横浜の障害福祉サービス運営指導|何を確認される?|第15話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
ここ3回は、
障害福祉事業所のM&Aについて、
買う側
譲る側
専門家の役割
という視点から見てきました。
今回は、通常の事業所運営へ戻ります。
テーマは、
運営指導です。
「横浜市から運営指導の通知が来た」
その瞬間、
「何を出せばいい?」
「書類はそろっている?」
「昔の記録まで見られる?」
と慌ててしまう事業所もあるかもしれません。
しかし、
運営指導のためだけに特別な書類を作ることが本来の目的ではありません。
👉 普段の運営が、指定基準や報酬算定のルールに沿っているかを説明できる状態にしておく。
まずここから考えます。
- 1. 今年、運営指導・監査の動きにも変化があります
- 2. 横浜市の運営指導は、何を準備する?
- 3. 1.指定時の内容と、今の事業所は同じですか?
- 4. 2.人員表は「人数」だけ見ない
- 5. 3.個別支援計画と日々の支援はつながっていますか?
- 6. 4.加算は「届出済み」で終わっていませんか?
- 7. 5.研修・委員会は「やった証拠」が残っていますか?
- 8. 通知が来てから全部確認するのは大変です
- 9. 今日の実務ワンポイント
- 10. まとめ
- 11. 今日のチェックポイント
- 12. 行政書士田中穂積の視点
- 13. Q&A|横浜の障害福祉サービス運営指導
- 14. 次回予告
- 15. \ 運営指導の通知が来てから慌てたくない事業所へ /
- 16. クイズ!横浜の障害福祉サービス運営指導
今年、運営指導・監査の動きにも変化があります
最初に、現在の動きを確認しておきましょう。
厚生労働省は令和8年6月、
「障害福祉分野における運営指導・監査の強化」
を公表しました。
あわせて、
指定障害福祉サービス事業者等指導指針。
集団指導・運営指導マニュアル。
運営指導の確認項目・確認文書。
監査指針。
なども示されています。厚生労働省
つまり、
今後ますます、
「指定を取った後、実際にどのような運営をしているか」
が重要になります。
一方で、
令和9年4月の報酬改定についても現在検討が続いています。
9月には就労系サービス、10月5日には障害児支援について、具体的な報酬・基準の議論が行われました。厚生労働省
ただし、
現段階で来年度の基準や運営指導項目がすべて決定したわけではありません。
👉 今あるルールを適正に守りながら、令和9年度改定の正式な内容を追っていく。
これが現在の立ち位置です。
横浜市の運営指導は、何を準備する?
横浜市の日中活動系サービスでは、
運営指導の実施にあたり、
事前提出資料は原則として実施日の2週間前まで
に提出するよう案内されています。
また、
当日確認する資料についても、
すぐ確認できる状態で準備することが求められています。
共同生活援助についても、
運営指導を実施する月の前月までに連絡・通知があり、
事前提出資料の提出や、指導後に必要に応じた改善報告が求められています。
横浜市はGHについて、おおむね3年に1度を目安に運営指導を行うと案内しています。横浜市
では、
具体的にどこを見ておけばよいのでしょうか。
1.指定時の内容と、今の事業所は同じですか?
まず確認したいのは、
指定内容と現在の運営が一致しているか
です。
横浜市が公表している運営指導の主な指摘事例では、
指定時と異なる用途で事業所を使用していた。
必要な設備が別用途になっていた。
届け出ていない場所で支援を行っていた。
届出なく利用定員を変更していた。
といった事例が挙げられています。
長く運営している事業所ほど確認したい
開業後、
職員が変わる。
部屋の使い方が変わる。
利用者が増える。
運営方法が変わる。
ということはあります。
そのたびに、
必要な届出まできちんと追いついているでしょうか。
👉 「昔、指定を取ったとき」ではなく、「今の事業所」がどうなっているかを見る。
ここが最初です。
2.人員表は「人数」だけ見ない
横浜市の指摘事例では、
サービス管理責任者。
常勤職員。
看護職員。
などの配置不足や、
兼務によって常勤・専従要件を満たしていなかったケースも示されています。
勤務実態まで説明できますか?
