キッチンカーは観光ビジネスになる?|営業許可と出店前に確認したいこと|第9話

キッチンカーは観光ビジネスになる?|営業許可と出店前に確認したいこと|第9話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、
海外の旅行サイトに横浜の体験を載せたい
というケースから、海外OTAを利用するときにも、
誰が販売するのか。
誰が予約を受けるのか。
キャンセルや返金は誰が対応するのか。
を整理することが大切だとお話ししました。
今回は、オンラインで「売る」話から少し離れて、観光地で実際にサービスを提供する側へ視点を移します。
たとえば、
「イベントにキッチンカーを出したい」
「観光や宿泊施設の敷地で週末だけ飲食を提供したい」
「地域のお祭りや観光イベントへ出店したい」
「観光スポットを訪れる人に地域の食を届けたい」
そんなときに活用しやすいのが、
キッチンカー
です。
そこで出てくるのが、
「キッチンカーって、車を用意して営業許可を取れば始められるの?」
という疑問です。
今回の結論を先にお伝えします。
👉 営業許可だけ確認して終わりではありません。
何を売るのか、どこで売るのか、誰の場所を使うのか。
この3つを、車を作り込む前に整理することが大切です。

1.キッチンカーは「移動できる飲食店」

キッチンカーの魅力は、固定店舗を持たず、
イベント
宿泊施設
観光施設
古民家
地域のお祭り
など、人が集まる場所へ出向けることです。
その意味では、観光との相性がとてもよい事業です。
ただし、
「車だから普通の飲食店とは別」
というわけではありません。
車内で食品を調理・提供する場合には、営業内容に応じて食品衛生法上の営業許可が必要になります。横浜市では、自動車による飲食店営業等について、車両の図面や業務計画書などを準備して事前相談するよう案内しています。横浜市
👉 まず「キッチンカーをやりたい」ではなく、「車内で何を作り、どう提供したいか」を決めます。

2.売るメニューによって車の設備も変わる

ここは、車を購入・改造する前に確認したいところです。
横浜市では、
扱う食品
品目数
調理工程
使用する水の量
などによって、必要となる給排水設備や営業できる内容が変わります。
自動車営業では、営業内容に応じて40L・80L・200Lの貯水設備の考え方があります。
ですから、
「中古のキッチンカーを買ってからメニューを決める」
より、
メニュー → 必要設備 → 車両
の順で考えた方が安全です。
👉 車を先に買わない。まず、何を売りたいかを保健所へ相談する。
これが大切です。

3.営業許可があれば、どこでも出店できる?

ここは大きな勘違いが起こりやすいところです。
食品営業の許可を取ったからといって、
好きな場所へ車を止めて営業できるわけではありません。
たとえば、
宿泊施設の敷地
古民家の庭
イベント会場
商業施設
公園
道路
では、それぞれ場所の管理者や主催者が違います。
イベントなら、
出店申込み
営業時間
電源
ごみ処理
火気使用
保険
搬入・搬出
などの独自ルールが設けられていることもあります。
実際、横浜市が募集するキッチンカー出店でも、営業許可だけでなく、出店区画、電力、ごみ処理、衛生管理など個別の条件が設定される例があります。
👉 「営業できる資格」と「その場所で営業してよいこと」は別です。

4.神奈川県内なら営業区域も確認しておく

キッチンカーは移動することが前提なので、
「横浜で許可を取ったら、ほかの市でも営業できる?」
も気になるところです。
横浜市の案内では、令和3年6月1日以降に神奈川県内の保健所で取得した自動車営業の許可・届出について、県内の他自治体でも営業が認められる運用になっています。
ただし、
県外へ出る。
営業内容を変える。
車両設備を変更する。
といった場合には、改めて確認が必要です。
👉 「移動販売だから全国どこでも同じ許可で営業できる」と考えないことです。

5.宿泊施設や古民家と組み合わせると面白い

ここからが、今回のシリーズで取り上げたいところです。
たとえば、
古民家宿の庭に、週末だけ地域のキッチンカーが来る。
イベントやお祭りの日に、地元のお店が出店する。
体験イベントと地域の食を組み合わせる。
観光施設の空きスペースを、曜日ごとに違う事業者が使う。
こうすると、
自分で飲食店を運営しなくても、地域の飲食事業者と連携できます。
宿泊施設にとってはサービスの充実。
キッチンカー事業者にとっては新しい出店場所。
旅行者にとっては地域の食との出会い。
という関係を作ることもできます。
ただし、
場所を貸す側と出店する側で、
営業時間
場所代
電気・水
ごみ
事故時の対応
近隣への配慮
などを決めておく必要があります。
👉 キッチンカーは単独の飲食事業ではなく、地域の事業者をつなぐ観光ビジネスにもなり得ます。

