古民家カフェだけでは厳しい理由|第13話

古民家カフェだけでは厳しい理由|第13話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

古民家を活用したいと考えたとき、
「カフェにしたい」
というアイデアは、とても自然です。
昔ながらの梁や柱。
庭。
縁側。
落ち着いた空間。
現代的な店舗にはない雰囲気そのものが、古民家の大きな魅力になります。
実際、
「古民家カフェなら行ってみたい」
と思う方も少なくないでしょう。
しかし、
👉魅力のある場所をつくることと、その事業を長く続けることは同じではありません。
改修費。
維持費。
人件費。
光熱費。
食材費。
そして、カフェの客単価。
これらを考えると、カフェの売上だけで古民家を維持することが難しい場合もあります。
👉 今回は、「古民家カフェをやめた方がよい」という話ではなく、利用者に選ばれる場所を、どう持続できる事業にしていくのかを考えます。

古民家には「行ってみたくなる力」がある

古民家カフェの強みは、
単にコーヒーや食事を提供することではありません。
建物そのものが、
来店する理由
になります。
写真を撮りたい。
昔の建物を見てみたい。
静かな場所で過ごしたい。
地域らしい雰囲気を楽しみたい。
こうした目的で訪れる方もいます。
一般的なカフェとは違い、
空間そのものが商品になる
のが古民家の魅力です。
一方で、ここには難しさもあります。

「一度行きたい」と「また行きたい」は違う

観光的な魅力だけでは、
「一度行けば満足」
になってしまうことがあります。
事業を続けるためには、
初めて訪れる人だけでなく、
もう一度利用したいと思う理由
も必要です。
👉 古民家という建物が最初の来店理由になり、サービスや居心地が再来店の理由になる。
この二つを分けて考えることが大切です。

カフェは客単価と営業時間に限界がある

カフェ事業では、
1人のお客様が利用する金額にはある程度の幅があります。
また、
席数。
営業時間。
回転数。
によって、一日に受け入れられる人数にも限りがあります。
古民家の場合、
建物の広さがあっても、
すべてを客席として使えるとは限りません。
さらに、
古い建物だからこその修繕。
庭の管理。
空調。
清掃。
などが必要になることもあります。
👉 売上だけでなく、「その建物を維持するためにいくら必要か」から考えることも重要です。

「満席だから成功」とは限らない

これは古民家カフェに限りませんが、
お客様が多いことと、
事業として利益が残ることは別です。
たとえば、
人気があって週末は満席。
でも、
平日は利用者が少ない。
客単価が低い。
スタッフを多く配置している。
建物の維持費が高い。
となれば、経営は楽ではありません。
そこで必要になるのが、
「何人来るか」だけでなく、「一人のお客様がどのように利用するのか」を考えること
です。

利用者が「ここで何をするのか」を考える

古民家を、
飲食する場所
だけで考えないことも一つの方法です。
たとえば利用者から見ると、
食事をする。
庭を楽しむ。
地域の商品を見る。
イベントに参加する。
文化や歴史に触れる。
誰かと交流する。
など、さまざまな過ごし方があります。
重要なのは、
サービスをたくさん増やすことではありません。
👉 「この古民家で、利用者にどんな時間を過ごしてもらいたいのか」を考えることです。
そこが決まれば、
必要なサービスも見えやすくなります。

収入源を一つだけにしないという考え方

カフェを中心にしながら、
別の収入の柱を持つ方法もあります。
たとえば、
地域商品の販売。
イベント。
貸しスペース。
体験企画。
などです。
ただし、
何でも追加すればよいわけではありません。
古民家の雰囲気や利用者層と合っていなければ、
かえって魅力が薄れることもあります。
大切なのは、
「売上を増やせそうだから」ではなく、「この場所を利用する人にとって自然か」
という視点です。
👉 カフェを中心にしながら、その古民家らしい利用方法を少しずつ広げていく。
その方が持続的な事業につながりやすいでしょう。

事業を広げれば確認事項も増える

カフェ以外のサービスを始める場合には、
許認可の確認も必要になります。
飲食。
物販。
宿泊。
イベント。
送迎。
など、
行う内容によって関係する制度は異なります。
古民家だから特別なのではなく、
「その場所で何をするのか」
によって必要な手続を確認します。
👉 新しいサービスを考えるときは、設備投資をする前に、実現できる事業なのかを確認しておくことが大切です。

