23.横浜市の事業者が日本版DBSで確認したいこと

~地域や施設名だけで判断せず、自施設の位置づけから整理する~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「日本版DBS対応は一度やれば終わりなのか」
について考えました。
日本版DBSへの対応は、
規程を作る。
職員へ説明する。
研修を実施する。
対象者を整理する。
ことで終わるものではありません。
職員の採用や退職。
配置転換。
担当者の変更。
事業所の増設。
制度資料の更新。
などに合わせて、継続的に見直す必要があります。
今回からは、
「横浜・神奈川地域実務編」
として、地域や事業の種類に応じた日本版DBS対応について考えていきます。
最初に取り上げるのは、
👉横浜市内で子どもと関わる事業者が、まず何を確認し、どこから準備を始めるか
です。
日本版DBSは全国共通の制度です
日本版DBSと呼ばれる仕組みは、
正式には、こども性暴力防止法に基づく制度です。
2026年12月25日に施行され、
対象となる事業者には、従事者への研修、相談体制、防止措置、犯罪事実確認など、
子どもへの性暴力を防止するための対応が求められます。
ここで注意したいのは、
「横浜市の日本版DBS」
という別の制度があるわけではないということです。
制度そのものは全国共通です。
一方で、実際に対応する横浜市内の事業者には、
認定こども園。
保育所。
放課後等デイサービス。
児童発達支援事業所。
学習塾。
スポーツクラブ。
各種教室。
など、さまざまな施設があります。
そのため、
👉横浜市内にあるから同じ対応をするのではなく、どの事業を行い、誰がどのように子どもと関わるのかを確認する
ことが出発点になります。
最初に自施設の位置づけを確認する
日本版DBSでは、対象事業者が大きく、
「犯罪事実確認などの措置が法律上義務となる事業者」
「一定の要件を満たし、認定を受けることができる事業者」
に分かれます。
事業者が行う業務については、子どもとの関係における継続性、支配性、閉鎖性などを踏まえて、
対象となる事業や業務が整理されています。
そのため、
子どもと関わる事業だから、すべて同じ義務がある。
民間事業者だから、すべて任意である。
と単純に判断することはできません。
まず確認したいのは、
・どの法律や制度に基づいて運営している施設か
・日本版DBS上、どの事業区分に当たるか
・義務対象事業者か、認定対象事業者か
・一つの法人で複数の事業を行っていないか
という点です。
法人名だけで判断するのではなく、
実際に行っている事業ごとに整理します。
横浜市への届出と日本版DBSの手続を分けて考える
横浜市内の児童福祉事業者は、
日頃からさまざまな行政手続に対応しています。
例えば、
指定申請。
変更届。
加算届。
運営規程の変更。
職員配置に関する届出。
認定こども園や保育施設に関する手続。
などです。
これらは、各施設を運営するための既存の手続です。
一方、日本版DBSでは、
国の制度に基づく専用システムを通じて手続を行うこととされ、利用開始にはGビズIDが必要になります。
義務対象事業者については、施行に向けた事業者情報の登録準備も進められています。
つまり、
横浜市へ提出する変更届。
日本版DBSの対象者確認やシステム上の手続。
は、同じものではありません。
ただし、両者は実務上まったく無関係でもありません。
職員の採用。
配置転換。
管理者の変更。
事業所の増設。
法人情報の変更。
などがあれば、既存の行政手続と日本版DBSの双方で確認が必要になることがあります。
👉一つの変更について、横浜市への手続と日本版DBS上の対応を分けて確認する。
ことが大切です。
法人単位と事業所単位を混同しない
横浜市内では、一つの法人が、
複数の放課後等デイサービスを運営する。
児童発達支援と放課後等デイサービスを併設する。
保育所と認定こども園を運営する。
横浜市外にも事業所を持つ。
というケースがあります。
この場合、日本版DBSへの対応を、
すべて法人本部だけで行えばよいとは限りません。
法人本部で共通化しやすいものには、
・基本規程
・情報管理の基本方針
・対象者を判断する基準
・職員向けの基本説明資料
・研修教材
・本部への報告ルール
などがあります。
一方、事業所ごとに整理したいものには、
・対象となる職員の一覧
・責任者と代行者
・現場の報告先
・記録の保管場所
・外部講師や委託職員の状況
・事業所内での研修記録
などがあります。
こども家庭庁が公表している報告ルールのひな型も、事業者の組織体制や業務運営に合わせて、
報告方法、報告先、報告内容を具体化することを求めています。
👉法人共通の規程を作るだけでなく、各事業所で誰が動くのかを決める。
