22.日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか

22.日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか

~採用・異動・担当者変更のたびに確認したいこと~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
小規模事業所の日本版DBS対応|少人数でも無理なく進める方法
について考えました。
小規模事業所では、
大規模法人と同じ複雑な体制を作るのではなく、
責任者一人。
代行者一人。
手順をまとめた一枚。
を基本に、
少人数でも続けられる仕組みを作ることが大切です。
では、
規程を作った。
職員へ説明した。
研修を実施した。
認定申請を終えた。
そこまで進めれば、
日本版DBSへの対応は完了するのでしょうか。
実際には、施設の職員や体制は変わります。
新しい職員を採用する。
職員が退職する。
配置転換を行う。
担当者が変わる。
事業所を増やす。
国の資料が更新される。
こうした変化に合わせて、
👉規程や対象者一覧、研修記録なども見直す必要があります。

今回は、
👉日本版DBS対応を一度きりにせず、日常業務の中で無理なく見直す方法
について考えます。

日本版DBSは「書類を作れば完了」ではありません

日本版DBSへの準備では、
対象者一覧。
報告・対応ルール。
情報管理規程。
職員説明資料。
研修記録。
などを整えます。
しかし、これらの書類は、
作成した時点の職員や組織体制をもとにしています。
その後、
責任者が退職した。
報告先の連絡先が変わった。
新しい職員が入った。
別の事業所へ異動した。
情報の保管方法を変えた。
という場合には、
書類と実際の運用にずれが生じます。
👉制度対応で大切なのは、書類があることではなく、現在の施設で使える状態になっていることです。

見直す時期は「年に一度」だけではありません

規程や運用方法を、
年に一度まとめて見直す方法は有効です。
しかし、それだけでは不十分な場合があります。
特に確認したいのは、
次のような時期です。

新しい職員を採用するとき

新しく採用する職員が、
こどもと接する業務の対象になるかを確認します。
犯罪事実確認は、新規採用や対象業務への配置転換の際に行うことが基本とされ、
一度確認を受けた従事者についても5年ごとの再確認が必要とされています。
採用時には、
対象者一覧への追加。
本人への制度説明。
研修の実施。
必要書類の取得。
を一つの流れとして行います。

職員が異動・退職するとき

異動によって、
こどもと接する業務へ新たに就く場合があります。
反対に、対象業務から外れる場合もあります。
また、退職者については、
対象者一覧からの整理。
情報へのアクセス権限の削除。
保管している記録の確認。
引継ぎ。
が必要です。
退職した職員の情報を、
いつまでも同じ状態で閲覧できるようにしておくことは避けなければなりません。

責任者や担当者が変わるとき

担当者変更は、
特に見落としやすい場面です。
情報管理規程。
報告先一覧。
対応フロー。
システムの権限。
保管場所。
を、新しい担当者へ引き継ぎます。
こども家庭庁の情報管理規程ひな型は、犯罪事実確認に関する情報を閲覧する者が責任者一人か複数名か、
専用システム外でも記録を保存するかによって内容が分かれています。担当者や管理方法が変わった場合には、
使用している規程と実際の管理体制が一致しているか確認する必要があります。
👉担当者の名前だけを書き換えるのではなく、権限と保管方法まで引き継ぐことが重要です。

事業所や業務を増やすとき

新しい事業所を開設した。
放課後等デイサービスに加えて児童発達支援を始めた。
新しい送迎業務や行事を始めた。
外部講師やボランティアを受け入れるようになった。
このような場合には、
誰が対象になるのか。
どの責任者が管理するのか。
どの事業所で記録を保管するのか。
報告があった場合に誰が対応するのか。
を見直します。
本部で一括管理するのか。
各事業所で管理するのか。
についても、曖昧にしないことが大切です。

