11.日本版DBS導入で最初に作る実務計画

~担当者・期限・必要書類を見える化する~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅近くで開業する行政書士が、日本版DBS制度について、子どもと関わる事業者の方に向けて解説します。
これまでこのブログでは、日本版DBSについて、制度の概要、対象事業者、認定事業者制度、学習塾やスポーツクラブの対応、認定を受けないという選択肢などについてお話ししてきました。
ここからは、いよいよ実務対応編に入ります。
日本版DBSについて調べ始めた事業者の方が感じる一番大きな悩みは、
👉「結局、何から始めればよいのか」
ではないでしょうか。
制度を理解することと、現場で実際に動かせる仕組みを作ることは、まったく別の話です。
日本版DBS対応では、対象者を整理し、職員へ説明し、同意取得の流れを考え、個人情報管理体制を整え、必要に応じて規程類も見直す必要があります。
つまり、これは単なる法改正対応ではなく、事業所の運営そのものに関わる実務対応です。
そこで今回は、まず最初に作っておきたい
「日本版DBS対応の実務計画」
について考えてみたいと思います。
この記事は、読むだけではなく、実際に自社の計画表を作るつもりで読み進めていただければと思います。
なぜ最初に実務計画が必要なのか
日本版DBS対応でよくある失敗は、
「とりあえず分かるところから始める」
ことです。
もちろん、動き出すことは大切です。
しかし、全体像が見えないまま進めると、
・誰が担当するのか
・いつまでに決めるのか
・どの書類が必要なのか
・誰に説明するのか
・個人情報をどこで管理するのか
こうした点が後回しになり、途中で混乱しやすくなります。
特に、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所のように複数の職員が関わる現場では、管理者だけで完結する話ではありません。
法人本部、管理者、児童発達支援管理責任者、現場職員、採用担当者など、複数の人が関わります。
また、学習塾やスポーツクラブなどの認定事業者を検討する事業者でも、講師、コーチ、アルバイト、外部スタッフなどを含めて整理する必要があります。
だからこそ、最初に必要なのは、完璧な答えではありません。
まずは、
「誰が、いつまでに、何を決めるのか」
を見える化することです。
実務計画は完璧でなくてよい
ここで大切なのは、最初から完璧な計画を作ろうとしないことです。
日本版DBSは新しい制度です。
事業者ごとの業務内容や職員体制によって、確認すべき点も変わります。
最初からすべてを正確に決めようとすると、かえって手が止まってしまいます。
実務計画の目的は、完成した答えを出すことではありません。
・現時点で決まっていること
・まだ決まっていないこと
・確認が必要なこと
・専門家に相談した方がよいこと
これらを分けて整理することです。
つまり、実務計画は、
「対応を始めるための地図」
だと考えると分かりやすいと思います。
ステップ1 担当者を決める
最初に決めるべきことは、担当者です。
日本版DBS対応では、
・制度理解
・対象者整理
・職員説明
・同意取得
・個人情報管理
・規程整備
といった複数の作業が発生します。
そのため、
「誰かがやるだろう」
という状態が一番危険です。
小規模事業者であれば、代表者や管理者が担当者になることもあるでしょう。
複数事業所を運営する法人であれば、本部担当者と各事業所の責任者を分けて考える必要があります。
ここで大切なのは、担当者を一人に押し付けることではありません。
中心となる人を決めたうえで、誰と連携するのかを整理することです。
例えば、
a.法人本部が制度確認を行う
b.事業所管理者が対象職員を洗い出す
c.採用担当者が新規採用時の流れを確認する
d.個人情報管理担当者が保管方法を検討する
このように役割を分けておくと、実務が進みやすくなります。
ステップ2 対応項目を書き出す
次に、日本版DBS対応で必要になりそうな項目を書き出します。
例えば、
・自社が義務対象事業者か認定事業者を検討する立場か確認する
・対象職員を洗い出す
・外部講師や委託スタッフを整理する
・職員説明の方法を考える
