7.学習塾などは日本版DBSにどう向き合うべきか

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「日本版DBS、放課後等デイサービス事業者が今から準備すべきこと」
として、義務対象となる放課後等デイサービスの実務対応を整理しました。
今回は、
「学習塾」
です。
学習塾は、学校や認可保育所、放課後等デイサービスとは少し立場が違います。
日本版DBSへの対応が法律上当然に義務づけられる事業ではありません。
一定の要件を満たし、こども家庭庁から認定を受けることで、制度に参加する仕組みです。
つまり学習塾にとって日本版DBSは、
「義務だから対応する」
というだけの話ではありません。
認定を受けるのか。
受けるなら何を整えるのか。
保護者や職員へどう説明するのか。
経営判断も含めて考える必要があります。
今回は、学習塾が日本版DBSとどう向き合うべきかを、実務目線で整理します。
- 1. 学習塾は「自動的な義務対象」ではありません
- 2. では、学習塾は認定を受けた方がよいのでしょうか
- 3. 学習塾には独特のリスクがあります
- 4. 認定を考えるなら、まず「講師管理」を見直す
- 5. 「講師と生徒の連絡方法」も確認したい
- 6. 相談できる仕組みも必要です
- 7. 認定は「安心を売るためのマーク」ではありません
- 8. 今から考えておきたい4つのこと
- 9. 今日の実務ワンポイント
- 10. まとめ|学習塾では「認定を取るか」から考える
- 11. 今日のチェックポイント
- 12. 行政書士田中穂積の視点
- 13. Q&A|学習塾と日本版DBS
- 14. 次回予告
- 15. \ 日本版DBS認定を検討している学習塾・教育事業者の皆さまへ /
- 16. クイズ!学習塾と日本版DBS
学習塾は「自動的な義務対象」ではありません
まず最初に整理したいのはここです。
学習塾は、学校や認可保育所などと同じ意味で、日本版DBSへの対応が自動的に義務となる事業ではありません。
一定の要件を満たす民間教育保育等事業者として、こども家庭庁へ申請し、認定を受ける仕組みがあります。
認定を受けると、
・犯罪事実確認
・職員研修
・相談体制
・未然防止の取組
・問題が疑われた場合の対応
・情報管理
など、法律に基づく取組を行うことになります。
つまり、
「認定マークだけ欲しい」
という制度ではありません。
認定を受けた後も、継続して運用できる体制が必要です。
では、学習塾は認定を受けた方がよいのでしょうか
ここは一律に答えを出せる話ではありません。
塾の規模
対象年齢
授業形態
個別指導か集団指導か
教室数
講師数
保護者との関係
によって判断は変わります。
ただし、今後の学習塾経営では、
「子どもの安全にどのように取り組んでいるか」
が、保護者から見られるポイントの一つになる可能性があります。
こども家庭庁は、認定事業者について専用の認定事業者マークを用意しています。
保護者から見れば、
「この事業者は国の制度に基づいて、子どもの性暴力防止に取り組んでいる」
と確認できる一つの目安になります。
だからこそ、
「義務ではないから何もしない」
ではなく、
自分の塾としてはどう考えるのか
を一度整理しておく価値があります。
学習塾には独特のリスクがあります
学習塾には、学校や保育所とは違う環境があります。
例えば、
・個別指導
・夜間の授業
・少人数指導
・講師と生徒が近い距離で接する
・大学生アルバイト講師が多い
・教室の死角
・授業後の質問対応
・オンラインでの連絡
などです。
特に個別指導では、講師と生徒が1対1に近い状態になることがあります。
もちろん、
「個別指導=危険」
という意味ではありません。
大切なのは、
どこにリスクがあるかを事業者自身が把握し、ルールを作ることです。
大学生アルバイト講師も無関係ではありません
学習塾では、大学生や非常勤講師が多く働いています。
認定を受ける場合、
「正社員だけ確認すればよい」
という考え方では不十分です。
実際に子どもと接する業務を担当する人について、制度上の対象になるかを整理する必要があります。
雇用形態よりも、
実際にどのような業務をしているか
を見ることが基本です。
認定を考えるなら、まず「講師管理」を見直す
学習塾で日本版DBS認定を考える場合、最初に確認したいのが講師管理です。
例えば、
・講師一覧
・担当する生徒
・勤務形態
・授業形態
・入退職
・配置変更
などです。
誰が。
どの教室で。
どのように子どもと接しているのか。
これを把握できていなければ、犯罪事実確認や研修を適切に管理することも難しくなります。
複数教室を運営している法人では、特に重要です。
「講師と生徒の連絡方法」も確認したい
学習塾では、
LINE。
SNS。
メール。
オンライン授業。
などを使って、生徒と講師が連絡を取る場合があります。
便利な一方で、
「講師個人のアカウントで生徒と直接やり取りする」
ような運用には注意が必要です。
連絡方法。
利用できるツール。
時間帯。
保護者への共有。
個別連絡の記録。
など、塾としてのルールを決めておくことが大切です。
日本版DBS対応は、犯罪事実確認だけではありません。
日常的に問題が起きにくい環境をつくることも重要な柱です。
相談できる仕組みも必要です
もし生徒から、
「先生にこんなことを言われた」
「嫌なことをされた」
という相談があった場合、誰が対応するのでしょうか。
教室長。
本部。
保護者。
相談担当者。
