小さな旅行会社は何を売る?|大手と競わない旅行商品のつくり方|第8話

小さな旅行会社は何を売る?|大手と競わない旅行商品のつくり方|第8話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
「旅行会社勤務から独立開業するには|経験を事業に変える準備」
として、
顧客。
仕入先。
旅行業務取扱管理者。
営業所。
資金。
得意分野。
など、独立開業に必要な準備を見てきました。

今回は、その次に考えたい、
「では、小さな旅行会社は何を売ればよいのか」
というテーマです。
大手旅行会社には、
知名度。
仕入力。
広告力。
販売網。
があります。
同じ商品を、同じ売り方で、価格だけで競争するのは簡単ではありません。
だからこそ、
👉 小さな旅行会社は、「何でも売る」より、「この旅行ならここに頼みたい」と思われる分野を持つことが重要です。

小さいからこそ「狭く深く」が強みになる

小さな旅行会社の強みは、
大きな会社のようにすべてを扱うことではありません。
むしろ、
地域に詳しい。
特定の顧客層に詳しい。
特定の目的の旅行に詳しい。
という専門性です。
たとえば、
地域特化。
歴史・文化。
スポーツ。
教育旅行。
法人旅行。
インバウンド。
趣味・テーマ旅行。
などがあります。
👉 「誰にでも売れる旅行」ではなく、「特定の人に強く選ばれる旅行」を考える方が、小さな会社には向いています。

地域特化は小さな会社と相性がよい

地域に詳しいことは、大きな強みになります。
地元の宿。
飲食店。
体験事業者。
ガイド。
交通。
地域イベント。
こうした情報をつなげることで、
大手には作りにくい商品ができます。
たとえば、
横浜の港町をテーマにしたまち歩き。
地域の食を組み合わせた小規模ツアー。
地元の事業者を訪ねる体験旅行。
などです。
👉 地域を知っていること自体が、旅行商品の価値になります。

テーマ旅行は価格競争になりにくい

旅行の目的がはっきりしている商品も、小さな旅行会社に向いています。
たとえば、
鉄道。
写真。
歴史。
酒蔵。
建築。
音楽。
スポーツ。
などです。
こうした旅行では、
「安いから買う」
だけではなく、
自分の興味を分かってくれる旅行会社だから買う
という理由が生まれます。

知識そのものが商品になる

テーマ旅行では、
どこへ行くかだけではなく、
なぜそこへ行くのか。
どんな順番で巡るのか。
誰に案内してもらうのか。
といった企画力が価値になります。
👉 小さな旅行会社では、「詳しい」ということ自体が商品になります。

法人・団体需要も一つの選択肢

小規模旅行会社でも、
企業や団体向けに強みを持つことができます。
たとえば、
研修旅行。
視察旅行。
社員旅行。
業界団体の旅行。
スポーツチームの遠征。
などです。
法人・団体旅行では、
単純な価格だけでなく、
手配力。
対応の速さ。
細かな要望への対応。
緊急時の調整力。
が評価されます。
👉 「小さい会社だから対応が細かい」という点を、強みに変えることもできます。

インバウンドも「全部の外国人」を狙わない

訪日旅行市場は魅力があります。
しかし、
「外国人旅行者を集めたい」
だけでは広すぎます。
国・地域。
言語。
旅行目的。
滞在スタイル。
興味。
によって、求めるものは違います。
たとえば、
日本文化に興味がある人。
地域の暮らしを体験したい人。
特定のスポーツや趣味を目的に来る人。
などに絞れば、
より具体的な商品を作りやすくなります。
👉 インバウンドでも、「誰に売るか」を細かくすることが重要です。

「商品」より先に顧客を決める

旅行商品づくりでは、
つい、
「どこへ行くツアーを作ろうか」
から考えたくなります。
しかし、
先に考えたいのは、
誰に売るのか
です。
顧客が決まれば、
行き先。
価格。
旅行日数。
交通手段。
宿泊施設。
販売方法。
も決めやすくなります。
👉 小さな旅行会社は、「商品から顧客を探す」のではなく、「顧客から商品を考える」方が強みを出しやすくなります。

売る商品と「売り方」をセットで考える

良い旅行商品を作っても、
知られなければ売れません。
そこで、
誰に売るのかと同時に、
どうやって売るのか
も考えます。
たとえば、
既存顧客への営業。
法人営業。
地域事業者からの紹介。
自社ホームページ。
SNS。
専門コミュニティ。
などです。

販売方法も専門化する

たとえば、
企業向け旅行なら法人営業。
趣味旅行なら専門コミュニティ。
地域旅行なら地域事業者との連携。
というように、
商品と販売方法をつなげます。
👉 旅行商品づくりは、「何を作るか」と「どう売るか」を一緒に考えることが大切です。

