレがないかを確認する必要があります。
更新時期は、
👉このズレを見直すよい機会です。
本人に何を任せているのか。
採用時から業務内容が変わっていないか。
今後、配置転換を予定していないか。
主な業務と補助的な業務が整理されているか。
ここを宿側も確認しておくことが大切です。

雇用契約と勤務実態を整理する

在留資格の更新では、
雇用契約と実際の勤務実態が重要になります。
雇用契約書はあるか。
契約期間はどうなっているか。
賃金は契約どおり支払われているか。
勤務時間は実態と合っているか。
社会保険や税金の手続きは整理されているか。
業務内容は契約書と合っているか。
こうした点が曖昧なままだと、
更新時に説明がしにくくなります。
宿泊業の現場では、
繁忙期と閑散期で勤務時間が変わることもあります。
シフト制で働くことも多いでしょう。
複数の業務を担当することもあります。
だからこそ、
日頃から勤務実態を整理しておくことが大切です。
更新時期になってから、
慌てて過去の勤務状況を確認するのではなく、
👉普段から記録を整えておく。
これが宿側の実務として重要です。

転職者を採用した場合は特に注意する

外国人スタッフを中途採用する場合、
つまり他の会社や宿から転職してきた人を採用する場合は、
特に注意が必要です。
前職では問題なかったから大丈夫。
同じホテル業界だから大丈夫。
在留カードがあるから大丈夫。
このように考えてしまうのは危険です。
確認すべきことは、
「今の在留資格で、
新しい宿の業務ができるのか」
という点です。
同じ宿泊業であっても、
業務内容が違えば確認が必要になることがあります。
フロント中心なのか。
通訳や海外対応が中心なのか。
接客やレストランサービスが中心なのか。
清掃や単純作業が中心なのか。
企画・広報を担当するのか。
この違いによって、
在留資格との関係で確認すべき内容が変わります。
転職者を採用するときは、
在留カードを見るだけで終わらせず、
在留資格、
在留期限、
前職での業務、
今回任せる業務、
雇用契約内容を整理することが大切です。
不安がある場合は、
👉採用前または採用後早い段階で専門家に相談することをおすすめします。

宿泊分野の特定技能では宿側の確認も重要

宿泊業で外国人スタッフを雇用する場合、
特定技能を検討することもあります。
特定技能の宿泊分野では、
旅館・ホテルの業務に従事する外国人材の受け入れが想定されています。
ただし、
特定技能は、
単に外国人を雇える制度というわけではありません。
受け入れる宿側にも、
確認すべき事項があります。

例えば、
宿泊分野では、
旅館・ホテル営業の許可を受けた事業者であることや、
宿泊分野特定技能協議会への加入など、
宿側の要件も関係します。
また、
支援計画、
登録支援機関、
届出、
雇用契約、
業務内容など、
継続的な管理が必要になります。
そのため、
特定技能の外国人スタッフを受け入れている場合は、
在留資格更新の時期だけでなく、
日頃から制度に沿った受入れができているかを確認することが大切です。
特定技能は、
採用して終わりではありません。
👉受入れ後の管理と支援が重要になります。

更新時期に確認したい実務リスト

外国人スタッフの在留資格更新が近づいたら、
宿側でも次の点を確認しておくと安心です。

【在留資格更新前の確認リスト】

・在留期限を確認した
・更新準備を始める時期を確認した
・現在の在留資格を確認した
・担当業務を整理した
・雇用契約書の内容を確認した
・実際の勤務内容と契約内容にズレがないか確認した
・賃金や勤務時間の実態を確認した
・採用時から業務内容が変わっていないか確認した
・転職者の場合、前職との違いを確認した
・必要に応じて専門家へ相談する準備をした
このリストは、
宿側のためだけではありません。
外国人スタッフ本人にとっても、
更新前に何を確認すればよいか分かりやすくなります。
更新時期は、
👉本人と宿側が一緒に状況を確認する機会でもあります。

外国人スタッフ本人にも早めに声をかける

在留資格更新では、
本人への声かけも大切です。
「在留期限はいつまでですか」
「更新準備は進んでいますか」
「会社で必要な書類はありますか」
「業務内容について不安はありませんか」
「必要であれば専門家に相談しましょう」
このように、
早めに声をかけることで、
本人は安心しやすくなります。
外国人スタッフの中には、
職場に迷惑をかけたくないと思い、
在留資格の悩みを言い出せない方もいます。
また、
日本語で説明するのが難しく、
不安を抱えたまま時間が過ぎてしまうこともあります。
宿側から声をかけることで、
本人が相談しやすくなります。
在留資格の更新は、
本人の将来に関わる大切な手続きです。
宿側が適切に関わることで、
本人の安心と定着にもつながります。

日本で働く外国人スタッフの方へ

日本で旅館・ホテルで働いている外国人スタッフの方、
これから宿泊業で働きたい外国人の方にも、
お伝えしたいことがあります。
在留期限は、
必ず自分でも確認してください。
更新の準備は、
期限が近づいてからではなく、
早めに始めることが大切です。
また、
今の仕事の内容が、
自分の在留資格に合っているかどうかも大切です。
採用されたときの仕事と、
今している仕事が大きく変わっていないか。
雇用契約書に書かれている仕事と、
実際の仕事が合っているか。
転職した場合、
新しい職場の仕事が自分の在留資格に合っているか。
こうした点に不安がある場合は、
👉一人で悩まないでください。
職場の担当者、
信頼できる専門家、
行政書士などに早めに相談することが大切です。
在留資格の更新は、
日本で安心して働き続けるための大切な手続きです。

