補助金だけで空き家活用は成功しない|第15話

補助金だけで空き家活用は成功しない|第15話


~お金をもらう前に事業計画を整える~

こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、「古民家宿は地域を変えられるのか」として、古民家宿が旅行者と地域をつなぐ可能性について考えました。

今回は、
👉「使えそうな補助金も見つかった。物件も気に入っている。そろそろ改修を始めても大丈夫?」
という悩みを考えます。
空き家活用では、
補助金がある。
安く物件を借りられる。
古民家の雰囲気がよい。
といったことが、事業を始めるきっかけになることがあります。
しかし、本当に確認したいのは、
「補助金が使えるか」ではありません。
👉 その建物で、考えている事業を実際に始め、続けられるのか。
ここを確認しないまま進めると、改修を始めてから問題が見つかることがあります。

「補助金が使える」だけで進めて大丈夫?

補助金が見つかると、
「これなら改修できそう」
と思います。
しかし、
補助金が使えることと、
その事業が成立することは別です。
古民家宿なら、
宿泊事業として使えるのか。
古民家カフェなら、
飲食店として必要な設備を整えられるのか。
体験施設なら、
その用途で建物を利用できるのか。
を見る必要があります。
👉 補助金の採択可能性より先に、「この建物でこの事業ができるか」を確認しましょう。

物件を契約する前に確認したいことがある

空き家活用で怖いのは、
物件を契約してから問題に気づくこと
です。
立地がよい。
家賃が安い。
雰囲気が気に入った。
という理由だけで契約を進め、
その後に、
予定していた営業が難しい。
大きな改修が必要。
消防設備の追加が必要。
と分かれば、事業計画そのものを見直すことになります。
👉「借りられる」と「事業に使える」は別
住宅として使える建物でも、
宿。
飲食店。
観光施設。
として使う場合には、別の確認が必要になることがあります。
👉 空き家活用では、契約前の確認が非常に重要です。

「誰が来るのか」を説明できますか?

建物の魅力だけでなく、
誰が利用するのか
も確認します。
たとえば、
古民家だから泊まりたい人なのか。
地域観光を目的に訪れる人なのか。
地元住民が利用するカフェなのか。
外国人旅行者なのか。
そして、
なぜその人が、
わざわざその場所まで来てくれるのか。
ここが曖昧なままでは、
改修後に集客で苦労する可能性があります。
👉 「何を作るか」だけではなく、「誰に選ばれる場所にするか」を考えましょう。

改修したあと、誰が運営する?

空き家活用では、
改修工事そのものが大きなプロジェクトになります。
そのため、
建物を完成させることがゴールのようになりがちです。
しかし本当のスタートは、そのあとです。
誰が予約を受けるのか。
誰が接客するのか。
誰が清掃するのか。
誰が集客するのか。
誰がトラブル対応するのか。
👉 空き家活用は「建物再生」だけではなく、「事業運営」まで設計して初めて形になります。

想定どおりに売れなかったらどうする?

事業計画では、
成功した場合だけを考えないことも重要です。
想定したほど宿泊客が来ない。
カフェの平日利用が少ない。
イベントを開催しても集客できない。
ということもあり得ます。
そのとき、
どこまで固定費を負担できるのか。
事業内容を変更できるのか。
別の使い方へ転換できるのか。
も考えておきます。
👉 「うまくいったとき」だけでなく、「予定どおりにいかなかったとき」も考えておくことが事業計画です。

そして「やめるとき」まで考えておく

少し後ろ向きに聞こえるかもしれません。
しかし、
撤退ができるか
を考えることも大切です。
借りている空き家なら、
契約を途中で終了できるのか。
原状回復はどうするのか。
改修した設備はどうなるのか。
所有者との費用負担はどうするのか。
補助金を利用した場合には、取得した財産等の取扱いに条件が付く場合もあります。
👉 始める前に出口まで考えておくことは、失敗を恐れることではなく、事業を守る準備です。

だからこそ「誰へ相談するか」は重要

ここまで見ると、
空き家活用には、
建物。
契約。
許認可。
消防。
資金。
補助金。
運営。
地域との関係。
など、多くの確認事項があることが分かります。
これを初めて事業を始める方が、
一人ですべて整理するのは簡単ではありません。
そこで、計画の早い段階でまずは先行者へ相談する
という方法があります。
そこには成功事例も失敗事例も参考にすべき事例がたくさんあるのです。

行政書士は「許認可申請だけ」の相談相手ではない

行政書士は、
どんな事業をしたいのか。
どんな許認可が関係しそうか。
行政へどんな事前相談が必要か。
契約関係で何を整理すべきか。
などを確認し、
事業を始めるまでの手続を整理する役割
を担うことができます。
もちろん、
建築については建築士。
税務については税理士。
登記については司法書士。
など、他の専門家による確認が必要になることもあります。
大切なのは、
👉 「誰に聞けばよいかも分からない」という段階で、一度全体を行政書士と整理してみることです。

