社員旅行・団体旅行の貸切バス手配|幹事さんと確認したいこと|第6話

社員旅行・団体旅行の貸切バス手配|幹事さんと確認したいこと|第6話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。

前回は、学校・部活動の貸切バス手配について、契約者や行程、安全管理の確認事項を整理しました。

今回は、社員旅行や企業・団体の親睦旅行がテーマです。
「30人くらいで日帰り旅行をしたい」
「観光も食事も楽しめるコースにしたい」
「できれば予算は抑えたい」
旅行会社では、こうした相談を受けることがあります。
しかし、実際に打合せを進めると、参加人数が変わったり、訪問先が増えたり、予算の調整が必要になったりします。
👉 社員旅行の貸切バス手配は、バスを予約する前の準備が大切です。
今回は、旅行会社で37年間、団体旅行の営業・販売・手配に携わってきた経験から、幹事さんと確認しておきたいポイントを解説します。

1.最初に聞くのは「どんな旅行にしたいか」

社員旅行の相談を受けたとき、いきなりバスの車種や料金から話を始めることはありません。
まず確認したいのは、旅行の目的です。
・社員同士の親睦を深めたい
・日頃の慰労を兼ねた旅行にしたい
・研修や工場見学、視察を組み込みたい
・現場やバス車中で取引先との交流を図りたい
同じ30人の旅行でも、目的が違えば行程も変わります。
親睦旅行なら、食事や自由時間をゆったり確保したいもの。
一方、企業研修なら、訪問先でのアポイントや滞在時間を優先する必要があります。
旅行の目的が決まって初めて、適切なバスの使い方が見えてきます。

2.参加人数は「何人くらい」で決めない

例えば、参加予定者が35人の社員旅行。
大型バスを1台手配すればよいと考えるかもしれません。
しかし、確認したいのは人数だけではありません。
・参加人数は確定しているか
・途中から乗車する人はいないか
・荷物はどのくらいあるか
・高齢者や移動に配慮が必要な参加者はいないか
大型バスにも座席数や荷物スペースの違いがあります。
また、参加人数が減っても、バス料金が同じ割合で安くなるわけではありません。
貸切バスは、基本的に車両と運行条件に応じて料金が決まるためです。
👉 参加人数だけでなく、乗車条件まで確認して車両を選ぶことが重要です。

3.観光先を詰め込みすぎない

社員旅行では、幹事さんから多くの希望が出ることがあります。
「せっかくだから、あの観光地にも寄りたい」
「昼食後に買い物もしたい」
「帰りにもう1か所立ち寄れないかな」
こうした希望を一つずつ加えていくと、行程は次第に忙しくなります。
例えば、横浜を出発して箱根方面へ向かう日帰り旅行。
観光施設、昼食、買い物を組み合わせる場合、移動時間だけでなく、駐車場の場所や乗降に必要な時間も考えなければなりません。
特に観光地では、道路の混雑や駐車場の予約条件によって予定が変わることがあります。
旅行会社の仕事は、希望をすべて詰め込むことではありません。
参加者が楽しめる余裕を残しながら、実行できる行程に整えることです。

4.見積りは「バス代だけ」では完成しない

社員旅行の予算を考えるとき、貸切バスの見積金額だけに目が向きがちです。
しかし、旅行全体ではほかにも費用が発生します。
・高速道路料金
・駐車場料金
・食事代
・観光施設の入場料
・添乗員やガイドに関する費用
・宿泊を伴う場合の関連費用
バスの運賃・料金についても、運行条件に応じた適正な計算が必要です。
2025年には貸切バスの公示運賃が見直され、安全な運行を支えるための適正な運賃確保が重視されています。
したがって、過去の社員旅行で利用した金額を、そのまま今回の予算に当てはめるのは適切とは限りません。
見積りでは、どこまでの費用が含まれているのかを確認することが大切です。

5.変更・キャンセル条件は早めに確認

社員旅行では、出発日が近づいてから参加者の変更が生じることもあります。
その際、注意したいのが契約条件です。
例えば、旅行会社が企画・実施する募集型企画旅行や受注型企画旅行と、貸切バスを単独で手配する場合では、契約の仕組みが異なります。
旅行会社を通したからといって、必ず同じ取消料が適用されるわけではありません。
バス会社との運送契約、旅行会社との旅行契約、それぞれの条件を確認する必要があります。
特に、幹事さんが参加者から会費を集める場合は、変更や取消しに伴う費用負担を事前に説明しておくと安心です。
👉 契約内容を明確にしておくことも、団体旅行を円滑に進めるための準備です。