今日の実務ワンポイント

古民家カフェを考えている方は、
一度、
「お客様は何を目的に来るのか」
を書き出してみてください。
古民家を見るため。
食事をするため。
静かに過ごすため。
地域を楽しむため。
誰かと交流するため。
そして、
「もう一度来てもらう理由は何か」
も考えてみます。
👉 初回来店の理由と、再来店の理由を分けて考えると、事業の形が見えやすくなります。

まとめ

古民家カフェには、
建物そのものが人を惹きつける力があります。
しかし、
魅力的な空間をつくるだけで、
長く事業を続けられるとは限りません。
改修費。
維持費。
人件費。
光熱費。
客単価。
営業時間。
などを考えながら、
「利用者にどんな価値を提供する場所なのか」
を考える必要があります。
👉 古民家カフェを続けるために大切なのは、「一度行きたい場所」から「また利用したい場所」へ変えていくことです。
そして必要であれば、
カフェ以外の利用方法も組み合わせながら、
その建物らしい事業をつくっていきましょう。

今日のチェックポイント

□古民家を訪れる利用者をイメージしている
□初めて来てもらう理由を考えている
□再来店してもらう理由を考えている
□客単価と一日の利用人数を考えている
□改修後の維持費まで想定している
□カフェ以外の利用方法も検討している
□建物の魅力と新しいサービスが合っているか考えている
□必要な許認可を事前に確認している
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「誰が来て、何をして、なぜまた来るのか」
の3つから考えてみましょう。

行政書士田中穂積の視点

古民家活用を考えるとき、
つい、
「何のお店にするか」
から考えたくなります。
しかし、本当に大切なのは、
その建物を誰に、どのように使ってもらうのか
だと思います。
カフェは、古民家に人を呼ぶ非常に分かりやすい入口です。
そこから、
地域を知る。
人と交流する。
商品を購入する。
体験する。
という広がりが生まれることもあります。
一方で、事業を広げれば、
飲食。
物販。
宿泊。
その他の許認可。
などの確認が必要になる場合があります。
だからこそ、
建物の魅力、利用者の視点、事業としての継続性、必要な許認可
を別々に考えないことが重要だと考えています。

Q&A|古民家カフェを続けるために

Q1.古民家カフェだけでは経営できませんか?
一概には言えません。
立地、席数、客単価、営業時間、建物の維持費などによって大きく異なります。
重要なのは、開業前に「どのくらい売れそうか」だけでなく、毎月どのくらいの費用がかかるのかも確認することです。
Q2.カフェ以外のサービスも最初から始めた方がよいですか?
必ずしもそうではありません。
サービスを増やすほど、設備や人員、許認可などの確認事項も増えます。
まずはカフェを中心に、利用者の反応を見ながら、その古民家に合ったサービスを検討する方法もあります。
Q3.古民家で新しい事業を始めるときは何から確認すればよいですか?
まず、
何をするのか、誰に利用してもらうのか、建物をどのように使うのか
を整理します。
そのうえで、建築・消防・保健所・許認可など、必要な確認を進めていくと整理しやすくなります。

次回予告

古民家カフェを考えると、
次に見えてくるのが、
古民家を「泊まる場所」として活かしたとき、地域にどんな変化が生まれるのか
というテーマです。
古民家宿は、
宿泊者を受け入れるだけの施設ではありません。
地域の飲食店。
商店。
体験事業者。
交通。
観光資源。
とつながることで、
旅行者が地域を歩くきっかけになり、
地域の消費や交流につながる可能性があります。
一方で、
宿をつくれば自動的に地域活性化につながるわけでもありません。
誰に泊まってもらうのか。
地域とどうつなぐのか。
宿泊者に地域でどう過ごしてもらうのか。
という視点が必要です。
次回は、
「古民家宿は地域を変えられるのか」
として、
👉 古民家宿を単独の宿泊施設ではなく、地域を巡るきっかけとして考えたとき、どんな可能性があるのか
を利用者と地域の両方の視点から考えてみたいと思います。

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行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
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・宿泊や飲食など複数の事業を組み合わせたい
・行政への相談や許認可を整理したい
といったご相談に、旅行業界での37年の現場経験と、行政書士としての法務の視点を踏まえて対応しています。
古民家活用では、
「何の許可が必要か」だけでなく、「その建物でどんな事業を続けていくのか」
から整理することが大切です。
👉 古民家を利用者に選ばれ、地域に残っていく場所へ変えるところから一緒に考えてみませんか。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。