役割が決まっていなければ、対応が遅れる可能性があります。
認定を目指す場合には、
子どもや保護者が相談できる窓口。
職員が気になる行為を報告できるルート。
疑いが生じた場合の対応手順。
を整理しておく必要があります。
認定は「安心を売るためのマーク」ではありません
認定事業者マークには、保護者へ安全への取組を示す意味があります。
しかし、
「認定を取れば安心です」
という使い方には注意が必要です。
認定は、
事故や性暴力が絶対に起きないことを保証するものではありません。
認定後も、
研修。
相談体制。
職員管理。
犯罪事実確認。
情報管理。
などを継続して運用する必要があります。
つまり認定は、
ゴールではなく、
子どもの安全を守る仕組みを継続して運用するスタート
と考えるべきです。
今から考えておきたい4つのこと
学習塾が日本版DBS認定を検討するなら、まず次の4つを確認してみましょう。
①認定を受ける方針なのか
②対象となる講師・職員を整理できるか
③生徒との関わり方や連絡ルールが決まっているか
④認定後も継続して運用できる担当者・体制があるか
最初から認定申請書を作る必要はありません。
まず、
「うちの塾はどこまで準備できているか」
を見ることが第一歩です。
今日の実務ワンポイント
現在の講師一覧に、
「雇用形態」
だけでなく、
「授業形態」
「生徒との接し方」
「連絡方法」
を追加してみてください。
個別指導。
集団指導。
オンライン。
自習室対応。
授業後の質問対応。
業務内容を書き出すことで、
どの場面を見直す必要があるか
が見えやすくなります。
まとめ|学習塾では「認定を取るか」から考える
学習塾は、日本版DBSの義務対象事業者ではありません。
しかし、一定の要件を満たして認定を受ける道があります。
その判断では、
認定マークを取得できるか
だけを見るのではなく、
認定後も制度を運用できるか
まで考える必要があります。
講師を整理する。
生徒との関わり方を確認する。
連絡ルールを決める。
相談体制をつくる。
犯罪事実確認情報を適切に管理する。
こうした仕組みが整って初めて、認定の意味が生まれます。
保護者から選ばれるための制度としてではなく、
子どもと講師の双方が安心できる塾づくり
として日本版DBSを考えることが大切です。
今日のチェックポイント
□ 学習塾は自動的な義務対象ではないと理解した
□ 認定制度について確認した
□ 講師・職員の一覧を整理している
□ アルバイト講師も含めて業務内容を確認している
□ 個別指導時の環境を確認している
□ 生徒との連絡ルールを決めている
□ 生徒・保護者の相談窓口を確認している
□ 認定後も運用できる担当者を考えている
すべてにチェックが付いていなくても構いません。
まずは、
「認定を受けるとしたら、何が足りないのか」
を確認してみましょう。
行政書士田中穂積の視点
学習塾にとって、日本版DBSは少し難しい立場にあります。
義務ではない。
だから対応しなくてもよい。
そう考えることもできます。
一方で、子どもを預かり、教育を提供する事業として、
「安全にどう向き合っているのか」
を保護者へ示すことも重要です。
私は、認定を取ること自体を目的にする必要はないと考えています。
まず現在の塾の運営を確認する。
講師管理。
個別指導。
生徒との連絡。
相談体制。
情報管理。
そのうえで、
認定制度を活用することが、自分の塾にとって意味があるのか
を判断する。
行政書士としては、認定申請だけではなく、その前段階となる体制整理から一緒に考えることが大切だと思っています。
Q&A|学習塾と日本版DBS
Q1.学習塾は日本版DBSへの対応が義務ですか?
学校や認可保育所などと同じ意味で、自動的に義務対象になるわけではありません。
一定の要件を満たし、こども家庭庁から認定を受ける制度があります。
Q2.認定を受ければ「安全な塾」と宣伝できますか?
認定は、法律に基づく性暴力防止の取組を行っていることを示すものですが、問題が絶対に起きないことを保証する制度ではありません。
認定後も継続した運用が必要です。
Q3.小さな個人塾でも認定を検討できますか?
規模だけで判断する制度ではありません。
認定対象となる事業や要件に該当するか、必要な体制を整えられるかを確認して検討します。
次回予告
次回は、
「スポーツクラブ・スポーツ教室は日本版DBSにどう向き合うべきか」
を取り上げます。
スポーツ指導では、
更衣
身体接触を伴う指導
遠征
合宿
送迎
など、学習塾とは違う場面があります。
認定制度をどう考えるのか。
指導者と子どもの距離をどう整理するのか。
次回は、スポーツ現場ならではの視点から見ていきます。
\ 日本版DBS認定を検討している学習塾・教育事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・自分の塾が認定対象になるか確認したい
・認定を受けるべきか整理したい
・講師や対象従事者を整理したい
・規程や情報管理体制を整えたい
・認定申請に向けた準備を進めたい
といったご相談に対応しています。
日本版DBS認定は、申請書を提出すれば終わる制度ではありません。
認定後も継続して運用できる体制をつくることが大切です。
現在の講師体制、教室運営、相談ルールなどを確認しながら、必要な準備を整理します。
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この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。