人員配置を見るときは、
「必要な人数がいる」
だけでは足りません。
常勤なのか。
非常勤なのか。
勤務時間はどうか。
兼務しているか。
資格・研修要件はどうか。
実際の勤務と勤務形態一覧表が一致しているか。
まで確認します。
👉 人員基準は、名簿ではなく実際の勤務で確認する。
ここは運営指導でも重要なポイントです。
3.個別支援計画と日々の支援はつながっていますか?
書類が全部そろっていても、
それだけでは安心できません。
個別支援計画
モニタリング
日々の支援記録
が、
一人の利用者への支援としてつながっているでしょうか。
「書類がある」から「支援を説明できる」へ
例えば、
計画には書かれているが、
日々の記録から実施状況が分からない。
モニタリングをしているが、
次の計画に反映されていない。
こうした状態では、
支援の流れが見えにくくなります。
👉 運営指導のために記録するのではなく、支援を説明するために記録する。
この順番を確認したいところです。
4.加算は「届出済み」で終わっていませんか?
加算については、
届出を出した。
請求も通っている。
それだけで安心しないことです。
算定期間中も要件を満たしているか
加算によっては、
人員
研修
会議
支援実績
記録
などが要件になります。
重要なのは、
届出をした時点だけではなく、
実際に算定している期間も要件を満たしていること
です。
令和8年度には報酬改定が行われ、B型の基本報酬区分などにも見直しが入りました。
厚労省は改定Q&Aも継続して公表しています。厚生労働省
そして令和9年度改定の検討も進んでいます。
👉 現在の加算・報酬は現行ルールで確認し、来年度については正式決定後に改めて見直す。
ここを分けて考えましょう。
5.研修・委員会は「やった証拠」が残っていますか?
虐待防止
身体拘束
感染症
BCP
その他、サービスに応じて必要となる研修・委員会があります。
このシリーズでも第6話で取り上げました。
運営指導を意識するなら、
「今年やりました」
だけではなく、
いつ。
誰が参加したか。
何を扱ったか。
どのような記録を残したか。
まで確認します。
横浜市の令和8年度集団指導でも、虐待防止、意思決定支援、サービス別の運営などについて資料・動画が公表され、
対象事業者には受講登録まで求められています。横浜市
集団指導も「見て終わり」にしない
横浜市では対象事業者に毎年度の集団指導受講を求めています。
制度変更や指摘事例を把握する機会でもあるため、
管理者だけが見て終わるのではなく、
必要な内容を事業所内で共有しておくことも大切です。
通知が来てから全部確認するのは大変です
ここまで見ると、
「運営指導が来たら大仕事だ」
と感じるかもしれません。
そうならないために、
普段から、
指定
人員
支援計画
記録
加算
研修・委員会
を別々に管理するのではなく、
現在の運営と一致しているか
を定期的に確認しておきます。
おすすめは「年1回の総点検」
例えば年度の切替時に、
最新の運営規程。
最新の勤務形態一覧表。
現在の加算一覧。
研修・委員会年間予定。
主な届出状況。
を横に並べてみる。
そこで、
「この変更届は出した?」
「この加算は今も要件を満たしている?」
「運営規程は最新?」
と確認します。
👉 運営指導対策というより、年に一度の“事業所の健康診断”です。
今日の実務ワンポイント
明日、横浜市から
「運営指導を実施します」
という通知が届いたと仮定してみてください。
そのとき、
「まず何から探そう」
となるでしょうか。
それとも、
「このファイルを見れば現在の運営状況が分かる」
と言えるでしょうか。
運営指導に強い事業所とは、
特別な資料をたくさん作っている事業所ではありません。
👉 普段の運営と書類が一致している事業所です。
まとめ
運営指導は、
突然、過去を責められるためのものではありません。
指定事業者として、
今どのように運営しているかを確認する機会です。
今年は、
厚労省による運営指導・監査の強化。
令和8年度報酬改定。
そして現在進行中の令和9年度報酬改定。
と、
障害福祉事業所を取り巻くルールが大きく動いています。
だからこそ、
通知が来てから、
書類を作る。
記録を探す。
届出を確認する。
のではなく、
👉 普段から「今の運営を第三者に説明できる状態」にしておく。
