14.日本版DBS導入で同意取得フローを作る

14.日本版DBS導入で同意取得フローを作る

~同意書を渡す前に整理したい説明・個人情報・保留対応~

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
日本版DBS導入で職員説明資料を作ることについてお話ししました。
日本版DBS対応では、
いきなり同意書を渡すのではなく、
まず職員に制度の目的や事業所としての方針を説明することが大切です。
なぜこの制度が必要なのか。
子どもの安全を守るために何を確認するのか。
個人情報はどのように扱われるのか。
事業所としてどのような方針で対応するのか。
こうした点を職員に分かりやすく伝えることで、
不安や誤解を減らすことができます。

今回のテーマは、
同意取得
です。
日本版DBS対応では、
職員説明資料を作った後、
次に大切になるのが同意取得の進め方です。
同意書は、
ただ署名をもらえばよいものではありません。
何に同意するのか。
どのような目的で使うのか。
個人情報はどう扱われるのか。
同意しない場合にどう対応するのか。
いつ、誰が、どのように説明して、どの書類を保管するのか。
こうした流れを整理しておく必要があります。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、
職員体制も多様です。
正社員。
パート職員。
送迎担当者。
児童発達支援管理責任者。
外部プログラムの講師。
法人本部の担当者。
複数事業所を兼務する職員。
こうした関係者がいる中で、
誰に、
いつ、
どのように説明し、
同意を取得するのか。
ここを曖昧にしてしまうと、
現場で混乱が起こります。

今回は、
日本版DBS対応における同意取得の流れと、
事業所で気を付けたい実務ポイントについて、
実際に
👉「同意取得フロー」を作るイメージで整理していきます。

同意取得は「書類をもらう作業」ではない

同意取得というと、
どうしても
「同意書に署名してもらうこと」
をイメージしがちです。
しかし実務では、
同意書を回収することだけが目的ではありません。
同意取得で大切なのは、
職員が内容を理解したうえで、
必要な手続きに協力できる状態を作ることです。
何のための同意なのか。
何を確認するための同意なのか。
どの情報が扱われるのか。
誰が管理するのか。
不明点がある場合は誰に相談できるのか。
ここが分からないまま署名を求めると、
職員は不安を感じます。
特に、
日本版DBSでは慎重な情報が関係します。
職員にとっては、
自分の個人情報や過去に関する情報が扱われる可能性があるため、
事業所側の説明はとても重要です。
同意取得は、
単なる事務処理ではありません。
子どもの安全を守るための制度を、
職員と一緒に正しく運用するための実務です。

同意書の前に説明すべきこと

同意書を渡す前に、
まず説明しておきたいことがあります。
それは、
目的
対象者
確認される内容
個人情報の取り扱い
今後の流れ
です。
この5つが説明されていないと、
職員は同意書を見ても、
何に同意するのかが分かりにくくなります。
例えば、
次のような説明を先に行うとよいでしょう。

【説明文の例】

当事業所では、
子どもたちが安心して過ごせる環境を整えるため、
日本版DBSへの対応準備を進めています。
この手続きは、
特定の職員を疑うためのものではありません。
子どもと関わる事業者として、
安全管理体制を整え、
保護者や地域から信頼される事業所であり続けるための取り組みです。
今後、
対象となる職員の皆さまには、
必要な確認手続きを進めるため、
同意書の提出をお願いする場合があります。
同意書をお願いする際には、
目的、
確認される内容、
個人情報の取り扱い、
今後の流れについて説明したうえで進めます。
不明な点がある場合は、
担当者までご相談ください。
このように、
まず事業所の方針を伝えることが大切です。

放デイ・児発の現場で同意取得が難しくなる理由

放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
同意取得を進めるうえで、
独特の難しさがあります。

一つは、
職員の勤務形態が多様であることです。
常勤職員だけでなく、
パート職員、
短時間勤務の職員、
送迎担当者、
外部講師、
兼務職員など、
関わり方がさまざまです。
全員が同じ時間に集まれるとは限りません。
そのため、
説明会を一度開くだけでは、
全員に十分な説明が行き届かないことがあります。

