19.日本版DBS対応を専門家に依頼するメリット

~自社で行うことと、専門家に任せることを整理する~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
日本版DBS対応における職員研修について考えました。
制度を理解するだけでなく、
誰が対象になるのか。
職員へどう説明するのか。
同意をどのように取得するのか。
確認した情報を誰が管理するのか。
問題が起きたとき、誰へ報告するのか。
こうした手順を、
実際の事業所運営へ落とし込む必要があります。
日本版DBSへの対応は、
一つの申請書を作れば終わる手続ではありません。
今回は、
👉日本版DBS対応を専門家へ依頼すると、何が変わるのか
について考えていきます。
公表されたひな型を使えば十分なのでしょうか
こども家庭庁からは、
事業者向けチェックリスト、研修教材、報告ルール、対応ルールなどのひな型や参考資料が公表されています。
これらは、
制度を理解し、準備を進めるための重要な資料です。
ただし、
ひな型へ事業所名を入れれば、
そのまま運用できるとは限りません。
例えば、
誰を報告先にするのか。
管理者が不在の場合はどうするのか。
複数の事業所を運営している場合、
誰が全体を管理するのか。
非常勤職員や外部講師を、
どのように整理するのか。
取得した情報を、
どこで、誰が、どのように保管するのか。
👉事業所ごとに組織体制や職員配置は異なります。
こども家庭庁も、報告・対応ルールについて、事業者の組織体制や業務運営を踏まえ、報告先や対応者、手順などを検討する必要があると説明しています。
専門家へ依頼するメリットは「書類作成」だけではありません
専門家へ依頼するというと、
申請書を作ってもらう。
規程を作ってもらう。
と考える方も多いかもしれません。
しかし、
大きなメリットは、
👉事業所に必要な対応を整理し、書類と実際の運用をつなげられること
です。
日本版DBSへの対応では、
・対象となる事業や従事者の整理
・現在の規程や書類の確認
・職員への説明
・同意取得
・情報管理
・報告、対応ルール
・職員研修
・実施記録の保存
などを、一つの流れとして考える必要があります。
それぞれを別々に作ると、
規程には書いてあるが、職員は知らない。
研修は実施したが、記録が残っていない。
管理表はあるが、更新する担当者が決まっていない。
ということが起こります。
専門家が関わることで、
書類同士のつながりと、
実際の運用とのずれを確認しやすくなります。
最初に「何から手を付けるか」を整理できる
日本版DBSの資料を読み始めると、
確認することが多すぎて、
どこから始めればよいか分からない。
という状態になりがちです。
この場合、
最初からすべての規程や帳票を作る必要はありません。
まずは、
1.自社がどのような立場で制度に関係するのか
2.対象となる事業所と従事者は誰か
3.現在ある規程や書類は何か
4.不足しているものは何か
5.いつまでに何を行うのか
を整理します。
専門家へ依頼することで、
対応事項に優先順位を付けやすくなり、
「とりあえず資料を集めたが、準備が進んでいない」
という状態を防ぎやすくなります。
書類の重複や不整合を減らせる
放課後等デイサービスや児童発達支援事業所には、
すでに多くの規程や記録があります。
運営規程。
重要事項説明書。
虐待防止に関する指針。
身体拘束等の適正化。
個人情報保護規程。
秘密保持に関する誓約書。
職員研修記録。
委員会議事録。
日本版DBSへの対応を追加するとき、
既存の書類と別に新しい書類を増やし続けると、
管理が複雑になります。
また、
既存の個人情報保護規程と、
日本版DBSの情報管理ルールが一致していない。
職員研修計画には入っているが、
年間スケジュールには反映されていない。
という不整合も起こり得ます。
専門家による確認を受けることで、
既存書類を修正して使えるのか。
新しく作る必要があるのか。
どの記録と一体で管理するのか。
を整理しやすくなります。
第三者の視点で「抜け」を確認できる
自社の業務は、
自社の職員にとって当たり前になっています。
そのため、
管理者が対応できない場合。
