学校・部活動の貸切バス手配|遠征・合宿で確認したい注意点|第5話

こんにちは。
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動している行政書士の田中穂積です。
これまで4回にわたり、貸切バスの運賃、営業区域、安全管理など、手配に必要な基本ルールを解説してきました。
今回からは第2章。
旅行や観光の現場で、実際に貸切バスを利用する場面を取り上げていきます。
最初のテーマは、学校行事や部活動の遠征・合宿です。
「大会会場までバスを出したい」
「保護者会で手配しても大丈夫?」
「複数社の見積りは、金額で選べばいい?」
こうした疑問は珍しくありません。
しかし、貸切バスの手配では、予約が取れれば終わりではありません。
大切なのは、安全に運行できる行程を組み、適切な事業者と契約することです。
1.学校と保護者会、誰が契約する?
部活動や学校行事の貸切バスは、学校、保護者会、旅行会社などが手配に関わります。
ここで最初に確認したいのが、契約者です。
誰がバス会社へ正式に申し込み、費用を支払い、変更やキャンセルの判断をするのでしょうか。
特に保護者会による手配では、代表者が変わったり、連絡先が複数になったりすることもあります。
そのため、契約者・連絡責任者・支払者を最初に整理しておくことが重要です。
なお、学校や保護者会が自ら利用するために直接契約する場合と、第三者が報酬を得て旅行サービスの手配を事業として行う場合では、
旅行業法上の扱いが異なります。
2.遠征で意外と難しいのは「帰りの時間」
例えば、横浜の学校から県外の大会へ向かうケースを考えてみましょう。
朝の出発時刻は決まっています。
ところが、帰りはどうでしょうか。
試合が延長する。
勝ち進んで終了が遅れる。
表彰式や片付けに時間がかかる。
こうしたことは十分考えられます。
旅行会社の手配実務では、予定どおりに進まなかった場合も想定しておくことが大切です。
確認したいのは、
・帰りの出発予定時刻
・遅延した場合の対応
・運転者の休憩・拘束時間
・延長料金や契約変更の条件
です。
貸切バスには、運転者の労働時間や運転時間についての基準があります。
👉「試合が終わるまで待ってもらう」という約束だけでは、十分な運行計画とはいえません。
3.早朝出発や長距離移動にも注意
大会や合宿では、午前5時や6時に学校を出発することもあるでしょう。
その場合、運転者の仕事は学校への到着時刻から始まるわけではありません。
出庫までの準備。
車庫から学校への回送や、帰着後の車庫までの移動
業務終了までが関係します。
長距離運行では、休憩時間や交替運転者の必要性なども検討することになります。
また、現地での待機時間も稼働に該当します。
学校側が希望する行程と、バス会社が安全に運行できる行程が一致しているか。
ここを事前に調整することが大切です。
4.2026年の通知から考える、手配する側の責任
2026年5月、文部科学省は「部活動の遠征等における安全確保について」を通知しました。
この通知では、貸切バスやタクシーを利用する際、適切な許可を受けた事業者と契約することや、
当日の車両確認などが求められています。
特に貸切バスでは、事業者から交付される「運送引受書」の内容を確認することも示されています。
運送引受書は、運送の申込み内容や契約条件を確認するための重要な書面です。
誰が、どこからどこまで、どのような条件でバスを利用するのか。
契約内容を曖昧にしないためにも、書面による確認は欠かせません。
5.旅行会社に依頼するメリットとは?
