21.小規模事業所の日本版DBS対応|少人数でも無理なく進める方法

21.小規模事業所の日本版DBS対応|少人数でも無理なく進める方法

~「責任者一人・代行者一人・手順一枚」から始める~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
日本版DBS導入支援で行政書士がお手伝いできること
について考えました。
日本版DBSへの対応では、
規程や帳票を整えるだけでなく、
施設の中で継続して運用できる仕組みが必要です。
しかし、小規模事業所では、
管理者が現場と事務を兼務している。
法務や人事の専任担当者がいない。
職員全員を集める時間を取りにくい。
一人の担当者に情報や判断が集中しやすい。
という事情があります。
このような事業所が、
大規模法人と同じ複雑な体制を作っても、
日常業務の中では続かないかもしれません。
小規模事業所に必要なのは、
大きな仕組みを小さくまねることではありません。
👉少人数でも迷わず動ける、簡潔な運用方法を作ること
です。

「一人が担当すること」と「一人しか分からないこと」は違う

小規模事業所では、
管理者が日本版DBSの責任者を兼ねることも考えられます。
担当者が一人であること自体が、
直ちに問題になるわけではありません。
注意したいのは、
その人しか保管場所を知らない。
その人が休むと手続が止まる。
その人が退職すると引継ぎができない。
その人自身について問題が起きた場合、報告先がない。
という状態です。
つまり、
一人が担当すること(専属化)
と、
一人しか対応できないこと(属人化)
は違います。
小規模事業所では、まず、
・通常の責任者一人
・責任者不在時の代行者一人
・責任者本人に関する問題の報告先
を決めます。
多くの担当者を置くことよりも、
👉誰に伝えれば対応が始まるのか
を明確にすることが重要です。

最低限の体制は「責任者一人・代行者一人・手順一枚」

少人数で運用する場合、
最初から多くの規程や管理表を作ると、
確認する書類が増え、かえって動きにくくなります。
そこで、まずは、
責任者一人
代行者一人
手順をまとめた一枚
という形から考えます。
手順書には、例えば、
・新しい職員を採用したとき
・対象者を確認するとき
・職員へ説明するとき
・情報を取り扱うとき
・問題が起きたとき
・担当者が不在のとき
について、
誰が行うのか。
どの書類を使うのか。
どこへ保存するのか。
誰へ報告するのか。
を簡潔に記載します。
分厚いマニュアルを作ることよりも、
必要なときにすぐ確認できることが大切です。

書類を別々に管理せず、一つの流れにする

日本版DBSへの対応には、
対象者一覧。
職員への説明。
同意関係書類。
情報管理。
研修記録。
などが必要です。
これらを別々の仕事として管理すると、
小規模事業所では負担が大きくなります。
そこで、
採用時に
対象者かどうかを確認する。
必要な説明を行う。
確認手続時
必要書類を準備する。
確認状況を記録する。
勤務開始後
情報管理と報告手順を周知する。
定期確認時
担当者、対象者一覧、研修記録を見直す。
という一つの流れにします。
各段階で、
誰が行うか。
どの書類を使うか。
どこへ保存するか。
を決めておけば、
書類を探す時間や確認漏れを減らせます。
👉書類を増やすのではなく、手続の流れを一本につなげる。
これが、小規模事業所に合った管理方法です。

新しい仕事として増やさず、日常業務へ組み込む

小規模事業所では、
日本版DBSのためだけに新しい会議や作業日を増やすことが難しい場合があります。
そのため、既存の業務へ組み込みます。
例えば、
職員の採用時に、対象確認と制度説明を行う。
入職時研修の中で、報告先と情報管理を説明する。
月例会議で、一項目ずつ確認する。
職員の入退職時に、対象者一覧を更新する。
年度初めに、責任者と代行者を確認する。
このようにすれば、
日本版DBS対応だけを別の仕事として抱える必要がありません。
一度にすべてを行うのではなく、
採用時。
入職時。
職員会議。
年度更新時。
と、既存の機会へ分けて組み込みます。
👉続けられる仕組みは、日常業務の外ではなく、中に作る。
という考え方が大切です。

簡素化できるものと、省略してはいけないもの

小規模事業所では、
仕組みを簡単にすることが必要です。
ただし、
簡単にすることと、必要な対応を省略することは違います。
簡素化できるもの
・会議の形式
・書類の分量
・研修の時間
・管理表の数
・承認手順の段階
省略してはいけないもの
・責任者
・代行者
・報告先
・情報の管理方法
・実施したことの記録
例えば、
一時間の研修を行うことが難しければ、
採用時説明や職員会議へ分けることはできます。
しかし、
誰に説明したのか。
いつ実施したのか。
欠席者へどう伝えたのか。
という記録まで省略してはいけません。
👉形式は小さくしても、必要な役割と記録は残す。
ここが、小規模事業所の運用で大切な線引きです。

一人で抱えないために外部支援を使う

小規模事業所では、
管理者が制度を調べ、規程を作り、職員へ説明し、記録まで管理することがあります。
しかし、すべてを一人で抱えると、
本来の支援業務へ影響が出るかもしれません。
施設内で決める必要があるのは、
誰を責任者にするのか。
どこへ情報を保管するのか。
職員へいつ説明するのか。
日常の中でどのように運用するのか。
ということです。
一方、
必要な手続の洗い出し。
簡潔な手順書の作成。
既存書類との整合性確認。
施設に合った帳票の整備。
認定申請に向けた準備。
については、外部の専門家へ相談できます。
小規模だからこそ、
👉施設でなければ決められないことに集中し、書類や制度の整理は外部へ任せる
という役割分担が効率的でかつ有効です。