もう一つは、
現場が日々の支援で忙しいことです。
支援準備。
送迎。
個別療育。
集団活動。
保護者対応。
記録作成。
職員会議。
その中で、
日本版DBS対応を進めるには、
現場に無理のない流れを作る必要があります。
さらに、
障害児支援の現場では、
子どもとの関わりがとても近くなります。
トイレや着替えの補助。
身体的な支援。
送迎車内での関わり。
外出活動。
個別対応。
こうした場面があるからこそ、
安全管理体制を丁寧に整える必要があります。
同意取得も、
その一部として考えることが大切です。

まず対象者を確認してから同意取得に進む

同意取得の前に、
必ず確認しておきたいのが対象者です。
誰に同意書を渡すのか。
誰にはまだ渡さないのか。
判断に迷う人はどうするのか。
ここが整理されていないまま進めると、
職員間で不公平感や不安が生まれることがあります。
前々回の記事では、
対象者一覧表を作ることをお話ししました。
その一覧表をもとに、
次のように整理します。
・対象候補
・対象外候補
・判断保留
・確認中
このように区分しておくと、
同意取得に進む順番が分かりやすくなります。

大切なのは、
判断に迷う人を無理に外さないことです。
例えば、
外部講師。
送迎だけを担当する人。
イベント時だけ関わる人。
ボランティア。
短時間勤務の職員。
こうした人については、
すぐに判断できない場合もあります。
その場合は、
👉「判断保留」として残し、後で確認できる状態にしておく
ことが大切です。
同意取得フローを作る
実務では、
同意取得の流れを図や表にしておくと分かりやすくなります。
例えば、
次のような流れです。

【同意取得フローの例】

1 対象者一覧表を確認する
2 対象候補者を整理する
3 職員説明資料を配布する
4 説明日を記録する
5 質問を受け付ける
6 同意書を配布する
7 同意書を回収する
8 回収状況を一覧表で管理する
9 未提出者・保留者を確認する
10 個人情報管理ルールに基づき保管する
このように流れを決めておくことで、
現場担当者が迷いにくくなります。
特に複数事業所を運営している法人では、
事業所ごとに進め方がバラバラになると混乱します。
法人本部が基本方針を作り、
各事業所の管理者が実務を進める。
このように役割分担を決めておくとよいでしょう。

同意取得管理表を作る

同意書を配布したら、
回収状況を管理する表も必要です。
同意書は、
「配ったかどうか」
「戻ってきたかどうか」
「説明したかどうか」
を確認できるようにしておくことが大切です。

【同意取得管理表の項目例】

・氏名
・所属
・職種
・勤務形態
・対象区分
・説明日
・説明方法
・同意書配布日
・同意書回収日
・未提出理由
・質問事項
・対応担当者
・保管場所
この表を作っておくと、
誰に説明したのか、
誰から同意書を回収したのか、
誰が未提出なのかを確認しやすくなります。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
シフト勤務や短時間勤務の職員もいるため、
口頭確認だけでは漏れが出やすくなります。
管理表を作ることで、
対応漏れを防ぐことができます。

同意しない職員がいる場合を想定しておく

同意取得で難しいのが、
👉同意しない職員がいる場合です。
実務では、
ここを事前に考えておく必要があります。
同意しない理由は、
さまざまです。
制度がよく分からない。
個人情報の扱いが不安。
自分が疑われているように感じる。
説明をまだ十分に受けていない。
家族に相談したい。
このような場合、
まずは理由を丁寧に確認することが大切です。
いきなり不利益な扱いを示すのではなく、
制度の目的や個人情報管理について再説明する機会を設けることも必要です。
ただし、
事業所としては、
子どもの安全を守る責任もあります。
そのため、
同意しない場合にどのような対応をするのか、
👉事前にルールを整理しておく必要があります。
ここは非常に慎重な判断が必要です。
職員対応、
労務管理、
個人情報管理、
制度運用が関係するため、
自己判断だけで進めず、
必要に応じて専門家に相談することをおすすめします。

