続く観光ビジネスをつくる|旅行業・宿泊・体験・地域連携を一つに考える|第12話

続く観光ビジネスをつくる|旅行業・宿泊・体験・地域連携を一つに考える|第12話

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

これまで、
旅行業。
宿泊。
体験。
送迎。
地域連携。
インバウンド。
収益。
について見てきました。

最終回となる今回は、
「観光ビジネスを始めても、ちゃんと続けていけるのか」
という悩みを考えます。
観光事業は、
面白い企画がある。
地域資源がある。
人を呼べそう。
というだけでは続きません。
売れること。
利益が残ること。
人が回せること。
必要な許認可を守れること。
地域との関係が続くこと。
まで含めて、一つの事業として考える必要があります。
👉 続く観光ビジネスは、「面白い企画」ではなく、「売れる・回る・利益が残る・適正に続けられる仕組み」でつくられます。

「やりたいこと」が多すぎると続きにくい

観光ビジネスでは、
宿泊もやりたい。
体験もやりたい。
食事も出したい。
送迎もしたい。
地域の商品も売りたい。
となりやすいものです。
しかし、サービスを増やすほど、
人員。
設備。
予約管理。
契約。
許認可。
費用。
も増えていきます。
👉 最初に大切なのは、「何を増やすか」ではなく、「何を自社の中心にするか」を決めることです。

「誰に売るのか」が曖昧だと商品もぼやける

続く事業にするには、
誰に来てもらいたいのか
を明確にします。
家族旅行。
法人。
外国人旅行者。
地域との出会いや体験を求める人。
特定の趣味を持つ人。
によって、
価格。
商品内容。
販売方法。
必要な対応。
は変わります。
👉 「観光客なら誰でも」ではなく、「誰に選ばれたいか」を決めると、事業全体が整理しやすくなります。

売上だけでなく「残る金額」を見る

前回見たように、
売上が大きくても、
仕入れ。
人件費。
広告費。
システム費。
施設維持費。
などを差し引いて利益が残らなければ続きません。
観光事業では特に、
宿泊。
交通。
体験。
販売手数料。
など、お金の流れが複雑になりやすいです。
👉 「いくら売れたか」ではなく、「最後にいくら残るか」を毎回確認することが重要です。

「自社でやること」と「他社に任せること」を分ける

すべてを自社で抱える必要はありません。
宿泊は宿泊事業者。
交通は交通事業者。
体験は地域事業者。
販売は旅行会社。
というように、
それぞれの得意分野を組み合わせる方法があります。
自社ですべて行うほど、
固定費や人員負担も大きくなります。
👉 続けるためには、「自社でやらないこと」を決めることも重要です。

地域連携は「協力する」だけでは続かない

地域連携も、
「みんなで頑張ろう」
だけでは長続きしません。
誰が企画するのか。
誰が販売するのか。
誰が予約を受けるのか。
誰が代金を受け取るのか。
トラブル時に誰が対応するのか。
まで決める必要があります。
👉 地域連携を続けるには、「仲の良さ」ではなく、「役割が明確な仕組み」が必要です。

許認可は後から合わせない

事業が広がるほど、
旅行業。
旅館業。
飲食。
送迎。
外国人雇用。
など、確認すべき制度も増えます。
ここで、
「まず始めて、あとから許可を考える」
という進め方は危険です。
設備投資や契約をした後で、
その形では営業できない
と分かれば、大きな手戻りになります。
👉 続く事業にするためには、事業計画と許認可を最初から一緒に考えることが重要です。

事業は「完成させる」のではなく「見直し続ける」

観光市場は変わります。
旅行者のニーズ。
予約方法。
インバウンド。
人件費。
物価。
地域の状況。
も変わります。
最初に作った事業計画を、
何年もそのまま使えるとは限りません。
そこで、
売れている商品は何か。
利益が残っているか。
負担が大きいサービスはないか。
地域との関係は続いているか。
を定期的に見直します。
👉 観光ビジネスは、一度完成させるものではなく、続けながら調整していくものです。

今日の実務ワンポイント

現在の観光事業について、次の5つを確認してみてください。
①誰に売っているか
②何が一番利益を生んでいるか
③自社でやらなくてもよい仕事はないか
④許認可と現在の事業内容が合っているか
⑤地域との役割分担が明確か
👉 一つでも「よく分からない」があれば、そこが事業を見直す入口です。

まとめ

続く観光ビジネスをつくるために、
特別な仕組みが必要なわけではありません。
誰に売るのか。
何を売るのか。
どこで利益を出すのか。
誰が運営するのか。
誰と連携するのか。
どんな許認可が必要なのか。
を、一つの事業としてつなげることです。
👉 旅行業・宿泊・体験・地域連携を別々に考えず、「一つの観光ビジネス」として設計することが、続けるための基本です。
面白い企画を、
続けられる事業へ。
ここまで整理できて初めて、観光ビジネスが形になります。