今日の実務ワンポイント

外国人スタッフの在留資格更新で大切なのは、
期限・業務・契約の3つを確認すること
です。
在留期限はいつまでか。
実際の業務内容は在留資格に合っているか。
雇用契約と勤務実態にズレはないか。
この3つを確認しておくだけでも、
更新時期の不安はかなり減ります。
更新時期になってから慌てるのではなく、
日頃から在留期限管理表を作っておくことをおすすめします。

まとめ

外国人スタッフの在留資格更新は、
本人だけの問題ではありません。
宿側も、
在留期限、
業務内容、
雇用契約、
勤務実態、
転職時の確認などを整理しておくことが大切です。
在留カードを採用時に確認して終わりではありません。
採用後に業務内容が変わっていないか。
更新時期を把握しているか。
本人が不安を抱えていないか。
必要な書類を準備できる体制があるか。
こうした点を確認することで、
外国人スタッフも安心して働き続けることができます。
旅館・ホテルにとっても、
大切な人材を長く雇用するための土台になります。
在留資格更新を本人任せにせず、
宿側も実務として支えること。
それが、
外国人スタッフの定着と、
長く続く宿づくりにつながります。

今日のチェックポイント

□ 外国人スタッフの在留期限を一覧で管理している
□ 更新時期を早めに確認する仕組みを作った
□ 雇用契約書と実際の業務内容を確認した
□ 採用時と現在の業務にズレがないか確認した
□ 転職者を採用する場合の確認項目を整理した

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、
多くの宿泊施設と旅行者を見てきました。
👉宿泊業は、人が人を迎える仕事です。
どれほど設備が整っていても、
最後にお客様の印象を決めるのは、
現場で働くスタッフの対応です。
これからの旅館・ホテルでは、
👉外国人スタッフの存在がますます大切になると思います。
海外のお客様への対応。
多言語での案内。
異文化への理解。
地域と世界をつなぐ役割。
外国人スタッフは、
宿にとって大きな力になります。
しかし、
その力を長く活かすためには、
在留資格や更新時期を曖昧にしないことが大切です。
在留資格は、
外国人スタッフ本人の人生に関わるものです。
同時に、
宿側にとっても、
適正な雇用管理に関わる重要な実務です。
行政書士として私がお手伝いしたいのは、
単に申請書類を整えることだけではありません。
宿泊業の現場を理解し、
外国人スタッフ本人と宿側の双方が安心して働ける仕組みを整えることです。
旅館業許可。
宿泊業の開業支援。
外国人雇用。
在留資格。
更新。
永住。
これらは別々の話ではなく、
長く続く観光事業を支える一つの流れだと考えています。
横浜市泉区・中田駅から、
宿泊業と国際業務をつなぐ支援を行っていきたい
と思います。

Q&A|外国人スタッフの在留資格更新について

Q1. 在留資格更新は外国人本人に任せておけばよいですか?
A 本人が行う手続きであっても、宿側も在留期限や更新時期を把握しておくことをおすすめします。雇用契約や勤務実態が関係する場合もあるため、本人任せにしない体制が大切です。

Q2. 採用時に在留カードを確認していれば十分ですか?
A 採用時の確認だけでは不十分です。在留期限は更新されますし、採用後に業務内容が変わることもあります。定期的に在留資格、在留期限、業務内容を確認することが大切です。

Q3. 業務内容が少し変わった場合も確認が必要ですか?
A 主な業務が変わる場合は注意が必要です。補助的に手伝う業務と、中心となる業務は分けて考える必要があります。在留資格との関係で不安がある場合は、専門家に相談することをおすすめします。

Q4. 転職者を採用するときは何を確認すべきですか?
A 在留資格、在留期限、前職での業務内容、今回任せる業務、雇用契約内容を確認することが大切です。同じ宿泊業でも、業務内容によって確認すべき点が変わることがあります。

Q5. 行政書士に相談できることは何ですか?
A 在留資格の更新、変更、就労資格、転職時の確認、永住に関する相談のほか、旅館・ホテルで外国人スタッフを雇用する際の業務内容整理や在留期限管理についてご相談いただけます。

次回予告

次回は、
外国人スタッフが永住を考え始めたとき宿が知っておきたいこと
について考えてみたいと思います。
外国人スタッフが長く働いてくれるようになると、
本人の将来のことも少しずつ見えてきます。
日本で長く暮らしたい。
家族を呼びたい。
転職せずに同じ地域で働き続けたい。
将来的には永住を考えたい。
そのような思いを持つ外国人スタッフもいます。
永住は本人の問題ではありますが、
安定した雇用、
収入、
納税、
社会保険、
勤務実態、
生活の安定など、
日々の働き方とも関係してきます。
次回は、
外国人スタッフが永住を考え始めたとき、
宿側が知っておきたい視点
について、
👉旅行業37年の経験と行政書士としての視点から考えていきます。

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クイズ!外国人スタッフの在留資格更新で宿が気を付けたいこと

読み込み中…

前回 旅館・ホテルで外国人スタッフが定着しない理由|第7話
次回 外国人スタッフが永住を考え始めたとき宿が知っておきたいこと|第9話

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積