6.日本版DBS、放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと

6.日本版DBS、放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
「認定こども園は日本版DBSで何が変わるのか」
として、認定こども園で必要となる準備を整理しました。
今回は、
「放課後等デイサービス」です。
放課後等デイサービスは、指定障害児通所支援事業として、日本版DBSへの対応が義務となる事業です。
そして放デイには、
送迎。
個別支援。
少人数での活動。
学校や家庭との連携。
など、認定こども園とは少し違う日常があります。
だからこそ、日本版DBSへの対応も、
「犯罪事実確認だけ行えばよい」
ではなく、
普段の支援や事業所運営の中へどう組み込むか
を考える必要があります。
今回は、放課後等デイサービス事業者が今から確認しておきたいポイントに絞って整理します。

放課後等デイサービスは日本版DBSの義務対象です

指定を受けた放課後等デイサービスは、日本版DBSの義務対象です。
つまり、
「認定を受けるかどうかを選ぶ」
事業ではありません。
制度施行後は、法律に基づいて必要な安全確保措置や犯罪事実確認を行うことになります。
ただし、制度対応は犯罪事実確認だけではありません。
放デイ事業者には、
・児童対象性暴力等を未然に防ぐ
・職員への研修を行う
・子どもが相談できる環境を整える
・疑いが生じた場合に適切に対応する
・対象となる職員について犯罪事実確認を行う
・重要な情報を適切に管理する
といった仕組み全体が求められます。

まず「誰が対象になるのか」を整理する

放課後等デイサービスには、さまざまな職種がいます。
例えば、
・管理者
・児童発達支援管理責任者
・児童指導員
・保育士
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・送迎担当
などです。
重要なのは、
「正社員かパートか」
だけで判断しないことです。
現在のガイドラインでは、指定障害児通所支援事業に従事し、障害児への支援や便宜の供与に関する業務を行う人が対象として整理されています。
実際にどのような業務をしているのかを確認することが必要です。

送迎担当はどう考える?

放デイでは送迎が日常業務の一つです。
送迎車内では、職員と子どもが少人数で過ごすこともあります。
そのため、
「送迎だけだから対象外」
と単純に決めることはできません。
誰が。
どの程度継続して。
どのような形で子どもと接しているのか。
実際の業務内容を確認して整理する必要があります。

非常勤・外部スタッフも確認する

放デイでは、
・非常勤職員
・派遣スタッフ
・外部講師
・業務委託スタッフ
などが関わる場合もあります。
ここでも、雇用形態だけで対象・対象外を決めるのではなく、実際の業務内容を見ることが基本です。
「うちは正社員だけ整理すればいい」
と考えないことが大切です。

採用の流れも見直す必要があります

2026年12月25日の施行後、新たに対象業務へ就く人については、原則として業務開始前に犯罪事実確認を行う仕組みになります。
そのため、
採用を決める。
入職日を決める。
勤務を開始する。
その後でDBS対応を考える。
という流れでは遅くなる場合があります。
今後は、
募集。
採用。
対象業務の確認。
犯罪事実確認。
勤務開始。
を一つの流れとして考える必要があります。
採用担当者だけでなく、管理者や法人本部も含めて、手順を共有しておくことが重要です。

放デイでは「日常の支援環境」も見直す

日本版DBSの目的は、
犯罪事実確認をすること
だけではありません。
👉児童対象性暴力等が起きにくい環境をつくることも重要です。
放デイでは、
・個別支援の場面
・トイレや着替えの介助
・送迎
・少人数での活動
・死角になりやすい場所
など、事業所ごとの支援環境を確認しておく必要があります。
例えば、
一人の職員だけが長時間子どもと二人きりになる状況がないか。
相談しにくい環境になっていないか。
職員同士で支援状況を共有できているか。
といった視点です。
現在の放課後等デイサービスガイドラインでも、子どもが安全・安心に過ごせる居場所をつくることが重要な原則とされています。

相談・報告ルートを決めておく

もし、
子どもから相談があった。
保護者から訴えがあった。
職員が気になる行為を見つけた。
という場合に、
誰へ報告するのでしょうか。
管理者。
法人本部。
虐待防止責任者。
日本版DBS担当者。
役割が曖昧だと、初動が遅れる可能性があります。
そのため、
「気になることがあったら誰へ報告するか」
「誰が事実確認を行うか」
「子どもの安全をどう確保するか」
をあらかじめ整理しておく必要があります。
これは、日本版DBSだけのためではありません。
現在行っている虐待防止や身体拘束適正化などの運営体制とも、うまくつなげて考えることが大切です。

情報管理は特に慎重に

犯罪事実確認で扱う情報は、非常に慎重な管理が必要です。
誰でも閲覧できる職員ファイルへ入れる。
職員間で口頭共有する。
必要以上の人が内容を知る。
といった運用は避けなければなりません。
こども家庭庁の最新ガイドラインでも、犯罪事実確認情報について、
・組織的管理
・人的管理
・物理的管理
・技術的管理
など、詳細な情報管理措置が示されています。
放デイ事業者では、
誰が情報を扱うのか。
どこへ保管するのか。
閲覧権限をどうするのか。
不要になった情報をどう処理するのか。
を施行前に決めておくことが重要です。