研修は、新しい職員にも届く仕組みにする

一度、全職員へ研修を実施しても、
その後に採用された職員は受講していません。
そのため、
採用時に実施する研修。
全職員を対象とした定期研修。
制度や手順が変わった場合の追加説明。
を分けて考えます。
こども性暴力防止法の対象事業者は、こどもに接する業務の従事者に研修を受講させる必要があります。
こども家庭庁は研修動画、確認テスト、研修計画書、受講記録などを公表し、研修後の評価と見直しも案内しています。
重要なのは、
全員が同じ日に受講することではありません。
誰が受講したのか。
未受講者は誰か。
いつまでに受講するのか。
を確認できる状態にすることです。

国の資料が更新されたときも確認します

日本版DBSは、
2026年12月25日に施行されます。
こども家庭庁からは、
ガイドライン、規程のひな型、研修教材、各種様式が公表されており、施行準備の過程でも資料の更新が行われています。
資料が更新されたからといって、
施設の規程を毎回すべて作り直す必要があるとは限りません。
まず確認するのは、
施設の手順に影響する変更か。
現在の様式に不足が生じたか。
職員への再説明が必要か。
という点です。
👉新しい資料が出るたびに慌てるのではなく、自施設への影響を確認する。
という考え方が大切です。

「見直し一覧」を一つ作っておく

複数の規程や帳票を、
それぞれ別の日程で管理すると、
確認漏れが起こりやすくなります。
そこで、
日本版DBS対応の見直し一覧を一つ作ります。
例えば、
見直す場面 確認すること
職員の採用 対象者確認、説明、研修、必要手続
配置転換 新たに対象業務へ就くか
退職 一覧整理、権限削除、記録確認
担当者変更 規程、権限、保管場所、引継ぎ
事業所増設 責任者、報告先、情報管理方法
年度初め 規程、一覧、研修計画の定期確認
国の資料更新 自施設の運用への影響確認
という形です。
これを、
採用手続。
退職手続。
年度更新。
事業所変更。
といった既存業務へ組み込めば、
日本版DBSだけの特別な作業を増やしすぎずに済みます。

外部支援は「毎月依頼する」だけではありません

継続支援というと、
毎月費用が発生する契約を想像するかもしれません。
しかし、施設の規模や状況によっては、
年に一度の書類確認。
担当者変更時の見直し。
事業所増設時の確認。
国のガイドライン更新時の相談。
研修資料の更新。
など、必要なときだけ外部へ依頼する方法もあります。
施設内でできる確認は、施設で行う。
法令や規程の判断が必要な部分は、専門家へ相談する。
という役割分担が考えられます。
👉継続支援とは、すべてを任せ続けることではなく、必要な節目で確認できる体制を持つことです。

今日の実務ワンポイント

次の四つの日付を確認してみましょう。
最後に対象者一覧を更新した日。
最後に職員研修を実施した日。
最後に責任者・報告先を確認した日。
最後に規程と実際の運用を照合した日。
日付が分からないものがあれば、
見直しの時期かもしれません。

まとめ

日本版DBS対応は、
規程を作る。
研修を行う。
対象者を整理する。
認定申請を行う。
ことで終わるものではありません。
職員の採用。
配置転換。
退職。
担当者変更。
事業所の増設。
制度資料の更新。
に合わせて、
仕組みを見直す必要があります。
大切なのは、
👉年に一度だけではなく、施設の人や体制が変わったときに確認すること
です。
新しい作業を増やしすぎず、
採用、退職、年度更新などの既存業務へ組み込む。
それが、無理なく日本版DBS対応を続ける方法です。

今日のチェックポイント

□ 新規採用時の確認手順を決めている
□ 配置転換時にも対象者を確認している
□ 退職者の権限を削除している
□ 対象者一覧を最新の状態にしている
□ 責任者変更時の引継ぎ方法を決めている
□ 新しい職員への研修方法を決めている
□ 未受講者を確認できる記録がある
□ 事業所を増やした場合の管理方法を決めている
□ 国の資料更新を確認する担当者を決めている
□ 年度ごとの見直し日を決めている
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
人が変わったとき。
事業所が変わったとき。
制度が変わったとき。
の三つに分けて確認してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
職員の採用や退職、配置変更が日常的に起こります。
そのたびに、
対象者一覧。
研修記録。
報告先。
情報管理の権限。
を確認する必要があります。
しかし、忙しい現場で、
日本版DBSだけを特別な業務として管理するのは大きな負担です。
大切なのは、
新しい仕組みを増やし続けることではありません。
採用時に確認する。
退職時に権限を外す。
年度初めに責任者を確認する。
制度が変わったときに規程を見直す。
という形で、
既存の業務へ組み込むことです。
行政書士としてお手伝いしたいのは、
規程を一度作って終わる支援ではありません。
施設の体制が変わったときに、
必要な書類や手順を見直し、
現場が迷わず運用できる状態を保つことです。
そして、管理者や職員が、
制度対応に追われるのではなく、
子どもの支援に力を注げる環境をつくる。
それが、日本版DBSの継続支援で大切だと考えています。

