障害福祉の人員基準を満たせない?常勤換算・欠如減算の確認ポイント|第2話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「サビ管が突然退職したら?」
という、かなり切迫した場面から始めました。
今回はもう少し広く、
「もしかして人員基準を満たしていないかも?」
というときの確認方法です。
職員が辞めた。
休職者が出た。
勤務時間が変わった。
利用者が増えた。
兼務が増えた。
こうした変化があると、
「人数はいるから大丈夫だろう」
と思っていても、実際には人員基準へ影響することがあります。
👉 人員基準は、頭数だけでは判断できません。
まず何を確認するのか、順番に見ていきます。
- 1. 「職員はいる」だけでは判断できません
- 2. 最初に確認したいのはこの4つ
- 3. 常勤換算で一番多い勘違い
- 4. 「兼務しているから2人分」にはなりません
- 5. 人員基準を下回ったら、すぐ減算?
- 6. 「月平均で合っているから大丈夫」とは限らない
- 7. 気づいたら、最初に勤務形態一覧表を作り直す
- 8. やってはいけない3つの対応
- 9. 令和9年度報酬改定も確認が必要です
- 10. 今日の実務ワンポイント
- 11. まとめ
- 12. 今日のチェックポイント
- 13. 行政書士田中穂積の視点
- 14. Q&A|障害福祉の人員基準で困ったとき
- 15. 次回予告
- 16. \ 人員基準を満たしているか不安になったら /
- 17. クイズ!人員基準を満たしているか不安になったら?
「職員はいる」だけでは判断できません
障害福祉サービスの人員基準では、
単純な在籍人数ではなく、
常勤か
非常勤か
勤務時間は何時間か
専従か
兼務か
必要な資格を持っているか
などを見る必要があります。
横浜市の基準でも、常勤換算は、職員の勤務延べ時間数を事業所の常勤職員が勤務すべき時間数で割って算出する考え方です。横浜市
つまり、
3人いるから3人分
とは限りません。
最初に確認したいのはこの4つ
人員不足が気になったら、まず次の4点を確認します。
1.誰が欠けたのか
管理者
サービス管理責任者
生活支援員
職業指導員
世話人
児童指導員
など、職種によって基準が違います。
最初に、
どの職種が足りない可能性があるのか
を特定します。
2.いつから不足したのか
退職日
休職開始日
勤務時間変更日
などを確認します
人員基準や減算を考えるうえでは、
「いつから不足しているのか」
が重要です。
3.勤務時間はどうなっているか
人はいても、
非常勤になった
勤務日数が減った
他業務との兼務が増えた
という場合、
常勤換算上の人数が下がることがあります。
4.利用者数や定員に変化はないか
サービスによっては、
利用者数などに応じて必要な職員数が変わります。
職員側だけでなく、
利用者側の数字も一緒に確認する
ことが大切です。
常勤換算で一番多い勘違い
「非常勤が2人いるから、常勤1人分くらいでしょう」
と感覚で考えてはいけません。
常勤換算は勤務時間で計算する。
例えば、
その事業所の常勤職員が週40時間勤務するとします。
非常勤職員2人が、
それぞれ週20時間勤務なら、
合計40時間。
この場合は、
常勤換算で1.0人相当になります。
一方、
週15時間と週15時間なら、
合計30時間なので、
常勤換算では0.75人相当です。
横浜市も、常勤換算は各事業所で定める常勤職員の勤務時間を基準に計算するもので、単純に一律32時間で割るものではないと案内しています。
👉 人数ではなく、勤務時間を数字にして確認する。
ここが重要です。
「兼務しているから2人分」にはなりません
もう一つ注意したいのが、
兼務
です。
例えば、
管理者とサービス管理責任者。
生活支援員と世話人。
別サービスの職員。
など、複数業務を兼ねているケースがあります。
同じ時間を二重には数えられない
兼務そのものが認められる場合でも、
一つの勤務時間を、
こちらでも1人
あちらでも1人
と重複して数えられるわけではありません。
勤務形態一覧表を見るときは、
誰が何時から何時まで、どの業務をしているのか
まで確認する必要があります。
👉 「人はいる」ではなく「その時間、その業務に配置されているか」を見る。
人員基準では、この視点が欠かせません。
人員基準を下回ったら、すぐ減算?
