17.日本版DBSの運用チェックリスト

~採用から退職まで、確認漏れを防ぐ仕組みを作る~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
日本版DBS対応を一時的な作業で終わらせず、
事業所のルールとして継続するための社内規程整備についてお話ししました。
規程を作ることで、
誰が担当するのか。
どのような手順で進めるのか。
職員情報をどのように管理するのか。
事業所としての基本的なルールが見えるようになります。
しかし、
規程を作っただけで、
日々の手続が自動的に進むわけではありません。
採用が決まったとき。
職員の業務内容が変わったとき。
退職の申し出があったとき。
それぞれの場面で、
必要な確認が行われたかを確かめる仕組みが必要です。
今回のテーマは、
「日本版DBSの運用チェックリスト」
です。
これまで作ってきた
対象者一覧表
職員説明資料
同意取得フロー
個人情報管理ルール
社内規程
を実際の運用につなげる方法について考えていきます。
- 1. チェックリストは「新しい手続」を増やすものではありません
- 2. 対象者一覧表とチェックリストの役割を分ける
- 3. 最初に「いつチェックするか」を決める
- 4. 採用時は「勤務開始日から逆算する」
- 5. 配置転換や業務変更も確認のきっかけになる
- 6. 在職中は「手続の漏れ」と「情報のずれ」を確認する
- 7. 退職時は「情報をどう処理したか」を確認する
- 8. 一番大切なのは「未完了項目」の管理
- 9. チェックリストを一枚に詰め込まない
- 10. 放デイ・児発では既存の業務に組み込む
- 11. 今日の実務ワンポイント
- 12. まとめ
- 13. 今日のチェックポイント
- 14. 行政書士田中穂積の視点
- 15. Q&A|日本版DBSの運用チェックリストについて
- 16. 次回予告
- 17. \ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /
- 18. 📌 障害福祉サービス事業者の皆様へ
- 19. クイズ!日本版DBSの運用チェックリスト
チェックリストは「新しい手続」を増やすものではありません
日本版DBS対応では、
すでにさまざまな書類や仕組みを準備してきました。
対象者一覧表。
職員説明資料。
同意取得管理表。
個人情報管理台帳。
社内規程。
ここに運用チェックリストを加えると、
「また書類が増えるのか」
と感じるかもしれません。
しかし、
運用チェックリストは、
新しい手続を増やすためのものではありません。
👉これまで決めた手続が、実際に行われたかを確認するためのものです。
例えば、
職員への説明方法は決まっていても、
説明した日が記録されていなければ、完了したかどうかが分かりません。
同意取得の流れを決めていても、
未提出の職員への対応期限が決まっていなければ、手続が途中で止まることがあります。
規程と実際の運用の間をつなぐ。
それが、
運用チェックリストの役割です。
対象者一覧表とチェックリストの役割を分ける
第12話では、
日本版DBSの対象となる可能性がある人を整理するための「対象者一覧表」についてお伝えしました。
対象者一覧表は、
👉事業所全体の状況を見るためのもの
です。
一方、
運用チェックリスト
👉一人ひとりの手続が、どこまで進んでいるかを確認するためのもの
です。
例えば、
対象者一覧表には、
・対象となるか
・説明が終わっているか
・同意を取得したか
・必要な確認が完了したか
・配置変更や退職があったか
といった全体の進捗を記録します。
また、
個別のチェックリスト
・確認した日
・担当者
・未完了となっている項目
・対応期限
・最終確認者
を記録します。
一覧表とチェックリストに、
同じ情報をすべて書く必要はありません。
全体を見る書類と、
個別の手続を確認する書類。
それぞれの役割を分けることで、
二重入力や必要以上の個人情報の記載を防ぐことができます。
最初に「いつチェックするか」を決める
チェックリストを作るときは、
確認項目を並べる前に、
👉いつ使用するのか
を決めることが大切です。
日本版DBS対応では、
主に次のようなタイミングが考えられます。
・採用が決まったとき
・対象業務への配置が決まったとき
・業務内容や配置が変更されたとき
・年度初めなどの定期確認時
・退職の申し出があったとき
・制度や事業所の規程を変更したとき
チェックリストがあっても、
使用するタイミングが決まっていなければ、
忙しい現場では忘れられてしまいます。
「採用時に使う」
というだけではなく、
「採用決定後、勤務開始日を決める前に担当者が確認する」
というように、
実際の業務の流れに組み込むことが重要です。
採用時は「勤務開始日から逆算する」
採用時には、
対象者に該当するかを確認し、
必要な説明や手続を進めます。
ただし、
対象者の判断方法や職員への説明内容については、
これまでの記事で整理してきました。
運用チェックリストで大切なのは、
👉必要な対応が、勤務開始前に終わる流れになっているか
を確認することです。
【採用時のチェック項目例】
□ 業務内容と勤務開始日を確認した
□ 対象者一覧表へ登録した
□ 職員への説明を実施した
□ 必要な書類を受け取った
□ 同意取得管理表へ反映した
□ 必要な確認手続を進めた