今から始めたい5つの準備

放課後等デイサービス事業者が今から取り組みたいのは、まず次の5つです。
①対象となる職員を整理する
②採用から勤務開始までの流れを確認する
③送迎・個別支援など日常の支援環境を見直す
④相談・報告ルートを決める
⑤犯罪事実確認情報の管理方法を決める
いきなり新しい規程をすべて作る必要はありません。
まず、
「今すでにできていること」
と
「まだ決まっていないこと」
を整理するところから始めましょう。

今日の実務ワンポイント

まず職員一覧を一度見直してみてください。
氏名の横に、
「職種」
「実際の業務」
「子どもとの接し方」
の3項目を追加します。
例えば、
児童指導員。
送迎担当。
事務職員。
外部講師。
それぞれについて、
「実際に何をしている人か」
を整理する。
この作業だけでも、対象従事者を考える第一歩になります。

まとめ|放デイでは「制度」と「日常支援」をつなげる

放課後等デイサービスは、日本版DBSの義務対象です。
しかし、対応は犯罪事実確認だけではありません。
対象職員を整理する。
採用手続を見直す。
送迎や個別支援の環境を確認する。
相談・報告体制を整える。
重要な情報を適切に管理する。
こうした取組を日々の事業所運営に組み込むことが必要です。
日本版DBSを、
「新しい事務作業が増える制度」
とだけ考えるのではなく、
現在の安全管理や虐待防止の仕組みを見直す機会
として捉えることもできます。
2026年12月25日の施行に向けて、まず今の事業所の状態を確認するところから始めましょう。

今日のチェックポイント

□ 放課後等デイサービスが義務対象であることを確認した
□ 対象となる職員を整理し始めている
□ 非常勤・外部スタッフも確認している
□ 送迎担当の業務内容を確認した
□ 採用から勤務開始までの流れを見直している
□ 個別支援や送迎などの支援環境を確認している
□ 相談・報告ルートを整理している
□ 犯罪事実確認情報の管理担当を決めている
すべてにチェックが付いていなくても構いません。
まずは、
「まだ決まっていないところ」
を見つけることが準備の第一歩です。

行政書士田中穂積の視点

放課後等デイサービスは、子どもとの距離が近い事業です。
個別支援。
送迎。
遊び。
生活支援。
職員と子どもが日常的に関わるからこそ、保護者からの信頼が事業の土台になります。
日本版DBS対応でも大切なのは、
新しい書類を増やすことではありません。
誰が対象なのか。
どの場面に注意するのか。
困ったとき誰へ相談するのか。
大切な情報を誰が管理するのか。
これを現場で分かる形にすることです。
行政書士として、制度を説明するだけでなく、現在の運営規程や職員体制、日常の事業所運営とつなげながら、無理なく続けられる仕組みに整理することを大切にしたいと考えています。

Q&A|放課後等デイサービスと日本版DBS

Q1.放課後等デイサービスは必ず日本版DBSの対象になりますか?

指定障害児通所支援事業として行う放課後等デイサービスは、法律上の義務対象です。
認定を受けるかどうかを選ぶ制度ではありません。

Q2.送迎担当者も必ず犯罪事実確認の対象ですか?

肩書きだけで一律には判断できません。
実際の業務内容や子どもとの接し方を確認して整理する必要があります。
「送迎だけだから対象外」と決めつけないことが重要です。

Q3.パートや外部スタッフも確認が必要ですか?

雇用形態だけでは判断しません。
対象業務に従事しているかどうかを、実際の仕事の内容から確認します。

次回予告

次回は、
「学習塾は日本版DBSにどう向き合うべきか」
を取り上げます。
学習塾やスポーツクラブなどは、放課後等デイサービスとは異なり、認定制度をどう活用するかという経営判断も関係してきます。
認定を受ける意味は何か。
保護者への信頼につながるのか。
小規模な塾でも考えるべきなのか。
次回は、制度対応と事業運営の両方から整理します。

\ 日本版DBSへの対応を進めたい放課後等デイサービス事業者の皆さまへ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・対象となる職員を整理したい
・施行までの準備項目を確認したい
・採用フローを見直したい
・社内規程や情報管理体制を整えたい
・職員への説明や研修を準備したい
といったご相談に対応しています。
日本版DBSへの対応は、犯罪事実確認の手続だけではありません。
現在の人員体制や運営規程、安全管理、相談・報告体制とつなげて、事業所で実際に運用できる形へ整えることが大切です。
行政書士田中穂積事務所では、日本版DBS対応のほか、放課後等デイサービス・児童発達支援の指定申請、変更届、加算届、運営規程整備、運営指導対策など、開業から運営まで支援しています。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。