海外のOTAに横浜の体験を載せたい|最初に何を確認する?|第8話

海外のOTAに横浜の体験を載せたい|最初に何を確認する?|第8話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
「SNSで参加者を募集して観光体験を売りたい」
というケースから、
Instagram
LINE
自社ホームページ
SNSのDM
などで直接販売するときに、
誰が何を売るのか。
いつ予約が成立するのか。
誰がお金を受け取るのか。
を整理することが大切だとお話ししました。
今回は、販売先を海外へ広げてみます。
「横浜のまち歩きを外国人旅行者にも販売したい」
「海外の体験予約サイトへ掲載したい」
「英語ページを作ってインバウンド客を呼びたい」
そんなときに出てくるのが、
「海外OTAに掲載すれば、それだけで外国人旅行者へ売れるの?」
という疑問です。
今回の結論を先にお伝えします。
👉 海外OTAへ掲載する前に、まず「誰が販売者になるのか」を確認しましょう。
サイトに掲載されることと、
自分が直接お客様へ販売することは、必ずしも同じではありません。

1.海外OTAといっても仕組みは同じではありません

海外の旅行サイトや体験予約サイトといっても、その仕組みはさまざまです。
例えば、
自分の商品を掲載するだけ。
予約をサイトが受け付ける。
代金までサイトが回収する。
予約後に自分へ入金される。
キャンセルや返金をサイトが処理する。
などがあります。
観光庁も、海外OTAを含むオンライン旅行取引では、サイトごとに取引形態や旅行業登録の有無が異なるため、
利用者にとって契約当事者が分かりにくい場合があるとしています。
つまり、
「有名な海外サイトだから全部任せておけば大丈夫」
ではありません。
👉 サイト名ではなく、そのサイトが何をしているのかを見る。
ここから始めます。

2.最初に確認したいのは「誰がお客様へ売っているのか」

例えば、
横浜のまち歩き体験を海外OTAへ掲載したとします。
お客様がサイトから申し込む。
では、
体験を販売しているのは誰でしょう。
あなたでしょうか。
OTAでしょうか。
OTAは単に予約の場を提供しているだけでしょうか。
ここを確認します。
さらに、
予約確認を誰が出すのか。
領収書は誰が発行するのか。
代金は誰が受け取るのか。
キャンセル時に誰が返金するのか。
まで見ていきます。
👉 「サイトに載っている」ではなく、「誰と誰が契約しているのか」を確認する。
これは第7話までと同じ考え方です。

3.手数料と入金の流れも確認する

海外OTAを利用すると、
販売価格から手数料が差し引かれ、後日事業者へ入金される
という仕組みもあります。
例えば、
販売価格(5,000円)
↓
OTAが代金を受領
↓
手数料を差し引く
↓
残額が事業者へ入金(4,250円)
という流れです。
この場合も、
お客様が誰へ支払っているのか。
OTAは誰のために代金を受け取っているのか。
キャンセル時は誰が返金するのか。
を確認しておきます。
特に海外OTAの場合、
入金のタイミング
為替
手数料
返金方法
なども確認しておきたいところです。
👉 「いくらで売れるか」だけでなく、「お金がどう流れるか」を見る。
海外販売では特に重要です。

4.外国語ページでは「伝わっているつもり」に注意する

海外のお客様へ販売するなら、英語など外国語で商品を案内することになります。
そこで確認したいのが、
料金
所要時間
集合場所
対象年齢
キャンセル条件
雨天時の対応
含まれるもの・含まれないもの
です。
日本語では何となく伝わる内容でも、外国語になると意味がずれることがあります。
例えば、
「雨天の場合は状況により中止します」
だけでは、
いつ決まるのか。
誰から連絡するのか。
返金されるのか。
まで分かりません。
👉 外国語販売だからこそ、条件をシンプルにする。
これは非常に大切です。

5.自分の体験だけなら比較的整理しやすい

自分が行う、
まち歩き
写真体験
ものづくり体験
文化体験
などを、自分の商品として海外OTAへ掲載する。
これは比較的整理しやすい形です。
旅行業法では、ウォーキングツアーなどの観光アクティビティは運送サービスではなく、運送・宿泊以外の旅行サービスとして整理されています。
また、運送・宿泊以外のサービスだけを手配・提供する場合には、旅行業に該当しない例も示されています。
ただし、
ホテルも付ける。
空港送迎も付ける。
鉄道やバスも手配する。
となれば話は変わります。
👉 体験だけだった商品へ宿泊・交通を足すときは、一度立ち止まる。
これはこのシリーズで何度もお伝えしてきたポイントです。

6.「海外サイトだから旅行業法は関係ない」ではありません

ここも注意したいところです。
海外の会社が運営するサイトを使っているから、
「日本の旅行業法は関係ない」
とは単純には言えません。
大切なのは、
日本国内で、
誰が、
どのような旅行サービスを、
どのような形で販売・手配しているのか。
です。
旅行業法では、報酬を得て一定の旅行業務を事業として行うことが旅行業とされ、
他人が提供する運送・宿泊について代理・媒介・取次などを行うことが基本的な旅行業務に位置付けられています。
👉 販売サイトの国籍ではなく、実際の事業内容を見る。
これが基本です。

