- 02運営実務編(放デイ、児発、B型、GH)
- 2026年9月15日
障害福祉サービスの加算は届出を出せば終わり?|算定要件と記録の基本|第3話
こんにちは。横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の……

~専門家選びで失敗しないための役割整理~
こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
ここ2回は、
第12話で、
障害福祉事業所を買う側
から、
第13話では、
障害福祉事業所を譲る側
から、
それぞれM&A・事業譲渡について考えてきました。
今回は、
買い手・売り手双方に向けた内容です。
障害福祉事業所のM&Aを具体的に進めようとすると、
「結局、誰に相談すればいいの?」
という問題が出てきます。
M&A仲介会社
税理士・公認会計士
弁護士
社会保険労務士
行政書士
それぞれ専門分野が違います。
大切なのは、
👉 誰か一人に全部任せることではなく、「この問題は誰に確認するのか」を最初に整理すること。
です。
まず思い浮かぶのが、
M&A仲介会社やM&Aアドバイザーです。
得意なのは「取引全体を進めること」
例えば、
買い手・売り手候補の探索
条件交渉
企業価値に関する調整
全体スケジュールの管理
クロージングまでの進行
などを担います
障害福祉事業所を、
「誰に・いくらで・どのように引き継ぐか」
というM&A全体を進める役割です。
ただし、
M&A仲介会社がいるからといって、
指定
税務
労務
契約法務
など、すべての専門判断を任せられるとは限りません。
👉 仲介会社は全体をつなぐ存在。専門判断は、それぞれの専門家へ。
この切り分けが重要です。
次に重要なのが、
財務・税務です。
決算書
借入
資産・負債
税務
キャッシュフロー
将来の収益性
などを確認するのは、税理士や公認会計士の専門分野です。
買い手にとっては、
「本当にこの価格で買ってよいのか」
売り手にとっては、
「自社の価値をどう考えるか」
という問題につながります。
障害福祉事業所であっても、
事業である以上、
財務面の確認は欠かせません。
M&Aでは、
契約書も非常に重要です。
例えば、
表明保証
損害賠償
契約解除
責任の分担
過去の問題が後から判明した場合の取扱い。
などは、
契約上きちんと整理しておく必要があります。
特に、
「行政手続が予定どおり進まなかったらどうするか」
「契約後に問題が見つかったらどうするか」
といった部分は、
M&A契約そのものにも関わります。
👉 契約上のリスクをどう処理するかは、弁護士へ確認する。
役割を明確にしておきたいところです。
障害福祉事業は、
人がサービスを提供する事業です。
そのため、
M&A後に職員が働き続けられるかは大きな問題です。
雇用契約。
就業規則。
賃金。
社会保険。
労働条件。
雇用承継。
などは、社会保険労務士の専門領域です。
M&A後も職員が残るつもりだったのに、
条件が変わって退職者が出る。
そうなれば、
事業運営そのものにも影響します。
障害福祉では、
人員配置が指定・報酬にも関係します。
だからこそ、
👉 労務の問題と行政上の人員配置は、別々に見るだけでは不十分
な場合があります。
ここは専門家同士の連携が必要になるところです。
そして、
行政書士が確認するのは、
行政上の事業所の状態
です。
例えば、
現在どの指定を受けているか。
M&A後に指定はどう扱われるか。
新規指定が必要か。
変更届や体制届はどうなるか。
運営規程との整合はどうか。
指定権者への事前相談が必要か。
といった問題です。
これは、
決算書だけを見ても分かりません。
契約書だけを見ても分かりません。
👉 「会社をどう引き継ぐか」と「指定事業所を行政上どう引き継ぐか」は別の確認が必要です。
ここに行政書士が関わる意味があります。
M&Aには複数の専門家が入ることが多いです。
だからこそ、
意外な落とし穴があります。
それが、
👉「そこは誰かが確認していると思っていた」
です。
例えば、
M&A仲介会社は、
税理士が指定も確認していると思っていた。
税理士は、
仲介会社が行政へ確認していると思っていた。
買い手は、
売り手が必要な届出を済ませていると思っていた。
こうした認識のずれです。
そこでできればおすすめしたいのが、
簡単な役割分担表(一例)です。
★確認事項 :主に確認する専門家
M&A全体の進行 :M&A仲介会社・アドバイザー
財務・税務 :税理士・公認会計士
契約・法的リスク :弁護士
雇用・労務 :社会保険労務士
指定・届出・行政手続 :行政書士
実際には案件によって重なる部分があります。
重要なのは、
👉「誰が担当するか決めておくこと」
です。
障害福祉M&Aの難しさは、
それぞれの問題が独立していないことです。
例えば、
職員が退職する。
↓
人員配置が変わる。
↓
加算へ影響する。
↓
売上見込みが変わる。
↓
買収価格にも影響する。
ということがあります。
つまり、
労務
行政手続
財務
契約
がつながっています。
👉 一つの専門分野だけ見ても、全体を判断できないことがある。
だからこそ、
各専門家が自分の分野だけを見るのではなく、
必要な情報を共有することとかじ取りを任せる(指揮者を決める)ことが重要です。
ここも大切です。
行政書士が、
税務判断
労務問題
M&A契約上の法的判断
まで一人で行うわけではありません。
それぞれ、
適切な専門家が担当します。
行政書士が見るのは、
主に、
指定
行政への届出
運営規程
行政手続
指定権者との調整
といった部分です。
そして、
その行政上の情報を、他の専門家による判断につなげる。
オーケストラでいえば指揮者。司令塔!
