加算要件を満たせない?障害福祉の減算・返還前に確認すること|第4話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
前回は、
「変更届を出し忘れた!」
として、
変更内容
変更日
届出期限
体制届への影響
など、届出漏れに気づいたときの対応を整理しました。
今回は、
「この加算、今月も請求して大丈夫?」
という問題です。
職員が辞めた。
必要な研修ができなかった。
会議を実施していない。
記録が残っていない。
配置要件を満たせなくなった。
そんなとき、
「来月から直せばいいかな」
と考えてしまうかもしれません。
しかし加算は、
👉 一度届出をしたら、ずっと算定できるものではありません。
要件を満たしているから算定できる。
まず、この原則から確認します。
- 1. 最初に「何が満たせなくなったのか」を確認する
- 2. 「減算」と「加算が取れない」は同じではありません
- 3. 一番重要なのは「いつから?」です
- 4. まだ請求前なら、いったん確認する
- 5. すでに請求していたらどうする?
- 6. 「書類がない=必ず算定不可」とも限りません
- 7. やってはいけない3つの対応
- 8. 体制届も忘れない
- 9. 令和9年度報酬改定も進んでいます
- 10. 今日の実務ワンポイント
- 11. まとめ
- 12. 今日のチェックポイント
- 13. 行政書士田中穂積の視点
- 14. Q&A|加算要件を満たせないかもしれないとき
- 15. 次回予告
- 16. \ 「この加算、請求して大丈夫?」と不安になったら /
- 17. クイズ!加算要件を満たせないかもしれないときは?
最初に「何が満たせなくなったのか」を確認する
加算が心配になったら、
すぐに「返還になる?」と考える前に、
まず原因を特定します。
人員の問題ですか?
職員が退職した。
必要な資格者がいなくなった。
勤務時間が減った。
兼務状況が変わった。
こうした場合は、人員配置が加算要件に影響していないか確認します。
実施内容の問題ですか?
必要な会議
研修
支援
モニタリング
関係機関との連携
などが実施できていない場合もあります
記録の問題ですか?
実際には行っていても、
要件となる記録が残っていない。
というケースもあります。
👉 「加算が危ない」ではなく、「どの要件が、いつから満たせていない可能性があるか」まで特定する。
ここが最初です。
「減算」と「加算が取れない」は同じではありません
ここは混同しやすいところです。
例えば、
人員欠如減算
業務継続計画未策定減算
など、基準に該当すると基本報酬等が減算される仕組みがあります。
一方で、
特定の加算について要件を満たさなくなった場合は、
その加算を算定できなくなる
という問題です。
つまり、
👉 「減算になる」のか「加算を算定できなくなる」のかを分けて考える。
これだけでも整理しやすくなります。
一番重要なのは「いつから?」です
要件を満たせなくなった可能性がある場合、
必ず確認したいのが、
いつからか
です。
例えば、
職員の退職日
勤務時間の変更日
必要な研修を実施できなかった時期
資格者が欠けた日
などです。
厚生労働省の留意事項では、加算等を算定できない状況が生じた場合は速やかに届け出、原則としてその事実が発生した日から当該加算等を算定しない取扱いが示されています。厚生労働省
「気づいた日」ではありません
例えば、
10月に確認して、
「実は8月から要件を満たしていなかった」
と分かった場合。
問題になるのは、
10月からではなく、
実際に要件を満たせなくなった時点
です。
👉 いつ気づいたかではなく、いつ要件を外れたか。
ここを正確に確認します。
まだ請求前なら、いったん確認する
月末になって、
「今月、この加算を取っていいのかな」
と疑問が出た。
この段階なら、
そのまま請求を進める前に確認します。
確認するのは3つ
① 算定要件
通知
Q&A
自治体の案内
などで、現在の要件を確認します。
② 実際の運営
人員
実施状況
記録
などが要件と合っているか確認します。
③ 届出の必要性
算定終了
区分変更
減算への変更
などで体制届が必要になる場合があります。
横浜市も、各種加算・減算の算定終了や種類の変更があった場合には体制届が必要と案内しています。横浜市
👉 迷っている状態のまま、とりあえず請求しない。
まず事実を確認します。
すでに請求していたらどうする?
