25.横浜市の放課後等デイサービス向け日本版DBS対応

~送迎・個別支援・相談体制をどう見直すか~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「横浜市の認定こども園向け日本版DBS対応」
について考えました。
日本版DBSへの対応は、
職員の犯罪事実を確認することだけではありません。
職員への研修。
子どもや保護者が相談できる体制。
不適切な行為を早期に把握する仕組み。
確認結果や相談情報の適切な管理。
などを、施設全体で整える必要があります。
今回は、
「横浜市の放課後等デイサービス向け日本版DBS対応」
について考えます。
放課後等デイサービスでは、
学校からの送迎。
事業所内での個別支援。
外出活動。
トイレや着替えの介助。
家庭への送り届け。
など、職員と子どもがさまざまな場面で関わります。
そのため、
👉誰を確認するかだけでなく、職員と子どもがどのような場面で関わっているかを確認すること
が重要です。
放課後等デイサービスは日本版DBSの義務対象です
こども性暴力防止法は、
令和8年12月25日に施行されます。
指定を受けた放課後等デイサービスを含む指定障害児通所支援事業は、法律に基づく措置を実施しなければならない義務対象です。
希望する事業所だけが認定を受ける制度ではありません。
横浜市から指定を受けている放課後等デイサービスは、
施行までに必要な準備を確認しておく必要があります。
職員名簿ではなく「子どもと関わる業務」を確認する
放課後等デイサービスには、
児童指導員。
保育士。
管理者。
児童発達支援管理責任者。
送迎担当者。
事務職員。
本部から応援に来る職員。
外部委託先の従業者。
など、さまざまな人が関わります。
確認するときは、
肩書や雇用形態だけで判断するのではなく、
実際に子どもと接する業務を行うか。
子どもと一対一になる可能性があるか。
継続的に事業所へ出入りするか。
を見ます。
正社員だけでなく、
パート・アルバイト。
派遣職員。
業務委託。
ボランティア。
役員や本部職員。
についても、実際の業務内容を整理します。
👉職員名簿だけでなく、子どもと関わる業務を基準に確認することが第一歩です。
放課後等デイサービス特有の場面を洗い出す
特に確認したいのは、
・学校や自宅への送迎
・車内で職員と子どもが二人になる場面
・個別支援室での一対一の支援
・トイレや着替えの介助
・興奮やパニック時の身体的な支援
・外出活動中の見守り
・写真や動画の撮影
・SNSや私的な連絡先でのやり取り
です。
これらをすべて禁止すればよいわけではありません。
障害特性や支援内容によっては、
個別対応や身体的な介助が必要になることもあります。
必要なのは、
誰が担当するのか。
どのような方法で行うのか。
他の職員が確認できるか。
記録を残すか。
保護者へどう説明するか。
問題が起きた場合に誰へ報告するか。
を決めておくことです。
送迎を「事業所の外で行う支援」として考える
放課後等デイサービスでは、
送迎が日常業務になっている事業所も多くあります。
送迎中は、事業所内よりも管理者や他の職員の目が届きにくくなります。
例えば、
最後の一人を自宅へ送る。
道路状況により長時間車内で過ごす。
子どもが不安定になり途中で停車する。
保護者の帰宅を待つ。
という場面があります。
そこで、
乗車した職員と子ども。
出発・到着時刻。
経路変更。
途中で起きた出来事。
保護者への引渡し。
などを確認できるようにします。
また、
職員個人のスマートフォンで写真を撮る。
保護者と私的なSNSで連絡する。
送迎予定を個人のメッセージだけで共有する。
といった運用も見直す必要があります。
👉送迎を単なる移動ではなく、事業所の外で行われる支援として管理することが大切です。
一対一の支援をすべてなくす必要はありません
放課後等デイサービスでは、
子どもの状況に応じて一対一の支援が必要になることがあります。
例えば、
静かな部屋で気持ちを落ち着かせる。
個別課題に取り組む。
着替えや排せつを介助する。
本人から相談を受ける。
という場面です。
一対一になることをすべて禁止すると、
必要な支援ができなくなる可能性があります。
そこで、
個別支援を行う場所。
扉や窓の状態。
支援開始・終了の記録。
身体に触れる必要がある場合のルール。
他の職員による確認。
を整えます。
大切なのは、