□ 未完了項目と対応期限を記録した
□ 責任者が最終確認した
すべての項目にチェックが付いていない場合は、
そのままにしないことが重要です。
誰が対応するのか。
いつまでに対応するのか。
勤務開始までに完了できるのか。
ここまで確認できる形にしておきます。
配置転換や業務変更も確認のきっかけになる
採用時だけでなく、
在職中の配置転換や業務変更にも注意が必要です。
例えば、
これまで子どもと直接接する機会がなかった職員が、
送迎や見守りを担当することになった。
法人本部の職員が、
一時的に事業所の支援へ入ることになった。
別の事業所から職員が異動してきた。
このような場合、
対象者一覧表や個別の手続を見直す必要が生じる可能性があります。
【配置転換時のチェック項目例】
□ 変更後の業務内容を確認した
□ 対象者一覧表を見直した
□ 必要な説明や手続の有無を確認した
□ 業務開始日を記録した
□ 未完了項目の期限を決めた
□ 配置先の責任者へ引き継いだ
人事異動を決めた後で確認するのではなく、
配置や業務内容を検討する段階から、
日本版DBS対応を確認できる流れが理想です。
在職中は「手続の漏れ」と「情報のずれ」を確認する
在職中の確認では、
すべての手続を最初からやり直す必要はありません。
確認したいのは、
・未完了の手続が残っていないか
・対象者一覧表と実際の配置が合っているか
・担当者や保管場所が変わっていないか
・規程や様式が古いままになっていないか
という点です。
例えば、
年度初めや職員研修の実施時に、
対象者一覧表と実際の職員配置を照合します。
また、
職員の入退職が多い事業所では、
毎月の職員体制確認と一緒に行う方法もあります。
事業所の規模や職員の入れ替わりに合わせて、
無理なく続けられる確認時期を決めることが大切です。
退職時は「情報をどう処理したか」を確認する
退職時には、
対象者一覧表を更新するだけでなく、
保管している情報の扱いも確認します。
ただし、
保存期間や廃棄方法の詳細については、
第15話でお伝えした個人情報管理ルールに従います。
運用チェックリストでは、
👉事業所で決めたルールどおりに処理したか
を確認します。
【退職時のチェック項目例】
□ 最終勤務日を確認した
□ 対象者一覧表を更新した
□ 保管している書類やデータを確認した
□ システム等のアクセス権限を見直した
□ 保存が必要な情報を整理した
□ 不要な写しやデータを処理した
□ 管理台帳へ反映した
□ 責任者が最終確認した
退職者の情報をすぐにすべて廃棄するとは限りません。
事業所の個人情報管理ルールに基づき、
保存するものと処理するものを分ける必要があります。
一番大切なのは「未完了項目」の管理
チェックリストを作ると、
チェックが付いた項目に目が向きがちです。
しかし、
実務で大切なのは、
👉チェックが付かなかった項目をどうするか
です。
必要な書類がまだ提出されていない。
説明は終わったが、
確認手続が完了していない。
配置転換の日程が決まっていない。
このような場合は、
未完了として記録します。
そのうえで、
・未完了となっている理由
・対応する担当者
・対応期限
・完了確認日
・最終確認者
を残します。
チェックリストは、
すべてに印を付けるための書類ではありません。
未完了の項目を見つけ、
手続を完了まで追いかけるための書類です。
チェックリストを一枚に詰め込まない
採用時、在職中、配置転換時、退職時。
すべての項目を一枚のチェックリストに入れると、
かえって使いにくくなることがあります。
事業所の体制に応じて、
・採用時チェックリスト
・配置転換時チェックリスト
・定期確認表
・退職時チェックリスト
に分ける方法があります。
一方、
職員数が少ない事業所では、
一つの様式の中を場面ごとに分けてもよいでしょう。
大切なのは、
書類の数を増やすことではありません。
必要なときに、
担当者が迷わず使えることです。
放デイ・児発では既存の業務に組み込む
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
すでに多くの確認業務があります。
職員体制の確認。
虐待防止や身体拘束等の適正化に関する研修。
安全計画。
感染症対策。
BCP。
運営規程や各種マニュアルの見直し。
日本版DBS対応だけのために、
新しい会議や管理業務を増やしすぎると、
現場の負担が大きくなります。
例えば、
年度初めの職員体制確認に合わせて、
対象者一覧表を見直す。
職員の採用手続に、
日本版DBSのチェック項目を加える。
退職時の手続一覧に、
関連情報の確認欄を加える。
このように、
既存の業務へ組み込むことが、
継続運用のポイントです。
今日の実務ワンポイント
運用チェックリストを作るときは、
「何を確認するか」
だけでなく、
「いつ使うか」
「誰が使うか」
「未完了の場合にどうするか」
まで決めておきましょう。
チェック項目が多くても、
使用する時期や担当者が決まっていなければ、
書類だけが残ってしまいます。
👉チェックリストは、確認項目と運用方法をセットで作る
これが、
現場で使い続けられる仕組みにするためのポイントです。
まとめ
日本版DBSの運用チェックリストは、
新しい手続を増やすための書類ではありません。
これまでに作った、
対象者一覧表。
職員説明資料。
同意取得フロー。
