旅行会社勤務から独立開業するには|経験を事業に変える準備|第7話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、「異業種から旅行業へ参入するには」として、既存事業の強みを旅行ビジネスへつなげる考え方を見てきました。
今回は、
旅行会社で働いてきた方が、自分で旅行会社を始める場合
を考えます。
旅行会社で長く仕事をしていると、
得意な旅行商品。
付き合いのある仕入先。
顧客。
販売方法。
旅行業務の流れ。
などを理解しているため、
「いつか自分でやってみたい」
と考える方もいるでしょう。
しかし、
会社員として旅行業務を行うことと、自分で旅行会社を経営することは同じではありません。
👉 独立開業では、旅行業の経験を「自分の事業」として組み立て直すことが必要です。
- 1. まず「何を売る旅行会社にするか」を決める
- 2. 前職の経験をそのまま持ってくるだけではない
- 3. 顧客はどこから来るのか
- 4. 仕入先との関係も作り直す
- 5. 旅行業務取扱管理者をどうするか
- 6. 営業所は「机があればよい」ではない
- 7. 法人か個人かを考える
- 8. 開業資金は登録費用だけではない
- 9. 小さな旅行会社だからこそ「得意分野」を持つ
- 10. 今日の実務ワンポイント
- 11. まとめ
- 12. 今日のチェックポイント
- 13. 行政書士田中穂積の視点
- 14. Q&A|旅行会社勤務からの独立開業
- 15. 次回予告
- 16. \ 旅行会社からの独立開業を考えている方へ /
- 17. クイズ!旅行会社勤務から独立開業するには
まず「何を売る旅行会社にするか」を決める
独立を考えると、
最初に旅行業登録を調べたくなります。
しかし、その前に整理したいのが、
自分は何を売る旅行会社をつくるのか
です。
たとえば、
国内の地域旅行。
団体旅行。
教育旅行。
スポーツ旅行。
訪日旅行。
特定の趣味やテーマに特化した旅行。
企業向けの出張・研修旅行。
など、旅行会社の形はいろいろあります。
前職の経験をそのまま持ってくるだけではない
会社員時代に得意だった仕事は、大きな強みです。
しかし、
勤務先のブランド。
仕入条件。
顧客基盤。
社内システム。
などがあって成立していた部分もあります。
独立後は、
「自分自身の強みは何か」
を改めて考える必要があります。
👉 独立では、「旅行業界で何年働いたか」より、「その経験を誰に、何として売るか」が重要です。
顧客はどこから来るのか
独立後に最も大切な問題の一つが、
誰に買ってもらうのか
です。
旅行商品を作れても、顧客がいなければ事業にはなりません。
以前から付き合いのある顧客。
地域の事業者。
法人。
学校。
趣味のコミュニティ。
インターネットからの新規顧客。
など、どこから顧客を獲得するのかを考えます。
前職の顧客は自分の顧客とは限らない
ここは特に注意したいところです。
勤務先で担当していた顧客や取引先との関係については、
雇用契約。
秘密保持。
競業に関する取り決め。
顧客情報の取扱い。
などにも注意する必要があります。
👉 「知っている顧客がいる」ことと、「独立後に営業できる」ことは分けて考えましょう。
仕入先との関係も作り直す
旅行会社勤務の経験があれば、
宿泊施設。
交通事業者。
ランドオペレーター。
観光施設。
などとの取引経験があるでしょう。
ただし、独立後は、
新しい事業者として取引条件を整える
ことになります。
会社員時代と同じ条件で仕入れられるとは限りません。
取引口座。
支払条件。
保証。
予約方法。
キャンセル条件。
などを確認していきます。
👉 旅行商品の知識だけでなく、「仕入れられる体制」を作ることも独立準備の一部です。
旅行業務取扱管理者をどうするか
旅行業を始めるには、
営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任する必要があります。
自分自身が資格を持っている。
有資格者を採用する。
など、方法は事業者によって異なります。
独立する本人が管理者を兼ねることができれば、人員面では大きな強みになります。
一方、
資格者を採用する前提なら、人件費や採用時期も事業計画に入れる必要があります。
👉 「資格を持っているか」だけでなく、「開業時に誰が管理者になるのか」まで決めておきましょう。
営業所は「机があればよい」ではない
独立開業では、
自宅。
小規模オフィス。
シェアオフィス。
などを営業所候補として考えることもあるでしょう。
しかし、
旅行業の営業所として認められるかは別に確認が必要です。
