古民家でカフェや物販も始めたい|宿と一緒にやるとき何を確認する?|第11話

古民家でカフェや物販も始めたい|宿と一緒にやるとき何を確認する?|第11話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
宿泊施設で朝食や軽食を出したい
というケースから、
宿泊と飲食は別に考え、
誰に、何を、どこで提供するのか
を設備工事の前に整理することが大切だとお話ししました。

今回は、さらに一歩進めます。
たとえば古民家を活用して、
宿泊
カフェ
地域商品の販売
ワークショップ
を一つの場所でやってみたい
そんなときに出てくるのが、
「一つの古民家なら、許可も一つ取ればいいの?」
という疑問です。
今回の答えを先にお伝えします。
👉 建物は一つでも、そこで行う営業は一つとは限りません。
大切なのは、
建物単位ではなく、「何をする場所なのか」を分けて整理することです。

1.「古民家活用」という一言では許認可は決まらない

古民家を活用するといっても、
宿泊させる
飲食を提供する
食品を作って販売する
雑貨や地域商品を売る
有料体験を行う
では、確認する制度が違います。
たとえば、横浜市で宿泊料を受けて人を宿泊させる営業には旅館業の許可が必要です。横浜市
一方、食品の調理・提供や販売については、営業内容に応じて食品衛生法上の許可や届出を確認する必要があります。横浜市
つまり、
👉 「古民家事業の許可」という一つの許可があるわけではありません。
まず、やりたいことを分解します。

2.最初に「一棟の使い方」を図にしてみる

複数の事業を行うときにおすすめなのが、
建物の間取りに、
どこで何をするのか
を書き込むことです。
たとえば、
1階の一部はカフェ
奥は厨房
別室は物販
2階は宿泊
庭ではワークショップ
という形です。
すると、
誰が使う場所なのか
宿泊者だけが入るのか
一般客も入るのか
食品を扱う場所はどこか
宿泊者と一般客の動線は重なるのか
が見えてきます。
👉 「何をやるか」だけでなく、「どこでやるか」まで整理する。
複合事業では、ここが非常に重要です。

3.カフェと物販も「何を売るか」で違う

物販といっても、
雑貨
工芸品
お土産
包装済みの食品
自家製のお菓子
では同じではありません。
横浜市の案内でも、仕入れた包装食品や生鮮食品などの販売について営業届が必要となるケースが示されています。
さらに、
古民家の厨房で菓子を製造して販売する。
持ち帰り食品を作る。
となれば、店内で飲食を提供する場合とは別の営業内容として確認が必要になることがあります。
ですから、
「カフェ+物販」
とだけ決めるのではなく、
👉 何を作るのか。何を仕入れるのか。何をその場で食べてもらうのか。
まで整理します。

4.用途変更は「200㎡以下なら何もしなくてよい」ではない

古民家活用では、建物そのものの確認も欠かせません。
横浜市は、既存建築物の用途を変更する場合、用途変更部分が200㎡を超えると建築確認申請が必要になると案内しています。
ただし、200㎡以下で確認申請が不要でも、建築基準法への適合が不要になるわけではありません。
住宅から、
飲食店
物販店舗
ホテル・旅館
などへ用途が変わると、適用される基準が変わる場合があります。横浜市
特に古民家は、
階段
避難
換気
採光
敷地や道路
用途地域
などで確認が必要になることがあります。
👉 「確認申請が要らない」と「その用途で使える」は別です。
ここは大切です。

5.消防も「宿だけ」「カフェだけ」で見ない

もう一つが消防です。
建物の使い方が変わると、
消防法上の扱いも変わることがあります。
横浜市消防局も、増築・改築・用途変更・テナント変更などによって、必要な消防設備が変わる場合があるため、事前相談を案内しています。横浜市
特に、
宿泊者
カフェのお客様
イベント参加者
が同じ建物を利用するなら、
建物全体としてどう使われるのか
を伝えて確認した方が安全です。
👉 「2階は宿、1階はカフェ」と別々に考えすぎないこと。
建物全体の利用方法を示して相談しましょう。

6.許可を一つずつ取る前に「完成形」を見せる

複合事業で避けたいのが、
まず宿を作る。
あとからカフェを追加する。
さらに物販を始める。
次にイベントを始める。
というように、
その都度、設備を足していくこと
です。
後から、
厨房の位置を変える。
動線を変える。
消防設備を追加する。
用途を再確認する。
となれば、費用も時間もかかります。
ですから、
最初から全部始める予定がなくても、
「将来はここまでやりたい」
という完成形を、
保健所
消防
建築士などの専門家
へ早めに伝えておく。
👉 今の計画だけではなく、将来の使い方まで含めて相談する。
古民家活用では、この順番がとても重要です。

