13.日本版DBS導入で職員説明資料を作る

~いきなり同意書を渡す前に、職員へ伝えるべきこと~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
日本版DBS導入で対象者一覧表を作ることについてお話ししました。
日本版DBS対応では、
まず誰が子どもと関わっているのかを整理することが大切です。
正社員。
パート。
アルバイト。
外部講師。
委託スタッフ。
ボランティア。
雇用形態だけで判断するのではなく、
👉「子どもとどのように関わっているか」
という視点で整理することが必要です。
今回は、
その次の実務として、
「職員説明資料を作る」
ことについて考えてみたいと思います。
日本版DBS対応では、
職員への説明を後回しにしてしまうと、
現場に不安や誤解が広がる可能性があります。
いきなり同意書を渡す。
制度名だけを伝える。
「法律で決まったのでお願いします」とだけ説明する。
これでは、
職員は戸惑ってしまうかもしれません。
なぜこの制度が必要なのか。
何を確認する制度なのか。
自分は対象になるのか。
個人情報はどのように扱われるのか。
同意しない場合はどうなるのか。
事業所としてどのような方針で対応するのか。
こうした点を、
職員に分かりやすく説明する資料を準備しておくことが大切です。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、
職員への説明は単なる事務手続きではありません。
子どもの安全を守るための体制づくりであり、
職員が安心して働くための説明でもあります。
今回は、
実際に事業所で使える
「職員説明資料」を作るイメージで、
実務の視点から整理していきます。
なぜ職員説明資料が必要なのか
日本版DBS対応では、
制度そのものに注目が集まりがちです。
しかし実務では、
制度をどう現場に伝えるかがとても重要です。
特に職員にとっては、
「自分の過去を調べられるのですか」
「個人情報は誰が見るのですか」
「同意しないと働けなくなるのですか」
「何か疑われているのでしょうか」
といった不安が出る可能性があります。
この不安を放置したまま進めると、
👉制度対応が職員との信頼関係を損なう原因になってしまいます。
日本版DBSは、
職員を疑うための制度ではありません。
子どもを守るために、
👉事業者として必要な安全管理体制を整えるための制度です。
そして、
その制度を正しく運用するためには、
職員の理解と協力が欠かせません。
だからこそ、
口頭でその場限りの説明をするのではなく、
事業所としての考え方を整理した職員説明資料を作ることが大切です。
職員説明資料で最初に伝えること
職員説明資料で最初に伝えたいのは、
「この対応は、子どもの安全を守るためのものです」
ということです。
日本版DBSという言葉だけを聞くと、
職員によっては身構えてしまうかもしれません。
しかし、
制度の目的を丁寧に説明すれば、
受け止め方は変わります。
例えば、
次のような説明が考えられます。
【説明文の例】
当事業所では、
子どもたちが安心して過ごせる環境を整えるため、
日本版DBSへの対応準備を進めています。
この対応は、
特定の職員を疑うためのものではありません。
子どもと関わる事業者として、
安全管理体制を整え、
保護者や地域から信頼される事業所であり続けるための取り組みです。
職員の皆さまにも、
制度の趣旨をご理解いただき、
必要な手続きへのご協力をお願いいたします。
このように、
最初に制度の目的を伝えることで、
職員の不安を和らげることができます。
障害児支援の現場で特に大切な視点
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
職員と子どもとの距離がとても近くなります。
日々の支援。
送迎。
個別療育。
集団活動。
トイレや着替えの補助。
外出支援。
保護者対応。
こうした場面では、
職員は子どもの成長を支える大切な存在です。
一方で、
支援の現場には、
子どもが自分の不安や違和感を言葉にしにくい場面もあります。
障害特性によっては、
困ったことをうまく伝えられない子どももいます。
だからこそ、
障害児支援の現場では、
より丁寧な安全管理体制が求められます。
日本版DBS対応は、
単なる事務手続きではありません。