ことが必要です。
「職員名簿」ではなく「子どもと関わる業務」から考える
対象者を整理するときに、
正職員名簿だけを確認して終わることは避けたいところです。
施設には、
正職員。
非常勤職員。
短時間勤務者。
派遣職員。
委託先の職員。
送迎担当者。
外部講師。
ボランティア。
など、さまざまな立場の人が関わります。
重要なのは、雇用形態や職名だけではありません。
その人が、
子どもと継続的に接するのか。
一対一になる場面があるのか。
周囲の目が届きにくい業務を行うのか。
施設内外で子どもを指導・支援するのか。
といった実際の業務を確認します。
例えば、
事務職員だから対象外。
送迎だけだから対象外。
外部委託だから施設には関係ない。
と、肩書だけで判断するのは適切ではありません。
👉人の一覧を作る前に、子どもと関わる業務の一覧を作る。
ことが、対象者を見落とさないためのポイントです。
研修は全施設共通の動画を見るだけでは終わりません
日本版DBSの対象事業者は、
子どもに接する業務の従事者に研修を受講させる必要があります。
こども家庭庁は、研修動画、研修資料、確認テスト、研修計画や受講記録に活用できる資料を公表しています。
これらの標準教材は、制度の基本を理解するために有効です。
ただし、実際の施設では、
疑いを把握したとき、誰へ報告するのか。
責任者が不在のとき、誰へ連絡するのか。
相談を受けた記録をどこへ保管するのか。
送迎中や外出行事で問題が起きた場合にどうするのか。
という施設独自の手順も必要です。
そのため、研修は、
国の教材で制度を学ぶ。
自施設の報告先と手順を確認する。
受講者と実施日を記録する。
という三つを組み合わせます。
情報管理の責任者と閲覧者を決める
犯罪事実確認に関する情報は、
通常の人事情報以上に慎重な管理が必要です。
施設では、
誰が情報管理の責任者になるのか。
誰が閲覧できるのか。
紙とデータのどちらで管理するのか。
事業所内に保存するのか、法人本部で管理するのか。
担当者が変更になったとき、どう引き継ぐのか。
を決めます。
特に、複数の事業所を持つ法人では、
本部で一括管理しているつもりだった。
事業所側も保存していた。
誰が最新情報を持っているか分からない。
という状態を避けなければなりません。
👉情報を集める前に、管理する人と場所を決める。
ことが大切です。
横浜市内の事業者が最初に用意したいもの
日本版DBSへの準備を始めるときは、
最初からすべての規程を作る必要はありません。
まずは、次の資料を集めてみましょう。
・法人が運営している事業所の一覧
・各事業所の事業種別
・最新の職員名簿
・職種、雇用形態、勤務先
・外部講師、派遣、委託先の一覧
・組織図
・採用から配置までの流れ
・現在使用している個人情報保護規程
・研修計画と研修記録
・事故や問題発生時の報告ルール
これらを確認すると、
対象事業の整理ができていない。
職員名簿に委託職員が入っていない。
報告先が古い。
法人と事業所の役割が決まっていない。
といった課題が見えてきます。
今日の実務ワンポイント
横浜市内で運営している事業所を、
法人単位で一度書き出してみましょう。
その横に、
事業種別。
所在地。
責任者。
職員数。
外部委託の有無。
日本版DBS上の位置づけ。
を書き加えます。
一施設ずつ規程を作り始める前に、
法人全体を一枚で確認することがポイントです。
👉まず「どの施設に、誰が、どの立場で関わっているか」を見えるようにする。
ところから始めましょう。
まとめ
日本版DBSは全国共通の制度です。
しかし、横浜市内の事業者が実際に準備する内容は、
施設の種類。
事業の運営方法。
職員の配置。
法人と事業所の関係。
外部講師や委託先の関わり方。
によって異なります。
大切なのは、
👉横浜市内の事業者だから何をするかではなく、自施設がどの事業区分に当たり、
誰がどの業務で子どもと関わるかを確認すること
です。
そのうえで、
全国共通の日本版DBS手続。
横浜市へ行う既存の行政手続。
法人本部の役割。
各事業所の役割。
を分けて整理します。
地域実務編では、次回以降、
施設の種類ごとに具体的な対応を考えていきます。
今日のチェックポイント
□ 法人が運営する全事業所を把握している
□ 各施設の事業種別を整理している
□ 義務対象か認定対象かを確認している
□ 子どもと関わる業務を洗い出している
□ 非常勤・派遣・委託職員も確認している
□ 法人本部と事業所の役割を分けている
□ 情報管理責任者を決めている
□ 報告先と代行者を決めている
□ 研修の実施・記録方法を決めている
□ 横浜市への届出と日本版DBS手続を分けている
すべてにチェックが付かなくても構いません。
まずは、
事業の位置づけ。
