観光地でお土産を売りたい|食品・雑貨・ワゴン販売で何が違う?|第13話

観光地でお土産を売りたい|食品・雑貨・ワゴン販売で何が違う?|第13話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
地域イベントで飲食や物販をしたい
というケースから、主催者から出店OKをもらうことと、自分の営業に必要な手続きを確認することは別だとお話ししました。

今回は、その中の「物販」にもう少し踏み込んでみます。
たとえば、宿泊施設で地元のお菓子を販売したい。
古民家で地域の工芸品を並べたい。
観光イベントで地元の商品を売りたい。
観光スポットの一角にワゴンを出して、お土産や地域商品を販売したい。
そんなときに出てくるのが、
「物を売るだけなら、特別な許可はいらないの?」
という疑問です。
今回の答えを先にお伝えします。
👉 物販だから一律に許可不要、とは考えません。
まず、
何を売るのか。誰が作るのか。どこで売るのか。
この3つを整理することが大切です。

1.最初に「何を売るのか」を整理する

地域の工芸品や雑貨、ポストカード、アクセサリーなどを販売する場合と、
お菓子やジャム、弁当、冷蔵食品などを販売する場合では、確認する内容が違います。
特に食品については、営業内容によって食品衛生法上の許可や届出が関係する場合があります。
横浜市でも、食品の販売について、営業許可の対象ではなくても営業届が必要となる業態が示されています。
👉 「お土産を売りたい」から一歩進めて、「具体的に何を売りたいのか」を決めます。

2.仕入れて売るのか、自分で作って売るのか

次に確認したいのが、
誰がその商品を作るのか
です。
地域のお菓子屋さんの商品を仕入れて販売する場合と、自分の厨房で焼き菓子を作って販売する場合では、必要な確認が違います。
同じように、
地元事業者のジャムを仕入れて販売する場合と、自分でジャムを製造して商品化する場合も同じではありません。
食品を調理・加工して販売する場合には、その内容に応じた営業許可が必要となることがあります。
横浜市も、イベントで食品を調理・加工して販売する場合には営業許可が必要と案内しています。
👉 「売る」だけなのか、「作って売る」のかを分けて考える。
ここがポイントです。

3.包装された食品なら何でも自由に売れる?

では、お店から仕入れた包装済みのお菓子や弁当を、そのまま販売する場合はどうでしょう。
「自分では調理しないから、特に手続きはない」
と思うかもしれません。
しかし、横浜市では、弁当販売やその他の食料・飲料販売など、営業許可が不要でも営業届の対象となる業態があります。
イベントでも、要冷蔵・要冷凍食品や弁当・そうざい類などを販売する場合には、営業届が必要となるケースが示されています。
👉 「調理しない=確認不要」とは限りません。
販売する商品が決まった段階で確認しておきましょう。

4.観光地での「ワゴン販売」はどう考える?

観光地では、店舗の中だけで商品を売るとは限りません。
ホテルの入口付近に小さな販売ワゴンを出す。
古民家の庭先で地域商品を販売する。
観光イベントの一角にワゴンを設ける。
駅前広場や観光スポットで期間限定販売をする。
こうした販売方法も考えられます。
実際、横浜市内でも駅前広場などを使い、手作り品や地方物産品を販売する地域イベントが行われています。
ワゴン販売の利点は、固定された売場だけでなく、
「観光客が集まる場所へ商品を持っていけること」
です。
ただし、ここでも大切なのは、
👉 ワゴンを用意すれば、好きな場所で販売できるわけではない
ということです。
民間施設なら施設管理者との確認が必要です。
イベントなら主催者の出店ルールがあります。
道路や公園など公共空間では、その場所を使うための別の許可や条件が関係する場合があります。
たとえば横浜市の公園では、個人や法人による物品販売は原則として自由にできるものではなく、
利用内容に応じた確認が必要です。
「何を売れるか」と「そこで売ってよいか」は別に確認する。
ワゴン販売では、この考え方が特に重要です。

5.キッチンカーとワゴン販売は同じではない

最近はキッチンカーを見かける機会が増えていますが、
キッチンカーとワゴン販売は同じではありません。
キッチンカーの中で食品を調理して販売する場合には、自動車による飲食店営業などの許可が問題になります。
一方、ワゴンに完成した商品を並べて販売する場合には、
何を販売するのか。
その場で調理や盛り付けをするのか。
どこで販売するのか。
によって確認内容が変わります。
横浜市でも、イベントで食品を調理して販売する場合と、容器包装された食品等を販売する場合を分けて案内しています。
👉 「移動して売る」という見た目ではなく、実際に何をしているかを見る。
これは観光ビジネスを考えるときにも大切な視点です。

6.宿泊施設で地域商品を売るなら「誰の商品か」も決める

宿泊施設や古民家では、フロントや共有スペースに地域商品を置くこともできます。
自分で仕入れて販売する。
地域事業者の商品を預かって販売する。
売れた分だけ精算する。
場所だけ提供する。
いろいろな形があります。
そこで決めておきたいのが、
誰が販売者になるのか
です。
商品が破損したら誰が負担するのか。
賞味期限の管理は誰が行うのか。
返品や苦情には誰が対応するのか。
売上はどのように精算するのか。
小さな売場でも、こうした役割を決めておくとトラブルを防ぎやすくなります。
👉 地域商品を「置く」だけでなく、「誰が売るのか」まで整理します。

