観光ビジネスの収益はどこで生まれる?|手数料・旅行代金・体験料を整理~|第11話

観光ビジネスの収益はどこで生まれる?|手数料・旅行代金・体験料を整理~|第11話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、「インバウンド向け観光事業を始める前に整えたいこと」として、予約・決済・案内・食事・緊急時対応など、外国人旅行者を受け入れるための仕組みを見てきました。

今回は、
「観光ビジネスを始めたいけれど、どこで利益が出るのか分からない」
という悩みを整理します。
観光事業では、
旅行代金。
手数料。
宿泊料。
体験料。
販売手数料。
など、さまざまなお金が動きます。
しかし、
売上が大きいことと、利益が残ることは同じではありません。
👉 観光ビジネスでは、「いくら売るか」より先に、「誰からいくら受け取り、誰へいくら支払うのか」を整理することが重要です。

まず「売上」と「利益」を分けて考える

たとえば、
旅行者から3万円を受け取った。
これだけを見ると、
3万円の売上があるように見えます。
しかし、その中から、
宿泊施設。
交通事業者。
体験事業者。
ガイド。
などへ支払う費用があれば、
そのまま3万円が利益になるわけではありません。
👉 最初に見るべきなのは、「受け取る金額(売上高)」ではなく、「最終的に何が残るのか(売上総利益)」です。

旅行代金の中から利益が生まれる場合

旅行会社が、
宿泊。
交通。
体験。
などを組み合わせて旅行商品として販売する場合、
旅行者から旅行代金を受け取ります。
そこから、
宿泊代。
交通費。
食事代。
施設利用料。
これら仕入代金などを支払います。
そして、
販売価格と仕入・運営コストとの差
が収益につながります。

原価優先で安く仕入れればよいわけではない

利益を増やそうとして、
仕入価格だけを見るのは危険です。
予約対応。
変更対応。
キャンセル対応。
緊急時対応。
などにもコストがかかります。
👉 旅行商品では、「販売価格-仕入価格」だけでなく、運営にかかる手間(コスト)まで含めて考えましょう。

手数料で収益を得る方法もある

観光ビジネスでは、
自社で商品をすべて提供せず、
紹介や販売の手数料を収益とするビジネスモデルもあります。
たとえば、
体験商品を販売して手数料を受け取る。
地域の商品を紹介して販売手数料を受け取る。
予約を取り次いで手数料を受け取る。
といった形です。
ただし、
「手数料」という名前であれば何でも自由にできるわけではありません。
特に宿泊や交通などの手配に関わる場合には、
旅行業法との関係や相手との契約を確認する必要があります。
👉 大切なのは、手数料の名称ではなく、「実際に何をして対価を受け取っているのか」です。

体験料は分かりやすい収益源

地域体験では、
旅行者から直接、
体験料
を受け取る形があります。
たとえば、
まち歩き。
文化体験。
農業体験。
ものづくり体験。
ガイドツアー。
などです。
この場合も、
材料費。
会場費。
人件費。
予約システム。
保険。
などの費用を考えます。

価格を「安くしすぎない」

地域体験では、
「地域振興だから」
という理由で価格を低く設定しすぎることがあります。
しかし、
続かなければ商品そのものがなくなります。
👉 体験料は、「参加しやすい価格」だけでなく、「提供者が続けられる価格」から考えることが重要です。

宿泊・飲食・物販を組み合わせる方法もある

観光事業では、
一つの収益だけに頼らない考え方もあります。
たとえば、
宿泊料。
飲食。
体験料。
地域商品の販売。
などを組み合わせる方法です。
一人の旅行者が、
泊まる。
食べる。
体験する。
買う。
と利用すれば、
一回の来訪から複数の収益が生まれます。
👉 観光ビジネスでは、「何人来るか」だけでなく、「一人が何を利用するか」も重要です。

誰がお金を受け取るかも明確にする

地域連携では、
ここが曖昧になりやすいところです。
旅行者は誰へ支払うのか。
そこから各事業者へ誰が支払うのか。
手数料はいくらなのか。
キャンセル時は誰が返金するのか。
を決めます。
たとえば、
旅行会社が一括で受け取る。
宿泊施設と体験事業者がそれぞれ受け取る。
販売事業者が手数料だけ受け取る。
など、形はさまざまです。
👉 「お金の入口」と「出口」を図にすると、事業の仕組みが見えやすくなります。

