15.日本版DBSの個人情報管理はどう変わるのか

15.日本版DBSの個人情報管理はどう変わるのか

~職員情報を安全に扱うための管理ルールを作る~

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
日本版DBS対応における同意取得フローについてお話ししました。
日本版DBS対応では、
同意書をただ回収すればよいわけではありません。
何に同意するのか。
どのような目的で使うのか。
個人情報はどう扱われるのか。
同意しない場合にどう対応するのか。
誰が説明し、
誰が回収し、
どこに保管するのか。
こうした流れを整理しておくことが大切です。
今回のテーマは、
個人情報管理
です。

同意取得を進めると、
次に重要になるのが、
回収した書類や確認結果をどのように管理するかという問題です。
日本版DBS対応では、
職員に関する慎重な情報を扱う可能性があります。
誰が管理するのか。
どこに保管するのか。
誰が閲覧できるのか。
どのくらい保存するのか。
退職後はどう扱うのか。
こうした点を曖昧にしたまま進めると、
職員の不安や事業所内のトラブルにつながる可能性があります。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと日常的に関わる現場では、
もともと利用児童や保護者に関する大切な個人情報を多く扱っています。
そこに、
日本版DBS対応として職員側の慎重な情報管理も加わります。

今回は、
子どもと関わる事業所で気を付けたい個人情報管理の実務について、
実際に
個人情報管理ルール
を作るイメージで整理していきます。

日本版DBS対応では職員情報の管理が重要になる

放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
日常的に多くの個人情報を扱っています。
利用児童の氏名。
障害特性。
支援計画。
保護者情報。
送迎先。
緊急連絡先。
支援記録。
相談記録。
こうした情報は、
すでに事業所として慎重に扱うべき情報です。

一方で、
日本版DBS対応では、
職員側の情報管理も重要になります。
対象者一覧表。
職員説明資料。
同意書。
同意取得管理表。
確認結果に関する情報。
問い合わせ記録。
未提出者や保留者に関するメモ。
これらは、
通常の職員名簿よりも慎重に扱うべき情報です。

なぜなら、
日本版DBS対応は、
👉職員のプライバシーや名誉にも関わる可能性があるからです。
子どもの安全を守るための制度であると同時に、
職員の情報を適切に守る仕組みも必要になります。
ここを丁寧に整えることが、
事業所としての信頼にもつながります。

個人情報管理で最初に決めるべきこと

個人情報管理で最初に決めるべきことは、
👉管理責任者
です。
誰が日本版DBS対応に関する情報を管理するのか。
誰が書類を受け取るのか。
誰が保管するのか。
誰が確認するのか。
ここが曖昧なままだと、
書類が複数の場所に分散したり、
必要のない人が情報に触れてしまったりする可能性があります。
小規模な事業所であれば、
管理者や法人代表が管理責任者になることもあるでしょう。
複数事業所を運営している法人であれば、
👉法人本部の担当者と各事業所の管理者で役割分担をする必要があります。

例えば、
法人本部が管理ルールを作る。
各事業所の管理者が説明と回収を行う。
回収後は法人本部で一元管理する。
このように流れを決めておくと、
情報管理が安定します。
大切なのは、
👉「誰でも見られる状態」にはしないことです。
日本版DBS対応に関する情報は、
必要な人だけが、
必要な範囲で扱う。
この原則を最初に決めておくことが重要です。

紙で保管するのか、電子で保管するのか

次に決めたいのが、
👉保管方法です。
紙で保管するのか。
電子データで保管するのか。
紙と電子の両方で管理するのか。
この方針を決めておく必要があります。

紙で保管する場合は、
保管場所を決めます。
鍵付きのキャビネットに入れるのか。
事務室内のどこに置くのか。
持ち出しを認めるのか。
コピーを作る場合のルールはどうするのか。

電子データで保管する場合は、
アクセス権限が重要です。
誰がファイルを開けるのか。
パスワードを設定するのか。
共有フォルダに置くのか。
個人のパソコンに保存してよいのか。
USBメモリなどで持ち出してよいのか。
こうした点を決めておく必要があります。

特に注意したいのは、
👉便利さだけで管理方法を決めないことです。
現場では、「あとで見るからデスクに置いておく」
「担当者同士で共有しやすいように共有フォルダへ入れる」
「一時的に個人のパソコンに保存する」
といったことが起こりがちです。
しかし、
日本版DBS対応で扱う情報は慎重な情報です。
保管方法を決めずに進めると、
👉情報漏えいや誤閲覧のリスクが高まります。