子どもの安全を守り、
保護者が安心して預けられる環境を整え、
職員自身も安心して働ける職場を作るための一歩です。
職員説明資料でも、
この点をきちんと伝えることが大切です。
職員説明資料に入れたい項目
職員説明資料は、
難しい法律文書にする必要はありません。
職員が読んで理解できることが大切です。
まずは、
次のような項目を入れると整理しやすくなります。
【職員説明資料に入れたい項目】
・日本版DBS対応を進める理由
・制度の目的
・対象となる可能性がある職員の考え方
・今後の手続きの流れ
・同意取得について
・個人情報の取り扱い
・相談窓口
・今後のスケジュール
・事業所としての方針
特に重要なのは、
・「誰が対象になるのか」
・「何のために同意が必要なのか」
・「個人情報はどう管理されるのか」
この3点です。
ここが曖昧なままだと、
職員は不安を感じやすくなります。
対象者の考え方をやさしく説明する
職員説明資料では、
対象者の考え方をできるだけ分かりやすく伝える必要があります。
例えば、
次のような説明が考えられます。
【説明文の例】
日本版DBS対応では、
雇用形態だけで対象者を判断するのではなく、
子どもとどのように関わるかを確認します。
正社員だけでなく、
パート、
アルバイト、
外部スタッフ、
委託スタッフなども、
子どもと関わる業務がある場合には確認が必要になる可能性があります。
当事業所では、
まず対象者一覧表を作成し、
職員一人ひとりの業務内容を確認したうえで、
必要な対応を整理していきます。
この説明で大切なのは、
最初から断定しすぎないことです。
制度対応の実務では、
判断に迷う人が出てくることもあります。
そのため、
職員説明資料では、
「対象者を一方的に決める」
のではなく、
「業務内容を確認しながら整理する」
という姿勢を示すことが大切です。
同意取得の前に説明する
日本版DBS対応では、
今後、同意取得が重要な実務になります。
しかし、
同意書だけを先に渡してしまうと、
職員は不安になります。
なぜ同意が必要なのか。
何に同意するのか。
同意した後に何が行われるのか。
個人情報はどのように扱われるのか。
ここを説明しないまま同意書を渡すと、
職員から質問が出るのは当然です。
職員説明資料では、
同意取得の前段階として、
次のような説明を入れておくとよいでしょう。
【説明文の例】
今後、日本版DBS対応に必要な手続きとして、
対象となる職員の皆さまに同意をお願いする場合があります。
同意は、
子どもの安全を守るために必要な確認手続きを進めるためのものです。
同意書をお願いする場合には、
その目的、
確認される内容、
個人情報の取り扱い、
今後の流れについて、
事前に説明したうえで進めます。
不明な点がある場合は、
担当者までご相談ください。
このように書いておくことで、
職員は手続きの流れを理解しやすくなります。
個人情報の取り扱いを明確にする
職員説明資料で必ず入れておきたいのが、
個人情報の取り扱いです。
日本版DBS対応では、
職員にとって非常に慎重な情報が関係します。
そのため、
誰が管理するのか。
どこで管理するのか。
誰が閲覧できるのか。
どのような目的で使うのか。
不要になった情報をどう扱うのか。
こうした点を、
事業所として整理しておく必要があります。
職員説明資料では、
少なくとも次のような方針を示すことが大切です。
【説明文の例】
日本版DBS対応に関する個人情報は、
制度対応の目的以外には使用しません。
取得した情報は、
管理責任者を定め、
必要な範囲で厳重に管理します。
関係のない職員が閲覧することはありません。
また、
保管方法や保存期間についても、
事業所のルールに基づき適切に管理します。
この部分は、
職員の安心に直結します。
個人情報管理について曖昧なまま進めると、
職員の不信感につながります。
職員から出そうな質問を先に入れる
職員説明資料には、
想定される質問をあらかじめ入れておくと効果的です。
例えば、
Q 自分は対象になりますか。
Q 同意しないとどうなりますか。
Q 個人情報は誰が見るのですか。
Q 外部スタッフも対象になりますか。
Q 今後、採用時にも確認するのですか。
Q 制度について分からないことは誰に聞けばよいですか。
こうした質問は、
実際の説明会でも出やすい内容です。
職員説明資料にQ&Aを入れておくことで、
