5.認定こども園は日本版DBSで何が変わるのか

~園長先生と運営法人が今から準備したいこと~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「日本版DBSの対象事業者とは?|自分の施設が対象か確認しよう|第4話」
として、義務対象事業者と認定対象事業者の違いを整理しました。
今回は、対象事業者別にもう一歩具体的に見ていきます。
最初に取り上げるのは「認定こども園」です。
結論からいうと、認定こども園は日本版DBSへの対応が義務となる事業者です。
幼保連携型。
幼稚園型。
保育所型。
地方裁量型。
いずれの認定こども園も対象となります。
では、2026年12月25日の施行によって、園の運営は具体的に何が変わるのでしょうか。
今回は、園長先生や運営法人が押さえておきたいポイントに絞って整理します。
認定こども園は日本版DBSの義務対象です
日本版DBSでは、認定こども園は法律上の「学校設置者等」に含まれ、安全確保措置や犯罪事実確認などを実施する義務があります。
つまり、
「認定を受けるかどうかを選ぶ」
認定対象事業者ではありません。
制度への対応が必要です。
ただし、日本版DBS対応は、
「職員の性犯罪歴を確認する」
ことだけではありません。
園として、
・児童対象性暴力等を未然に防ぐ
・職員へ研修を行う
・子どもや保護者が相談できる環境をつくる
・疑いが生じた場合に調査・対応する
・犯罪事実確認を行う
・重要な情報を適切に管理する
という仕組み全体を整えることになります。
園で大きく変わるのは4つです
1.対象職員を整理し、犯罪事実確認を行う
まず必要になるのが、
「誰が確認対象なのか」
の整理です。
認定こども園だからといって、すべての職員を肩書きだけで一律に判断するわけではありません。
幼保連携型認定こども園では、園長、保育教諭など法律上対象となる職種が定められています。
また、その他の職員についても、実際の業務内容によって対象になる場合があります。
そのため、
職員一覧を作る。
職種を確認する。
実際に子どもとどのように接しているかを確認する。
という作業が必要です。
施行後に新たに対象業務へ就く人は、原則として業務開始前に犯罪事実確認を行います。
施行時点ですでに働いている対象職員については、経過期間の中で計画的に確認を進めます。
2.「問題を起こさせない仕組み」をつくる
日本版DBSでは、犯罪事実確認をしたから安全、という考え方は取りません。
園内で日常的に、
・職員の服務ルール
・子どもとの適切な関わり方
・死角をつくらない環境
・職員研修
・子どもや保護者への周知
などを整えることが求められます。
つまり、
「問題が起きたら対応する」
だけではなく、
「問題が起きにくい園をつくる」
ことが制度の重要な柱です。
最新ガイドラインでも、服務規律、施設環境、対象業務従事者への研修、児童や保護者への教育・啓発が未然防止策として整理されています。
3.相談・報告・対応ルートを決める
子どもや保護者から相談があったとき。
職員が気になる行為を見つけたとき。
児童対象性暴力等の疑いが生じたとき。
誰が受け付けるのか。
誰へ報告するのか。
誰が調査するのか。
子どもの安全をどう確保するのか。
をあらかじめ決めておく必要があります。
日本版DBSでは、早期把握や相談体制だけでなく、疑いがある場合の調査、被害を受けた子どもの保護・支援まで求められています。
園長先生一人で抱える仕組みにせず、運営法人を含めた役割分担を決めておくことが大切です。
4.犯罪事実確認情報を厳格に管理する
実務上、特に注意したいのが情報管理です。
犯罪事実確認で扱う情報は、極めて慎重な取扱いが必要です。
誰が見るのか。
どこに保存するのか。
閲覧権限をどうするのか。
不要になった情報をどう廃棄するのか。
漏えいした場合にどう対応するのか。
までルールを整えます。
こども家庭庁の最新ガイドラインでも、情報管理は独立した大きな項目として詳細に定められています。
「園長と事務担当なら誰でも見られる」
というような管理ではなく、必要最小限の担当者で扱う仕組みが重要です。
園長先生だけで対応しない
認定こども園の日本版DBS対応で大切なのは、
園長先生だけの仕事にしないことです。
例えば、
運営法人。
園長・施設長
人事担当
日本版DBSの担当者
相談窓口担当
情報管理担当
それぞれの役割を整理します。
特に法人が複数の園を運営している場合、
各園が別々にルールを作るのか。
法人で共通ルールを作るのか。
犯罪事実確認情報をどこで管理するのか。
といった点も決めておく必要があります。
制度対応を「一人の詳しい職員」に依存させないことが、継続運用のポイントです。
今から始めたい5つの準備
施行を前に、認定こども園でまず確認したいのは次の5つです。
①対象となる職員を整理する
②現在の就業規則・服務規律を確認する
③相談・報告ルートを決める
④犯罪事実確認情報を扱う担当者を決める
⑤職員研修の方法と時期を決める
最初からすべての規程を完成させる必要はありません。
まず、
「現在どこまでできているか」
を確認することから始めましょう。
今日の実務ワンポイント