個人情報の保管方法を決めてから回収する

同意書を回収する前に、
必ず決めておきたいことがあります。
それは、
保管方法です。
同意書を回収した後、
どこに保管するのか。
紙で保管するのか。
電子データで保管するのか。
誰が管理するのか。
誰が閲覧できるのか。
退職後はどう扱うのか。
保存期間はどうするのか。
これを決めずに回収してしまうと、
後から管理が曖昧になります。
日本版DBS対応では、
👉職員の慎重な個人情報が関係します。
そのため、
同意書や関連資料は、
通常の事務書類よりも慎重に扱う必要があります。
例えば、
管理責任者を決める。
保管場所を限定する。
閲覧できる人を限定する。
持ち出しルールを決める。
不要になった書類の廃棄方法を決める。
電子データの場合はアクセス権限を設定する。
こうした基本ルールを先に整えておくことが大切です。

職員への説明記録も残す

同意書そのものだけでなく、
説明を行った記録も残しておくことをおすすめします。
いつ説明したのか。
誰に説明したのか。
どの資料を使ったのか。
どのような質問が出たのか。
誰が回答したのか。
こうした記録があると、
後で確認しやすくなります。
特に、
説明を受けていない、
聞いていない、
内容が分からなかった、
という声が出た場合に、
事業所としてどのように説明したかを確認できます。
これは職員を責めるための記録ではありません。
事業所として丁寧に説明したことを残し、
今後の運用改善につなげるための記録です。
同意取得で使う書類を整理する
同意取得に関係する書類は、
同意書だけではありません。
実務では、
次のような書類を整理しておくとよいでしょう。

【同意取得に関係する書類】

・職員説明資料
・対象者一覧表
・同意書
・同意取得管理表
・質問受付記録
・個人情報管理ルール
・未提出者対応メモ
・保管記録
・廃棄記録
これらをすべて最初から完璧に作る必要はありません。
しかし、
どの書類が必要になりそうかを見える化しておくと、
対応漏れを防ぐことができます。
日本版DBS対応は、
一つの書類だけで完結するものではありません。
対象者整理、
職員説明、
同意取得、
個人情報管理、
規程整備がつながっていきます。
その流れを意識しておくことが大切です。

今日の実務ワンポイント

同意取得で大切なのは、
同意書を回収する前に、流れを決めておくこと
です。
対象者を確認する。
職員へ説明する。
質問を受け付ける。
同意書を配布する。
回収状況を管理する。
未提出者に対応する。
個人情報として保管する。
この流れが決まっていれば、
現場は迷いにくくなります。
反対に、
流れが決まっていないまま同意書を配ると、
職員の不安や事業所内の混乱につながります。
同意取得は、
書類を集める作業ではなく、
事業所として制度を正しく運用するための実務です。

まとめ

日本版DBS対応では、
職員説明資料を作った後、
同意取得の流れを整理することが大切です。
同意書は、
ただ署名をもらえばよいものではありません。
何に同意するのか。
どのような目的で使うのか。
個人情報はどう扱われるのか。
同意しない場合にどう対応するのか。
誰が説明し、
誰が回収し、
どこに保管するのか。
こうした点を事前に整理する必要があります。
特に、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと日常的に関わる障害児支援の現場では、
職員体制が多様であり、
説明や回収に漏れが出やすい場面もあります。
だからこそ、
同意取得フローと管理表を作ることが大切です。
日本版DBS対応は、
単なる事務作業ではありません。
子どもの安全を守り、
職員が安心して働き、
保護者から信頼される事業所運営を続けるための実務です。

今日のチェックポイント

□ 同意取得の対象者を一覧表で確認した
□ 同意書を渡す前に職員説明を行う流れを決めた
□ 同意書の配布日・回収日を管理する表を作った
□ 同意しない職員がいる場合の対応を検討し始めた
□ 回収した同意書の保管場所と管理責任者を決めた