誰が閲覧できるのかを決める

個人情報管理で特に大切なのが、
閲覧権限です。
日本版DBS対応に関する情報は、
事業所内の誰もが見てよい情報ではありません。
例えば、
対象者一覧表や同意取得管理表には、
職員の氏名や勤務形態、
対象区分、
説明状況、
同意書の提出状況などが記載されることがあります。
こうした情報を、
👉関係のない職員が見られる状態にしておくことは避けるべきです。
閲覧できる人は、
必要最小限にします。
例えば、
法人代表。
事業所管理者。
日本版DBS対応担当者。
個人情報管理責任者。
このように、
誰が閲覧できるのかを明確にしておきます。
また、
閲覧した場合の記録を残すかどうかも検討しておくとよいでしょう。
誰が、
いつ、
何を確認したのか。
そこまで管理しておくと、
後から確認しやすくなります。

個人情報管理では、
「信頼しているから大丈夫」
という考え方だけでは不十分です。
信頼している職員であっても、
ルールがなければ扱い方が人によって変わります。
だからこそ、
事業所としてのルールを作ることが大切です。

保存期間と退職後の扱いを考える

日本版DBS対応で回収した書類や情報を、
いつまで保存するのか。
この点も整理が必要です。
同意書。
説明記録。
同意取得管理表。
確認結果に関する記録。
質問受付記録。
これらをずっと保存するのか。
一定期間で廃棄するのか。
退職後はどう扱うのか。
ここを決めておかないと、
書類がいつまでも残り続けることになります。

特に退職者の情報については、
注意が必要です。
退職した後も保存が必要なもの。
一定期間後に廃棄すべきもの。
法令や実務上の必要性に応じて整理する必要があります。
また、
廃棄する場合も、
ただゴミ箱に捨てるわけにはいきません。
紙であればシュレッダーや溶解処理。
電子データであれば削除方法。
バックアップデータの扱い。
こうした点を決めておく必要があります。

個人情報管理は、
「保管することだけではありません。
不要になった情報を適切に廃棄することも、
大切な管理です。」

職員に不安を与えない説明が必要

個人情報管理のルールを作ったら、
職員にも説明することが大切です。
職員は、
自分の情報がどのように扱われるのかを気にしています。
誰が見るのか。
どこに保管されるのか。
他の職員に知られることはないのか。
退職後も残るのか。
目的外に使われないのか。
こうした不安に対して、
事業所として説明できるようにしておく必要があります。
例えば、
次のような説明文が考えられます。

【説明文の例】

日本版DBS対応に関する職員情報は、
制度対応の目的に限って使用します。
取得した同意書や関連資料は、
管理責任者を定め、
必要な範囲で厳重に管理します。
関係のない職員が閲覧することはありません。
保管場所、
閲覧できる人、
保存期間、
廃棄方法については、
事業所の個人情報管理ルールに基づき適切に取り扱います。
不明な点がある場合は、
担当者までご相談ください。
このように説明しておくことで、
職員の安心感は大きく変わります。
日本版DBS対応は、
子どもの安全を守る制度ですが、
職員の個人情報を守ることも同じくらい重要です。

放デイ・児発では既存の個人情報管理とつなげる

放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
すでに個人情報管理のルールを持っていることが多いと思います。
利用契約。
個別支援計画。
支援記録。
モニタリング記録。
保護者対応記録。
送迎表。
事故報告書。
虐待防止に関する記録。
苦情対応記録。
これらを扱う中で、
個人情報の管理は日常業務の一部になっています。
日本版DBS対応では、
そこに職員情報の管理が加わると考えると分かりやすいと思います。

つまり、
新しい制度だからといって、
まったく別の仕組みをゼロから作る必要はありません。
既存の個人情報管理ルールに、
日本版DBS対応の情報をどのように組み込むか。
ここを考えることが大切です。
例えば、
既存の個人情報管理規程に、
日本版DBS対応に関する項目を追加する。
職員情報の保管場所を明確にする。
閲覧権限を限定する。
保存期間と廃棄方法を追記する。
管理責任者を明示する。
このように、
既存の運営ルールに組み込んでいくことで、
現場で無理なく運用しやすくなります。