二人きりになったことや身体的な支援を行ったことを、隠さなければならない雰囲気をつくらないことです。
必要な支援を行い、
後から確認できる状態にしておきます。
犯罪事実確認だけに頼らない
日本版DBSという言葉から、
確認結果に問題がなければ安心できる。
安全な職員を選べる。
と思われることがあります。
しかし、犯罪事実確認は、
子どもの安全を守るための一つの仕組みです。
それだけで、将来の不適切な行為を完全に防げるわけではありません。
放課後等デイサービスでは、
採用面接。
職員研修。
日々の支援記録。
複数職員による確認。
子どもの様子の変化。
保護者からの相談。
職員同士の報告。
を組み合わせる必要があります。
👉犯罪事実確認を安全の証明にせず、安全管理を見直す入口として使うことが重要です。
子どもと保護者が相談できる仕組みをつくる
子どもが不快な行為を受けても、
その内容をすぐに言葉で説明できるとは限りません。
言葉で気持ちを伝えることが難しい。
出来事を順番に説明しにくい。
相手に嫌われることを不安に感じる。
自分が悪いと思ってしまう。
ということもあります。
そのため、
相談できる職員を複数にする。
言葉以外でも意思を示せるようにする。
相談カードやイラストを用意する。
保護者からも相談できるようにする。
相談を受けた後の報告先を決める。
といった工夫が必要です。
また、保護者には、
子どもの安全を守るための取組。
相談窓口。
問題が疑われた場合の対応。
個人情報を適切に管理すること。
を分かりやすく説明します。
安心につながる説明と、
個人情報を守ることの両方が必要です。
採用時の流れも確認する
施行後に慌てないためには、
求人票。
採用面接。
誓約書。
内定通知書。
雇用契約書。
就業規則。
職員向け説明資料。
なども確認しておきます。
ただし、参考例をそのまま使用するのではなく、
誰が確認手続を行うか。
確認結果を誰が扱うか。
採用や配置を誰が判断するか。
に合わせて整える必要があります。
採用書類や社内規程については、
第27話で詳しく取り上げます。
法人本部と事業所の連携が必要です
複数の事業所を運営する法人では、
採用は法人本部。
配置は各事業所。
研修は法人全体。
相談受付は各事業所。
個人情報の保管は本部。
というように、業務が分かれていることがあります。
その場合、
誰が対象職員を把握するのか。
誰が確認手続を行うのか。
配置変更を誰が判断するのか。
相談があった場合に誰へ報告するのか。
を決めなければなりません。
この役割分担については、
次回の第26話で詳しく取り上げます。
今日の実務ワンポイント
一日の業務を、
子どもの来所前。
学校からの送迎。
事業所での支援。
外出活動。
帰宅時の送迎。
保護者への引渡し。
に分けて書き出してみましょう。
その横に、
子どもと一対一になる可能性。
身体に触れる可能性。
他の職員から見えにくい場所。
写真や個人情報を扱う場面。
相談や報告が必要になる場面。
を記載します。
👉職員の氏名だけでなく、一日の支援の流れから確認することで、見直すべき場面が見えてきます。
まとめ
横浜市の指定を受けた放課後等デイサービスは、
日本版DBSの義務対象です。
施行に向けて、
子どもと関わる人や業務を洗い出す。
送迎中の記録と連絡方法を確認する。
一対一の支援や身体的な介助のルールを整える。
子どもと保護者の相談先を決める。
採用や研修の流れを見直す。
法人本部と事業所の役割を整理する。
ことが必要です。
特に大切なのは、
👉犯罪事実確認を行うことだけを、日本版DBS対応のゴールにしないこと
です。
子どもが安心して通える。
保護者が不安を相談できる。
職員が迷ったときに報告できる。
管理者が組織として対応できる。
そのような日常の仕組みを整えることが、
放課後等デイサービスに求められる対応です。
今日のチェックポイント
□ 放課後等デイサービスが義務対象であることを確認している
□ 子どもと関わる人と業務を洗い出している
□ パート・委託・本部職員なども確認している
□ 送迎中の記録と連絡方法を決めている
□ 一対一の支援を行う場合のルールがある
□ 着替え・排せつ介助などの方法を確認している
□ 子どもと保護者の相談先を決めている
□ 採用書類や職員研修の見直しを始めている
□ 法人本部と事業所の役割を整理している
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
誰が子どもと関わっているか。