行政書士田中穂積の視点

日本版DBS対応では、
同意取得が一つの大きな実務になります。
しかし私は、
同意書を集めることだけを目的にしてはいけないと考えています。
大切なのは、
👉職員が制度の趣旨を理解し、
 事業所として子どもの安全を守る体制を整えることです。
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、
職員と子どもとの距離が近く、
日々の支援の中で信頼関係が作られていきます。
だからこそ、
日本版DBS対応も、
現場に合った形で丁寧に進める必要があります。
対象者一覧表。
職員説明資料。
同意取得フロー。
同意取得管理表。
個人情報管理ルール。
社内規程。
こうした実務資料を一つずつ整えることで、
制度対応は現場で使える仕組みに変わります。
障害福祉サービス事業の開業や運営では、
指定申請だけでなく、
開業後の運営指導対策、
職員体制、
報酬算定、
各種記録、
虐待防止、
安全管理体制など、
多くの実務が関わります。
日本版DBS対応も、
今後その一部として考えるべき重要なテーマになると思います。
行政書士として私がお手伝いしたいのは、
制度を説明することだけではありません。
現場で無理なく運用できる形に整え、
👉子どもたちの安全と事業所の信頼を支える仕組みづくりを伴走することです。

Q&A|日本版DBSの同意取得について

Q1. 同意書は職員に配るだけでよいですか。
A いいえ。配る前に、制度の目的、確認される内容、個人情報の取り扱い、今後の流れを説明することが大切です。説明が不十分なまま署名を求めると、不安や誤解につながります。

Q2. 同意しない職員がいる場合はどうすればよいですか。
A まずは理由を丁寧に確認し、制度の目的や個人情報管理について再説明することが大切です。そのうえで、事業所としてどのように対応するかを慎重に検討する必要があります。労務や法務の視点も関わるため、専門家に相談することをおすすめします。

Q3. パート職員や送迎担当者にも同意取得が必要ですか。
A 雇用形態だけで判断するのではなく、子どもとどのように関わるかを確認する必要があります。放課後等デイサービスや児童発達支援事業所では、パート職員や送迎担当者も子どもと関わる場面があるため、対象者一覧表で整理することが大切です。

Q4. 同意書はどのように保管すればよいですか。
A 管理責任者、保管場所、閲覧できる人、保存期間、廃棄方法などを事前に決めておくことが重要です。日本版DBS対応では慎重な個人情報が関係するため、通常の事務書類よりも丁寧な管理が必要です。

Q5. 行政書士に同意取得フローや管理表の作成を相談できますか。
A はい。対象者一覧表、職員説明資料、同意取得フロー、同意取得管理表、個人情報管理ルール、社内規程の整備など、現場で使える実務資料の作成についてご相談いただけます。

次回予告

次回は、
日本版DBSの個人情報管理はどう変わるのか
について考えてみたいと思います。
同意取得を進めると、
次に重要になるのが、
個人情報の管理です。
日本版DBS対応では、
職員に関する慎重な情報を扱う可能性があります。
誰が管理するのか。
どこに保管するのか。
誰が閲覧できるのか。
どのくらい保存するのか。
退職後はどう扱うのか。
こうした点を曖昧にしたまま進めると、
職員の不安や事業所内のトラブルにつながる可能性があります。
次回は、
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所など、
子どもと関わる現場で気を付けたい個人情報管理の実務について、
考えていきます。

\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
日本版DBSへの実務対応について、
制度説明だけではなく、
事業所で実際に運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
特に、
・放課後等デイサービス
・児童発達支援事業所
・認定こども園
・保育所
・学習塾
・スポーツクラブ
・各種習い事教室
など、
子どもと関わる事業者の皆さまに向けて、
・対象者一覧表の作成
・職員説明資料の作成
・同意取得フローの整理
・同意取得管理表の作成
・個人情報管理体制の整備
・社内規程の見直し
・運用チェックリストの作成
など、
現場に合わせた支援を行っています。
また、
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📌 障害福祉サービス事業者の皆様へ

なお、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所の指定申請、変更届、加算届、運営規程整備、運営指導対策などについては、HPの「障害福祉サービス支援業務」でもご案内しています。

▼ 障害福祉サービス支援業務
障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。

クイズ!日本版DBSの同意取得フローづくり

読み込み中…

前回 13話:職員説明資料を作る
次回 15話:個人情報管理ルールを作る

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積