横浜の障害福祉事業所に必要な研修・委員会|第6話

~年間予定を整理する~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、個別支援計画について、
作成すること。
説明・同意を得ること。
モニタリングすること。
記録を残すこと。
を一つの流れとして管理する大切さをお伝えしました。
しかし、障害福祉サービスの運営で管理しなければならないのは、個別支援計画だけではありません。
指定後は、
虐待防止。
身体拘束等の適正化。
感染症対策。
業務継続計画(BCP)。
などについて、
研修。
委員会。
訓練。
記録。
を年間を通して実施していく必要があります。
今回のポイントは、
👉 必要な研修や委員会を「覚えておく」のではなく、年間予定にして管理すること
です。
研修・委員会は「その都度考える」と漏れやすい
障害福祉事業所では、
「そろそろ虐待防止研修をやらないと」
「BCP訓練は今年やっただろうか」
「委員会の議事録は残っているか」
と、その都度確認していると漏れが生じやすくなります。
特に、
管理者。
サービス管理責任者。
児童発達支援管理責任者。
が日常業務と兼務している事業所では、後回しになりやすい部分です。
そこで必要になるのが、
年度の最初に年間予定を決めてしまうこと
です。
まず押さえたい4つのテーマ
事業所のサービス種別によって確認事項は異なりますが、まず意識したいのが次の4つです。
虐待防止
障害福祉サービス等では、虐待防止委員会の設置、従業者への研修、担当者の配置などが求められています。厚生労働省も、指定障害福祉サービスや障害児通所支援について、これらの措置を講じることを求めています。
研修を行っただけではなく、
いつ実施したか。
誰が参加したか。
何を扱ったか。
を記録しておきます。
身体拘束等の適正化
身体拘束等の適正化についても、
委員会。
指針。
研修。
記録。
が重要です。
厚生労働省の現行の取扱いでは、身体拘束適正化検討委員会と研修について、少なくとも年1回以上の実施が基準上の確認点となっています。虐待防止委員会と一体的に運営することも可能とされています。
感染症対策
感染症については、
委員会。
指針。
研修。
訓練。
を計画的に行います。
厚生労働省は、障害福祉サービス事業者について、感染症対策委員会、指針、研修、訓練などの取組を求めています。
BCP
BCPは、
作って保管しておけば終わり
ではありません。
感染症や自然災害が発生した場合に、本当に職員が動けるよう、
研修。
訓練。
見直し。
まで行う必要があります。
共同生活援助に関する厚生労働省資料でも、BCPについて定期的な研修・訓練を年1回以上実施することが示されています。
年間予定にすると運営が見える
例えば、年度の初めに次のような管理表を作ります。
4月
年間研修・委員会予定の確認
5月
BCP研修・訓練
7月
虐待防止・身体拘束等の委員会、研修
9月
災害を想定した訓練
11月
感染症研修・訓練
1月
未実施項目の確認
3月
年度実績の確認、翌年度予定の作成
これはあくまで一例です。
実際には、
放課後等デイサービス。
児童発達支援。
就労継続支援B型。
共同生活援助。
など、サービス種別ごとに必要な回数や内容を確認したうえで年間予定を組みます。
👉 大切なのは、「何月に何をするか」を先に決めておくことです。
実施したら必ず記録を残す
研修や委員会は、
「やりました」
だけでは確認できません。
残しておきたいのは、
実施日。
参加者。
研修資料。
議題。
検討内容。
決定事項。
職員への周知内容。
などです。
訓練であれば、
どのような想定で行ったか。
何がうまくいかなかったか。
BCPやマニュアルを修正する必要があるか。
まで記録しておくと、次回につながります。
つまり、
👉 実施と記録はセット
です。
「研修をした」で終わらせない
特に注意したいのは、
毎年同じ資料を読み合わせて終わる
という状態です。
例えば虐待防止研修なら、
実際の支援場面で気になることはないか。
職員が相談しにくい環境になっていないか。
身体拘束につながりそうな場面はないか。
など、日常の支援と結び付けて考えることが大切です。
BCP訓練も同じです。
実際に訓練してみることで、
連絡先が古い。
担当者が不在だと動けない。
備蓄場所を職員が知らない。
といった問題が見えてくることがあります。
研修や訓練は、
書類を整えるためではなく、運営を見直す機会
として使うことが重要です。
今日の実務ワンポイント
研修・委員会管理では、
一枚の年間管理表を作ってみてください。
項目は、
実施予定月。
実施日。
担当者。
参加者。
記録作成。
職員周知。
まで入れておきます。
実施したらチェックを入れる。
未実施ならすぐ分かる。
この状態にしておくだけで、
「やったつもり」
をかなり防ぐことができます。
👉 研修・委員会管理は、記憶ではなく一覧表で行う。
これが基本です。
まとめ
障害福祉事業所では、
虐待防止。