ここが一番不安になるところでしょう。
「先月も請求してしまった」
「数か月前から要件を満たしていなかったかもしれない」
という場合です。
まず対象期間を特定する
何月から
何月まで
どの利用者について
どの加算を
何回算定したか。
を整理します。
そのうえで、
指定権者や国保連への対応方法を確認します。
厚生労働省の留意事項では、要件を満たしていない期間に算定した加算等については返還措置の対象になることが示されています。
ただし、
👉 「間違えた=すぐ自己判断で全部返還」ではありません。
まず対象期間と金額を整理し、過誤調整など具体的な処理方法を確認することが大切です。
「書類がない=必ず算定不可」とも限りません
ここも慎重に見たいところです。
例えば、
研修は実施した
会議も行った
支援も実施した
しかし、
記録が見つからない
という場合。
「記録がないから全部返還だ」
と即断するのではなく、
まず、
実際に何を行ったのか。
ほかに確認できる資料はないか。
その加算でどのような記録が要件とされているか。
を確認します。
もちろん、
後から事実と異なる記録を作ることはできません。
👉 記録を作り直すのではなく、まず事実を確認する。
これが基本です。
やってはいけない3つの対応
① 「少しくらいなら大丈夫」と請求を続ける
要件を満たしていない可能性に気づいたら、
そのまま請求を続けるのではなく確認します。
② 日付や記録を後から合わせる
実態と異なる記録を作ることは避けなければなりません。
確認するのは、
実際に何が行われていたか
です。
③ 「次回から直せばいい」で終わらせる
将来の改善だけではなく、
過去に算定した分への影響も確認します。
体制届も忘れない
加算要件を満たせなくなった場合、
請求だけ直して終わりとは限りません。
横浜市では、
各種加算・減算について、
新しく算定する場合
算定を終了する場合
加算・減算の種類が変わる場合
には体制届が必要とされています。
加算を新たに取得する場合は原則として前月15日までの届出ですが、算定できなくなった場合は別です。
厚労省も、加算等を算定できない状況になった場合は速やかに届け出るよう示しています。
👉 「取るとき」だけでなく「取れなくなったとき」にも届出を確認する。
ここは見落としやすいポイントです。
令和9年度報酬改定も進んでいます
令和9年度障害福祉サービス等報酬改定については、
9月の就労系。
10月の障害児支援。
そして10月22日には、
施設入所支援。
生活介護。
短期入所。
療養介護。
について具体的な報酬・基準の検討が行われています。厚生労働省
ただし、
2026年10月23日時点では、令和9年度改定の最終内容は決定していません。
今の請求については、
まず現行ルールで判断します。
正式な改定内容が公表されたら、
現在算定している加算について改めて確認する必要があります。
今日の実務ワンポイント
「この加算、大丈夫かな?」
と思ったら、
まず次の4つを書き出してください。
加算名
満たせていない可能性のある要件
いつからか
すでに何月分まで請求したか
ここまで分かれば、
次に、
算定停止
体制届
請求修正
返還・過誤調整
のどれを確認する必要があるのかが見えてきます。
👉 最初から返還額を計算するのではなく、まず事実と期間を確定する。
これが大切です。
まとめ
加算要件を満たせなくなったかもしれない。
そんなとき、
まず確認するのは、
何の要件か。
いつからか。
請求前か。
すでに請求したか。
体制届が必要か。
です。
そして、
減算なのか。
加算を算定できなくなるのか。
過去分の調整が必要なのか。
を分けて考えます。
👉 「加算が取れなくなった?」と気づいたときほど、請求より先に事実確認。
これが今回、一番お伝えしたいことです。
今日のチェックポイント
□ 算定している加算名を確認した
□ 算定要件を最新の資料で確認した
□ どの要件が問題なのか特定した
□ いつから要件を満たせないのか確認した
□ すでに請求した期間を確認した
□ 体制届の必要性を確認した
□ 過去分の調整が必要か確認した
□ 自己判断で請求を続けていない
行政書士田中穂積の視点
加算の相談では、
「返還になりますか?」
という質問から始まることがあります。
もちろん、
返還が必要になるケースもあります。
しかし、
最初から返還だけを見ると、
かえって整理しにくくなります。
重要なのは、
何の要件を
いつから
どの程度
満たせていなかったのか
を明らかにすることです。
人員変更が原因なら、
人員基準
変更届
体制届
にもつながります。
研修や会議が原因なら、
運営体制そのものを見直す必要があります。
加算は、
「取れるかどうか」だけではなく、
取った後も要件を満たし続けているか
を管理するものです。
行政書士田中穂積事務所では、
届出だけを見るのではなく、
現在の運営と算定内容を照らし合わせ、
必要な行政手続を整理することが重要だと考えています。
Q&A|加算要件を満たせないかもしれないとき
Q1.加算要件を満たせなくなったら、翌月から止めればよいですか?
一律に翌月からとは限りません。
厚生労働省は、加算等を算定できなくなった場合、原則としてその事実が発生した日から算定しない取扱いを示しています。
まず、いつ要件を満たさなくなったのか確認する必要があります。
Q2.すでに請求した加算は全部返還になりますか?
まず、
どの期間
どの利用者
どの算定
が要件を満たしていなかったのかを確認します。
要件を満たさない期間に算定した給付費は返還対象となり得るため、対象範囲を整理したうえで具体的な処理方法を確認します。
Q3.加算を取れなくなった場合も体制届が必要ですか?
必要になる場合があります。
横浜市では、加算・減算の算定終了や種類の変更について体制届の提出を案内しています。
算定要件を満たせなくなった場合は、請求だけでなく届出も確認しましょう。
次回予告
次回は、
国保連請求が返戻になった!障害福祉の返戻原因と確認方法|第5話
です。
請求を送った。
でも、
国保連から返戻になった。
「何が間違っているの?」
と慌てることがあります。
返戻には、
利用者情報
受給者証
契約内容
請求コード
加算
上限額管理
など、さまざまな原因があります。
次回は、
👉 返戻になったとき、エラーだけを見て慌てず、どこから原因を探せばよいのか
を整理します。
\ 「この加算、請求して大丈夫?」と不安になったら /
行政書士田中穂積事務所では、
放課後等デイサービス
児童発達支援
就労継続支援B型
共同生活援助(グループホーム)
などの障害福祉サービスについて、
加算に関係する体制届
人員変更
変更届
指定後の行政手続
などのご相談を承っています。
「職員が辞めて加算要件が心配」
「いつから要件を満たしていないのか整理したい」
「体制届が必要か分からない」
「すでに請求した分への影響が心配」
という段階でも構いません。
👉 請求を直す前に、まず事実と期間を整理する。
そこから必要な対応を確認していきます
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この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。