独立前に賃貸契約を進めてしまい、
旅行業の営業所として使いにくいことが分かれば、
予定を見直すことにもなりかねません。旅行業に限らず
👉 営業所は契約してから考えるのではなく、候補段階で要件を確認することが大切です。
法人か個人かを考える
旅行会社を始めるからといって、
必ず法人でなければならないわけではありません。
個人事業として始める方法もあります。
一方で、
取引先からの信用。
採用。
事業規模。
将来の拡大。
資金調達。
などを考えると、法人化が適する場合もあります。
大切なのは、
「旅行会社だから法人」
と決めるのではなく、
自分が目指す事業規模から選ぶこと
です。
開業資金は登録費用だけではない
旅行業を始めるには、
旅行業登録に関係する費用だけでなく、
営業所。
システム。
通信費。
広告費。
人件費。
仕入代金。
なども必要になります。
さらに、開業してすぐに十分な売上が入るとは限りません。
そのため、
「登録できるだけの資金」ではなく、「事業を続けられる資金」
を考える必要があります。
👉 独立では、旅行業登録と資金計画を別々に考えないことが重要です。
小さな旅行会社だからこそ「得意分野」を持つ
独立したばかりの旅行会社が、
大手旅行会社と同じ商品を、
同じ販売方法で、
価格だけで競争するのは簡単ではありません。
だからこそ、
地域。
顧客層。
旅行目的。
専門分野。
などを絞る考え方があります。
たとえば、
ある地域に強い。
特定のスポーツに詳しい。
教育旅行に経験がある。
法人旅行の手配が得意。
訪日客への対応に強い。
というように、
「なぜこの旅行会社に頼むのか」
を明確にします。
👉 独立後の強みは、大きさではなく「専門性」にできる可能性があります。
今日の実務ワンポイント
旅行会社からの独立を考えている方は、
まず次の5つを書き出してみてください。
①誰を顧客にするのか
②何を売るのか
③自分の得意分野は何か
④誰が旅行業務取扱管理者になるのか
⑤開業後しばらくの資金をどう確保するのか
この5つが整理できると、
旅行業登録の準備だけでなく、
自分が作ろうとしている旅行会社の姿
も見えやすくなります。
👉 独立準備は、「会社を辞める準備」ではなく、「自分の旅行ビジネスを作る準備」として考えましょう。
まとめ
旅行会社で培った経験は、
独立開業するときの大きな財産です。
しかし、
旅行商品を作れる。
手配ができる。
顧客対応ができる。
ということと、
会社を経営できることは同じではありません。
独立では、
顧客。
商品。
仕入先。
旅行業務取扱管理者。
営業所。
資金。
などを自分で組み立てる必要があります。
👉 旅行会社からの独立では、「経験があるから開業できる」ではなく、「その経験をどんな事業に変えるのか」を考えることが大切です。
旅行業登録は、その事業を実現するための一つの手続です。
まずは、
自分だからできる旅行会社とは何か
を考えるところから始めてみましょう。
今日のチェックポイント
□主な顧客を考えている
□販売したい旅行商品を整理している
□自分の得意分野を言葉にできる
□前職の顧客・取引先との関係を整理している
□仕入先を確保できるか確認している
□旅行業務取扱管理者を確保できる
□営業所候補の要件を確認している
□法人・個人のどちらで始めるか検討している
□開業資金と運転資金を考えている
□必要な旅行業登録について確認している
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「誰に・何を・自分のどんな経験を生かして売るのか」
から整理してみましょう。
行政書士田中穂積の視点
私自身、旅行業界で37年間仕事をしてきました。
だからこそ、
旅行会社で働くことと、
自分で旅行事業を経営することは、
似ているようで大きく違うと考えています。
会社員であれば、
会社の信用。
取引先。
仕入条件。
システム。
顧客基盤。
があります。
独立すれば、それらを自分で作っていかなければなりません。
一方で、
長く旅行業に携わってきた方には、
現場で培った知識。
顧客のニーズを読む力。
仕入先との調整力。
自分なりの得意分野。
があります。
👉 その経験を「自分の会社だからできる商品」に変えることが、独立の大きな強みになります。
行政書士としては、旅行業登録だけを見るのではなく、
その方がどのような旅行会社を作りたいのか
を整理したうえで、登録要件や開業までの手続につなげることが重要だと考えています。
Q&A|旅行会社勤務からの独立開業
Q1.旅行会社で長く働いていれば、旅行業登録は簡単にできますか?