今日の実務ワンポイント

空き家活用を進める前に、
次の5つを確認してみてください。
①その建物で予定している事業ができるか
②誰が利用するのか説明できるか
③改修後、誰が運営するのか決まっているか
④想定より売れなかった場合も考えているか
⑤許認可や契約を専門家へ確認したか
👉 一つでも「分からない」があれば、大きなお金を使う前に少し立ち止まって確認することをおすすめします。

まとめ

空き家活用を成功させるために、
補助金は有効な手段の一つです。
しかし、
補助金が取れる。
改修できる。
物件を借りられる。
というだけでは十分ではありません。
その建物で事業ができるのか。
誰に利用してもらうのか。
誰が運営するのか。
必要な許認可は何か。
もしうまくいかなければどうするのか。
まで考える必要があります。
👉 空き家活用では、大きなお金を動かす前に、事業全体を一度専門家と整理することが重要です。
そして、
宿泊。
飲食。
観光。
地域活用。
などを考えているのであれば、
許認可や行政手続の入口として、行政書士の力を活用することも一つの方法です。
「申請するとき」ではなく、
「この計画で進めて大丈夫?」と思った段階
で相談する。
その方が、後から大きく計画を戻すリスクを減らせるかも知れません。

今日のチェックポイント

□物件契約前に事業利用できるか確認している
□必要な改修を把握している
□主な利用者を想定している
□運営する人を決めている
□毎月の運営をイメージしている
□うまくいかなかった場合も考えている
□撤退時の契約関係も確認している
□必要な許認可を確認している
□大きな投資前に専門家へ相談している
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「この物件、この事業、この進め方で本当に大丈夫?」
という疑問を、そのまま専門家へ相談してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

行政書士への相談というと、
「旅館業許可を申請したい」
「飲食店を始めたい」
など、
具体的な手続が決まってから利用するものだと思われるかもしれません。
しかし私は、
そのもっと前の段階こそ大切
だと考えています。
物件を契約した。
改修工事も始めた。
補助金の申請も進めた。
その後で、
「予定していた事業をこの形では始められない」
と分かることは、できるだけ避けたいところです。
旅行業界で37年間仕事をしてきた経験からも、
観光事業は、
建物だけ。
許認可だけ。
資金だけ。
では成立しません。
誰に何を提供し、どう運営し、どう続けるのか。
そこまで一つにつながって初めて事業になります。
行政書士として、
まず事業全体を整理し、
必要であれば建築士、税理士、司法書士など他の専門家とも連携して進める。
👉 「どこへ相談したらよいか分からない」というところから伴走することは、行政書士の大切な役割だと考えています。

Q&A|空き家活用はいつ行政書士へ相談する?

Q1.まだ物件を契約していなくても行政書士には相談ができますか?

はい、むしろ契約前の相談には大きな意味があります。
予定する事業と必要な許認可を確認してから、物件契約や改修へ進むことで、手戻りを減らしやすくなる可能性があります。

Q2.行政書士には補助金を申請するときだけ相談すればよいですか?

補助金だけでなく、
事業内容と創業融資。
許認可。
契約。
行政への事前相談。
などを含めて確認した方がよい場合があります。
「補助金が使えるか」だけでなく、「その事業自体を実現できるか」から確認することが重要です。

Q3.行政書士に相談すれば、空き家活用のすべてを任せられますか?

分野によって必要な専門家は異なります。
建築は建築士、税務は税理士など、別の専門家による確認が必要になることがあります。
行政書士には、許認可や行政手続を中心に、まず何を確認し、どの専門家につなぐ必要があるのかを整理する入口として相談することができます。

次回予告

専門家へ相談することが重要だとしても、
空き家活用には、
「後から気づきやすい落とし穴」
があります。
所有者との契約。
用途。
旅館業や飲食店営業。
消防・建築。
近隣関係。
運営者。
撤退時のルール。
どれか一つでも後回しにすると、
事業開始直前になって問題になることがあります。
次回は、
「16.行政書士から見た空き家活用の落とし穴」
~許認可・契約・運営を後回しにしない~
として、
👉 「空き家活用を始めたいけれど、何を見落としているか分からない」という方へ、計画段階で確認したいポイントを整理します。

\ 古民家・空き家を「壊す」のではなく「活かしたい」方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・使いたい空き家があるが、この計画で進めてよいか分からない
・古民家を宿やカフェとして使えるか確認したい
・物件契約前に必要な許認可を整理したい
・改修前に行政への確認をしておきたい
・補助金だけでなく事業全体を整理したい
といったご相談に対応しています。
旅行業37年の現場経験と行政書士としての法務視点から、
「申請書を作るところ」ではなく、「この事業を進めて大丈夫か」という段階から
必要な手続を整理します。
必要に応じて、建築・税務など他分野の専門家による確認も含めて進めることが大切です。
👉 大きな改修や契約をする前に、一度事業全体を整理してみませんか。

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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。