学校や保護者会がバス会社へ直接依頼することもできます。
一方、旅行会社に依頼するメリットは、単にバスを予約してもらえることだけではありません。
大会日程を踏まえた行程の作成
運行当日の時間調整・確認
バス会社との運行条件の確認
変更時の対応
こうした複数の調整をまとめて相談できることです。
私も旅行会社で37年間、団体旅行の営業と販売、手配に携わってきましたが、
旅行の販売、手配では「予定どおりにいかなかった場合」を考えることが重要だと感じています。
安全に運行できる計画を作り、関係者の認識をそろえておく。
それも旅行会社の大切な役割です。
今日の実務ワンポイント
見積りを取る前に、帰着時刻まで記載した行程表を準備しましょう。
大会の終了時刻が未確定なら、そのこともバス会社へ伝えます。
正確な情報を共有することが、適切な見積りと安全な運行計画につながります。
まとめ
学校・部活動の貸切バス手配では、料金だけでなく、契約者、行程、運転者の勤務条件、
安全性などを総合的に確認することが必要です。
特に大会や合宿では、予定が変更になる可能性を考えておかなければなりません。
バスを確保することが目的ではなく、生徒たちを安全に送り届けることが目的です。
その視点を忘れずに手配を進めたいものです。
今日のチェックポイント
□ バスの契約者と連絡責任者を決めている
□ 大会終了が遅れる可能性を想定している
□ 早朝・長距離運行の条件を確認している
□ 貸切バス事業者の許可や安全情報を確認している
□ 運送引受書と契約条件を確認している
行政書士田中穂積の視点
貸切バスの手配は、車両と運転者を確保するだけの仕事ではありません。
旅行会社側には、目的地、参加人数、行程、運行条件を整理し、バス会社が適切に判断できる情報を提供する役割があります。
そして、その手配には道路運送法や旅行業法などの制度が関係します。
旅行会社での37年間の経験と行政書士としての法務の視点。
この両方から、旅行・観光の現場で役立つ実務情報をお伝えしていきたいと考えています。
Q&A|学校・部活動の貸切バス手配
Q1.保護者会が貸切バスを直接予約しても問題ありませんか?
A.保護者会が自らの利用のためにバス会社と直接契約することは可能です。
ただし、第三者が報酬を得て継続的に旅行サービスを手配する場合は、旅行業登録の要否を検討する必要があります。
Q2.試合が延長した場合、バスにも延長して待ってもらえますか?
A. 対応できる場合もありますが、運転者の拘束時間や運行条件によっては難しいことがあります。予約時に延長の可能性を伝えておきましょう。
Q3.安全な貸切バス会社を選ぶ方法はありますか?
A.国土交通省が公表する安全情報や、貸切バス事業者安全性評価認定制度などが参考になります。料金だけでなく、
事業者の安全管理への取組も確認しましょう。
次回予告
次回は、
「社員旅行・団体旅行で貸切バスを手配するときに確認したいこと|第6話」
をお届けします。
社員旅行や企業研修では、学校行事とは異なる確認事項があります。
旅行会社の団体手配の実務から、押さえておきたいポイントを整理します。
\ 貸切バスの手配・旅行業務に携わる皆さまへ /
「バスの予約はできた。でも、この手配方法で本当に大丈夫だろうか?」
旅行会社や観光事業者の現場では、そんな疑問が生じることも。
貸切バスの手配には、道路運送法や旅行業法など、知っておかなければならないルールがあります。
しかし、大切なのは法律を知ることだけではありません。
👉 そのルールを、日々の旅行手配や事業運営にどう生かすか。
私は旅行業界で37年間、団体旅行の企画・手配など、さまざまな現場を経験してきました。
現在は行政書士として、その経験と法務の知識を組み合わせ、旅行・観光事業者の皆さまを支援しています。
・旅行業登録・更新などの許認可手続き
・貸切バス手配に関する法令・実務上の確認
・旅行業務のコンプライアンス体制の整備
・旅行・観光事業の開業・運営に関するご相談
「現場のことを分かっている行政書士に相談したい」
行政書士田中穂積事務所
― 横浜の行政書士のアトリエ ― は、
そんなときに、思い出していただける存在でありたいと考えています。
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横浜市泉区・中田から旅行の現場を知る行政書士として、皆さまの事業を法務と実務の両面から支えてまいります。
クイズ!学校・部活動の貸切バス手配で何を確認する?
前話 横浜の行政書士が教える!【緊急解説】貸切バス手配で守るべき安全管理【第4話】
次話 社員旅行・団体旅行で貸切バスを手配するときに確認したいこと|第6話
この記事を書いた人 Wrote this article
田中穂積
横浜市泉区・中田駅を拠点に活動する行政書士。旅行業・宿泊業を中心とした観光ビジネスや障害福祉サービスの許認可・開業支援などを行っています。旅行業界37年の経験を生かし、現場と法務の両面から実務情報を発信しています。