どの場面で一対一になるか。
相談を誰が受けるか。
の三つから確認してみましょう。
行政書士田中穂積の視点
放課後等デイサービスでは、
子どもの障害特性やその日の状態に合わせて、柔軟な支援が行われています。
一対一の支援。
身体的な介助。
静かな場所への移動。
送迎中の対応。
なども、子どもを支えるために必要な場合があります。
そのため、
二人きりにしない。
身体に触れない。
という一律のルールだけでは、現場に合わないことがあります。
大切なのは、
なぜその支援が必要なのか。
どのような方法で行うのか。
誰が確認できるのか。
どのように記録するのか。
を、事業所として説明できる状態にすることです。
行政書士としてお手伝いしたいのは、
犯罪事実確認の手続だけではありません。
対象となる職員や業務の整理。
採用書類や社内規程の見直し。
相談・報告体制の整備。
保護者向け説明資料。
個人情報の取扱ルール。
法人本部と事業所の役割分担。
などを、実際の支援内容に合わせて整えることです。
制度対応のために必要な支援を止めるのではなく、
支援を続けながら子どもの安全を守れる仕組みをつくる。
それが、放課後等デイサービスの日本版DBS対応で重要だと考えています。
Q&A|放課後等デイサービスの日本版DBS対応
Q1.放課後等デイサービスは認定を受けるか選べますか。
A 指定を受けた放課後等デイサービスを含む指定障害児通所支援事業は、法律上の義務対象です。
任意で認定を受ける事業とは位置づけが異なります。
Q2.送迎だけを担当する職員も確認が必要ですか。
A 肩書や勤務時間だけではなく、実際の職務内容を確認する必要があります。
送迎中に子どもと継続的に接するか、車内で一対一になる可能性があるかなど、その人が行う業務を整理して判断します。
Q3.一対一の個別支援は禁止しなければなりませんか。
A 一対一の支援を一律に禁止するものではありません。
障害特性や支援内容によって必要な場合もあるため、支援場所、記録、他の職員による確認、身体的な介助の方法などを決めておくことが重要です。
次回予告
次回は、
「神奈川県の児童福祉事業者が日本版DBSで確認したい法人・事業所の役割分担」
について考えてみたいと思います。
複数の放課後等デイサービスや児童発達支援事業所を運営する法人では、
採用は法人本部。
職員配置は各事業所。
研修は法人全体。
相談受付は各事業所。
個人情報は本部で保管。
というように、業務が分かれていることがあります。
その場合、
誰が対象職員を把握するのか。
誰が犯罪事実確認を行うのか。
確認結果を誰が管理するのか。
配置変更を誰が判断するのか。
相談を誰へ報告するのか。
を決めておかなければなりません。
次回は、
👉日本版DBS対応を本部任せ・現場任せにせず、法人と事業所でどのように役割を分けるか
について、行政書士としての視点から整理します。
\ 日本版DBSの施行準備を進めたい事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス、児童発達支援、認定こども園など、
子どもと関わる事業者の日本版DBS対応についてご相談を承っています。
例えば、
・対象となる事業・職員・業務の整理
・法人本部と事業所の役割分担
・採用手順や募集書類の見直し
・就業規則や社内規程の整備
・相談・報告体制の整理
・保護者向け説明資料の作成
・個人情報の取扱ルールの整備
など、法人や事業所の状況に応じて支援内容を整理します。
また、子どもと関わる事業者の皆さまへ、
「日本版DBS対応チェックリスト」
を無料で進呈しております。
対象事業、対象職員、採用、配置、研修、相談体制、個人情報管理、社内規程など、施行前に確認したい項目を整理できるチェックリストです。
👉現在できていることと、これから整えることを確認するところから始めてみませんか。
チェックリスト(無料)のご請求は、
お問い合わせフォームより承っております。
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クイズ!横浜市の放課後等デイサービス向け日本版DBS対応
前回 24.横浜市の認定こども園向け日本版DBS対応
次回 26.神奈川県の児童福祉事業者が日本版DBSで確認したい法人・事業所の役割分担
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。