・同意取得の流れを作る
・個人情報管理の方法を決める
・必要な書類を確認する
・就業規則や社内規程を見直す
・保護者への説明が必要か検討する
・運用開始後の見直し時期を決める
この段階では、細かい内容まで決める必要はありません。
まずは、やるべき作業を一覧化することが大切です。
見える化することで、
「意外とやることが多い」
「これは社内だけでは判断が難しい」
「早めに準備した方がよい」
ということに気づけます。
ステップ3 期限を仮置きする
対応項目を書き出したら、次に期限を仮置きします。
ここでのポイントは、確定期限でなくてもよいということです。
例えば、
1.今月中に担当者を決める
2.翌月までに対象者一覧を作る
3.その次に職員説明の準備を始める
4.同意取得の流れを検討する
5.個人情報管理ルールを見直す
このように、大まかな流れを作るだけでも実務は前に進みます。
日本版DBS対応は、施行日直前に一気に行うものではありません。
特に既存職員への説明や同意取得は、丁寧に進める必要があります。
期限を仮置きすることで、事業所内での共有もしやすくなります。
ステップ4 必要書類を整理する
次に、必要になりそうな書類を整理します。
例えば、
・対象者一覧表
・職員説明資料
・同意書
・個人情報管理ルール
・外部講師との契約書
・委託先との取り決め
・採用時の確認書類
・社内規程
・保護者向け説明文
などです。
この段階で、すべてを作成する必要はありません。
まずは、
「どの書類が必要になりそうか」
「既にある書類を使えるのか」
「新しく作る必要があるのか」
これを整理することが大切です。
特に個人情報管理に関する書類は、慎重に考える必要があります。
また犯罪事実確認に関する情報は、非常に慎重に扱うべき情報です。
「誰が管理するのか」
「どこに保管するのか」
「誰が閲覧できるのか」
「不要になった情報をどう廃棄するのか」
こうした点を後回しにしないことが重要です。
ステップ5 未定リストを作る
実務計画を作るときに、ぜひ入れてほしいのが
『未定リスト』
です。
日本版DBS対応では、すぐに結論が出ない項目が必ず出てきます。
例えば、
「外部講師をどこまで対象にするのか」
「ボランティアをどう扱うのか」
「時期スタッフをどのように整理するのか」
「既存職員への説明をいつ行うのか」
「同意を得られない場合にどう対応するのか」
こうした項目を、無理にその場で決める必要はありません。
しかし、放置してはいけません。
大切なのは、
『未定のまま見える化しておくこと』
です。
未定リストを作っておけば、後で制度運用やガイドラインを確認しながら、順番に検討できます。
実務では、この未定リストがとても大切です。
なぜなら、未定の項目こそ、後でトラブルや対応漏れにつながりやすいからです。
ステップ6 実務計画表を作る
ここまで整理したら、実務計画表を作ります。
難しい形式である必要はありません。
次のような項目があれば十分です。
【日本版DBS実務計画表の項目例】
1.対応項目
2.担当者
3.関係者
4.期限
5.必要書類
6.現在の状況
7.未定・確認事項
・担当者 管理者
・関係者 本部担当者、現場責任者
・期限 〇月末まで
・必要書類 対象者一覧表
・現在の状況 未着手
・未定・確認事項 外部講師の扱いを確認
このように整理すると、次に何をするべきかが分かりやすくなります。
計画表は、きれいに作ることが目的ではありません。
事業所内で共有し、実際に動かすことが目的です。
今日の実務ワンポイント
実務計画表は、
「完成した答え」
ではなく、
「対応を進めるための管理表」
です。
最初から完璧を目指す必要はありません。
むしろ、
未定の項目や判断に迷う項目をきちんと見える化することが大切です。
日本版DBS対応では、
決まっていることよりも、
まだ決まっていないことを放置しないことが重要です。
まとめ
日本版DBS対応は、制度を知るだけでは不十分です。
現場で運用できる形に落とし込む必要があります。
そのために最初に作りたいのが、
実務計画表です。
担当者を決める。
対応項目を書き出す。
期限を仮置きする。
必要書類を整理する。
未定リストを作る。
この流れで整理していくと、何から始めればよいのかが見えてきます。
