障害福祉サービスで職員が退職したらどうする?|第7話

~人員基準・変更届・加算への影響~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「横浜の障害福祉事業所に必要な研修・委員会」
として、
虐待防止。
身体拘束等の適正化。
感染症対策。
BCP。
などを年間予定に落とし込み、
「忘れない仕組み」にすること
についてお伝えしました。
今回は、日々の運営の中で突然起こりやすい、
職員の退職
について考えます。
例えば、
サービス管理責任者が退職した。
児童発達支援管理責任者が辞めることになった。
常勤職員が一人減った。
職員の勤務時間が短くなった。
このような場合、
「求人を出して後任を探せばいい」
だけでは終わらないことがあります。
今回のポイントは、
👉 職員が退職・勤務変更したら、「人員基準」「変更届」「加算・減算」の3つをすぐ確認すること
です。
職員が辞めたら、まず「人員基準」を確認する
最初に確認したいのは、
その職員がいなくても、人員基準を満たしているか
です。
ここで重要なのは、
「職員が一人減った」
という人数だけを見るのではなく、
その人が、
管理者なのか。
サービス管理責任者なのか。
児童発達支援管理責任者なのか。
直接支援を行う職員なのか。
どのような勤務時間だったのか。
を見ることです。
同じ「一人退職」でも、事業所への影響は大きく異なります。
例えば、
配置が必要な役職者が退職した場合。
常勤換算に影響する職員が退職した場合。
必要な資格や経験を持つ職員がいなくなった場合。
などでは、人員基準を満たせなくなる可能性があります。
👉 まず「誰が辞めるのか」ではなく、「その人がどの基準を支えていたのか」を確認します。
サビ管・児発管の退職は特に早めに確認する
特に注意したいのが、
サービス管理責任者。
児童発達支援管理責任者。
など、配置基準上重要な職員の退職です。
こうした職員については、
「来月末で辞めます」
と分かった段階で、
後任候補。
資格要件。
実務経験。
研修修了状況。
配置予定日。
を確認しておく必要があります。
退職してから探し始めると、
後任は決まったものの要件を満たしていなかった。
配置日が間に合わなかった。
ということも起こり得ます。
また、人員基準を満たさない状態が続けば、報酬上の減算につながる場合があります。
厚生労働省の報酬算定上の留意事項でも、
人員基準を満たさない場合の人員欠如減算について定められています。
👉 退職日が決まった段階で、人員配置表を作り直して確認する。
これが重要です。
次に「変更届」が必要か確認する
人員基準を確認したら、
次は、
行政への変更届
です。
横浜市では、
運営法人の名称・所在地。
法人代表者。
管理者。
サービス管理責任者等。
に変更があった場合、
変更の日から10日以内
に変更届出書を提出する必要があります。
つまり、
職員が辞めたら必ず全員について変更届
というわけではありません。
一方で、
届出対象となる役職者が変更した場合には、
期限を確認して手続きを進める必要があります。
ここで大切なのは、
👉 退職届を受け取ったら、「行政への届出が必要な人か」を同時に確認すること
です。
後任者の資格証。
研修修了証。
実務経験関係書類。
勤務形態一覧表。
などが必要になる場合もあるため、早めに準備しておきます。
加算への影響も忘れない
職員配置は、
指定基準だけでなく、
加算の算定要件
にも関係します。
例えば、
特定の資格者を配置していること。
一定人数以上の職員を配置していること。
常勤職員を配置していること。
勤務時間数などの要件を満たしていること。
を条件とする加算では、
一人の退職や勤務時間変更によって、
それまで算定していた加算の要件を満たさなくなることがあります。
横浜市でも、各種加算・減算を新たに算定する場合だけでなく、算定を終了する場合や区分が変わる場合には、
体制届が必要と案内しています。
そのため、
「人員基準は何とか満たしているから大丈夫」
で終わらせてはいけません。
👉 指定基準を満たしていても、加算要件は別に確認する。
ここが実務上のポイントです。
「採用すれば解決」ではない
後任を採用できれば、それで終わりとも限りません。
確認したいのは、
資格は足りているか。
必要な実務経験があるか。
必要な研修を修了しているか。
常勤・非常勤の扱いはどうなるか。
勤務時間は何時間か。
他の職務と兼務できるか。
いつから配置できるか。
です。
例えば、
求人票では「経験者」として採用したものの、
実際に必要な要件を確認すると、
配置予定の役職には就けなかった
ということもあり得ます。
だからこそ、
👉 採用を決める前に、「この人をどの配置として数えるのか」を確認する
ことが大切です。
職員退職時の確認はこの順番
職員の退職が決まったら、
次の順番で整理すると分かりやすくなります。
1.退職日を確認する
いつまで勤務するのか。
有給休暇等を含め、実際に勤務する最終日はいつか。
まず日付を確認します。
2.人員基準を確認する
退職後の勤務体制で、
必要人数。
資格。
常勤換算。
役職者。
などを満たしているか確認します。
3.変更届を確認する
管理者、サービス管理責任者など、
届出対象となる変更かを確認します。
4.加算・減算を確認する
現在算定している加算の要件に影響しないか。
人員欠如減算などの対象にならないか。
を確認します。
5.後任配置後も再確認する
採用した後任者の資格や勤務時間を反映し、
もう一度、人員配置と届出内容を確認します。