今日の実務ワンポイント

まず、A4用紙一枚に次の内容を書き出してみましょう。
責任者は誰か。
代行者は誰か。
責任者本人に関する問題は誰へ報告するか。
採用時に何を確認するか。
使用する書類は何か。
書類をどこへ保存するか。
年に一度、何を見直すか。
この一枚を作ることで、
複雑な規程や帳票を整える前に、
事業所の基本的な運用が見えてきます。

まとめ

小規模事業所の日本版DBS対応では、
大規模法人と同じ体制を作る必要はありません。
大切なのは、
責任者一人。
代行者一人。
手順をまとめた一枚。
を基本に、
少人数でも迷わず動ける形を作ることです。
さらに、
採用。
入職時説明。
職員会議。
年度更新。
といった日常業務の中へ組み込めば、
新しい仕事を増やしすぎずに続けられます。
形式や書類は簡素化できても、
責任者。
報告先。
情報管理。
実施記録。
は省略できません。
👉小さな事業所には、小さな事業所に合った仕組みがある。
無理に複雑な体制を作るのではなく、
必要なことを絞り、確実に続けることが重要です。

今日のチェックポイント

□ 通常の責任者を決めている
□ 責任者不在時の代行者を決めている
□ 責任者本人に関する問題の報告先を決めている
□ 採用から定期見直しまでの流れを整理している
□ 各段階で使用する書類を決めている
□ 書類や情報の保管場所を決めている
□ 日本版DBS対応を既存業務へ組み込んでいる
□ 簡素化する部分と省略できない部分を分けている
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
一人しか分からないこと。
担当者不在時に止まること。
書類の保存場所が曖昧なこと。
がないか確認してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

小規模事業所では、
管理者が現場の支援を行いながら、
職員管理。
請求業務。
変更届。
加算届。
研修や委員会。
運営指導への備え。
にも対応していることがあります。
そこへ日本版DBSへの対応が加われば、
管理者一人に負担が集中しやすくなります。
しかし、
小規模であることは、必ずしも弱点ではありません。
職員の顔が見える。
情報の流れを把握しやすい。
役割分担をすぐ確認できる。
運用方法を柔軟に見直せる。
という利点もあります。
大切なのは、
その利点を生かしながら、属人化を防ぐことです。
責任者一人。
代行者一人。
手順をまとめた一枚。
まずは、この形から始める。
行政書士として、
施設の規模や実際の業務を確認し、
必要以上に複雑にせず、
省略してはいけない部分を確実に残す。
そして、管理者や職員が、
安心して子どもの支援に力を注げる環境を整える。
それが、
行政書士ができる小規模事業所への日本版DBS対応で必要な支援だと考えています。

Q&A|小規模事業所の日本版DBS対応

Q1.管理者が責任者を兼務してもよいのでしょうか。
A 兼務する形は考えられます。
ただし、管理者しか手順や保管場所を知らない状態にしてはいけません。責任者不在時の代行者と、責任者本人に関する問題が起きた場合の報告先も決めておくことが大切です。

Q2.小規模事業所では、どこまで仕組みを簡単にできますか。
A 会議の形式、研修時間、書類の分量や管理表の数は、実情に合わせて簡素化できます。
一方で、責任者、代行者、報告先、情報管理方法、実施記録は省略せず、誰が見ても分かる形で残す必要があります。

Q3.手順書や管理表の作成だけでも依頼できますか。
A 一部だけを依頼する方法もあります。
採用から定期見直しまでの手順整理、A4一枚の業務フロー、既存書類の確認など、事業所だけでは負担が大きい部分を切り分けて相談できます。

次回予告

次回は、
日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか
について考えてみたいと思います。
規程を作った。
職員へ説明した。
研修を実施した。
認定申請を終えた。
それで、日本版DBSへの対応は完了するのでしょうか。
実際には、
職員の採用や退職。
担当者の変更。
事業所の増設。
規程や帳票の更新。
研修の継続。
制度やガイドラインの変更。
に合わせて、見直しが必要になります。
次回は、
何を、どのタイミングで確認するのか。
日常業務の中で無理なく見直す方法。
継続支援を外部へ依頼する考え方。

について、実務の視点から整理します。

\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所を中心に、
子どもと関わる事業者の皆さまの運営・法令対応を支援しています。
日本版DBSへの対応をはじめ、
・対象者一覧表、職員説明資料の作成
・同意取得、個人情報管理体制の整備
・社内規程、運用チェックリストの作成
・職員研修、保護者説明会の実施支援
・変更届、加算届、運営規程の整備
・委員会、研修記録、運営指導対策
など、現場で継続して運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
また、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所など、
障害福祉サービス事業者の皆さまへ、
障害福祉サービス事業所 運営・法令対応チェックリスト
無料で進呈しております。
変更届、運営規程、委員会、研修記録、各種運営書類、日本版DBSへの準備状況について、
👉現在できていることと、見直しが必要なこと
を整理できるチェックリストです。
まずは、
現在の事業所運営を確認するところから始めてみませんか。
チェックリスト(無料)のご請求も、
お問い合わせフォームより承っております。

▼ お問い合わせはこちら
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ―
相談から正式依頼までの流れ
初回相談30分無料
お問い合わせフォーム
横浜市泉区・中田駅周辺の事業所はもちろん、
オンライン相談により、全国の事業者にも対応しています。

📌 障害福祉サービス事業者の皆さまへ
放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の指定申請、変更届、加算届、運営規程整備、運営指導対策などについては、HPの「障害福祉サービス支援業務」でもご案内しています。
▼ 障害福祉サービス支援業務
障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。

クイズ!小規模事業所の日本版DBS対応

読み込み中…

前回 20.日本版DBS導入支援で行政書士がお手伝いできること
次回 22.日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積