子どもと関わる人。
法人と事業所の役割。
の三つから確認してみましょう。
行政書士田中穂積の視点
横浜市内には、
認定こども園。
保育所。
放課後等デイサービス。
児童発達支援事業所。
学習塾や各種教室。
など、子どもと関わる多くの事業者があります。
同じ日本版DBSへの対応であっても、
施設の種類や職員配置が異なれば、
必要な準備も同じではありません。
制度の資料だけを読んでいると、
自施設はどの区分なのか。
送迎職員はどう考えるのか。
外部講師は誰が確認するのか。
法人本部と事業所のどちらが管理するのか。
という、現場で必要な判断が残ります。
行政書士としてお手伝いしたいのは、
全国共通のひな型へ法人名を入れることだけではありません。
施設の事業内容と組織体制を確認し、
誰を対象として整理するのか。
どの規程を法人共通にするのか。
どの手順を事業所ごとに決めるのか。
横浜市への既存手続とどう管理するのか。
を整理することです。
そして、管理者や職員が制度対応だけに追われず、
子どもの支援や保育へ力を注げる状態をつくる。
それが、横浜市内の事業者に対する日本版DBS支援で大切だと考えています。
Q&A|横浜市の事業者と日本版DBS
Q1.横浜市へ日本版DBSの認定申請をするのでしょうか。
A 日本版DBSは国の法律に基づく制度であり、横浜市独自の認定制度ではありません。
一方、施設の指定申請、変更届、運営規程など、横浜市へ行う既存の手続とは分けて確認する必要があります。
Q2.横浜市内に一つだけ事業所がある小規模法人でも、法人と事業所の役割を分ける必要がありますか。
A 組織を複雑に分ける必要はありません。
ただし、誰が責任者となり、不在時に誰が代行し、情報をどこへ保管するかは明確にしておく必要があります。
Q3.施設の種類が違っても、同じ規程を使えますか。
A 法人の基本方針や情報管理規程など、共通化できる部分はあります。
ただし、対象となる職員、報告先、外部講師の扱い、現場の対応手順などは、施設の種類や運営方法に合わせて調整する必要があります。
次回予告
次回は、
「横浜市の認定こども園向け日本版DBS対応」
について考えてみたいと思います。
認定こども園では、
園長。
保育教諭。
保育士。
補助職員。
事務職員。
調理員。
送迎担当者。
外部講師やボランティア。
など、さまざまな立場の人が、
子どもと関わっています。
また、
正職員。
非常勤職員。
派遣職員。
委託先の職員。
など、雇用・契約の形も一つではありません。
そのため、日本版DBSへの対応では、
誰を対象者として整理するのか。
採用時に誰が確認するのか。
園と法人本部のどちらが情報を管理するのか。
新しい職員へいつ説明や研修を行うのか。
外部講師や委託先について、どこまで確認するのか。
を、園の実際の運営に合わせて決める必要があります。
次回は、
👉横浜市の認定こども園が、日本版DBS対応を日々の採用・配置・研修・情報管理へどのように組み込むか
について、行政書士としての視点から整理します。
\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所を中心に、
子どもと関わる事業者の皆さまの運営・法令対応を支援しています。
日本版DBSへの対応をはじめ、
・対象者一覧表、職員説明資料の作成
・同意取得、個人情報管理体制の整備
・社内規程、運用チェックリストの作成
・職員研修、保護者説明会の実施支援
・変更届、加算届、運営規程の整備
・委員会、研修記録、運営指導対策
など、現場で継続して運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
また、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所など、
障害福祉サービス事業者の皆さまへ、
「障害福祉サービス事業所 運営・法令対応チェックリスト」
を無料で進呈しております。
変更届、運営規程、委員会、研修記録、各種運営書類、日本版DBSへの準備状況について、
👉現在できていることと、見直しが必要なこと
を整理できるチェックリストです。
まずは、
現在の事業所運営を確認するところから始めてみませんか。
チェックリスト(無料)のご請求も、
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▼ 障害福祉サービス支援業務
「障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。
クイズ!横浜市の事業者が日本版DBSで確認したいこと
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。