説明する側も落ち着いて対応できます。
また、
職員にとっても、
自分だけが疑問に思っているわけではないと分かり、
安心につながります。
職員説明会の進め方
職員説明資料を作ったら、
次に説明の場を設けます。
必ず大きな説明会を開かなければならないわけではありません。
事業所の規模に応じて、
全体ミーティング。
管理者からの個別説明。
法人本部からの資料配布。
オンライン説明。
書面配布と質問受付。
こうした方法が考えられます。
大切なのは、
一方的に資料を渡して終わりにしないことです。
職員が質問できる場を作る。
後日相談できる窓口を決める。
説明した日を記録する。
質問内容を整理する。
こうした運用が大切です。
特に障害児支援の現場では、
日々の支援で忙しく、
全員が同じ時間に集まることが難しい場合もあります。
そのため、
👉説明方法は事業所の実情に合わせて考える必要があります。
実際に使える職員説明資料の構成例
実務では、
次のような構成で職員説明資料を作ると分かりやすくなります。
【職員説明資料の構成例】
1 はじめに
2 日本版DBS対応を行う理由
3 制度の目的
4 対象者の考え方
5 今後の手続きの流れ
6 同意取得について
7 個人情報の取り扱い
8 職員からのよくある質問
9 相談窓口
10 今後のスケジュール
この構成であれば、
制度説明と実務の流れをバランスよく伝えることができます。
難しい言葉を並べるよりも、
職員が読んで
「何のための対応なのか」
「自分に何が関係するのか」
「不安なときは誰に聞けばよいのか」
が分かる資料にすることが大切です。
今日の実務ワンポイント
職員説明資料は、
制度を説明するためだけの資料ではありません。
職員の不安を減らし、
事業所としての方針を共有するための資料です。
特に大切なのは、
目的。
対象者。
同意取得。
個人情報管理。
相談窓口。
この5つです。
この5つが説明されていれば、
職員は制度対応の全体像を理解しやすくなります。
反対に、
この5つが曖昧なままだと、
職員の不安や誤解につながります。
まとめ
日本版DBS対応では、
対象者一覧表を作った後、
職員への説明が重要になります。
いきなり同意書を渡すのではなく、
まずは制度の目的や事業所としての方針を伝えることが大切です。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、
職員の理解と協力が欠かせません。
子どもの安全を守るため。
保護者に安心してもらうため。
職員自身が安心して働くため。
事業所として信頼される運営を続けるため。
そのために、
分かりやすい職員説明資料を準備しておきましょう。
日本版DBS対応は、
単なる事務手続きではありません。
👉事業所の安全管理体制を整えるための実務です。
今日のチェックポイント
□ 職員説明資料の作成担当者を決めた
□ 日本版DBS対応を行う理由を資料に入れた
□ 対象者の考え方を分かりやすく整理した
□ 同意取得と個人情報管理について説明項目を作った
□ 職員からの質問を受け付ける相談窓口を決めた
行政書士田中穂積の視点
私は、
日本版DBS対応を、
単なる制度対応とは考えていません。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと関わる障害児支援の現場では、
制度をどう運用に落とし込むかが大切です。
職員は、
日々の支援の中で、
子どもたちと深く関わっています。
だからこそ、
制度への理解が不十分なまま手続きを進めると、
不安や戸惑いが生まれます。
一方で、
丁寧に説明し、
事業所としての方針を共有できれば、
日本版DBS対応は、
職員を縛るものではなく、
子どもたちを守るための共通理解になります。
行政書士として私がお手伝いしたいのは、
制度を説明することだけではありません。
対象者一覧表。
職員説明資料。
同意取得の流れ。
個人情報管理ルール。
社内規程。
運用チェックリスト。
こうした実務資料を整え、
現場で使える仕組みにしていくことです。
障害福祉サービス事業の開業や運営では、
指定申請だけでなく、
開業後の運営指導対策、
多機能型や多事業展開、
職員体制、
報酬算定、
日々の記録管理など、
さまざまな実務が関わります。
その中で、
日本版DBS対応も、