今日のチェックポイント

□主な顧客が明確になっている
□自社の中心商品を決めている
□売上ではなく利益を確認している
□自社でやる仕事と外部に任せる仕事を分けている
□地域事業者との役割分担が明確になっている
□現在の事業内容に必要な許認可を確認している
□人員や運営負担が大きすぎないか確認している
□事業内容を定期的に見直している
□「なぜ自社が選ばれるのか」を説明できる
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「今の事業で、一番利益が残っている商品は何か」
を確認してみましょう。
そこから、続けるべき部分と見直すべき部分が見えてきます。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて感じるのは、
観光ビジネスには、
「売れる商品」と「続く商品」は別
ということです。
一時的に人気が出ても、
現場の負担が大きい。
利益が残らない。
地域との関係が続かない。
必要な手続が追いつかない。
という状態では、事業として長く続きません。
一方で、
小さな事業でも、
顧客が明確で。
利益が残り。
無理のない体制で。
地域と良い関係を築けていれば、
続けられる可能性があります。
行政書士としては、
旅行業登録や旅館業許可などの手続だけではなく、
その許認可を使って、どんな事業を続けていくのか
まで考えることが重要だと思います。
👉 許可を取ることがゴールではなく、その先で事業が続くことが本当のスタートです。

Q&A|続く観光ビジネスをつくるには

Q1.観光事業はサービスを多くした方が売上は増えますか?

必ずしもそうではありません。
サービスを増やすほど、
人員。
設備。
管理。
許認可。
などの負担も増えます。
まずは、自社の中心となる商品を明確にし、その商品が利益を生んでいるかを見ることが重要です。

Q2.地域連携は多くの事業者と組んだ方がよいですか?

数が多ければよいわけではありません。
重要なのは、
誰が何を担当するか。
お金をどう分けるか。
トラブル時に誰が対応するか。
が明確になっていることです。

Q3.事業を始めた後でも内容を見直してよいですか

むしろ、定期的な見直しが必要です。
旅行者のニーズや費用、地域の状況は変わります。
「最初に決めたから続ける」のではなく、「今も続ける意味があるか」を確認することが大切です。

シリーズをお読みいただいた皆さまへ

このシリーズでは、
誰に何を提供するのか。
旅行業になるのか。
体験をどう商品にするのか。
送迎。
飲食・物販。
異業種参入。
独立開業。
小さな旅行会社の商品づくり。
地域連携。
インバウンド。
収益。
と、観光ビジネスを形にするための実務を見てきました。
共通しているのは、
「面白そうだから始める」だけではなく、「実際に販売・運営し、続けられる形まで考える」
ということです。
観光事業には、
旅行業。
宿泊。
体験。
地域。
人。
お金。
許認可。
がつながっています。
その一つ一つを整理し、
自分たちだからできる観光ビジネス
を形にしていくことが大切です。
そして次回からは、ここからさらに一歩踏み込みます。
「観光ビジネスを始めたい。でも私でもできる?」
「この物件で民泊できる?」
「宿泊客を自分の車で送迎しても大丈夫?」
「宿泊と体験をセットで売ると旅行業になる?」
そんな、
「自分のケースではどうすればいい?」
という具体的なお悩みに、一つずつ答えていく新シリーズを始めます。

次回から新シリーズ

「横浜の観光・宿泊ビジネス お悩み解決実務」
第1話は、
「私でも横浜で観光ビジネスを始められる?|最初に何を決めればいいのか」
です。
これまでのように制度を順番に説明するだけではなく、
「これ、私のことかもしれない」
と感じる具体的な悩みから入り、最初に答えを示し、そのうえで何を確認すればよいのかを実務目線で整理していきます。
観光・宿泊・旅行業・民泊・体験などについて、
困って検索したときに、答えが見つかるシリーズ
を目指していきます。

\ 続く観光ビジネスを形にしたい方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、旅行業・宿泊業・体験・地域連携などの観光ビジネスについて、事業内容の整理から必要な許認可まで一体で支援しています。
例えば、
・旅行業登録が必要かどうかの確認
・旅行業登録申請
・旅行会社の独立・新規参入
・宿泊・体験・交通を組み合わせた事業整理
・地域事業者との役割分担の整理
・インバウンド事業の整理
・行政への事前相談
・開業までのスケジュール整理
など、現在の計画段階に応じて必要な準備を整理します。
観光ビジネスでは、
商品・顧客・収益・地域連携・許認可
が互いにつながっています。
👉 「アイデアはあるけれど、どう事業にすればよいか分からない」という段階から、一つずつ整理してみませんか。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。