👉 自分の専門外まで抱え込まず、必要な専門家へつなぎチームで進めることも我々関係者としての重要な支援であり売り手側、買い手側との協力体制が最も重要です。
よってM&Aを進めるとき、
関係者に一度、
こう聞いてみてください。
「指定・税務・契約・労務について、それぞれ誰が確認しますか?」
すぐに答えが返ってくるでしょうか。
もし、
「たぶん○○さんが……」
という状態なら、
早めに役割を整理した方がよいでしょう。
M&Aでは、
専門家が多いことより、
必要な分野に抜けがないこと
の方が重要です。
M&Aの相談を始めたら、
一枚の紙に、
「専門家名」と「担当分野」
を書いてみてください。
例えば、
財務 → ○○税理士
契約 → ○○弁護士
労務 → ○○社労士
指定 → ○○行政書士
という具合です。
空欄があれば、
そこがまだ誰も確認していない可能性があります。
👉 専門家の数を増やすのではなく、「確認漏れ」をなくす。
そのための役割整理です。
障害福祉事業所のM&Aでは、
一人の専門家ですべてを完結させるのは難しい場合があります。
M&A全体
財務・税務
契約
労務
指定・行政手続
それぞれに専門分野があります。
大切なのは、
誰が一番偉いかではありません。
誰が、
どの問題を、
いつ確認するのか。
です。
👉 買い手・売り手・専門家が、それぞれ同じ事業所を違う角度から確認する。
その積み重ねが、
安全な事業承継につながります。
□ M&A全体を進行する担当が決まっている
□ 財務・税務を確認する専門家がいる
□ 契約上のリスクを確認する専門家がいる
□ 雇用・労務の確認担当がいる
□ 指定・行政手続の確認担当がいる
□ 専門家同士で必要な情報を共有できる
□ 「誰かが確認しているはず」の項目がない
一つでも空欄があれば、
M&Aを本格的に進める前に役割を整理してみましょう。
障害福祉事業所のM&Aでは、
行政書士だけで完結するわけではありません。
税務は税務の専門家。
労務は労務の専門家。
契約上の問題は法律の専門家。
それぞれの力が必要です。
その中で行政書士が担えるのは、
「この事業所は行政上どういう状態にあり、どうすれば次の運営者につなげられるのか」
を整理することです。
指定
届出
行政相談
運営規程
こうした情報が整理されていれば、
他の専門家も判断しやすくなります。
障害福祉事業のM&Aでは、
誰か一人に全部任せるのではなく、
必要な専門家が、それぞれの専門性を持ち寄る。
その方が、
買い手にとっても。
売り手にとっても。
そして何より、
利用者にとっても、
より安全な事業承継につながると考えています。
M&A仲介会社は、買い手・売り手の探索や交渉、取引全体の進行を支援する重要な存在です。
ただし、
財務
契約
労務
指定・行政手続
について、誰が専門的に確認するのかは別途整理しておくことが重要です。
いいえ。
行政書士は指定・届出・行政手続などを中心に支援できますが、
税務、労務、契約上の法的判断などは、それぞれの専門家へ確認する必要があります。
必要に応じて専門家同士が連携することが重要です。
どちらか一方だけとは限りません。
買い手側・売り手側それぞれが、自分の立場から確認すべき事項があります。
大切なのは、
「誰が何を確認するのか」を曖昧にしないこと
です。
次回は、
「横浜の障害福祉サービス運営指導|何を確認される?|第15話」
について考えます。
ここまで3回にわたり、
障害福祉事業所のM&Aについて、
買う側
譲る側
そして専門家の役割。
を見てきました。
ただ、
M&Aをする事業所だけが、
指定
人員
加算
記録
を整理する必要があるわけではありません。
日々運営しているすべての事業所にとって重要です。
そして、
その日常の運営状況を行政から確認される場面の一つが、
運営指導
です。
「運営指導の連絡が来た。何から確認すればいい?」
となってから、
慌てて書類を探す。
それでは大変です。
次回は、
👉 運営指導の通知が来ても慌てない事業所にするため、普段から何を整理しておけばよいのか
を考えます。
M&Aという特別な場面から、
再び、
「普段の適正な運営」
へ戻ります。
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― では、
放課後等デイサービス
児童発達支援
就労継続支援B型
共同生活援助(グループホーム)
などについて、
M&A・事業譲渡・事業承継に伴う、
指定・届出・行政手続の整理
についてもご相談を承っています。
「買収を検討しているが、指定がどうなるか分からない」
「事業所を譲りたいが、行政関係の整理ができていない」
「M&A仲介会社とは話しているが、指定について誰に聞けばよいか分からない」
という段階でも構いません。
必要に応じて他の専門家とも連携しながら、
行政手続の部分を整理すること
ができます。
👉 一人の専門家に全部任せるのではなく、必要な専門家へ正しくつなぐ。
障害福祉事業を安全に引き継ぐための体制づくりから考えてみませんか。
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横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。