個人情報管理台帳を作る

実務では、
日本版DBS対応に関する個人情報管理台帳を作っておくことをおすすめします。
難しい書式である必要はありません。
次のような項目があれば十分です。

【個人情報管理台帳の項目例】

・情報の種類
・対象者
・取得日
・取得方法
・管理責任者
・保管場所
・閲覧できる人
・利用目的
・保存期間
・廃棄予定日
・廃棄方法

例えば、
情報の種類:同意書
対象者:対象職員
取得日:令和〇年〇月〇日
管理責任者:管理者
保管場所:鍵付きキャビネット
閲覧できる人:管理者、法人本部担当者
利用目的:日本版DBS対応
保存期間:事業所のルールによる
廃棄方法:シュレッダーまたは溶解処理
このように整理しておくと、
どの情報を、
誰が、
どのように管理しているのかが分かりやすくなります。
台帳は、
事業所を守るための資料でもあり、
職員への説明にも役立ちます。

持ち出し・コピー・共有のルールを決める

個人情報管理では、
保管場所だけでなく、
持ち出しやコピーのルールも大切です。
例えば、
同意書をコピーしてよいのか。
法人本部へ送る場合はどうするのか。
メール添付してよいのか。
オンラインストレージに保存してよいのか。
自宅へ持ち帰って作業してよいのか。
こうした点を決めておかないと、
情報管理が曖昧になります。

特に複数事業所を運営している法人では、
事業所から本部へ書類を送る場面もあるでしょう。
その場合、
郵送にするのか。
手渡しにするのか。
電子データにするのか。
送信時のパスワード設定をどうするのか。
誤送信があった場合にどう対応するのか。
こうした点も検討が必要です。
情報漏えいは、
悪意がなくても起こります。
忙しい現場で、
確認不足や誤送信が起こることもあります。
だからこそ、
ルールを決めておくことが重要です。

事故が起きたときの対応も考えておく

個人情報管理では、
万が一の対応も考えておく必要があります。
書類を紛失した。
メールを誤送信した。
関係のない職員が見てしまった。
保管場所が分からなくなった。
USBメモリを紛失した。
こうしたことが起きた場合に、
誰へ報告するのか。
どのように確認するのか。
本人へ説明する必要があるのか。
再発防止策をどう作るのか。
ここを決めておくことが大切です。
事故が起きないようにすることはもちろん大切です。
しかし、
万が一起きたときに、
すぐ対応できる体制を作っておくことも重要です。
特に日本版DBS対応では、
職員の慎重な情報が関わる可能性があります。
だからこそ、
「起きないはず」
ではなく、
「起きたらどうするか」
まで考えておく必要があります。

今日の実務ワンポイント

個人情報管理で大切なのは、
誰が、どこで、どの範囲まで扱うのかを決めること
です。
管理責任者。
保管場所。
閲覧できる人。
保存期間。
廃棄方法。
この5つを決めるだけでも、
事業所内の管理はかなり整理されます。
日本版DBS対応では、
子どもの安全を守るための制度対応と、
職員の個人情報を守るための管理体制の両方が必要です。
どちらか一方だけでは不十分です。
制度対応と情報管理は、
セットで考えることが大切です。

まとめ

日本版DBS対応では、
同意取得を進めた後、
個人情報管理が重要になります。
同意書。
対象者一覧表。
同意取得管理表。
説明記録。
確認結果に関する情報。
こうした書類や情報を、
誰が管理し、
どこに保管し、
誰が閲覧でき、
どのくらい保存し、
退職後や不要になった後にどう扱うのか。
ここを整理しておく必要があります。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、
もともと多くの個人情報を扱っています。
日本版DBS対応では、
そこに職員側の慎重な情報管理も加わります。
だからこそ、
既存の個人情報管理ルールに、
日本版DBS対応をどう組み込むかが大切です。
日本版DBS対応は、
単なる事務作業ではありません。
「子どもの安全を守り、
職員の個人情報を守り、
保護者から信頼される事業所運営を続けるための実務」です。

今日のチェックポイント

□ 日本版DBS対応に関する個人情報の管理責任者を決めた
□ 同意書や関連資料の保管場所を決めた
□ 閲覧できる人を必要最小限に整理した
□ 保存期間と廃棄方法を検討し始めた
□ 既存の個人情報管理ルールに日本版DBS対応を組み込む必要性を確認した