今日の実務ワンポイント

幹事さんとの最初の打合せでは、旅行の目的・人数・予算・希望行程を一緒に確認しましょう。
特に、予算については「総額」だけでなく、「1人当たりいくらまで」を確認しておくと、計画が立てやすくなります。
そのうえで、バス、食事、観光先を組み合わせていくことが、無理のない団体旅行づくりにつながります。

まとめ

社員旅行・団体旅行の貸切バス手配では、車両の確保だけでなく、参加者の希望や旅行全体の予算を整理することが大切です。
人数、行程、費用、契約条件。
これらを幹事さんと共有しておくことで、出発までの準備も進めやすくなります。
よい団体旅行は、よい打合せから始まります。

今日のチェックポイント

□ 旅行の目的を明確にしている
□ 参加人数と乗車条件を確認している
□ 観光地での滞在時間や駐車場を調べている
□ バス代以外の費用も含めて予算を考えている
□ 変更・キャンセル条件を確認している

行政書士田中穂積の視点

私は旅行会社で37年間、団体旅行の営業・販売・手配に携わってきました。
その中で大切だと感じてきたのは、お客様の希望を聞くことと、その希望を実現できる計画に整えることは別の仕事だということです。
希望どおりに行程を作ったつもりでも、実際には時間が足りない。
費用を抑えたつもりでも、必要な経費が見積りから抜けている。
こうしたことを防ぐには、営業・企画・手配が連携することが欠かせません。
現在は行政書士として、旅行業法や道路運送法などの制度面からも旅行・観光事業者を支援しています。
旅行を楽しんでいただくための実務と、適正な契約・手配を行うための法務。
その両方を大切にしたいと考えています。

Q&A|社員旅行・団体旅行の貸切バス手配

Q1.社員旅行のバスは、会社が直接予約してもよいですか?

A.会社が自社の社員旅行のために貸切バス事業者へ直接依頼することは可能です。旅行会社を通す場合は、行程や宿泊、食事などをまとめて相談できるメリットがあります。

Q2.参加人数が減った場合、バス料金も安くなりますか?

A.必ずしも安くなるとは限りません。貸切バスの運賃は、基本的に車両の運行時間や走行距離などを基に算出されます。車種変更の可否や契約条件を確認しましょう。

Q3.旅行会社を通した場合、キャンセル料は一律ですか?

A. 一律ではありません。企画旅行か手配旅行か、また貸切バス単独の契約かなどによって条件が異なります。申込み時に適用される約款や契約条件を確認することが大切です。

次回予告

次回は、
「貸切バス会社は価格だけで選ばない|旅行会社は何を基準に手配する?|第7話」
をお届けします。
旅行会社の担当者は、数ある貸切バス会社の中から、どのような基準で依頼先を選んでいるのでしょうか。
料金はもちろん、安全性、車両設備、運行条件、対応力など、実際の手配ではさまざまな要素を比較しています。
一方、一般の利用者にとっては、旅行会社がどのようにバスを選び、手配しているのか、なかなか見えない部分でもあります。
次回は、手配する旅行会社と、依頼する利用者の両方の視点から、貸切バス会社の選び方をわかりやすく解説します。

\ 貸切バスの手配・旅行業務に携わる皆さまへ /

行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
旅行会社や観光事業者の現場では、「お客様の希望に応えたい。でも、手配方法や契約条件に不安がある」
そんなお悩みにお答えいたします。
団体旅行の企画・手配には、貸切バスや宿泊施設との調整だけでなく、旅行業法や道路運送法などのルールも関係します。
大切なのは、法律を知っていることだけではありません。
👉 そのルールを、日々の営業・手配・事業運営にどう生かすか。
私は旅行業界で37年間、団体旅行の営業・販売・手配など、さまざまな現場を経験してきました。
現在は行政書士として、その経験と法務の知識を組み合わせ、旅行・観光事業者の皆さまを支援しています。
・旅行業登録・更新などの許認可手続き
・貸切バス手配に関する法令・実務上の確認
・旅行契約や業務書類の整備
・旅行・観光事業の開業・運営に関するご相談
「現場のことを分かっている行政書士に相談したい」
そんなときに、思い出していただける存在でありたいと考えています。

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シリーズ一覧 04 貸切バス手配の実務ガイド

この記事を書いた人 Wrote this article

田中穂積

田中穂積

横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。