ここは多くの事業者が気になるところです。
結論からいうと、
すべての人員不足が同じタイミング・同じ割合で減算になるわけではありません。
サービス。
不足した職種。
不足の程度。
不足期間。
によって取扱いが異なります。
人員欠如減算には、一定期間の猶予や減算割合の段階がありますが、サービス管理責任者等の欠如と、サービス提供職員の欠如では適用時期も異なります。
だから先に「何が不足しているか」を特定する
「人が足りない」
だけでは判断できません。
まず、
どの職種が
どの基準に対して
いつから、どの程度
不足しているのか
を確認します。
そのうえで、
減算
届出
人員補充
行政相談
が必要か判断します。
👉 減算率から調べ始めるより、まず不足の中身を確定する。
こちらの方が早いです。
「月平均で合っているから大丈夫」とは限らない
人員基準には、
常勤換算で見るもの。
特定の職種を常勤で配置するもの。
専従を求めるもの。
利用者数に応じて配置するもの。
などがあります。
そのため、
単純に月の総勤務時間だけ合っていればよいとは限りません。
例えば、
常勤配置が必要なのか。
資格要件があるのか。
兼務できるのか。
を見る必要があります。
横浜市の障害福祉サービス基準でも、サービスごとに必要な職種と員数が定められています。
👉 「常勤換算だけ合えばOK」でもありません。
ここは注意したいところです。
気づいたら、最初に勤務形態一覧表を作り直す
人員不足が心配になったとき、
私はまず、
現在の勤務実態で勤務形態一覧表を作り直す
ことをおすすめします。
古い届出時の勤務表ではありません。
「今日の体制」で作る。
現在勤務している職員
勤務時間
兼務
資格
職種
を入れてみます。
すると、
どこが不足しているのか。
誰の勤務時間が足りないのか。
兼務の影響はどこか。
が見えやすくなります。
👉 感覚で「足りないかも」と悩むより、勤務表にして数字で見る。
これが一番早いです。
やってはいけない3つの対応
① 「来月採用するから大丈夫」と放置する
採用予定と、
現在の人員基準は別問題です。
不足が分かった時点で確認します。
② シフト表だけで判断する
勤務予定だけでなく、
職種
資格
兼務
常勤換算
まで確認します。
③ 減算が怖くて自己判断で請求を変える
人員欠如減算の扱いは、サービスや状況で異なります。
まず基準と事実関係を確認し、
必要に応じて指定権者へ相談します。
令和9年度報酬改定も確認が必要です
令和9年度障害福祉サービス等報酬改定については、現在も検討が続いています。
人材確保
職員配置
生産性向上
業務負担軽減
なども検討テーマとなっています。
ただし、
2026年10月時点では、令和9年度の人員基準や欠如減算について最終決定したわけではありません。
現在の人員配置は、
まず現行ルールで確認します。
そのうえで、
来年度の正式な改定内容が公表されたら、
必要な見直しを行う。
この順番です。
今日の実務ワンポイント
「人員基準、大丈夫かな?」
と思ったら、
まず紙に、
職員名
職種
勤務時間
資格
兼務
を書き出してください。
そして、
現在の勤務形態一覧表と照らします。
これだけでも、
「人が足りない」のか。
「勤務時間が足りない」のか。
「資格要件を満たさない」のか。
「兼務の仕方に問題がある」のか。
が見えやすくなります。
まとめ
人員基準を満たしているか確認するとき、
職員の人数だけを数えてはいけません。
確認するのは、
どの職種が必要か
何人必要か
常勤か
常勤換算か
資格は必要か
兼務できるか
そして、
いつから不足しているのか。
です。
👉 「何人いる?」ではなく、「必要な人が必要な時間、必要な職務に配置されている?」
この問いに変えると、人員基準はかなり整理しやすくなります。
今日のチェックポイント
□ 不足している可能性のある職種を特定した
□ 不足が始まった日を確認した
□ 最新の勤務形態一覧表で確認した
□ 常勤換算を計算した
□ 資格要件を確認した
□ 兼務状況を確認した
□ 利用者数・定員との関係を確認した
□ 欠如減算の対象になるか確認した
一つでも分からなければ、
「人数はいるから大丈夫」
と判断する前に確認したいところです。
行政書士田中穂積の視点
人員基準の相談で難しいのは、
「職員が足りない」という一言だけでは答えが出ないこと
です。
職種
勤務時間
資格
兼務
利用者数
サービス種別
によって判断が変わります。
そして、
人員配置が変われば、
変更届。
加算。
報酬請求。
にも影響する可能性があります。
だからこそ、
「減算になるか」だけを先に見るのではなく、
現在の事業所の人員体制を一度正確に見える化する。
そこから、
何を直すのか
何を届け出るのか
行政へ何を確認するのか
を整理することが重要です。
行政書士田中穂積事務所では、
書類を提出するだけでなく、
現在の人員体制を整理し、必要な行政手続へつなげる
ところからお手伝いしたいと考えています。
Q&A|障害福祉の人員基準で困ったとき
Q1.非常勤職員が増えれば、人員基準を満たせますか?
勤務時間や職種、資格要件によります。
常勤換算が必要な職種では、非常勤職員の勤務時間を合計して計算できますが、
常勤配置や資格要件が必要な職種では、それだけでは足りない場合があります。
Q2.職員が1人辞めたら、すぐ人員欠如減算になりますか?
一律ではありません。
不足した職種
不足割合
サービス種別
不足期間
によって扱いが異なります。
まず、どの基準をいつから満たしていないのかを確認する必要があります。
Q3.人員基準を満たしているか分からないとき、何を用意すればよいですか?
まず、
最新の勤務形態一覧表
職員の勤務時間
資格・研修状況
兼務状況
利用者数
を確認するとよいでしょう。
この情報がそろうと、どこに問題があるのか整理しやすくなります。
次回予告
次回は、
変更届を出し忘れた!障害福祉の届出期限と対応方法|第3話
です。
管理者が変わった。
職員が変わった。
運営規程を変えた。
事業所の連絡先が変わった。
でも、
「変更届を出していなかった……」
後から気づくことがあります。
そんなとき、
一番やってはいけないのは、
「今さら出しにくいから、そのままにする」
ことです。
次回は、
👉 変更届の出し忘れに気づいたとき、何を確認し、どの順番で対応するのか
を整理します。
\ 人員基準を満たしているか不安になったら /
行政書士田中穂積事務所では、
放課後等デイサービス
児童発達支援
就労継続支援B型
共同生活援助(グループホーム)
などの障害福祉サービスについて、
人員体制
変更届
指定後の行政手続
加算に関係する届出
などのご相談を承っています。
「職員が辞めて人員基準が心配」
「常勤換算が合っているか分からない」
「兼務できるのか確認したい」
「減算になるのか不安」
という段階でも構いません。
👉 まず現在の人員体制を数字にして整理する。
そこから必要な対応を確認していきます。
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この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。