担当職員が退職した場合。
複数事業所間で情報を引き継ぐ場合。
事故や疑いが生じた場合。
といった例外的な場面が、
ルールから抜けることがあります。
第三者の視点を入れることで、
・担当者が一人に集中していないか
・報告先が曖昧になっていないか
・記録の保存方法が決まっているか
・非常勤職員への説明が漏れていないか
・定期的な見直し時期が決まっているか
を確認できます。
専門家の役割は、
事業所の代わりに経営判断をすることではありません。
事業所が適切に判断できるよう、
不足している情報や手順を見える形にすることです。
すべてを専門家へ任せるわけではありません
日本版DBSへの対応には、
専門家だけでは決められないことがあります。
例えば、
誰を担当者にするのか。
職員へいつ説明するのか。
日常業務の中で、
どのように確認や報告を行うのか。
職員間の役割をどう分けるのか。
最終的に決め、
実際に運用するのは事業者です。
専門家へ依頼する場合も、
専門家が支援できること
・対応状況の整理
・対象者や必要書類の整理
・規程、帳票、管理表の作成支援
・職員説明資料の作成
・研修内容や実施記録の整備
・認定申請に必要な資料の整理
・運用開始後の見直し
事業所が行うこと
・担当者と責任者の決定
・職員への説明と周知
・日常的な記録と管理
・実際の同意取得
・現場での安全確保
・問題発生時の事実確認と初動
という役割分担になります。
一人の専門家だけで完結しない場合もあります
日本版DBSへの対応には、
行政手続。
社内規程。
個人情報管理。
労務管理。
問題発生時の法的対応。
子どもや保護者への支援。
など、複数の分野が関係します。
例えば、
就業規則や懲戒、配置転換などの労務問題。
具体的な事件や紛争への対応。
被害を受けた子どもへの心理的な支援。
については、
👉弁護士、社会保険労務士、心理職などとの連携が必要になる場合があります。
こども家庭庁も、制度対応に関する解説資料を、事業者だけでなく、弁護士や心理職などが支援を行う際にも活用できるものとして公表しています。
大切なのは、
すべてを一人へ任せることではなく、
👉相談内容に応じて、適切な専門家へつなげられる体制をつくること
です。
専門家へ相談するタイミング
専門家への相談は、
書類が完成してからでなくても構いません。
むしろ、
何が必要か分からない。
対象者の整理で迷っている。
既存の規程を使えるか判断できない。
職員へどう説明するか決まっていない。
という準備の初期段階で相談した方が、
作り直しを減らせることがあり効率的です。
一方で、
すでに自社で準備を進めている事業所は、
完成した書類の確認や、
不足項目の点検だけを依頼する方法もあります。
すべてを依頼するか。
一部だけ依頼するか。
👉現在の体制や職員数、準備状況に合わせて決めることが大切です。
今日の実務ワンポイント
専門家へ相談する前に、
・現在ある規程や帳票
・職員一覧
・事業所の組織図
・研修や委員会の実施状況
・現在困っていること
を簡単に整理しておきましょう。
資料が完全にそろっていなくても構いません。
👉分からないことを分からないまま書き出す
ことが、相談の第一歩です。
まとめ
日本版DBS対応を専門家へ依頼するメリットは、
書類を作ってもらうことだけではありません。
必要な対応を整理する。
既存書類との重複を減らす。
書類と現場の運用をつなげる。
役割分担とスケジュールを明確にする。
第三者の視点で不足を確認する。
こうした支援を受けることで、
事業所は本来の支援業務を続けながら、
準備を進めやすくなります。
ただし、
制度を実際に運用するのは事業所です。
👉自社で行うことと、専門家へ任せることを分ける。
それが、
無理なく継続できる日本版DBS対応につながります。
今日のチェックポイント
□ 日本版DBSの担当者を決めている
□ 対象事業所と対象者を整理している
□ 現在ある規程や帳票を確認している
□ 新たに作る書類を整理している
□ 職員への説明方法を決めている
□ 情報を管理する責任者を決めている
□ 自社で難しい業務を把握している
□ 必要に応じて相談できる専門家を確認している
すべてにチェックが付かなくても、