Q&A|日本版DBS対応の見直し

Q1.規程は毎年作り直す必要がありますか。
A 毎年すべてを作り直す必要があるとは限りません。
責任者、報告先、対象者、情報管理方法など、現在の体制と合っているかを確認し、
変更がある部分を修正します。

Q2.職員研修は一度実施すればよいですか。
A 新しく採用した職員にも研修が必要です。
定期研修だけでなく、採用時研修や、制度・手順が変わった場合の追加説明も含めて、
誰が受講したかを記録します。

Q3.年に一度の確認だけを行政書士へ依頼できますか。
A 年次確認や、担当者変更・事業所増設などの節目だけを依頼する方法も考えられます。
施設内で確認できる部分と、法令や規程の判断が必要な部分を分けて相談できます。

次回予告

次回からは、
横浜・神奈川地域実務編
として、地域や事業の種類に応じた日本版DBS対応について考えていきます。
次回は、
横浜市の事業者が日本版DBSで確認したいこと
について取り上げます。
日本版DBSは全国共通の制度ですが、
実際に準備を進める事業者は、
認定こども園。
保育所。
放課後等デイサービス。
児童発達支援事業所。
学習塾や各種教室。
など、さまざまです。
施設によって、
義務の対象となるのか。
認定を受ける事業者となるのか。
どの職員を対象として整理するのか。
法人本部と各事業所のどちらが管理するのか。
既存の規程や職員研修へどのように組み込むのか。
も異なります。
また、日本版DBSの準備と、
横浜市への指定申請、変更届、運営規程などの手続は、
分けて整理する必要があります。
次回は、
👉横浜市内で子どもと関わる事業者が、まず何を確認し、どこから準備を始めるか
について、行政書士としての視点から整理します。

\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所を中心に、
子どもと関わる事業者の皆さまの運営・法令対応を支援しています。
日本版DBSへの対応をはじめ、
・対象者一覧表、職員説明資料の作成
・同意取得、個人情報管理体制の整備
・社内規程、運用チェックリストの作成
・職員研修、保護者説明会の実施支援
・変更届、加算届、運営規程の整備
・委員会、研修記録、運営指導対策
など、現場で継続して運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
また、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所など、
障害福祉サービス事業者の皆さまへ、
障害福祉サービス事業所 運営・法令対応チェックリスト
無料で進呈しております。
変更届、運営規程、委員会、研修記録、各種運営書類、日本版DBSへの準備状況について、
👉現在できていることと、見直しが必要なこと
を整理できるチェックリストです。
まずは、
現在の事業所運営を確認するところから始めてみませんか。
チェックリスト(無料)のご請求も、
お問い合わせフォームより承っております。

▼ お問い合わせはこちら
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ―
相談から正式依頼までの流れ
初回相談30分無料
お問い合わせフォーム
横浜市泉区・中田駅周辺の事業所はもちろん、
オンライン相談により、全国の事業者にも対応しています。

📌 障害福祉サービス事業者の皆さまへ

放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の指定申請、変更届、加算届、運営規程整備、運営指導対策などについては、
HPの「障害福祉サービス支援業務」でもご案内しています。
▼ 障害福祉サービス支援業務
障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。

クイズ!日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか

読み込み中…

前回 21.小規模事業所の日本版DBS対応|少人数でも無理なく進める方法
次回 23.横浜市の事業者が日本版DBSで確認したいこと

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積