身体拘束等の適正化。
感染症対策。
BCP。
などについて、研修・委員会・訓練を継続して行う必要があります。
重要なのは、
必要になったときに思い出すことではありません。
年度の初めに、
何を。
いつ。
誰が。
どのように実施するか。
を決めておくことです。
そして、
👉 「実施する仕組み」と「記録を残す仕組み」を一緒につくる。
これが、指定後の安定した運営につながります。
今日のチェックポイント
□ 必要な研修を一覧にしている
□ 必要な委員会を確認している
□ 訓練の予定を決めている
□ 年間スケジュールを作っている
□ 担当者を決めている
□ 研修資料を保管している
□ 委員会議事録を残している
□ 参加者が分かる記録を残している
□ 実施後に職員へ周知している
□ 翌年度へ改善点を引き継いでいる
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
「今年やらなければならない研修・委員会・訓練は何か」
を一枚にまとめるところから始めてみましょう。
行政書士田中穂積の視点
障害福祉サービスの運営では、
一つ一つの書類を作ること以上に、
必要なことを決められた時期に実施できる仕組み
をつくることが重要だと考えています。
研修。
委員会。
訓練。
記録。
これらを別々に管理すると、どうしても抜けが出やすくなります。
だからこそ、
年間予定。
担当者。
実施記録。
を一つの流れにしておく。
行政書士として運営支援をするときも、
単に「この書類がありますか」と確認するだけではなく、
現在の運営の中で継続して回る仕組みになっているか
を見ることが大切です。
Q&A|研修・委員会の年間管理
Q1.研修や委員会は、すべての障害福祉サービスで同じ回数ですか。
同じとは限りません。
サービス種別や基準によって、必要な内容や頻度が異なる場合があります。
そのため、自事業所のサービス種別に対応する基準や横浜市の集団指導資料などを確認して年間予定を作ることが大切です。横浜市は令和8年度もサービス種別ごとの集団指導資料を公開しています。
Q2.虐待防止委員会と身体拘束の委員会は別々に開催しなければなりませんか。
必ずしも別々とは限りません。
厚生労働省は、関係する職種等が相互に深く関係する場合、虐待防止委員会と身体拘束適正化検討委員会を一体的に設置・運営することを認めています。
ただし、両方の必要な検討内容を実際に扱い、記録に残すことが重要です。
Q3.研修を実施した証拠として何を残せばよいですか。
少なくとも、
実施日。
参加者。
研修内容。
使用した資料。
などが分かるようにしておくとよいでしょう。
委員会であれば、議題、検討内容、決定事項、職員への周知まで残しておくと、後から確認しやすくなります。
次回予告
次回は、
「職員が退職したらどうする?|人員基準・変更届・加算への影響|第7話」
について考えます。
障害福祉事業所では、
職員が一人退職した。
勤務時間が変わった。
サービス管理責任者や児童発達支援管理責任者が交代した。
といった人員の変化が、
単なる「職員の入れ替わり」だけでは終わらないことがあります。
人員基準。
変更届。
加算の算定要件。
場合によっては減算。
など、複数の確認が必要になることがあります。
特に、
「後任を採用すれば大丈夫」
と思っていると、届出や加算への影響を見落としてしまうこともあります。
次回は、
👉 職員の退職や勤務変更があったときに、まず何を確認すべきか
を、
人員基準。
変更届。
加算への影響。
という順番で整理します。
\ 障害福祉サービスの運営実務を整理したい方へ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、放課後等デイサービス、児童発達支援、就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)などの指定後の運営についてもご相談を承っています。
例えば、
・人員変更に伴う手続確認
・変更届の作成・提出支援
・体制届・加算届の整理
・運営規程の変更
・現在の届出内容の整理
・行政への事前相談
など、事業所の状況に応じて必要な手続を整理します。
障害福祉サービスでは、
人員・計画・記録・届出・報酬
が互いにつながっています。
そのため、書類を一つずつ作るだけではなく、
現在の支援内容と届出・記録が一致しているか
という視点も大切です。
👉 「今の運営と書類が合っているだろうか」と感じた段階から、必要な確認を整理してみませんか。
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クイズ!障害福祉事業所の研修・委員会をどう管理する?
前回 個別支援計画はなぜ重要?|作成・見直し・記録の基本|第5話
次回 職員が退職したらどうする?|人員基準・変更届・加算への影響|第7話
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。