日本版DBS対応は、一日で終わる作業ではありません。
だからこそ、早めに計画を作り、事業所内で共有することが大切です。
今日のチェックポイント
□ 日本版DBS対応の担当者を決めた
□ 対応項目を一覧化した
□ それぞれの項目に仮の期限を入れた
□ 必要になりそうな書類を整理した
□ 未定・確認事項をリスト化した
行政書士田中穂積の視点
日本版DBS対応で大切なのは、制度を知ることだけではありません。
現場で動かせる形にすることです。
私は、日本版DBSを単なる法改正対応とは考えていません。
これは、子どもと関わる事業者が、自らの安全管理体制を見直す大きな機会だと思っています。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、日々の支援の中で、職員と子どもとの距離が近くなります。
学習塾やスポーツクラブでも、子どもと継続的に関わる以上、安全対策は避けて通れません。
だからこそ、事業者ごとの実情に合った計画が必要です。
制度をそのまま当てはめるのではなく、自社の現場に合う形で運用できる仕組みを作る。
その伴走をすることが、行政書士としての私の役割だと考えています。
Q&A|日本版DBS実務計画の疑問
Q1. 実務計画表は必ず作る必要がありますか?
A 法律上の様式として必ず必要というものではありません。しかし、対応漏れを防ぎ、事業所内で共有するためには作成をおすすめします。
Q2. 小規模事業者でも計画表は必要ですか?
A 必要です。小規模であっても、対象者整理、職員説明、同意取得、個人情報管理などの作業は発生します。簡単な表でもよいので作っておくと安心です。
Q3. まだ制度の細かい運用が分からない部分はどうすればよいですか?
A 無理に結論を出さず、未定リストに入れておくことをおすすめします。後で確認すべき項目として見える化しておくことが大切です。
Q4. 認定事業者を目指すか迷っている段階でも作れますか?
A 作れます。認定を受けるかどうかにかかわらず、子どもの安全対策や職員管理体制を整理することは有益です。
Q5. 行政書士に相談するタイミングはいつですか?
A 実務計画を作り始めた段階で相談していただいて大丈夫です。対象者整理や必要書類、規程整備の方向性を一緒に確認できます。
次回予告
次回は、
「日本版DBS導入で対象者一覧表を作る」
について考えてみたいと思います。
実務計画を作った後、最初につまずきやすいのが、
誰を対象者として整理するのか
という問題です。
正社員だけでよいのか。
パートやアルバイトはどうするのか。
外部講師、派遣労働者、スポットワーカー、ボランティアはどう考えるのか。
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所、学習塾、スポーツクラブなど、事業形態によっても悩みは変わります。
次回は、事業所でそのまま使える対象者一覧表を作るイメージで、実務の視点から整理していきます。
\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・日本版DBS導入までに何を準備すればよいか分からない
・実務計画表の作り方を相談したい
・対象職員や外部スタッフの整理に不安がある
・職員説明や同意取得の進め方を相談したい
・個人情報管理体制や社内規程を見直したい
・認定事業者制度への対応を検討したい
といったお悩みに対し、
横浜市泉区(中田駅)から全国の事業者様に向けて、
37年の社会での現場経験と
👉 行政書士としての法務視点
を踏まえてサポートしています。
行政書士の役割は制度を説明することだけではありません。
👉 現場で運用できる仕組みづくりを支援することだと考えています。
日本版DBSへの対応は、単なる法改正対応ではありません。
子どもたちが安心して通える環境を整え、保護者から信頼される事業者になるための体制づくりです。
制度理解から実務計画の作成、対象職員の整理、職員説明、同意取得、個人情報管理、規程整備まで、実務ベースで伴走いたします。
また当事務所では、
👉 「日本版DBS対応チェックシート」
を無料進呈しております。
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