今日の実務ワンポイント

古民家で複数の事業をやりたいなら、まず紙に次の5つを書いてみてください。
①どこで宿泊させる?
②どこで飲食を提供する?
③何を販売する?
④一般客はどこまで入る?
⑤将来どんな事業を追加したい?
👉 「許可は何個必要?」と考える前に、「一棟をどう使うか」を整理する。
これが今回の実務ワンポイントです。

まとめ

「古民家で宿もカフェも物販もやりたい。許可は一つでいい?」
今回の答えは、
👉 建物は一つでも、事業ごとに確認すべき制度は分かれます。
宿泊
飲食
食品の製造・販売
物販
体験
さらに、
建築
消防
まで関係することがあります。
だからこそ、
一つずつ許可を調べる前に、
その古民家を最終的にどんな場所にしたいのか
を整理することが大切です。
古民家の魅力は、一つの用途だけに限定しなくてもよいところにあります。
ただし、
👉 複数の事業を組み合わせるほど、最初の設計が重要になります。

今日のチェックポイント

□宿泊に使う場所を決めている
□飲食を提供する場所を決めている
□販売する商品を整理している
□一般客と宿泊者の利用範囲を考えている
□食品営業の許可・届出を確認している
□建物用途について確認している
□消防への事前相談を考えている
□将来追加したい事業まで整理している
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
古民家の平面図に「宿・飲食・物販・体験」と書き込んでみる。
そこから必要な確認が見えやすくなります。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間、さまざまな地域を見てきました。
旅先で印象に残る場所は、
「宿だけ」
「飲食だけ」
「買い物だけ」
とは限りません。
泊まる
食べる
地域の商品を見る
人と話す
体験する
それらが一つの場所につながっているから、
わざわざ行ってみたくなる場所があります。
古民家には、そうした場所を作れる魅力があります。
一方で、
やりたいことが増えるほど、
許認可や建物利用の整理も複雑になります。
そこで大切なのは、
制度から事業を考えるのではなく、まず「どんな場所を作りたいのか」を描くこと。
そのうえで、
必要な許認可
建築
消防
契約
を一つずつ整理していく。
👉 古民家を一つの「観光拠点」として考え、法務面からその形を整える。
行政書士として、そうした段階から伴走することに意味があると考えています。

Q&A|古民家で宿・カフェ・物販を始めたい

Q1.旅館業の許可を取れば、同じ建物でカフェもできますか?

旅館業の許可だけで、飲食営業の手続まで済むわけではありません。
提供する食品や営業内容に応じて、食品衛生法上の許可・届出を別に確認する必要があります。

Q2.古民家の一角でお土産を売るだけでも許可が必要ですか?

販売する物によって異なります。
雑貨と食品では確認内容が異なり、食品でも仕入れた包装食品を販売する場合と、自ら製造して販売する場合では扱いが変わります。
「物販」と一括りにせず、何を売るのかを整理して確認しましょう。

Q3.小さな古民家なら用途変更の確認は不要ですか?

確認申請が不要な規模であっても、建築基準法等への適合は必要です。
横浜市も、200㎡以下など確認申請が不要となる用途変更であっても、変更後の用途に応じた法令への適合が必要と案内しています。

次回予告

古民家では、
宿泊
飲食
物販
体験
を一つの場所に組み合わせることができます。
では次は、
建物の中ではなく、地域のイベントへ出ていく場合
を考えてみましょう。
地域のお祭り。
マルシェ。
観光イベント。
商店街の催し。
そこで、
飲食や商品を販売したい。
主催者から、
「出店していいですよ」
と言われた。
でも、
「主催者の許可があれば、それだけで出店できる?」
という疑問が出てきます。
次回は、
地域イベントで飲食や物販をしたい|主催者任せで大丈夫?|第12話
として、
👉 イベントへ出店するとき、出店者自身が何を確認しておくべきか
を整理します。

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行政書士田中穂積事務所
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・古民家で宿泊とカフェを始めたい
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といった企画・改修前の段階からご相談いただけます。
旅行業界37年の経験と行政書士としての法務・許認可の視点から、
一つの許可だけを見るのではなく、その場所でどんな観光ビジネスを実現したいのか
を一緒に整理します。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。