6.「イベントだから大丈夫」とは考えない

もう一つ注意したいのが、
「地域イベントだから特別」
「一日だけだから許可はいらない」
という考え方です。
横浜市でも、イベントで食品を提供する場合には、営業形態によってキッチンカーの営業許可、臨時営業許可、営業届など必要となる手続が分かれています。
ですから、
主催者から、
「出店してください」
と言われたとしても、
👉 食品衛生上の手続まで主催者が確認してくれているとは限りません。
出店者自身でも確認しておくことが大切です。

今日の実務ワンポイント

キッチンカーを始めたいと思ったら、車を探す前に次の5つを整理してみてください。
①何を販売する?
②車内でどこまで調理する?
③どこへ出店したい?
④その場所の使用ルールは確認した?
⑤営業許可について保健所へ相談した?
👉 「車を買う」より先に、「商品・場所・許可」を整理する。
これが今回の実務ワンポイントです。

まとめ

「キッチンカーは観光ビジネスになる?」
私は十分になり得ると思います。
地域イベント
古民家
宿泊施設
観光施設
体験
と組み合わせることで、
キッチンカーは単に食事を販売するだけではなく、
その地域を訪れる楽しみの一つ
にもできます。
ただし、
営業許可を取れば終わりではありません。
何を売るのか。
どんな設備が必要か。
どこで営業するのか。
誰の場所を使うのか。
まず、この順番を整理しましょう。
👉 許可を取ってから出店場所を探すのではなく、「どこで、誰に、何を売りたいか」から事業を考える。
これが観光ビジネスとしてキッチンカーを考えるポイントです。

今日のチェックポイント

□販売するメニューを決めている
□必要な車両設備を確認している
□食品衛生責任者について確認している
□営業許可について事前相談している
□営業できる地域を確認している
□出店場所の管理者・主催者へ確認している
□ごみ・電源・火気など出店ルールを確認している
□宿泊施設や地域事業者との連携も検討している
すべてにチェックが付かなくても問題ありません。
まずは、
「どこで、誰に、何を売りたいか」
を書き出してみてください。

行政書士田中穂積の視点

旅行業界で37年間仕事をしてきて感じるのは、
観光地の魅力は、
大きな観光施設だけで作られるものではないということです。
地域のお店
食
人
体験
こうした小さな魅力がつながって、
その土地らしい旅になります。
キッチンカーも同じです。
宿泊施設の前に一台ある。
イベント会場で地域の料理が食べられる。
古民家へ行ったら地元のお店が出店している。
それだけでも、旅行者の体験は少し変わります。
だからこそ、
「キッチンカーを開業する」だけで考えるのではなく、「地域の中でどう使うか」
まで考えてみる。
👉 許認可を整えながら、地域の事業者同士をつなぐ。
行政書士としても、こうした観光ビジネスの組み立てを支援していきたいと考えています。

Q&A|観光地でキッチンカーを始めたい

Q1.キッチンカーは車を買えばすぐ営業できますか?

いいえ。
営業内容に応じた食品営業許可や車両設備の確認が必要です。
横浜市では、車両図面や業務計画書を準備して、管轄の福祉保健センター生活衛生課へ事前相談するよう案内しています。

Q2.営業許可があれば、好きなイベントへ出店できますか?

営業許可と出店場所の使用許可・主催者ルールは別です。
イベントや施設ごとに、出店条件、火気、電源、ごみ処理などを確認しましょう。

Q3.横浜で許可を取れば神奈川県内でも営業できますか?

令和3年6月1日以降に神奈川県内で取得した自動車営業の許可については、県内の他自治体でも営業が認められる運用になっています。
県外へ営業範囲を広げる場合などは、出店先の自治体へ改めて確認することをおすすめします。

次回予告

キッチンカーでは、
飲食事業者が観光地へ出向く
という形を考えました。
では逆に、
宿泊施設の側が、
「泊まるだけではなく、朝食や軽食も提供したい」
と考えたらどうでしょう。
旅館業の許可があるから、そのまま食事も提供できる?
外部のお客様にも販売していい?
カフェのように営業したら?
次回は、
宿泊施設で朝食や軽食を出したい|旅館業の許可だけで大丈夫?|第10話
として、
👉 宿泊事業から飲食へサービスを広げるとき、どの段階で何を確認するのか
を整理します。

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行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
・キッチンカーを観光地やイベントへ出店したい
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といった企画段階からご相談いただけます。
旅行業界37年の経験と行政書士としての法務・許認可の視点から、
「何の許可が必要か」だけでなく、「どんな事業として形にするか」
を一緒に整理します。
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この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。