認定こども園では、まず職員一覧に
「職種」
「子どもと接する業務」
「日本版DBSの対象確認」
の3列を追加してみてください。
園長。
保育教諭。
看護職。
事務職。
調理職。
送迎担当。
外部スタッフ。
など、一度全員を並べます。
すると、
「誰が対象なのか確認が必要か」
が見えやすくなります。
日本版DBS対応の第一歩は、申請ではなく対象者整理です。
まとめ|認定こども園は「確認+園内体制」を整える
認定こども園は、日本版DBSの義務対象です。
しかし、準備するのは犯罪事実確認だけではありません。
対象職員を整理する。
未然防止の仕組みをつくる。
職員研修を行う。
相談できる体制を整える。
疑いが生じた場合の対応を決める。
重要な情報を厳格に管理する。
こうした仕組みを組み合わせて初めて、制度が現場で動きます。
2026年12月25日は、準備のゴールではありません。
園で日本版DBSを継続して運用していくスタートです。
今から一つずつ、園の現状を確認しておきましょう。
今日のチェックポイント
□ 認定こども園が義務対象であることを確認した
□ 対象となる職員を整理し始めている
□ 就業規則・服務規律を確認した
□ 職員研修の準備を考えている
□ 子ども・保護者の相談窓口を確認した
□ 疑いが生じた場合の報告ルートを決めている
□ 犯罪事実確認情報を扱う担当者を決めている
□ 運営法人と園の役割分担を整理している
すべてにチェックが付いていなくても構いません。
まずは、
「まだ決まっていないこと」
を確認するところから始めましょう。
行政書士田中穂積の視点
日本版DBS対応で大変なのは、制度を読むこと以上に、
「自分の園では誰が、何をするのか」
へ落とし込むことだと思います。
対象職員を整理する。
規程を見直す。
職員へ説明する。
相談窓口を決める。
重要な情報を管理する。
一つひとつは別の作業に見えますが、すべて園の安全管理につながっています。
私は旅行業界で37年間、さまざまな安全管理や制度変更に関わってきました。
そこで学んだのは、
仕組みは作るだけではなく、現場で使えて初めて意味がある
ということです。
行政書士として、日本版DBSについても書類を整えるだけではなく、園長先生や職員の皆さまが無理なく運用できる形へ整理することを大切にしたいと考えています。
Q&A|認定こども園と日本版DBS
Q1.すべての認定こども園が義務対象ですか?
はい。
幼保連携型、幼稚園型、保育所型、地方裁量型の認定こども園はいずれも法律上の義務対象に含まれます。
Q2.パートや非常勤職員なら犯罪事実確認の対象外ですか?
雇用形態だけでは決まりません。
法律上対象となる職種や、実際の業務内容を確認して判断します。
正職員・パートという区分だけで対象外とはいえません。
Q3.園長先生だけで日本版DBS対応を進めればよいですか?
おすすめしません。
犯罪事実確認、職員対応、相談、情報管理など複数の業務があります。
運営法人と園で役割を整理し、誰が何を担当するかを決めておくことが重要です。
次回予告
次回は、
「放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと」
を取り上げます。
放課後等デイサービスも、日本版DBSの義務対象となる重要な事業です。
認定こども園と共通する部分がある一方、
児童発達支援管理責任者
児童指導員
保育士
送迎担当
など、事業所独自の職員構成があります。
次回は、放デイの現場では誰が対象となり、何を準備すればよいのかを実務目線で整理します。
\ 日本版DBSへの対応を進めたい認定こども園・運営法人の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・対象となる職員を整理したい
・施行までの準備項目を確認したい
・社内規程や情報管理体制を整えたい
・職員への説明や研修を準備したい
・相談、報告体制を整理したい
といったご相談に対応しています。
日本版DBSへの対応で大切なのは、書類を作ることだけではありません。
園長先生、運営法人、職員の皆さまが実際に運用できる仕組みにすることです。
現在の体制を確認しながら、施行に向けて必要な準備を整理します。
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▶ 日本版DBS対応支援
▶ 相談から正式依頼までの流れ
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クイズ!認定こども園の日本版DBS対応
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▶ 前回:日本版DBSの対象事業者とは?|自分の施設が対象か確認しよう|第4話
▶ 次回:放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと
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この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。