👉 「退職→採用」ではなく、「退職→基準確認→届出→報酬確認→採用後確認」までを一つの流れにします。
今日の実務ワンポイント
職員から退職の申し出があったら、
まず求人を出す前に、
現在の勤務形態一覧表をコピーして、その職員を外してみる
ことをおすすめします。
すると、
誰が足りなくなるのか。
勤務時間が足りるのか。
常勤換算がどう変わるのか。
どの加算に影響しそうか。
が見えやすくなります。
さらに、
退職前。
退職後。
後任配置後。
の3つの勤務体制を並べると、変更点がより分かりやすくなります。
👉 人員変更は、頭の中で考えず「表にして確認する」。
これが基本です。
まとめ
障害福祉事業所では、
職員一人の退職が、
人員基準。
変更届。
加算。
減算。
へつながることがあります。
だからこそ、
「辞める人の代わりを探す」
だけで終わらせないことが大切です。
まず確認するのは、
その職員が事業所のどの基準を支えていたのか。
そして、
人員基準。
行政への届出。
報酬への影響。
を順番に確認します。
👉 職員の退職は、人事の問題であると同時に、指定・届出・報酬の問題でもあります。
この視点を持っておくと、突然の退職にも対応しやすくなります。
今日のチェックポイント
□ 退職日を確認している
□ 退職後の人員配置を作成している
□ 常勤換算を確認している
□ 必要な資格者が残っている
□ サビ管・児発管等の配置を確認している
□ 変更届の必要性を確認している
□ 届出期限を確認している
□ 現在算定している加算を確認している
□ 減算の可能性を確認している
□ 後任者の資格・経験・勤務時間を確認している
一つでも不明な項目があれば、
退職日より前に確認しておく
ことをおすすめします。
行政書士田中穂積の視点
障害福祉サービスでは、
人員配置。
指定内容。
加算。
届出。
が別々に存在しているように見えて、
実際にはすべてつながっています。
そのため、
「職員が一人辞めただけ」
と思っていたことが、
後から、
変更届を出していなかった。
加算要件を満たしていなかった。
人員配置に不足があった。
という問題につながることがあります。
だからこそ、
人員変更があったときには、
「この変更は、どこまで影響するか」
を一度横断して確認することが大切です。
行政書士としても、
単に変更届を作成するだけではなく、
人員配置。
現在の届出。
算定している加算。
を照らし合わせながら、
必要な手続を整理することが重要だと考えています。
Q&A|職員が退職したときの対応
Q1.職員が一人辞めたら、必ず変更届が必要ですか。
必ずしもすべての職員について変更届が必要とは限りません。
ただし、
管理者。
サービス管理責任者等。
届出事項となっている職員が変更する場合には、変更届が必要になります。
横浜市では、対象となる変更について原則として変更の日から10日以内の届出が必要です。
Q2.退職した日に人員基準を下回ったら、すぐ減算になりますか。
人員欠如減算の適用時期や考え方は、どの人員要件を満たさなくなったかなどによって異なります。
厚生労働省の報酬算定上の留意事項には、人員基準を満たさない場合の減算開始時期等が定められています。
「数日なら大丈夫」と自己判断せず、サービス種別と不足する職種を確認することが重要です。
Q3.後任が決まっていれば問題ありませんか。
後任が決まっているだけでは判断できません。
資格。
実務経験。
研修。
勤務時間。
常勤・非常勤。
兼務状況。
配置開始日。
などを確認し、必要な人員基準や加算要件を実際に満たすかを確認する必要があります。
次回予告
次回は、
「障害福祉サービスの報酬請求で確認したいこと|記録と請求をつなぐ|第8話」
について考えます。
サービスを提供した。
記録も残した。
請求もした。
一見すると、それぞれ別の仕事に見えます。
しかし、
支援実績。
個別支援計画。
サービス提供記録。
加算の算定要件。
請求内容。
が一致していなければ、
後から確認が必要になることがあります。
次回は、
👉 「提供した支援」「残した記録」「請求した報酬」をどう一致させるか
という視点から、日頃の報酬請求管理を整理します。
\ 障害福祉サービスの運営実務を整理したい方へ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、放課後等デイサービス、児童発達支援、
就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)などの指定後の運営についてもご相談を承っています。
例えば、
・人員変更に伴う手続確認
・変更届の作成・提出支援
・体制届・加算届の整理
・運営規程の変更
・現在の届出内容の整理
・行政への事前相談
など、事業所の状況に応じて必要な手続を整理します。
障害福祉サービスでは、
人員・計画・記録・届出・報酬
が互いにつながっています。
そのため、
書類を一つずつ作るだけではなく、
現在の運営と届出・記録が一致しているか
という視点が大切です。
👉 「職員が辞めるけれど、何から確認すればいいのだろう」
という段階から、必要な確認を整理してみませんか。
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クイズ!職員が退職したら何を確認する?
前回 横浜の障害福祉事業所に必要な研修・委員会|年間予定を整理する|第6話
次回 障害福祉サービスの報酬請求で確認したいこと|第8話
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。