7.トラブルが起きたときの窓口を決めておく

外国人旅行者向けの商品では、
当日遅れてきた。
集合場所が分からない。
電車が止まった。
雨で中止になった。
キャンセルしたい。
返金してほしい。
といったことも起こります。
そこで、
OTAへ連絡するのか。
事業者へ直接連絡するのか。
返金判断は誰がするのか。
を事前に決めておきます。
お客様から見れば、
「OTAの問題なのか」
「体験事業者の問題なのか」
は分かりません。
👉 販売するときだけでなく、困ったときの窓口まで設計する。
これが海外販売では特に重要です。

今日の実務ワンポイント

海外OTAへ商品を掲載する前に、次の5つを確認してみてください。
①誰がお客様へ販売する?
②誰が予約を確定する?
③誰が代金を受け取る?
④キャンセル・返金は誰が担当する?
⑤宿泊や交通は含まれていない?
👉 OTAへ登録する前に、この5つを書き出す。
これが今回の実務ワンポイントです。

まとめ

「海外の旅行サイトに横浜の体験を載せたい。最初に何を確認する?」
今回の答えは、
👉 まず、誰が販売者なのかを確認することです。
海外OTAへ掲載する。
英語ページを作る。
オンライン決済を導入する。
こうしたことは、外国人旅行者へ商品を届けるための大きなチャンスです。
ただし、
販売主体
予約
決済
キャンセル
返金
契約条件
を曖昧にしたまま始めると、トラブル時に困ります。
そして、
自分の体験だけなのか。
他社の宿泊・交通まで扱うのか。
によって確認すべき制度も変わります。
👉 海外へ売る前に、まず販売の仕組みを一枚にする。
そこから始めてみましょう。

今日のチェックポイント

□誰が販売者なのか確認した
□予約が成立するタイミングを確認した
□OTAの手数料と入金方法を確認した
□キャンセル・返金条件を確認した
□外国語で料金・集合場所・利用条件を明確にした
□トラブル時の連絡窓口を決めた
□宿泊・交通を含む場合は旅行業法上の確認をした
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「お客様は誰からこの商品を買うのか」
を確認してみましょう。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて、海外のお客様へ商品を届ける方法は大きく変わったと感じています。
以前であれば、
海外の旅行会社
国内のランドオペレーター
旅行代理店
などを通じて販売することが一般的でした。
今では、小さな地域事業者でも海外OTAを通じて世界のお客様へ直接商品を届けることができます。
これは地域の観光事業者にとって大きなチャンスです。
一方で、
「サイトへ登録できた=販売の仕組みが完成した」
わけではありません。
誰が売るのか。
誰がお金を受け取るのか。
トラブル時に誰が対応するのか。
ここを整えて初めて、安心して販売できます。
👉 インバウンド販売を難しく考えすぎる必要はありません。ただし、最初に取引の流れを整理する。
旅行業界での経験と行政書士としての法務・許認可の視点から、その入口を整理するお手伝いができればと考えています。

Q&A|海外OTAで横浜の体験を販売したい

Q1.海外OTAに自分の体験を掲載すると旅行業登録が必要ですか?

自分自身が提供する体験を販売するだけで、直ちに旅行業登録が必要になるわけではありません。
一方で、他社の宿泊や交通まで手配する場合には、旅行業法上の確認が必要になることがあります。

Q2.海外OTAが代金を回収してくれる場合は何を確認すればよいですか?

少なくとも、
誰が販売者なのか。
いつ予約が成立するのか。
OTAの手数料はいくらか。
いつ入金されるのか。
キャンセル時に誰が返金するのか。
を確認しておきましょう。

Q3.外国語のページを作れば、それだけで海外販売を始められますか?

外国語化は大切ですが、それだけではありません。
料金
集合場所
所要時間
キャンセル
返金
中止条件
などを外国人旅行者にも分かる形で整理することが重要です。

次回予告

今回は海外OTAを使った販売について考えてきました。
では次は、オンラインで「売る」話から少し離れて、
観光地や地域の中で、実際にサービスを提供する側
へ視点を移してみます。
たとえば、
宿泊施設の敷地で飲食を提供する。
イベントにキッチンカーを呼ぶ。
地域のお祭りや観光イベントへ出店する。
観光スポット周辺で、地域の食を届ける。
こうした場面で活躍するのが、
キッチンカー
です。
キッチンカーは、固定店舗を持たずに地域イベントや観光地へ出向けるため、観光ビジネスとの相性がよい事業です。
一方で、
「車があればすぐ営業できる」
わけではありません。
営業許可
車両設備
出店場所
主催者とのルール
営業できる地域

など、始める前に確認しておきたいことがあります。
次回は、
キッチンカーは観光ビジネスになる?|営業許可と出店前に確認したいこと|第9話
として、
👉 「観光地やイベントでキッチンカーを出したい。でも、何から確認すればいい?」
というお悩みから、実務のポイントを整理します。

\ 海外へ横浜の観光商品を販売したい方へ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・海外OTAへ観光体験を掲載したい
・外国人旅行者へ直接販売したい
・オンライン予約・決済の仕組みを整理したい
・自分たちの商品が旅行業に当たるか確認したい
・宿泊や交通も組み合わせたい
といった企画・販売開始前の段階からご相談いただけます。
旅行業界37年の経験と行政書士としての法務・許認可の視点から、
「海外へどう売るか」だけではなく、「誰が何を、どのような仕組みで売るのか」
を一緒に整理します。

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クイズ!海外OTAで観光体験を売る前に何を確認する?

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前回 SNSで参加者を募集して観光体験を売りたい|第7話
次回 キッチンカーは観光ビジネスになる?|営業許可と出店前に確認したいこと|第9話

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。