今日の実務ワンポイント

小さな旅行会社の商品を考えるときは、
次の4つを書き出してみてください。
①誰に売るのか
②その人は何を求めているのか
③自社だから提供できることは何か
④どこでその顧客と出会うのか
この4つがつながると、
旅行商品が作りやすくなります。
👉 「何を売るか」より先に、「誰に選ばれたいか」を決めてみましょう。

まとめ

小さな旅行会社が、
大手と同じ商品を、
同じ売り方で、
価格だけで競争する必要はありません。
地域。
テーマ。
顧客層。
法人・団体。
インバウンド。
など、
自社が詳しい分野に絞ることで、
選ばれる理由を作ることができます。
👉 小さな旅行会社の強みは、「何でもできること」ではなく、「この旅行なら任せたい」と思われることです。
自分の経験。
地域とのつながり。
顧客との関係。
を旅行商品に変えていきましょう。

今日のチェックポイント

□主な顧客を具体的にイメージしている
□自社の得意分野を整理している
□地域性を商品に生かせるか考えている
□テーマ旅行の可能性を検討している
□法人・団体需要も考えている
□インバウンドの対象を絞っている
□大手と価格だけで競争しない商品を考えている
□商品と販売方法をセットで考えている
□「なぜ自社に頼むのか」を説明できる
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「誰に・何を・なぜ自社から買ってもらうのか」
の3つから整理してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて感じるのは、
旅行商品は、(行き先だけでは)差がつきにくい
ということです。
同じ横浜。
同じ京都。
同じ北海道。
でも、
誰に向けて。
何を組み合わせて。
どんな体験として提供するか。
で、まったく違う商品になります。
小さな旅行会社だからこそ、
大手が扱いにくい地域。
小規模な団体。
専門性の高い旅行。
細かな要望。
に対応できる可能性があります。
行政書士として旅行業登録を支援する場合にも、
「登録できるか」
だけでなく、
登録後にどんな商品を売る会社なのか
を考えることが重要だと思います。
👉 旅行業登録はスタート地点。その先に「選ばれる商品」があって初めて、旅行ビジネスになります。

Q&A|小さな旅行会社の商品づくり

Q1.最初から商品を一つに絞った方がよいですか?
必ず一つだけにする必要はありません。
ただし、
「何でもできます」
だけでは強みが伝わりにくくなります。
まずは、
どの分野で選ばれたいのか
を明確にする方が、営業や情報発信もしやすくなります。
Q2.地域限定の商品だけで旅行会社を続けられますか?
地域の規模や顧客層、販売方法によって異なります。
地域特化は強みになりますが、
誰に売るのか。
年間を通じて需要があるか。
リピーターや法人需要につなげられるか。
なども考える必要があります。
Q3.大手旅行会社より安くしないと売れませんか?
必ずしもそうではありません。
小さな旅行会社では、
専門知識。
柔軟な対応。
地域とのつながり。
独自の体験。
など、価格以外の価値を作ることができます。
👉「安いから選ばれる」のではなく、「ここでしか頼めないから選ばれる」商品を目指すことが重要です。

次回予告

旅行商品を作るとき、
一社ですべてを用意する必要はありません。
宿泊施設。
飲食店。
交通事業者。
体験事業者。
観光協会。
DMO。
自治体。
などと連携することで、
地域全体を一つの商品として見せることもできます。
しかし、
「みんなで観光商品を作ろう」
だけでは、
実際の販売は始まりません。
誰が企画するのか。
誰が販売するのか。
誰が契約するのか。
誰が代金を受け取るのか。
を整理する必要があります。
次回は、
「観光協会・DMO・地域事業者と観光商品をつくるには|第9話」
として、
地域連携で旅行商品を作るときの役割分担と旅行業との関係を整理します。
👉 次回は、「地域で一緒にやる」を、実際に販売できる仕組みに変える方法を考えます。

\ 小さな旅行会社の開業・商品づくりを考えている方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、旅行会社の独立開業や異業種からの旅行業参入について、事業内容の整理から旅行業登録まで一体で支援しています。
例えば、
・旅行業登録が必要かどうかの確認
・事業内容に合った登録区分の整理
・旅行業務取扱管理者などの要件確認
・営業所要件の確認
・旅行業登録申請
・旅行商品の事業スキーム整理
・地域事業者との連携方法の整理
・行政への事前相談
・開業までのスケジュール整理
など、現在の計画段階に応じて必要な準備を整理します。
旅行業では、
登録要件・商品・顧客・販売方法・地域連携
が互いにつながっています。
そのため、
「旅行業登録を取れるか」
だけでなく、
登録したあと、誰にどんな旅行商品を売る会社にするのか
から一緒に整理します。
👉 「自分だから作れる旅行商品は何か」という段階から、旅行ビジネスを形にしてみませんか。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。