今後ますます重要な運営課題になっていくと感じています。
「子どもたちの安全と安心を支える事業者を、
法務の面から伴走支援していくこと。」
それが、
行政書士としての私の役割だと考えています。
Q&A|職員説明資料について
Q1. 職員説明資料は必ず作る必要がありますか。
A 法律上の決まった様式として必ず必要というものではありません。しかし、職員の不安を減らし、事業所としての方針を共有するためには、作成をおすすめします。
Q2. 職員にはどのタイミングで説明すればよいですか。
A 対象者一覧表を作成し、同意取得に進む前の段階で説明するのが望ましいです。いきなり同意書を渡すのではなく、制度の目的や個人情報の取り扱いを先に説明することが大切です。
Q3. 放課後等デイサービスや児童発達支援事業所でも職員説明は重要ですか。
A 非常に重要です。子どもと日常的に関わる現場では、職員の理解と協力が制度運用の土台になります。支援の質や保護者からの信頼にも関わります。
Q4. 外部スタッフにも説明が必要ですか。
A 子どもと関わる外部講師、委託スタッフ、ボランティアなどについても、関わり方によって説明が必要になる可能性があります。対象者一覧表とあわせて整理することが大切です。
Q5. 行政書士に職員説明資料の作成を相談できますか。
A はい。制度の説明だけでなく、対象者整理、職員説明資料、同意取得フロー、個人情報管理ルール、社内規程の整備など、実務に落とし込む部分についてご相談いただけます。
次回予告
次回は、
「日本版DBSの同意取得で気を付けたいこと」
について考えてみたいと思います。
職員説明資料を作った後、
次に大切になるのが、
同意取得の進め方です。
同意書は、
ただ署名をもらえばよいものではありません。
何に同意するのか。
どのような目的で使うのか。
個人情報はどう扱われるのか。
同意しない場合にどう対応するのか。
こうした点を整理しておく必要があります。
次回は、
👉日本版DBS対応における同意取得の流れと、
事業所で気を付けたい実務ポイントについて考えていきます。
\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
日本版DBSへの実務対応について、
制度説明だけではなく、
事業所で実際に運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
特に、
・放課後等デイサービス
・児童発達支援事業所
・認定こども園
・保育所
・学習塾
・スポーツクラブ
・各種習い事教室
など、
子どもと関わる事業者の皆さまに向けて、
・対象者一覧表の作成
・職員説明資料の作成
・同意取得フローの整理
・個人情報管理体制の整備
・社内規程の見直し
・運用チェックリストの作成
など、
現場に合わせた支援を行っています。
また、
「日本版DBS対応チェックシート」
を無料で進呈しております。
まずは自園の現状を整理するところから始めてみませんか。
▼ お問い合わせはこちら
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ―
▶相談から正式依頼までの流れ
初回相談30分無料 ― 横浜の行政書士のアトリエ ―
▶ お問い合わせフォーム
横浜市泉区・中田駅を拠点に、
横浜市泉区・中田駅周辺の事業所はもちろん、オンライン相談により全国の子ども関連事業者の日本版DBS対応にも対応しています。
障害児支援事業所の運営支援、
放課後等デイサービス、
児童発達支援事業所、
認定こども園、
保育所、
学習塾、
スポーツクラブ等の実務対応について、
お気軽にご相談ください。
チェックシート(無料)のご請求もお問い合わせフォームより承っております。
📌 障害福祉サービス事業者の皆様へ
なお、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の指定申請、変更届、加算届、運営規程整備、運営指導対策などについては、HPの「障害福祉サービス支援業務」でもご案内しています。
▼ 障害福祉サービス支援業務
「障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。
クイズ!日本版DBSの職員説明資料づくり
前回 12話:対象者一覧表を作る
次回 14話:同意取得フローを作る