これが一番の運営指導対策です。
今日のチェックポイント
□ 指定内容と現在の運営が一致している
□ 最新の勤務形態一覧表をすぐ出せる
□ 人員基準・兼務状況を説明できる
□ 個別支援計画と日々の記録がつながっている
□ 算定中の加算と根拠資料を説明できる
□ 研修・委員会の実施記録が残っている
□ 必要な変更届を提出している
□ 最新の横浜市集団指導資料を確認している
一つでも、
「たぶん大丈夫」
という項目があれば、
一度確認しておきたいところです。
行政書士田中穂積の視点
運営指導というと、
「何を指摘されるのか」
に目が向きます。
しかし、
行政書士として私が大切だと考えるのは、
指摘されないためだけの書類づくりではありません。
開業時は整っていた事業所でも、
職員が変わる。
加算が変わる。
利用者が増える。
制度が変わる。
報酬改定が入る。
そのたびに、
少しずつ、
指定内容と実際の運営がずれていく可能性があります。
令和8年には指導監査の強化が示され、令和9年度報酬改定の議論も進んでいます。
だからこそ、
変更が起きたときに、その都度行政手続・人員・加算・記録まで確認する。
この積み重ねが、
結果として運営指導への一番の備えになると考えています。
Q&A|横浜の障害福祉サービス運営指導
Q1.運営指導の通知が来たら、まず何を確認すればよいですか。
まず、
通知に記載された事前提出資料と当日準備資料を確認します。
横浜市の日中活動系サービスでは、事前提出資料を原則として
運営指導実施日の2週間前までに提出するよう案内されています。
そのうえで、
現在の指定内容
人員
支援計画・記録
算定中の加算
研修等
が実際の運営と一致しているか確認するとよいでしょう。
Q2.書類がそろっていれば大丈夫ですか。
書類の有無だけでなく、
その内容と実際の運営が一致していることが重要です。
横浜市の指摘事例でも、
指定時と異なる事業所の利用方法や、人員配置基準を満たしていない事例などが示されています。
Q3.令和9年度報酬改定で運営指導の内容も変わりますか。
2026年10月11日時点では、令和9年度報酬改定はまだ検討中です。
9月28日に就労系サービス、10月5日に障害児支援の報酬・基準について議論が行われていますが、
最終的な改定内容は決定していません。
したがって、
現時点では現行ルールに沿った運営を行いながら、
今後公表される正式な改定内容を確認する必要があります。
次回予告
次回は、
「障害福祉事業所を長く続けるために|第16話」
として、
この「障害福祉サービス 運営実務編」を締めくくります。
ここまで、
変更届。
加算。
個別支援計画。
研修。
職員退職。
報酬請求。
令和9年度報酬改定。
M&A。
運営指導。
と、
さまざまな実務を取り上げてきました。
しかし、
これらは別々の仕事ではありません。
人員が変われば、
届出や加算に影響する。
支援が変われば、
計画や記録に影響する。
制度が変われば、
運営全体を見直す必要がある。
最終回では、
👉 指定・人員・加算・記録をバラバラに管理しないために、事業所として何を仕組みにしておくべきか
を整理します。
「指定を取って終わり」ではなく、
適正に運営し、長く続ける事業所へ。
シリーズ最後に、もう一度そこへ戻ります。
\ 運営指導の通知が来てから慌てたくない事業所へ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス。
児童発達支援。
就労継続支援B型。
共同生活援助(グループホーム)。
などについて、
指定後の運営に関するご相談も承っています。
「運営規程が今の運営と合っているか分からない」
「変更届を全部出しているか確認したい」
「現在の加算や人員配置を一度整理したい」
「運営指導の通知が来たが、何から確認すればよいか分からない」
といった段階から、
指定
人員
届出
加算
運営規程
記録
を整理していくことができます。
👉 運営指導のためだけに書類を整えるのではなく、普段の運営を説明できる事業所にしておく。
そのための確認から始めてみませんか。
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この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。