障害福祉サービスの報酬請求で確認したいこと|第8話

~記録と請求をつなぐ~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「職員が退職したらどうする?」
として、
人員基準。
変更届。
加算。
への影響を確認しました。
今回は、
報酬請求について考えます。
毎月、国保連への請求はできている。
返戻も出ていない。
入金もされている。
でも、
「この請求、本当に大丈夫だろうか」
と感じたことはないでしょうか。
今回のポイントは、
👉 請求が通ることと、正しく請求できていることは同じではない
ということです。
こんなお困りごとはありませんか?
例えば、
・実績記録票と日々の支援記録が合っているか自信がない
・加算を算定しているが、根拠書類がどこにあるか分からない
・欠席や利用時間の変更が請求へ正しく反映されているか不安
・担当者しか請求内容を把握していない
・過去の請求を聞かれても、すぐ説明できない
一つでも当てはまるなら、
確認したいのは請求ソフトの操作ではありません。
👉「その請求を、記録を見ながら説明できる状態か」
です。
厚生労働省も、障害福祉サービスについて実績記録票、請求明細書、報酬算定構造などを
一体の請求関係資料として示しています。
解決策1|請求画面ではなく「実際の支援」から確認する
月末になると、
「何を請求するか」
から確認したくなります。
しかし順番は逆です。
まず見るのは、
実際に何の支援を行ったか
です。
利用日。
利用時間。
欠席。
送迎。
実施した支援。
などを確認します。
そのうえで、
日々の記録
↓
実績記録票
↓
請求内容
が一致しているかを見ます。
👉 請求の出発点は、請求ソフトではなく支援の事実です。
解決策2|加算は「今月も要件を満たしたか」を見る
加算で起こりやすいのが、
「届出を出しているから今月も算定できる」
という思い込みです。
しかし、
職員が退職した。
勤務時間が変わった。
必要な支援を実施できなかった。
必要な記録が残っていない。
ということがあれば、算定への影響を確認する必要があります。
ここで毎月確認したいのは、
この加算を今月算定する理由を、書類を見ながら説明できるか
です。
できなければ、
何の記録が不足しているのか。
そもそも要件を満たしているのか。
を請求前に確認します。
解決策3|「3つの書類」を横に並べる
難しく考えなくても構いません。
請求前に最低限、
①サービス提供の記録
②実績記録票
③請求内容
を並べて確認します。
例えば、
記録では欠席。
実績記録票では利用。
請求でも利用扱い。
となっていないか。
あるいは、
支援を実施しているのに実績記録票へ反映されていない。
といったズレがないかを見ます。
横浜市でも、障害福祉サービスの請求について実績記録票や過誤申立て等の手続を案内しています。(横浜市公式サイト)
👉 請求前に一度、書類を「横に並べる」。
これだけでも見つかるミスがあります。
「担当者しか分からない」は危険信号
もう一つ気を付けたいのが、
請求担当者しか仕組みを分かっていない
状態です。
担当者が休んだ。
退職した。
運営指導で説明を求められた。
そのとき、
「担当者でないと分かりません」
では困ります。
請求の根拠が、
どこにあるのか。
誰が確認するのか。
どの順番で確認するのか。
だけでも、事業所内で共有しておく必要があります。
請求業務を属人化させないことも、
ミスを防ぐ大切な運営管理です。
間違いに気付いたらどうする?