勤務経験だけで登録できるわけではありません。
登録区分に応じた要件や、旅行業務取扱管理者、営業所、財産的基礎などを確認する必要があります。
ただし、旅行業務の経験は、開業後の商品造成や業務運営で大きな強みになります。
Q2.会社を辞めてから旅行業登録の準備を始めればよいですか?
可能ですが、退職前から準備できることもあります。
事業内容。
登録区分。
営業所。
資金。
管理者。
などを整理しておけば、退職から開業までの空白期間を短くしやすくなります。
独立を考え始めた段階で、全体のスケジュールを作ることをおすすめします。
Q3.一人でも旅行会社を始められますか?
事業内容や登録要件を満たせる体制であれば、小規模に始めることは可能です。
ただし、
旅行業務。
営業。
経理。
顧客対応。
緊急時対応。
などを誰が担うのかも考えておく必要があります。
「登録できる人数」ではなく、「運営できる体制か」という視点も大切です。
次回予告
自分の旅行会社を作るとき、
次に考えたいのが、
「では、何を売ればよいのか」
という問題です。
大手旅行会社と同じ商品を、
同じ価格で販売するだけでは、
小さな旅行会社が選ばれる理由を作るのは難しいかもしれません。
そこで次回は、
「小さな旅行会社は何を売る?|大手と競わない旅行商品のつくり方|第8話」
として、
地域特化。
テーマ旅行。
教育・スポーツ。
法人需要。
インバウンド。
などを例に、
小さな旅行会社だからこそ作れる旅行商品
を考えます。
👉 次回は、「何でも扱う旅行会社」ではなく、「この旅行ならここに頼みたい」と思われる旅行会社の作り方を考えます。
\ 旅行会社からの独立開業を考えている方へ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、旅行会社勤務からの独立開業や、旅行業への新規参入について、事業内容の整理から旅行業登録まで一体で支援しています。
例えば、
・独立開業までのスケジュール整理
・事業内容に合った旅行業登録区分の確認
・旅行業務取扱管理者などの要件確認
・営業所要件の確認
・旅行業登録申請
・法人・個人での開業に向けた整理
・行政への事前相談
・開業後の変更手続
など、現在の計画段階に応じて必要な準備を整理します。
旅行会社からの独立では、
経験・商品・顧客・営業所・人員・資金・旅行業登録
が互いにつながっています。
そのため、
「旅行業登録を取れるか」
だけを見るのではなく、
これまでの経験を、どのような旅行ビジネスとして形にするのか
から一緒に整理します。
👉 「いつか独立したい」と考え始めた段階から、自分の旅行会社の形を整理してみませんか。
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▶ 旅行業登録・旅行業支援
▶ 相談から正式依頼までの流れ
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横浜市泉区・中田駅周辺の方はもちろん、オンライン相談により全国の旅行業への独立開業・新規参入を検討されている方にも対応しています。
クイズ!旅行会社勤務から独立開業するには
前回 異業種から旅行業へ参入するには|新規事業として考えるポイント|第6話
次回 小さな旅行会社は何を売る?|大手と競わない旅行商品のつくり方|第8話
関連 旅行業登録、開業、経営支援
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。