「売れる商品」より「残る商品」を考える

商品を作るときは、
「いくらなら売れるか」
に目が向きます。
しかし、
安く売れても、
仕入れ。
人件費。
販売手数料。
広告費。
システム費。
などを差し引いて利益が残らなければ、
長く続けることはできません。
👉 観光商品は、「売れる価格」と「続けられる価格」の両方を考える必要があります。

今日の実務ワンポイント

新しい観光商品を考えたら、
次の5つを書き出してみてください。
①旅行者はいくら支払うのか
②誰が代金を受け取るのか
③誰へいくら支払うのか
④販売・運営にいくらかかるのか
⑤最終的に自社にいくら残るのか
👉 「売上」ではなく、「最後に残る金額」まで見て初めて事業計画になります。

まとめ

観光ビジネスの収益は、
旅行代金。
手数料。
体験料。
宿泊料。
飲食。
物販。
など、さまざまなところから生まれます。
しかし、
重要なのは収入源を増やすことだけではありません。
誰から代金を受け取り、
誰へ支払い、
どこに利益が残るのか。
を明確にすることです。
👉 観光ビジネスでは、「売れる仕組み」と「利益が残る仕組み」を同時に考えることが大切です。

今日のチェックポイント

□旅行者が支払う金額を整理している
□誰が代金を受け取るか決めている
□仕入先への支払額を把握している
□手数料の内容を整理している
□人件費・広告費なども考えている
□体験料を安くしすぎていない
□一人の旅行者から複数の収益が生まれるか考えている
□キャンセル時のお金の流れを決めている
□最終的に自社へいくら残るか確認している
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「旅行者から1万円受け取ったら、最後に自社へいくら残るのか」
を一度計算してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて感じるのは、
旅行商品は、
売上が大きく見えても、実際に残る利益はまったく別
だということです。
宿泊。
交通。
体験。
仕入れ。
販売。
それぞれに費用がかかります。
また、
予約変更。
キャンセル。
問い合わせ。
緊急対応。
など、数字に見えにくい手間もあります。
さらには人件費や家賃、光熱費などの固定費もかかります。
だからこそ、
「いくらで売れるか」だけではなく、
どの部分で利益を生み出す事業なのか
を最初から考えることが重要です。
一方、行政書士として見ると、
宿泊や交通の手配。
手数料の受取り方。
旅行商品の販売方法。
によっては、旅行業法との関係も確認する必要があります。
👉 「お金の流れ」と「契約・許認可の流れ」を一緒に整理することが、続く観光ビジネスにつながります。

Q&A|観光ビジネスの収益

Q1.旅行代金を全部売上として考えてよいですか?
受け取った金額と、最終的に自社に残る利益は分けて考える必要があります。
宿泊費や交通費などの仕入れ、販売費、人件費などを含めて確認しましょう。
Q2.紹介手数料なら旅行業登録は不要ですか?
名称だけでは判断できません。
実際にどのような契約・手配・販売を行い、その対価として何を受け取っているのかによって確認する必要があります。
Q3.体験商品は安くした方が売れますか?
安さだけで決めるのはおすすめできません。
材料費、人件費、準備時間、会場費などを含め、継続できる価格を設定することが重要です。

次回予告

ここまで、
誰に売るのか。
何を売るのか。
どう販売するのか。
どこで収益を得るのか。
を見てきました。
最後に考えたいのが、
「この観光ビジネスをどう続けていくのか」
です。
旅行業。
宿泊。
体験。
地域連携。
をそれぞれ別々に考えるのではなく、
一つの事業としてつなげる必要があります。
次回は、
「続く観光ビジネスをつくる|旅行業・宿泊・体験・地域連携を一つに考える|第12話」
として、このシリーズ全体をまとめます。
👉 次回は、「面白い観光企画」を「続けられる観光事業」に変えるための最後の整理をします。

\ 観光ビジネスの収益・事業設計を整理したい方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、旅行業・宿泊業・体験・地域連携などの観光ビジネスについて、事業内容の整理から必要な許認可まで一体で支援しています。
例えば、
・旅行業登録が必要かどうかの確認
・旅行業登録申請
・旅行商品の事業スキーム整理
・宿泊・体験・交通を組み合わせる場合の確認
・地域事業者との役割整理
・行政への事前相談
など、計画段階に応じて必要な準備を整理します。
観光ビジネスでは、
商品・契約・お金・許認可
が互いにつながっています。
👉 「商品は考えたけれど、どこで利益が出るのか分からない」という段階から、事業の仕組みを整理してみませんか。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。