すぐに一式の支援を依頼する必要はありません。
まずは、
現在できていることと、
判断できないことを分けてみましょう。
行政書士田中穂積の視点
日本版DBSへの対応では、
多くのひな型や参考資料が公表されています。
しかし、
事業所ごとに、
職員数。
組織体制。
対象となる業務。
既存の規程。
研修の実施方法。
情報の管理方法。
は異なります。
大切なのは、
書類を増やすことではありません。
誰が見ても分かり、
担当者が変わっても続けられ、
実際の現場で使える仕組みにすることです。
特に、放課後等デイサービスや児童発達支援事業所には、
日本版DBS以外にも、
変更届。
運営規程。
委員会。
研修。
支援記録。
運営指導への備え。
など、継続して管理すべき業務があります。
日本版DBSだけを切り離すのではなく、
事業所全体の運営・法令対応の中で整理する。
そのお手伝いをすることが、
👉行政書士としての私の役割だと考えています。
Q&A|専門家への依頼について
Q1.すべての対応を専門家へ依頼する必要がありますか。
A すべてを依頼する必要はありません。
自社で対応できる部分は自社で行い、対象者整理、規程や帳票の作成、全体の確認など、負担が大きい部分だけを依頼する方法もあります。
Q2.準備が進んでいなくても相談できますか。
A 準備の初期段階でも相談できます。
何が必要か分からない状態であれば、現在の事業内容や職員体制を確認し、取り組む順番を整理することから始めます。
Q3.行政書士だけですべての問題に対応できますか。
A 内容によっては、他の専門家との連携が必要です。
行政手続や規程・帳票の整備は行政書士が支援できますが、労務問題、具体的な紛争、被害を受けた子どもへの支援などは、弁護士、社会保険労務士、心理職などと連携して対応することがあります。
次回予告
次回は、
「日本版DBS導入支援で行政書士がお手伝いできること」
について考えてみたいと思います。
日本版DBSへの対応では、
対象となる事業所や職員の整理。
必要な規程や帳票の確認。
職員への説明資料。
同意取得の流れ。
個人情報の管理方法。
研修や実施記録。
認定申請に向けた準備。
など、さまざまな対応が必要になります。
しかし、
行政書士には何を依頼できるのか。
事業所が自ら行うことは何か。
弁護士や社会保険労務士など、
ほかの専門家へ相談すべきことは何か。
その違いが分かりにくいと、
誰へ相談すればよいのか迷ってしまいます。
次回は、
日本版DBSの導入準備から運用開始後の見直しまで、
行政書士がお手伝いできる業務と、
事業所との役割分担について、
実務の視点から具体的に整理していきます。
\ 子どもたちの未来を支える事業者の皆さまへ /
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所を中心に、
子どもと関わる事業者の皆さまの運営・法令対応を支援しています。
日本版DBSへの対応をはじめ、
・対象者一覧表、職員説明資料の作成
・同意取得、個人情報管理体制の整備
・社内規程、運用チェックリストの作成
・職員研修、保護者説明会の実施支援
・変更届、加算届、運営規程の整備
・委員会、研修記録、運営指導対策
など、現場で継続して運用できる仕組みづくりを伴走支援しています。
また、
放課後等デイサービス、児童発達支援事業所など、
障害福祉サービス事業者の皆さまへ、
「障害福祉サービス事業所 運営・法令対応チェックリスト」
を無料で進呈しております。
変更届、運営規程、委員会、研修記録、各種運営書類、日本版DBSへの準備状況について、
👉現在できていることと、見直しが必要なこと
を整理できるチェックリストです。
まずは、
現在の事業所運営を確認するところから始めてみませんか。
チェックリスト(無料)のご請求も、
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▼ 障害福祉サービス支援業務
「障害福祉サービス支援業務」をご覧ください。
クイズ!日本版DBS対応を専門家に依頼するメリット
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。