行政書士田中穂積の視点

日本版DBS対応では、
対象者一覧表、
職員説明資料、
同意取得フローと進めていく中で、
必ず個人情報管理の問題にたどり着きます。
私は、
この部分を曖昧にしてはいけないと考えています。
子どもの安全を守る制度であっても、
職員の個人情報が不適切に扱われてしまえば、
事業所への信頼は揺らぎます。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
利用児童や保護者の情報を日常的に扱っています。
個別支援計画。
支援記録。
送迎情報。
保護者対応記録。
事故報告。
苦情対応。
こうした情報管理の延長線上に、
日本版DBS対応の職員情報管理も位置づける必要があります。

障害福祉サービス事業の運営では、
指定申請だけでなく、
変更届、
体制届、
加算届、
運営規程、
各種記録、
運営指導対策など、
日々の実務が積み重なっています。
日本版DBS対応も、
今後はその一部として、
継続的に管理していく必要があると考えています。
行政書士として私がお手伝いしたいのは、
制度を説明することだけではありません。
現場で使えるルールに落とし込み、
職員が安心して働き、
保護者が安心して子どもを預けられる事業所づくりを支援することです。
「子どもの安全と事業所の信頼を守るために、
個人情報管理の仕組みを一緒に整えていく。」
それが、
👉行政書士としての私の役割だと考えています。

Q&A|日本版DBSと個人情報管理について

Q1. 日本版DBS対応の同意書は、通常の職員書類と一緒に保管してよいですか。
A 通常の職員書類と一緒に保管する場合でも、閲覧できる人や保管場所を限定するなど、慎重な管理が必要です。日本版DBS対応に関する情報は、職員のプライバシーに関わる可能性があるため、通常の事務書類よりも丁寧に扱うことをおすすめします。

Q2. 同意書や管理表は電子データで保管してもよいですか。
A 電子データで保管する場合は、アクセス権限、パスワード管理、保存場所、バックアップ、削除方法などを決めておくことが重要です。誰でも開ける共有フォルダに置くような管理は避けるべきです。

Q3. 退職した職員の情報はどう扱えばよいですか。
A 退職後も一定期間保管が必要な情報と、不要になった時点で廃棄すべき情報を分けて考える必要があります。保存期間や廃棄方法を事業所のルールとして整理しておくことが大切です。

Q4. 放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、既存の個人情報管理規程で対応できますか。
A 既存の規程を活用できる場合もあります。ただし、日本版DBS対応に関する職員情報の管理について、管理責任者、閲覧権限、保存期間、廃棄方法などが明確になっているか確認する必要があります。

Q5. 行政書士に個人情報管理ルールの整備を相談できますか。
A はい。対象者一覧表、同意取得管理表、個人情報管理ルール、社内規程、運用チェックリストなど、事業所で実際に使える形に整えるご相談を承ります。

次回予告

次回は、
日本版DBSと社内規程整備
について考えてみたいと思います。
個人情報管理ルールを作った後、
次に大切になるのが、
事業所の規程や運用ルールにどう反映するかです。
日本版DBS対応は、
一度書類を作れば終わりではありません。
対象者の整理。
職員説明。
同意取得。
個人情報管理。
採用時の確認。
退職後の管理。
こうした流れを、
事業所のルールとして継続的に運用できる形に整える必要があります。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
運営規程、
虐待防止、
身体拘束適正化、
安全計画、
感染症対策、
BCP、
職員研修など、
すでに多くの運営ルールがあります。
次回は、
日本版DBS対応を社内規程やチェックリストにどう組み込むかについて、
実務の視点から考えていきます。

\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
日本版DBSへの実務対応について、
制度説明だけではなく、
事業所で実際に運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
特に、
・放課後等デイサービス
・児童発達支援事業所
・認定こども園
・保育所
・学習塾
・スポーツクラブ
・各種習い事教室
など、
子どもと関わる事業者の皆さまに向けて、
・対象者一覧表の作成
・職員説明資料の作成
・同意取得フローの整理
・同意取得管理表の作成
・個人情報管理体制の整備
・社内規程の見直し
・運用チェックリストの作成
など、
現場に合わせた支援を行っています。
また、
「日本版DBS対応チェックシート」
無料で進呈しております。
👉まずは自社の現状を整理するところから始めてみませんか。

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📌 障害福祉サービス事業者の皆様へ

なお、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の指定申請、変更届、加算届、運営規程整備、運営指導対策などについては、HPの「障害福祉サービス支援業務」でもご案内しています。

▼ 障害福祉サービス支援業務
障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。

クイズ!日本版DBSの個人情報管理ルールづくり

読み込み中…

前回 14話:同意取得フローを作る
次回 16話:社内規程・チェックリストを整える

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積