請求後に、
「加算を間違えていた」
「利用実績と請求が違っていた」
と気付くこともあります。
その場合は、
返戻になっているのか。
すでに支払われているのか。
を確認し、
必要に応じて再請求や過誤申立てなどを行います。
横浜市でも障害福祉サービス費等について過誤申立ての手続を案内しています。
大切なのは、
間違いに気付いたあと放置しないことです。
今日の実務ワンポイント
請求前に、
5分で確認できるチェック表
を作ってみてください。
□ 利用日・利用時間は合っている
□ 欠席や変更を反映している
□ 実績記録票と支援記録が合っている
□ 加算の根拠記録がある
□ 人員変更による影響はない
毎月同じ順番で確認します。
👉 請求を「入力作業」で終わらせず、月1回の運営点検に変える。
これが今回の解決策です。
まとめ
報酬請求で本当に怖いのは、
請求ソフトの入力ミスだけではありません。
請求内容と、実際の支援・記録がずれていること
です。
請求が通っていても、
後から根拠を説明できなければ問題になることがあります。
だからこそ、
実際の支援。
記録。
実績記録票。
加算の根拠。
請求。
をつなげて確認します。
👉 「この請求を、今すぐ記録を見せながら説明できますか?」
一度、事業所内で確認してみてください。
今日のチェックポイント
□ 請求内容の根拠となる記録がある
□ 実績記録票と日々の記録が一致している
□ 加算の要件を毎月確認している
□ 人員変更を請求へ反映している
□ 請求担当者以外も確認方法を把握している
□ 誤りが見つかった場合の対応方法が分かっている
一つでも不安があれば、
請求データではなく、
その根拠となる記録から確認する
ところから始めてみましょう。
行政書士田中穂積の視点
障害福祉サービスでは、
請求だけを切り離して確認することはできません。
職員が変われば、
加算に影響する。
支援内容が変われば、
記録も変わる。
記録が変われば、
請求内容にもつながります。
そのため、
「請求は担当者に任せているから大丈夫」
ではなく、
運営と請求が一致しているかを事業所として確認できる状態
にしておくことが重要です。
行政書士としても、
請求入力そのものより、
人員。
届出。
加算。
記録。
が現在の運営と合っているかを整理することで、
問題が起きる前の確認を支援していくことが大切だと考えています。
Q&A|報酬請求で困ったとき
Q1.国保連の請求が通っていれば問題ありませんか。
必ずしもそうとは限りません。
請求システム上処理されたことと、実際に算定要件を満たしていることは別です。
請求内容を記録や人員配置から説明できることが重要です。
Q2.加算の届出をしていれば毎月算定できますか。
加算によっては、算定中も人員配置や支援内容などの要件を継続して満たす必要があります。
職員の退職や勤務時間変更があった場合には、特に確認が必要です。
Q3.請求後に間違いを見つけたらどうすればよいですか。
まず、返戻中なのか、すでに支払われているのかを確認します。
そのうえで、状況に応じて再請求や過誤申立てなどの対応を検討します。
横浜市も障害福祉サービスの過誤申立て手続を案内しています。
次回予告
次回は、
「令和9年度障害福祉報酬改定で何が変わる?|今から確認したい6つの論点|第9話」
について考えます。
👉令和9年4月に予定されている障害福祉サービス等報酬改定。
「まだ半年ある」
と思う一方で、
人員配置。
処遇改善。
加算。
事業所の収支。
サービスの質。
制度の持続可能性。
など、事業所運営に関わる重要な論点について、すでに検討が進んでいます。
今の段階で必要なのは、
「何が決まったのか」
を待つことだけではありません。
👉 今、どんな論点が議論されていて、自分の事業所に何が関係しそうなのかを知っておくこと
です。
次回は、
令和9年度障害福祉報酬改定に向けて示されている主な論点を整理し、
「結局、うちの事業所には何が関係しそうなのか」
という視点から見ていきます。
\ 障害福祉サービスの運営実務を整理したい方へ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、放課後等デイサービス、児童発達支援、
就労継続支援B型、共同生活援助(グループホーム)などの指定後の運営についてもご相談を承っています。
例えば、
・人員変更に伴う手続確認
・変更届の作成・提出支援
・体制届・加算届の整理
・運営規程の変更
・現在の届出内容の整理
・行政への事前相談
など、事業所の状況に応じて必要な手続を整理します。
障害福祉サービスでは、
人員・計画・記録・届出・報酬
が互いにつながっています。
👉 「請求はできている。でも、この記録で本当に大丈夫だろうか」
そう感じた段階から、一度整理してみませんか。
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▶ 相談から正式依頼までの流れ
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クイズ!障害福祉サービスの報酬請求で何を確認する?
前回 職員が退職したらどうする?|人員基準・変更届・加算への影響|第7話
次回 令和9年度障害福祉報酬改定で何が変わる?|第9話
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。