個人情報管理ルール。
社内規程。
これらが、
実際の業務で適切に運用されているかを確認するためのものです。
採用時。
在職中。
配置転換や業務変更時。
退職時。
それぞれの場面で、
誰が確認するのか。
いつ確認するのか。
未完了の手続をどう管理するのか。
ここまで決めておく必要があります。
また、
複数の書類に同じ情報を何度も記載すると、
更新漏れや情報の食い違いが起こりやすくなります。
対象者一覧表では全体の進捗を見る。
個別のチェックリストでは、
一人ひとりの手続を確認する。
それぞれの役割を分けることが重要です。
日本版DBS対応は、
書類を作ることが目的ではありません。
👉作った仕組みを、現場で無理なく動かし続けること
が大切です。
今日のチェックポイント
□ チェックリストを使うタイミングを決めた
□ 対象者一覧表との役割を分けた
□ 採用時と配置転換時の確認手順を整理した
□ 未完了項目の担当者と期限を記録できるようにした
□ 既存の採用・異動・退職手続へ組み込む方法を検討した
すべてにチェックが付かなくても、
すぐに問題があるということではありません。
まずは、
現在できていることと、
まだ決まっていないことを見えるようにする。
そこから始めることが大切です。
行政書士田中穂積の視点
私は会社員時代に旅行業に37年間携わる中で、
予約、手配、出発、帰着、精算など、
それぞれの場面で多くの確認を行ってきました。
現場では、
一つの確認漏れが、
その後の業務全体に影響することがあります。
だからこそ、
チェックリストは、
担当者を縛るための書類ではありません。
担当者が安心して業務を進めるための道具であり、
担当者が交代しても、
同じ手順を続けるための仕組みです。
日本版DBS対応でも、
ひな型を作るだけでは十分ではありません。
対象者一覧表。
同意取得管理表。
個人情報管理台帳。
社内規程。
採用や退職の手続。
これらが重複したり、
矛盾したりしないように整理する必要があります。
書類を増やすのではなく、
現在の業務の流れに合わせて、
必要な仕組みをつなげていく。
そして、
現場で無理なく使い続けられる形に整える。
それが、
子どもの安全、職員の安心、事業所の信頼を守ることにつながります。
事業所ごとの実際の業務を確認しながら、
運用できる形へ整えていくことが、
👉行政書士としての私の役割だと考えています。
Q&A|日本版DBSの運用チェックリストについて
Q1.対象者一覧表と運用チェックリストは、両方必要ですか。
A 役割が異なります。対象者一覧表は、事業所全体の対象者と進捗を確認するためのものです。運用チェックリストは、一人ひとりについて、必要な手続が完了しているかを確認するために使用します。
ただし、同じ情報を何度も記載する必要はありません。事業所の規模や管理方法に応じて、一つの様式にまとめることも考えられます。
Q2.小規模な事業所でも、複数のチェックリストが必要ですか。
A 必ずしも複数の書類へ分ける必要はありません。
一つの様式の中を「採用時」「配置転換時」「定期確認時」「退職時」に分ける方法もあります。
大切なのは書類の数ではなく、必要な場面で確認できる仕組みになっていることです。
Q3.チェックリストを作っても、実際に使われるか不安です。
A チェックリストだけを独立させず、既存の採用手続、人事異動、退職手続、年度初めの職員体制確認などに組み込むことが大切です。
誰が、どのタイミングで使用するのかを社内規程やマニュアルに明記しておくと、担当者が交代しても継続しやすくなります。
次回予告
次回は、
「日本版DBSと職員研修」
について考えてみたいと思います。
規程やチェックリストを整えても、
職員が事業所のルールや自分の役割を理解していなければ、
現場で適切に運用することはできません。
第13話では、
同意取得前に行う職員説明についてお伝えしました。
次回は、
導入時の説明だけではなく、
新しく採用した職員への研修。
管理者や担当者への研修。
制度や規程が変わったときの研修。
研修記録の残し方。
こうした継続的な職員研修について、
実務の視点から整理していきます。
\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所を中心に、
子どもと関わる事業者の皆さまの運営・法令対応を支援しています。
日本版DBSへの対応をはじめ、
・対象者一覧表、職員説明資料の作成
・同意取得、個人情報管理体制の整備
・社内規程、運用チェックリストの作成
・職員研修、保護者説明会の実施支援
・変更届、加算届、運営規程の整備
・委員会、研修記録、運営指導対策
など、現場で継続して運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
また、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所など、
障害福祉サービス事業者の皆さまへ、
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変更届、運営規程、委員会、研修記録、各種運営書類、日本版DBSへの準備状況について、
👉現在できていることと、見直しが必要なこと
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