7.お土産販売も観光体験の一つになる

観光地での商品販売は、単に売上を作るだけではありません。
地域のお菓子や農産加工品、工芸品や雑貨などは、
その土地を持ち帰る商品
にもなります。
旅行中に出会ったものを買う。
自宅で食べる。
家族や友人へ渡す。
そこから地域を思い出してもらう。
旅行業界で37年間仕事をしてきて、こうした小さな接点が再訪のきっかけになることも見てきました。
だから、
宿泊施設の一角
古民家の軒先
地域イベント
観光スポットのワゴン
など、販売場所そのものを工夫することにも意味があります。
👉 「何を売るか」だけでなく、「どこで出会ってもらうか」まで考える。
これが観光地での物販のおもしろさです。

今日の実務ワンポイント

観光地で物販を始めたいときは、まず次の5つを確認してください。
①何を売る?
②食品か、それ以外の商品か?
③仕入れて売るのか、自分で作って売るのか?
④店舗・イベント・ワゴンなど、どこで売るのか?
⑤食品なら営業許可・届出を確認したか?
👉 「物販を始めたい」ではなく、「何を・どこで・どう売るか」まで整理する。
これが今回の実務ワンポイントです。

まとめ

「観光地でお土産を売りたい。物販なら自由に始められる?」
今回の答えは、
👉 商品と販売方法によって、確認する内容が変わります。
雑貨を売るのか。
食品を売るのか。
仕入商品なのか。
自分で製造するのか。
店舗で売るのか。
イベントで売るのか。
ワゴンで売るのか。
まず、この違いを整理します。
特にワゴン販売では、
「その商品を販売できるか」と「その場所で販売してよいか」
の両方を確認することが大切です。
お土産販売は、大きな設備投資をしなくても始められる観光ビジネスの一つです。
だからこそ、
👉 商品を並べる前に、売り方と売る場所を確認する。
ここから始めましょう。

今日のチェックポイント

□販売したい商品を整理している
□食品とそれ以外の商品を分けて考えている
□自社製造か仕入販売か確認している
□食品営業の許可・届出を確認している
□店舗・イベント・ワゴンなど販売方法を決めている
□販売場所の管理者や主催者へ確認している
□誰が販売者になるか決めている
□在庫・賞味期限・返品時の対応を考えている
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「何を・どこで・誰が売るのか」
を一枚の紙に書き出してみてください。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて、
旅先で買ったものが旅行そのものを思い出させてくれることは多いと感じています。
地域のお菓子を食べたとき。
工芸品を使ったとき。
家族にお土産を渡したとき。
そこから、旅先の景色や人との会話まで思い出すことがあります。
だから私は、
お土産や地域商品の販売も、
地域と旅行者をつなぐ観光サービスの一つ
だと考えています。
そして、固定した売場だけが販売方法ではありません。
イベントやワゴンなど、
旅行者がいる場所に地域の商品が出ていく
という発想もあります。
ただし、売る場所が変われば確認するルールも変わります。
👉 「売りたい商品」と「売りたい場所」の両方から事業を考える。
許認可や販売方法を整えながら、地域の商品が旅行者へ届く仕組みを作る。
行政書士としても、そうした観光ビジネスの広がりを支援していきたいと考えています。

Q&A|観光地でお土産を販売したい

Q1.仕入れたお菓子を販売するだけなら営業許可はいりませんか?

商品や販売方法によって異なります。
営業許可が不要でも、食品衛生法上の営業届が必要となる場合があります。
何をどの状態で販売するのかを具体的にして、保健所へ確認することをおすすめします。

Q2.観光地でワゴンを出して商品を売っても大丈夫ですか?

販売する商品の問題と、販売場所の問題を分けて確認する必要があります。
民間施設なら施設管理者、イベントなら主催者、道路や公園などの公共空間なら管理する行政機関等への確認が必要になる場合があります。
「ワゴンだから自由に移動販売できる」とは考えないことが大切です。

Q3.地域のお店の商品を宿泊施設で預かって販売できますか?

方法は考えられます。
ただし、誰が販売者になるのか、売上をどう精算するのか、在庫や賞味期限を誰が管理するのか、返品・苦情時に誰が対応するのかを、
商品を置く前に決めておきましょう。

次回予告

今回は、
何を売るか
に加えて、
どこで売るか
まで考えました。
すると次に出てくるのが、
公園
道路
駅前広場
公共スペース
といった場所です。
「ここなら人が集まりそう」
と思っても、公共空間は自由に商売やイベントへ使える場所とは限りません。
では、
「公園や道路で観光イベントを開きたいとき、何から確認すればいい?」
次回は、
公園や道路で観光イベントを開きたい|場所が決まる前に何を確認する?|第14話
として、
👉 公共空間を使った観光イベントを企画するとき、場所を決める前に確認しておきたい実務
を整理します。

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行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・宿泊施設で地域商品を販売したい
・古民家で物販を始めたい
・地元のお菓子や加工品をお土産として販売したい
・観光イベントやワゴンで地域商品を販売したい
・販売場所を含め、どの許認可・届出を確認すればよいか分からない
といった企画・販売開始前の段階からご相談いただけます。
旅行業界37年の経験と行政書士としての法務・許認可の視点から、
「何を売るか」だけでなく、「どこで、どのように観光客へ届けるか」
を一緒に整理します。

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前回 地域イベントで飲食や物販をしたい|主催者任せで大丈夫?|第12話
次回 公園や道路で観光イベントを開きたい|第14話

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。